警察にもヤクザにも名の知れた伝説のヤクザ「不死身の龍」。生きる伝説でもあったものの、突如裏の世界から消えた彼。なんと彼は現在……妻のためにキュートなエプロンをつけて可愛いキャラ弁を作り、あらゆる家事をこなす主夫となっていた!? ヤクザを辞め、主夫としての道を極める龍の姿を描いた『極主夫道』。怖い見た目と言葉づかいとは裏腹に、手際よく料理をこなしたり、ご近所付き合いもしっかりこなしたりする姿にシュールな魅力がある本作をご紹介!スマホの漫画アプリから無料で読むこともできるので、そちらからこの独特な雰囲気を覗いてみてはいかがでしょうか?
単身丸腰で、10ヶ所以上の事務所を潰し回った伝説の最凶ヤクザ「不死身の龍」。その稼業から足を洗った彼が次についた仕事は、なんと専業主夫でした。
- 著者
- おおのこうすけ
- 出版日
- 2018-08-09
キャリアウーマンとしてバリバリ働く妻・美久を支えるため、手作りごはんにキャラ弁、バーゲンに自家菜園など、家事も家計も支えるよき夫として大変貌を遂げた龍。
しかし見た目の怖さや過去の因縁のせいか、立派に主夫道を極める彼の周りは、ヤクザ的な騒がしさを失っていなかったのでした。
ゆるいオールバックのように持ち上げた髪と、左目を突っ切る形である額から頬への傷。鋭い目つきにグラサンという、誰がどう見てもその筋にしか見えない顔つきと服装。そうでありながら、ゆるい柴犬の顔が描かれたエプロンをつけて、特売の品を買い求める姿には、ある種のかっこよささえ感じます。
龍としての過去を知る人間は、彼の「主夫」という言葉をまったく信じませんし、ヤクザ感丸出しの言動や立ち居振る舞いからは、何かとんでもない事件でも起こりそうな気がしてしまいます。
しかし、そういった言葉なども、すべて家事に関することなのです。
周りがいろいろと余計なことを考えたり、変に気を回したりしていますが、彼自身は家族のために、自分のできることを一生懸命やっているだけ。守るべきものが「組」ではなく「妻」になった龍は、彼女と家のことを1番に考える、紛れもない専業主夫なのです。
言動と顔つきがヤクザから抜け切らないのが、周りに誤解を与える原因ではありますが、彼が主夫道をきわめているのも、結局のところ一本気なヤクザ気質からだと思われます。
誰かのためにきちんと仕事をこなすというのが、彼にはとてもあっているのでしょう。ご近所のご婦人方に混ざって話をしている姿は、もっとも見た目とのギャップを感じてしまいますね。
龍は伝説と呼ばれるほど、顔と名の知れたヤクザでした。そのときと風貌がまったく変わっていないため、外に出るとだいたい昔の顔見知りに出会ったり、警察に職質されたりします。
現在交流のある主婦友との絡みはもちろんですが、彼が主夫になってから出会う、彼の過去を知る人々との絡みも非常に面白いです。主夫業を極めすぎたためか、わりとトンチンカンな返答をしてしまうのが特に面白いところ。
どんな風にヤクザから絡まれても、主夫道を崩さない龍は本当にすごいですね。拳銃を取り出されようが、ドスを取り出されようが、すべて主夫的言動で回避するのです。攻撃の受け方やかわし方は、さすが元ヤクザという感じですが、その絵とセリフの噛み合わなさは凄まじいもの。
けっこう真面目に命を狙われそうになっていることに関して、本人がどう思っているのか気になるところですね。彼の目には主夫フィルターがかかっていて、どんなことをされても主夫的用語しか出てこないのでしょうか。
いたって真面目な言動に、相手が勝手に勘違いをするのも見所のひとつ。彼は普段通り主夫業をこなしているだけなのに、それをヤクザ的おこないとして勘違いし、撤退する姿は必見です。
本作で注目したいことのひとつとしまして、やはり美久との関係や、彼女とのやりとりではないでしょうか。彼女と龍の出会いについてはわかりませんが、彼がヤクザの事務所を潰し回って割とすぐに出会ったということが推測できます。
結婚に至った理由についても判明していませんが、どうも彼女のほうが力関係は上のよう。ただ、お互い好いていることには間違いないでしょう。そういった互いへの気持ちが見えるからこそ、2人の関係は可愛く見えるのです。
そもそも彼の主夫業は、美久がいなければ成り立たないもの。彼女が外でバリバリ働いている代わりに、彼は主夫として家の一切を取り仕切り、また家を守っているのです。そんな2人の関係は、夫婦としてはまさに理想的なのではないでしょうか。
