「いばら姫」の原作が怖すぎる!グリム版、ペロー版のあらすじとともに解説

更新:2018.11.23 作成:2018.11.23

グリム童話の「いばら姫」。「眠れる森の美女」というタイトルでも知られていて、多くの人が親しみをもっているでしょう。しかし実は、原作のストーリーは現在伝わっているものとはかなり異なり、グロテスクで怖いものとなっているのです。この記事では、グリム童話版、フランスの作家ペロー版、そして原作のそれぞれのあらすじを紹介していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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グリム童話「いばら姫」のあらすじを紹介

 

「眠れる森の美女」というタイトルでも知られている「いばら姫」。ヨーロッパの古い民話として伝えられ、多くの人が童話に取りあげているほか、さまざまな類話も存在します。

日本では、19世紀にドイツのグリム兄弟が編纂した「グリム童話」の内容がもっとも有名なので、まずはこちらのあらすじを紹介していきましょう。


とある国に、長い間子どもを授かることができずに悩んでいる王と王妃がいました。ようやく女の子を授かったので、大喜び。お祝いのパーティーを開くことにします。

この国には魔法使いの女が13人いましたが、お城には金の皿が12枚しか無かったため、12人だけ招待し、残りの1人には声をかけませんでした。

パーティーに出席した魔法使いたちは、「美」「徳」「富」など魔法を用いたプレゼントを王女に贈ります。しかし、11人目の魔法使いがプレゼントを渡した直後、招待されなかった魔法使いが現れたのです。

自分だけが呼ばれなかったことに怒り、復讐として「王女が15歳になったら、紡ぎ車の針が指に刺さって死ぬ」という呪いをかけてしまいました。

城中がパニックになるなか、まだ贈り物をしていなかった12人目の魔法使いが、呪いを取り消すことはできないが弱めることはできるとし、「王女様は15歳になっても死ぬことはなく、100年間の眠りにつく」と告げます。王女の行く末を心配した王は、国中の紡ぎ車を捨ててしまいました。

王女は順調に成長し、15歳になります。ひとりで城の中を歩いていると、塔の最上階の部屋で、見知らぬ老婆が糸を紡いでいるところを見かけました。不思議に思って近寄ったとたん、錘が手の指に刺さり、そのまま100年の眠りについてしまったのです。

さらにこの呪いは城中に降り注ぎ、王や王妃をはじめ城にいる全員が眠りに落ちてしまいました。そして城の周りは茨で覆われるようになり、城には誰も入れなくなってしまったのです。

それから長い年月が経ったある日、隣国の王子がそばを通りかかります。茨に覆われた城を見て不思議に思い、近くに住む老人に問いかけると、「城の中には美しい王女が眠っている」と言われました。

どんな王女がいるのか気になって仕方がなくなり、勇気を出して茨に近づいたその時、ちょうど100年の呪いが解けて、茨はひとりでに道を開け、王子は中に入ることができたのです。眠っている王女にキスをすると、王女は目を覚まします。

同時に城の人々もみな目を覚まし、王子と王女は結婚して幸せに暮らしました。

 

ペロー版「いばら姫」には続きがあった!

 

17世紀に活躍したフランスの詩人、シャルル・ペロー。彼はグリム兄弟よりも先に民間の伝承をまとめた童話集を作成したことでも有名です。

そしてこのペローの童話集にも、「いばら姫」が収録されているのです。グリム童話版とは異なる部分を紹介しましょう。

まずペロー版では、眠っていた王女が王子のキスで目覚めるわけではなく、眠ってから100年が経って呪いの効果が切れたため自分で目を覚ましています。

また2人が結婚した後ですが、実は王子の母親が人食いの性質をもっていて、王子が留守の間になんと王女と彼女が生んだ2人の子どもを食べようとするのです。

そこへ王子が現れ、人食いの王妃は自分の行動が息子にばれてしまったことに動転し、ゲテモノが入った大きな桶の中に自ら飛び込んで死んでしまいました……。

ペローの編纂した童話は、子どもにも読みやすいように脚色を加えているものが数多くありますが、「いばら姫」に関しては、グロテスクで恐ろしい結末となっています。

 

「いばら姫」は本当は怖い!原作の「太陽と月とターリア」がかなりエグい

 

「いばら姫」の原作は、ペローが編纂したものよりももっと昔、17世紀前半にイタリアの詩人ジャンバティスタ・バジーレがまとめた説話集『ペンタメローネ』だといわれています。そのなかの一遍、「太陽と月とターリア」という話が、「いばら姫」の原作だとされているのです。

