owtn.が紹介する“みんなちがって、みんないい”本

owtn.が紹介する“みんなちがって、みんないい”本

更新:2016.11.22 作成:2016.11.22

小学生の時、クラスで何かを決める時は、必ず「多数決」をしていた記憶があります。遠足で行きたい場所、自由研究の課題・・・その度にわたしはいつも、「どうして賛成する人が多い方が優先されるのだろう?」と、腑に落ちないことが多くありました。確かに、何か組織で案を決定するときは、いわゆる“マジョリティ”の意見を通した方が、(表向きには)平和的で、何より手っ取り早い。だけど、だからと言って多数派が“マイノリティ”を攻撃して良いはずがないのです。

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ポエムコア・アイドル
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「雪国に舞い降りた、ゆるふわグルーヴィー天使」をキャッチフレーズに、 自作の詩をトラックに載せて朗読する、ポエムコアという新たなジャンルで活躍しているowtn.。 “宇宙初のポエムコア・アイドル”として、独特の世界観が国内外から注目を集めている。 2015年12月に、最新EPとなる「桃源郷EP」をリリース。
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小学生の時、クラスで何かを決める時は、必ず「多数決」をしていた記憶があります。遠足で行きたい場所、自由研究の課題・・・その度にわたしはいつも、「どうして賛成する人が多い方が優先されるのだろう?」と、腑に落ちないことが多くありました。確かに、何か組織で案を決定するときは、いわゆる“マジョリティ”の意見を通した方が、(表向きには)平和的で、何より手っ取り早い。だけど、だからと言って多数派が“マイノリティ”を攻撃して良いはずがないのです。「お前だけ意見が違う」と異分子扱いされることを恐れて、本当のことを言えない人が、大人も子供もどれだけいるでしょうか。

とりわけ、セクシャリティというデリケートな問題に関して、日本はまだまだ先進国の中でも後れを取っているのが事実です。

今回は、以前この連載で取り上げて多く反響を頂いた“セクシャルマイノリティ”について、第二弾として特集したいと思います。前回はレズビアンのカップルについて記載した本が多かったので、今回はゲイについても描かれている、素敵な作品を三冊紹介します!

ふたりのパパと赤ちゃんの“タンゴ”は、最高にハッピーな家族!

著者
["ジャスティン リチャードソン", "ピーター パーネル"]
出版日
2008-04-16
オスペンギンのカップルが卵を温めて、とっても可愛いヒナが孵った!?実はこれ、実際にニューヨークのセントラル・パーク動物園であった実話をもとに描かれた絵本なのです。ロイとシロはラブラブなオスのペンギンカップル。いつしか二羽で巣作りを始めますが、二羽が温めているのは、卵の形をした石。見かねた飼育員さんは、この様子をみて、とあるお母さんペンギンが温めることを諦めた卵を、石の代わりに二羽に預けます。そうすると、なんと卵の中から…!

可愛い絵のタッチと、ユーモアあふれる語り口で、読み終わった後、みんなでハッピーになれる楽しい絵本。ストレートにゲイのカップルという題材を取り扱いながらも、センシティブになりすぎない「当たり前」としての恋愛模様が描かれていて、とても好きな絵本の一つです。

実際に自然界では、雌雄のつがいだけではなく、キリンやペンギンなどの間ではオス同士のカップルも数多く存在するのだそう。メスが狩りに出たり、群れの特性、繁殖の周期など理由は色々ありますが、性別の垣根を越えてベストパートナーを見つけるというのは、運命的でとってもロマンチックですね。

オトナの階段への大きな一歩は…「フーゾク」?

著者
永田カビ
出版日
2016-06-17
少し前に、インターネットのマンガアプリの広告などでよく見かけたこのマンガ。Pixivなどでも公開され、とても話題になったのが記憶に新しいですね。

大学中退後に体調を崩し、世間との関りが希薄になってしまっていたという筆者、永田カビさんの、タイトル通りの自伝です。

外出すらままならなかった永田さんが、“人のぬくもりが欲しい、優しく抱きしめてくれるようなお姉さんがいい!”という気持ちから、死ぬ思いで予約したのは“レズビアンのための風俗”。予約をしたという、思い切った行動に出た永田さんは急にココロが軽くなり、身支度を整えてその日を迎えます…。全体のバランスで見ると、風俗そのものの体験談よりは、永田さんが自分自身と向き合う過程の配分が多めという感じ。しかしこのタイトルに出てくる「レズ風俗」そのものこそが、後々の永田さんを大きく変えていくきっかけになるのです。

もちろん、「レズ風俗」というものについても描かれているので、興味がある女の子は、自分の体験に活かしてみるのもいいのかも(…?)。ラフでありながら感情が伝わってくる絵柄、そして繊細に描かれた心情。男性も女性も、きっとグイグイ引き込まれていってしまうはずです。

否定をやめるところから始めなければ、きっと何も変わらない

著者
砂川秀樹
出版日
2007-12-11
前述の『さびしすぎて~』以外は、ここまで多くフィクションとしてのマイノリティを多く扱いましたが、こちらは、多くのマイノリティの皆さんのリアルな“カミングアウト”にまつわる手紙のやり取りを、上は82歳から下は18歳まで、7組19通を集めた本。

「言う」「言わない」―…それは当事者、そして周りの人たちにとっても、大きな問題となることでしょう。「打ち明ける」ことが、必ずしもその人との関係を深めることには繋がらない。これは悲しいことですが、現状、そういったことが起こり得るのも事実です。だけど…実際に、誰もが経験し得る問題なのです。

当事者が周りにいない人にも読んでほしい。むしろ、そういった人たちが、「打ち明けられたとき」の心の準備として、読んでみることをおすすめします。

もちろんセクシャリティだけでなく、昔は多く出身国による差別などもあったといいます。人間は動物です。戦うこともあります。むしろ、人間も動物も、生きるということは戦うことを避けて通れないのです。だけど、その戦いは無駄なものであってはいけない。いろんな国の人がいて、趣味嗜好の人がいて、アイデンティティがある。例えそれが自分の好みに合わなくても、攻撃していい理由は絶対にありません。多様な価値観を認め合って、共存していかなくてはいけない。

多くのマイノリティを題材にした本を読んで、一番最後にこれを読みましたが、まず初めに思ったのは、“認め合うことに時間がかかってもいい、だけどわたしたちの世代がまずは否定をやめるところから始めなければ、きっと何も変わらない”ということでした。

幼いころから、わたしは“多い=正しい”の図式を刷り込まれ、少数派にならないように周りを見ながら過ごすことが多かったように感じます。本当なら、もう、マイノリティとかマジョリティとかそんな言葉もない世界が理想ですが、実現するのはきっと何百年、もっともっと経った後でしょうか。

わたしが明日死んでも、この先もずっとずっと、この文章は記録の一つとしてどこかに残るはずです。一人のアイドル、一人の人間という存在は、微力なのはわかっています。だけどこうして発信しなければ何も変わらない。そう思って第二回の特集をしました。願わくば、少しでも多くの人たちに、このメッセージが届きますように。

少しでも、これを最後まで読んでくださったあなたの力になれますように。