美久といるときも、彼は決してデレデレすることなく、いつもと変わらない態度です。しかし、それでも彼女のことを1番に考えていたり、要望を聞こうとしたりする姿は、微笑ましさも感じます。特に彼女に対して土下座をするシーンなどは、彼の子どもっぽさと男気、見つかったら怒られるかもという感情が見えて、よりその関係性が面白く、可愛らしく見えるでしょう。
『極主夫道』は、何もしない「間」と、「何かするのか」と期待を煽るような1コマが、非常に魅力的で面白い作品です。
間はさまざまな形で表現され、基本的にセリフはなく、風景であったり、固まったキャラクターであることが多いです。そういう何もない「間」があることで、独特なキャラクターと言動も、流れが途切れることなく読むことができます。
また、絶対そんなことはないとわかっているからこそ、彼のヤクザ的行動ひとつひとつに、それがどんな主夫的行動に繋がるのかという期待感も感じられますね。
彼が自分から喧嘩を売るようなことはしないし、彼の行動はすべて主夫業に通じているとわかっているからこそ、「銃でも出すのか」「喧嘩でもするのか」という身振りの1コマに、「本当はこうでした」という、予想通りであり予想外でもある行動を楽しむ事ができるのです。
読者に想像させ、彼の行動の真意をさらけ出し、相手が戸惑う間を入れることで、見事なオチを演出しています。こういったテンポをくり返すことで、全体的に読みやすく、またどんどん作品世界に引き込まれていくでしょう。
本作は、龍の存在と周りとの関係が非常に楽しく、どの話も読みごたえがります。そのなかでもヤクザ感が抜けきらない龍が、美久の誕生日を祝う話が特に面白いのではないでしょうか。
美久の誕生日、彼がやってきたのはアニメショップ。エプロン以外はヤクザ感丸出しの顔と服装、さらにアタッシュケースという格好でアニメショップにいるというのが、まず面白いですよね。
そんな彼の目的は、美久の好きなアニメのブルーレイBOX。しかし、その在庫を訊く姿は、まさに強盗のよう……。
- 著者
- おおのこうすけ
- 出版日
- 2018-08-09
目的のものを手に入れた彼は、部屋の内装もお誕生日仕様に変更するのですが、それを見た美久は、何かの祭壇のようなものと、部屋中に貼られた「寿」の書に驚きます。一般的に予想される誕生日パーティーからは、かけ離れた内装と謎の儀式……さすがの彼女もわけがわからない様子ですが、それ以上に読者もわけがわかりません。
しかし、わけがわからないながらも誕生日プレゼントに喜ぶ美久と、彼女の嬉しそうな顔に優しげに微笑む龍の姿は、非常に微笑ましく、気持ちが明るくなりますね。
しかしその後、龍が持っていたドスで小指を切り落とそうとする事態に。
そんな彼を阻止しようと、美久は必殺ともいえる一撃をくり出します。それを受けた彼の姿は「嘘だろ」と突っ込みたくなるようなもの。夫婦生活の愉快さが、よくうかがえる話となっていますよ。
大人気漫画『極主夫道』の実写ドラマ化が決定しました。2020年10月から日本テレビ系の日曜ドラマ枠で放送されました。
「不死身の龍」を演じるのは、日本テレビ系連続ドラマでは初主演の玉木宏。
玉木は「龍の見た目とは裏腹な言動に癒やされ、クスッと笑え、気軽に楽しんでいただけるドラマを目指したいと思います。」とコメント。龍のキャラクターのギャップのように、いつもの玉木と龍のギャップが抜群でした。ドラマ化決定記念のPVも公開されています。
映画化の予定はまだないようですが、人気が出ればありえるかもしれません。
詳細なコメントや情報は【公式】極主夫道|読売テレビ・日本テレビでご覧ください。
玉木宏が出演した作品を見たい方は、追求し続ける俳優・玉木宏。実写化した映画、テレビドラマの原作作品の魅力を紹介の記事もおすすめです。
大人気漫画『極主夫道』が実写ドラマ化に引き続きアニメ化が決定しました。2021年春にNetflixで全世界独占配信されます。
龍役には津田健次郎が決定。YouTubeで公開されてる実写CM動画で龍を演じたことで話題になっていました。監督は『美少女戦士セーラームーンEternal』など人気作を手掛けた今千秋が務めます。
津田は「アニメ版『極主夫道』、なめとったらアカンぞ。」とコメント。実写CMがハマり役だと評判が高い津田の演技が楽しみですね。
元ヤクザの極める主夫道を描いた『極主夫道』。主夫として役立つことや、見習わなければと思うようなエピソードも多く、ただギャップが楽しいだけでないのがよいところです。