しかしその内容は、なかなか衝撃的なもの。あらすじをご紹介しましょう。


ある国にターリアという王女が生まれ、その誕生を祝うパーティが開かれていました。パーティーに出席していた占い師が、「麻糸によってターリアに災いが起きる」と予言をします。

そしてその予言どおり、麻に紛れ込んでいた棘が指に刺さり、ターリアは眠りに落ちてしまうのです。父親は悲しみに暮れ、この悲しみを忘れるために城を去ってしまいました。

それからしばらく経ったある日のこと。ある国の王が、鷹狩りをしているうちに偶然ターリアが眠る城へと辿り着き、彼女の姿を見つけます。

そして、あまりの美しさに我慢ができなくなり、そのまま眠っている彼女を犯してしまうのです。それでもターリアは目を覚まさなかったので、王は自国に帰ってしまいました。ターリアは眠りながら王との子を妊娠、なんとそのまま双子を出産します。

まもなく指の棘が抜け、呪いが解けて目を覚ましました。双子は、タイトルにもなっている「太陽」と「月」と名付けられました。

ターリアと関係をもった王は、自国から彼女の元へとやってきて、双子の誕生を喜びます。しかしここで問題となったのが、王には妻である王妃がいるということ。王は自国に戻った後もターリアと双子のことを気にかけていたので、王妃がその存在に気付いてしまいました。

嫉妬に狂った王妃は、王を装って「太陽」と「月」を呼び出します。そして双子を殺してスープにしようと命令をするのですが、双子に同情した料理長が子ヤギとすり替えて事なきをえました。

次に王妃は、ターリアを呼んで火あぶりにしようとしますが、これは王にバレてしまいます。怒った王は王妃を火の中に投げ込み、殺してしまったそうです。


ターリアが目覚めてからの展開にボリュームが割かれていることがわかります。一般的に広まっているグリム童話では、目を覚ました王女と王子が結ばれるハッピーエンドですが、もともとは一時の感情で浮気をしてしまった王をきっかけに、まさに命がけのバトルがくり広げられるというもの。

眠っている王女を犯し、王女が眠ったまま双子を出産するというのも、かなり衝撃的です。こんなにも複雑なストーリーでしたが、時が経つにつれて、夢があって親しみやすい、シンプルな物語に改変されていったのでしょう。

 

美しすぎる絵が魅力の大人が楽しめる「いばら姫」

著者
出版日
2015-04-15

 

「イメージの魔術師」と呼ばれた絵本作家のエロール・ル・カイン。シンガポールとインドで幼少期を過ごし、15歳からはイギリスにわたってアニメーションの勉強をしたそうです。

アニメ映画のために書いたスケッチをもとに絵本を出版すると、その豊かな色彩がたちまち話題となり、絵本作家として活躍するようになりました。

とにかく繊細で美しいイラストが魅力です。かなり描きこまれているので、いくら眺めていても飽きないでしょう。子どもはもちろんですが、大人が読んでもその世界観に満足できるはず。プレゼントにもおすすめです。

 

グリム童話を再話して新たな魅力をつくり出す一冊

著者
["高村 薫", "阿川 佐和子", "大庭 みな子", "津島 佑子", "松本 侑子"]
出版日
2015-03-06

 

「いばら姫」をはじめ、「ラプンツェル」や「赤ずきんちゃん」、「ブレーメンの音楽隊」など、グリム童話11篇を8人の女性作家が再話した作品です。物語の原型は残しつつも、現代の視点で新しい命を吹き込んでいます。

「いばら姫」を担当したのは、阿川佐和子。そのほか高村薫や皆川博子などそうそうたるメンバーが名を連ねているのです。

各物語に挿入されている一枚絵も美しく、本書の世界観を盛り上げています。グリム童話を別の角度から楽しめる作品です。

 

「いばら姫」の絵本をディズニーのイラストで読む

眠れる森の美女 (ディズニー プレミアム・コレクション)

2016年04月14日
 
永岡書店

 

王子のキスで呪いが解け、眠っていた王女が目覚める……ロマンティックな王道のストーリーが収められた一冊です。

かわいらしいディズニーアニメのイラストで描かれているので、小さなお子様への読み聞かせにもぴったり。夢の世界へ連れていってくれるでしょう。