「ウサギとカメ」が本当に伝えたい事とは。教訓を考察!あらすじや続きも紹介

更新:2018.11.13

誰もが1度は読んだことがある「ウサギとカメ」の物語。実は続きがあったり、別のストーリーがあったりすることをご存知でしょうか。この記事では、定番のあらすじを簡単に紹介したうえで、目新しい物語と教訓を解説していきます。大人も楽しめるおすすめの絵本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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「ウサギとカメ」のあらすじを簡単に紹介

 

イソップ物語のひとつ「ウサギとカメ」。日本には室町時代以降に伝わったとされていて、江戸時代初期に発表された翻訳本『伊曽保物語』によって広まることとなりました。明治時代になると教科書にも収録され、普及していきます。

ではそんな「ウサギとカメ」の物語のあらすじを簡単に紹介していきましょう。


あるところに、足の速いウサギと、足の遅いカメがいました。ウサギに馬鹿にされてしまったカメは、山のふもとまでかけっこの勝負をすることを提案します。

ウサギは、自分が負けるわけはないと笑い、いざかけっこを始めるとどんどん先へ進んでいきます。あっという間に引き離し、カメの姿が見えないところまでやって来ました。余裕で勝てると思ったウサギは、休憩がてら居眠りを始めます。

一方のカメは、その間も着実に歩みを進めていました。

そしてウサギが目を覚ますと、そこにはすでにゴールをしているカメの姿があったのです。

「ウサギとカメ」の続きの話

 

一般的に知られている「ウサギとカメ」の物語は上述した部分までですが、実は続きがあるのです。

たとえば1983年に放送されたテレビアニメでは、カメに負けた後のウサギのエピソードが描かれていました。

かけっこで勝利をしたカメは動物たちの称賛の的となりますが、一方のウサギは「恥をかかせた」として村から追い出されてしまうのです。

ちょうどその頃、村にオオカミから「子ウサだギを3匹差し出せ」という命令がくだされます。もしも子ウサギを渡さなければ、オオカミが村を襲うであろうことは明白でした。

そこに現れたのが、かけっこで負けて村を追われてしまったウサギです。オオカミに会いに行き、連れてきた子ウサギたちがオオカミの顔を怖がっているので、崖のところでちょっと後ろを向いていてくれないか、とお願いします。そして背を向けたオオカミに、足の速さを活かして全速力で突進。オオカミもろとも崖から転落し、村のピンチを救うのでした。

もうひとつの「ウサギとカメ」

 

もうひとつ、カメはウサギに勝つために策略を練っていたという話もあります。アメリカの民話研究者ジョーエル・チャンドラー・ハリスがまとめた民話集には、次のような物語が収められています。

ウサギとカメがかけっこの勝負をすることになった時、カメはウサギの走る道ではなく、すぐ傍の藪を走りたいと言います。ウサギもそれを了承しました。

いざ勝負が始まると、ウサギは全速力で走りますが、どれだけ走ってもなぜか常に近くの藪にカメがいるのです。走っても走っても引き離すことができません。

そしてようやくウサギがゴールにたどり着くと、そこにはすでにカメがゴールをしていたのです。

実は、カメはスタート地点からゴールまで、自分の家族をコースである藪の中に潜ませていたのです。ウサギが一緒にスタートしたと思い込んでいたのはカメの妻でしたが、見分けることができませんでした。

またテレビアニメでも、カメがウサギを騙して勝利をしたというもうひとつの物語があります。1986年に放送された、「うさぎ・亀・ふくろう」というお話です。

いつも足の速さを自慢してくるウサギのことが気に入らないカメ。そこに入れ知恵をするフクロウが現れました。

かけっこの勝負が始まると、ウサギはあっという間にカメを引き離しますが、ゴールに着くとそこにはなぜかカメがいます。そんなはずはないと、今度はゴール地点からスタート地点までもう1度勝負をするのですが、それでもやはりカメが先にゴールしているのです。

もう1度、もう1度と何度もかけっこをくり返しますが、結果は変わらず。悔しくなったウサギは泣き続け、目が真っ赤になってしまいました。

カメがかけっこに勝つことができた理由は、双子の兄弟がスタート地点とゴール地点にそれぞれいたから。気に入らないウサギを騙せたことに大喜びをするカメとフクロウですが、彼らの悪事を神様はしっかり見ていました。

