小学生の時、クラスで何かを決める時は、必ず「多数決」をしていた記憶があります。遠足で行きたい場所、自由研究の課題・・・その度にわたしはいつも、「どうして賛成する人が多い方が優先されるのだろう?」と、腑に落ちないことが多くありました。確かに、何か組織で案を決定するときは、いわゆる“マジョリティ”の意見を通した方が、(表向きには)平和的で、何より手っ取り早い。だけど、だからと言って多数派が“マイノリティ”を攻撃して良いはずがないのです。「お前だけ意見が違う」と異分子扱いされることを恐れて、本当のことを言えない人が、大人も子供もどれだけいるでしょうか。
とりわけ、セクシャリティというデリケートな問題に関して、日本はまだまだ先進国の中でも後れを取っているのが事実です。
今回は、以前この連載で取り上げて多く反響を頂いた“セクシャルマイノリティ”について、第二弾として特集したいと思います。前回はレズビアンのカップルについて記載した本が多かったので、今回はゲイについても描かれている、素敵な作品を三冊紹介します!
ふたりのパパと赤ちゃんの“タンゴ”は、最高にハッピーな家族!
オスペンギンのカップルが卵を温めて、とっても可愛いヒナが孵った!?実はこれ、実際にニューヨークのセントラル・パーク動物園であった実話をもとに描かれた絵本なのです。ロイとシロはラブラブなオスのペンギンカップル。いつしか二羽で巣作りを始めますが、二羽が温めているのは、卵の形をした石。見かねた飼育員さんは、この様子をみて、とあるお母さんペンギンが温めることを諦めた卵を、石の代わりに二羽に預けます。そうすると、なんと卵の中から…!
可愛い絵のタッチと、ユーモアあふれる語り口で、読み終わった後、みんなでハッピーになれる楽しい絵本。ストレートにゲイのカップルという題材を取り扱いながらも、センシティブになりすぎない「当たり前」としての恋愛模様が描かれていて、とても好きな絵本の一つです。
実際に自然界では、雌雄のつがいだけではなく、キリンやペンギンなどの間ではオス同士のカップルも数多く存在するのだそう。メスが狩りに出たり、群れの特性、繁殖の周期など理由は色々ありますが、性別の垣根を越えてベストパートナーを見つけるというのは、運命的でとってもロマンチックですね。
オトナの階段への大きな一歩は…「フーゾク」?
少し前に、インターネットのマンガアプリの広告などでよく見かけたこのマンガ。Pixivなどでも公開され、とても話題になったのが記憶に新しいですね。
大学中退後に体調を崩し、世間との関りが希薄になってしまっていたという筆者、永田カビさんの、タイトル通りの自伝です。
外出すらままならなかった永田さんが、“人のぬくもりが欲しい、優しく抱きしめてくれるようなお姉さんがいい!”という気持ちから、死ぬ思いで予約したのは“レズビアンのための風俗”。予約をしたという、思い切った行動に出た永田さんは急にココロが軽くなり、身支度を整えてその日を迎えます…。全体のバランスで見ると、風俗そのものの体験談よりは、永田さんが自分自身と向き合う過程の配分が多めという感じ。しかしこのタイトルに出てくる「レズ風俗」そのものこそが、後々の永田さんを大きく変えていくきっかけになるのです。
もちろん、「レズ風俗」というものについても描かれているので、興味がある女の子は、自分の体験に活かしてみるのもいいのかも(…?)。ラフでありながら感情が伝わってくる絵柄、そして繊細に描かれた心情。男性も女性も、きっとグイグイ引き込まれていってしまうはずです。