童話「小人の靴屋」が本当は怖い!第2部、第3部のストーリーも含めて紹介!

更新:2018.11.30

グリム童話のひとつ「小人の靴屋」。誠実だけど貧しい靴屋をこっそりと小人が助けてくれる物語ですが、実は「第2部」「第3部」と続きがあるのです。この記事ではそれぞれのあらすじと、おすすめの絵本を紹介していきます。

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童話「小人の靴屋」のストーリーを簡単に紹介

 

グリム童話のひとつ「小人の靴屋」。まずは一般的に知られている「第1部」のあらすじを簡単に紹介しましょう。


あるところにおじいさんとおばあさんが靴屋を営んでいました。腕はよかったものの、歳をとってしまったため靴をたくさん作ることができません。2人はだんだん貧しくなってしまい、いよいよ材料を買うお金がなくなってしまいました。あす、最後の1足を作って、それからのことは神にゆだねるしかないと思い、眠りにつきます。

翌朝目を覚ますと、不思議なことに用意してあった材料を使って立派な靴ができあがっていたのです。まるで高級品のように美しく、その靴はその日のうちにいつもよりも高い値段で売れました。おかげで、靴を2足作れるだけの材料を仕入れることができたのです。

次の日の朝になると、同じように、今度は2足の靴が完成していました。これらも素晴らしい仕上がりで高値で売れたので、この日は4足分の材料を買うことができます。このようなことがしばらく続き、貧しかった靴屋のおじいさんとおばあさんは、豊かになっていきました。

しかし、いったいどうして朝になると靴が完成しているのでしょうか。きっと夜中に何かあるに違いないと思った彼らは、こっそりと様子をうかがうことにします。

すると、ちょうど時計の針が12時をまわったころ、なんとそこに2人の裸の小人が現れたのです。歌を歌いながら次々と材料を縫いあわせ、あっという間に靴を完成させてしまいました。

それを見たおじいさんとおばあさんは、驚きつつも小人に感謝をします。そして彼らが裸だったことを思い出し、洋服を作ってあげることにしました。その日の晩は、靴の材料ではなく、2人分の小さな洋服を置いて眠りについたのです。

夜中になっていつも通りやってきた小人たちは、自分たちへのプレゼントを見つけて大喜び。その日以降小人は現われなくなったものの、おじいさんとおばあさんの靴屋は繁盛を続けたそうです。

童話「小人の靴屋」は本当は怖い!「第2部」のあらすじを紹介

 

さて、先ほど紹介したあらすじは、「小人の靴屋」の「第1部」。実はこの物語には続きがあるのです。


あるところに、貧乏だけれども働き者の女中がいました。ある日、掃除をして積み上げられたゴミの上に、1通の手紙を見つけます。そこには、「赤ちゃんの名付け親になってほしい」と書かれていました。

戸惑いながらも引き受けようと思うと、そこへ3人の小人が現れ、女中を彼らが住む場所へ連れ去ってしまいます。

そこはとても美しいところで、女中は名付け親の役割を果たして帰ろうとしましたが、「3日間だけいてほしい」と引き留められたので、楽しい時間を過ごしました。帰り際にはポケットにたくさんのお金も入れてもらいます。

しかし女中が家に帰ると、そこには見ず知らずの人が住んでいました。なんと、彼女が小人たちと過ごしていたのは3日間ではなく7年間だったのです。かつて仕えていた主人も、その間に亡くなってしまっていました。


短い時間だと思っていたら、実はとんでもない年月が経過していた……どことなく「浦島太郎」を彷彿とさせるストーリーです。

主人も家も仕事もなくしてしまった女中は、この後どのように暮らしていくのでしょうか。「第1部」のほっこりとした雰囲気とは異なり、どことなく不気味な要素をはらんだ想像力を掻き立てる物語になっています。

童話「小人の靴屋」は本当は怖い!「第3部」のあらすじも紹介

 

さて「小人の靴屋」には、なんと「第3部」もあるのです。これまでよりも怖い内容になっているとか……こちらもあらすじを紹介しましょう。


あるところに母親と、まだ幼い子どもが住んでいました。そこへ小人がやってきて、子どもを連れ去ってしまいます。代わりに、頭が大きくて目がギョロっとした鬼のような子どもを置いていきました。

困り果てた母親は、どうすればいいかお隣さんに相談をします。するとお隣さんは、「かまどの上に鬼の子どもを起き、かまどの火を使って卵の殻でお湯を沸かすといいとアドバイス。それを見た鬼の子どもがゲラゲラと笑えば、「おしまい」になるというのです。

母親は、言われたとおりにかまどの上に鬼の子を起き、卵の殻でお湯を沸かしました。すると本当に鬼のお子どもがゲラゲラと笑いだし、さらに小人がやってきてその子を連れ去っていったのです。代わりに、母親の本当の子どもを置いていきました。

しかしその場所は、鬼の子がいた、かまどの上だったのでした……。


かまどの上に置かれた子どもがその後どうなったのか、結末は描かれていませんが、想像に容易いのではないでしょうか。目の前で自分の子が焼かれていくのを見なけらばならない母親の気持ちを考えると、かなり残酷な物語のように思えます。

「第1部」では幸せを運ぶ存在として描かれていた小人ですが、「第3部」においてはまったく異なってしまいました。鬼の見た目をした子どもの正体もわからないままです。

そして、「子どもをかまどの上に置くといい」とアドバイスをしたお隣さん。なぜお隣さんはそんな方法を知っていたのか、実の子どもが同じ場所に置かれることを知って「かまどの上」を指定していたとしたら……背筋が凍るほど怖くなってしまうのではないでしょうか。

かわいいイラストが魅力の絵本「小人の靴屋」

著者
["グリム", "いもと ようこ"]
出版日
2006-10-01

 

人気絵本作家いもとようこの作品です。

本作で描かれているのは「第1部」のみ。幻想的でありながらも温かみのあるイラストで、小人が靴屋を助けてくれるというストーリーともマッチしています。

小さなお子さまへの読み聞かせにもおすすめです。

美しい言葉で描かれた絵本

著者
矢川 澄子
出版日
2001-10-01

 

作家であり詩人であり翻訳家である矢川澄子が、「小人の靴屋」を子ども向けに再構成した絵本です。詩のようなリズム感のある文章が特徴。けっして難しい言葉は使わずに、独特の世界観をつくり出しています。

イラストはカラフルでポップ。楽しい「第1部」のストーリーをよりいっそう盛り上げてくれるでしょう。

生き生きと描かれた「小人の靴屋」

著者
グリム
出版日
2002-02-01

 

ドイツの絵本作家、カトリーン・ブラントが手掛けた作品。世界中で愛されています。

素朴な絵柄ながらも、一生懸命靴作りに取り組む小人たちが丁寧に描かれていて、彼らの表情や手先の動きなどがよくわかるでしょう。

生き生きとした力強さが伝わってくる作品です。

小人や妖精というと日本ではかわいらしいイメージがありますが、ヨーロッパでは「なにをするかわからない」「人間とはちがう価値観のなかで生きている」という印象がつきもの。今回ご紹介した「小人の靴屋」でも、「第2部」「第3部」からは特に感じられるのではないでしょうか。グリム童話はもともと民話を集めたもので不思議なお話も多いですが、いくつも読んでみると当時の人々の世界観が見えてくるはずです。