怒った神様は杖でカメの甲羅をひびが入るまで叩き、フクロウに対してはお天道様の下にはおいておけないと夜しか目が見えないようにしてしまったのです。

こうしてウサギの目は赤くなり、カメの甲羅にはひびがあり、フクロウは夜しか目が利かなくなってしまいました。

「ウサギとカメ」の教訓。本当に伝えたいこととは

 

この物語からは、ウサギの立場とカメの立場、双方から教訓を学ぶことができます。

まずウサギの立場で考えてみると、やはり「油断大敵」でしょう。足の速さという才能があるからといって、それに甘んじてはいけないと学ぶことができます。

一方のカメの立場で考えてみると、コツコツと真面目にがんばっていれば、目標を達成することができると感じられます。また、相手に惑わされずに自分のゴールを見据えることが大切だということもわかるでしょう。

ただ「ウサギとカメ」の後日談やもうひとつの物語を知ってしまうと、違った側面から考えることもできるのではないでしょうか。

たとえばウサギはオオカミから村を守るために一計を案じます。またカメも、ウサギに勝つためにいわゆる「インチキ」をするのです。才能のないものが才能のあるものと勝負をする場合、それなりの頭のよさが必用で、また時にはズルをしないと勝つことができないのかもしれません。

さらに、カメは寝ているウサギに気付いているはずなのに、起こさないで先を行ってしまうという行動にもやや疑問が残ります。昔話としてまっとうな教訓を得ることもできますが、その一方でややずる賢い一面も見えてきますね。

「ウサギとカメ」の物語成立から考える教訓

 

イソップ物語の作者イソップは、紀元前619年に生まれた古代ギリシャの寓話作家です。もともとは奴隷でしたが、話上手で多くの寓話を語ることができたため、解放されたと伝えられています。

常識的に考えれば、かけっこでカメがウサギに勝てることはまずないでしょう。しかし「ウサギとカメ」におけるカメは、自分が相手より劣っていたとしても、コツコツと歩き続けます。できることを着実にやっていけば大成することができると教えてくれるでしょう。

この教訓には、奴隷として生きていたイソップの処世術が込められていると考えることができます。自分と同様に、いわゆる「下」の立場にいる人間に、めぐまれない境遇にいても精進を続け、自分にできることをやるべきだと教えてくれているのです。

「ウサギとカメ」を定番のアニメ絵本で

著者
平田 昭吾
出版日
1999-01-25

 

スタンダードな「ウサギとカメ」の物語が収録されている、「世界名作ファンタジー」シリーズの絵本です。

作者の平田昭吾は、日本のアニメ絵本文化の先駆者といわれる人物。300点以上の作品を発表し、国外でも高い評価を受けています。

本作はカラフルな色使いで、登場人物たちの表情がいきいきとしているのが特徴。お話もコンパクトにまとまっているので、読み聞かせにもぴったりです。

美しい色彩が楽しめる絵本

著者
ラ・フォンテーヌ
出版日

 

イギリスの絵本作家で、代表作『マザーグース』が有名なブライアン・ワイルドスミスの作品です。色彩の魔術師と呼ばれるだけあり、本作のイラストも目を見張るものがあります。ワイルドスミスが得意とする水彩のタッチで風景や登場人物が描かれていて、まるで画集のように楽しむことができます。

また本作は、かけっこをするウサギとカメの他に、レースを見守るたくさんの動物たちが登場するのが特徴。彼らがカメを応援する姿に、心があたたかくなるでしょう。

「ウサギとカメ」の意外な後日談

著者
のむら としや
出版日
2017-02-03

 

「ウサギとカメ」の物語の後日談を描いた、かわいらしい絵本です。

あのかけっこ勝負から何年か経ったある日、神様が2匹にもう1度競争することを持ち掛けます。山のふもとに先に到着したほうに、「ええもん」をあげるとのことでした。ただし太陽が沈む前に到着しなければいけません。

そして物語は、読者の予想の斜め上をいく展開に……。大人も子どもも楽しめる作品。ひとりじゃ成し遂げられないことも、力をあわせればできることを教えてくれます。

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