小説『白い巨塔』あらすじなどをネタバレ解説!財前にはモデルがいた!?

更新:2018.12.3 作成:2018.12.3

『白い巨塔』は、病院を舞台に医学界を描いた社会派小説です。発表当時、社会に大きな衝撃を与えた本作は、1966年の映画化以降、幾度も映像化されてきました。そして2019年、新たにテレビドラマ化されることが発表され、再び注目が集まっています。 そんな名作ともいえる原作小説のあらすじなどを解説。ネタバレ注意です。

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目次

傑作小説『白い巨塔』がおもしろい!あらすじの内容をネタバレ紹介

1963年から1965年にかけて、毎日新聞出版「サンデー毎日」に連載された小説、『白い巨塔』。作者は『華麗なる一族』や『沈まぬ太陽』といった名作を数多く残した小説家・山崎豊子。

本作は1部で完結の予定でしたが、あまりの反響の大きさに、当初は予定されていなかった続編も刊行されました。文庫化された折にまとめられ、続編という特別な表記はなく、全5巻の作品となっています。

著者
山崎 豊子
出版日
2002-11-20

 

舞台は、国立浪速大学という架空の大学の附属病院。主人公である財前五郎は第一外科助教授という立場で、食道噴門癌の手術を得意としていました。野心家で、次期教授の座を狙っています。そんななか、著名人の手術を担当し、マスコミなどを利用して力をつけていく彼をよく思わない人間もいました。

しかし当の本人は、他の教授からの苦言などは、馬耳東風。自身の目的のために多くの人を利用する彼をはじめ、院内での権力争いはエスカレートしていくのでした。

やがて財前は望んだ権力を手に入れますが、1人の患者の手術に失敗したことで、どん底に落とされてしまいます。

大学病院内での権力争いという、患者側からすれば、なぜそんなことを……と困惑しかねないような題材です。本作は連載当時から大きな反響があったといいますが、単行本が発売された翌年の1966年に、田宮二郎主演で初の実写化となる映画が公開されました。

異例の早さともいえる映画化に、社会が受けた衝撃を推し図ることが出来るでしょう。

 

著者
山崎 豊子
出版日
2002-11-20

映画公開以降も度々ドラマ化されており、その都度キャストも変更。1967年は佐藤慶、1978年は田宮二郎、1990年は村上弘明、2003年は唐沢寿明が主演を務め、放送されました。1978年放送のドラマは、映画版でも主演を務めた田宮二郎からの、続編の財前も演じたいという強い要望から制作されたといいます。

どの年代の放送も高視聴率を記録していた本作のドラマ作品ですが、2003年放送時には、最終回32.1%と、大きな記録を残しました。この脚本は前回までのドラマや原作からアレンジされている部分もあり、医療技術の進歩による診断面での演出の変化なども見所。

唐沢寿明演じる財前と、江口洋介演じるライバルの里見の不器用な友情、キーマンである伊藤英明演じる柳原の存在など、よりドラマチックなストーリーが魅力になっています。

この2003年版は人気を博し、2004年には「特別編」が放送。さらに、そんな2003年版をリメイクした作品が、2007年に韓国でドラマ化されました。キム・ミョンミンが、財前五郎にあたるチャン・ジュンヒョクを演じ、韓国内でも高く評価されています。

そして2019年には岡田准一が主演を務め、新にドラマ化されることが決定。大きな話題となった本作ですが、発表される以前の2016年にも意外な理由で注目を集めています。

それは、「ゴジラ」シリーズ第29作として公開された『シン・ゴジラ』。その登場人物と本作の登場人物の名字が、なんとほぼ同じであることが話題となったのです。これは、監督の庵野秀明が本作の大ファンで、そのことから名前を引用したのだとか。

『シン・ゴジラ』を見ながら、本作のオマージュとなる部分を見つけるのも面白いかもしれません。

『白い巨塔』登場人物を紹介!

本作は大学病院が舞台。病院にはさまざまな科や部署があり、登場人物もかなり多いと感じるでしょう。こちらの項目では、物語に深くかかわる主要な人物を中心にご紹介いたします。

まず、主人公である財前五郎(ざいぜん ごろう)。浪速大学医学部を卒業後、同大学で医学研究科博士課程を修了。専門は食道噴門癌で、食道や胃の縫合を得意としています。浪速大学病院第一外科助教授ですが、教授になろうと画策している人物です。

東貞蔵(あずま ていぞう)は財前の師にあたる人物ですが、彼の傲慢な性格を嫌っており、折り合いはよくありません。

鵜飼(うがい)は、映像版ではそれぞれ名前が違う特殊な人物で、本作では名字だけが登場しています。国立浪速大学医学部長も務め、政界にも太いパイプを持っており、院内での派閥や権力争いに重きを置いていました。

著者
山崎 豊子
出版日
2002-11-20

財前のライバルで、大学の同級生でもある里見脩二(さとみ しゅうじ)。出世には興味がなく、患者を助けるため、研究に没頭しています。権力争いに巻き込まれて病院を去った後は、近畿がんセンターに勤務。ドラマ2003年版では、千成病院勤務になっています。

大河内(おおこうち)は鵜飼の前の学部長で、財前や里見の恩師にあたります。里見を評価する一方、権力に固執してアクの強い財前を快く思っていません。

整形外科部長の教授である野坂(のさか)は、アンチ財前を明確にしている人物。ことあるごとに財前の、教授選考の選挙活動を妨害します。

野心家であることを隠さない財前を煙たく思っている人物がいる一方で、佃友博(つくだ ともひろ)のように自身の利のため、財前側に立って動く人物も少なくありません。

柳原弘(やなぎはら ひろし)は、本作のキーマンともいえる人物です。苦学生で、自身と似たような境遇である財前に憧れを抱いていました。噴門癌患者である佐々木庸平(ささき ようへい)を担当した事で、財前の保身による工作に巻き込まれてしまいます。

著者
山崎 豊子
出版日
2002-11-20

医師をはじめとした病院関係者だけでも、かなり密度が濃いですが、もちろんそれだけではありません。病院内が主に男同士の戦いだとすれば、教授夫人たちによって構成された団体「くれない会」は、まさに女の戦いの場だといえるでしょう。ここでは、鵜飼の妻が会長を務めています。

財前の妻である財前杏子(ざいぜん きょうこ)は、虚栄心が強くエリート志向。くれない会内部でもうまく立ち回り、財前の教授就任を後押ししています。

財前の出世のパートナーが彼女だとすれば、女性としてのパートナーといえるのが、花森ケイ子(はなもり けいこ)です。以前は医大に通うほどの才女で、現在はホステスをしています。財前の愛人です。

里見の妻・三知代(みちよ)は聡明で貞淑な人物ですが、権力争いに巻き込まれた夫を支えながら、さまざまな心労に襲われます。

その心労の原因となる1人が、同級生であり友人の東佐枝子(あずま さえこ)。東貞蔵の娘です。里見に横恋慕するなど、さまざまなトラブルを巻き起こします 。

誤診によって死亡した佐々木庸平の遺族が起こした民事裁判で、正義感溢れる弁護士として奔走するのが、関口仁(せきぐち ひとし)。報酬度外視で走り回る姿は、殺伐とした人間関係が多い本作において、読者の心を温かくするでしょう。

正木徹(まさき とおる)は、1度は敗訴となった裁判をひっくり返すきっかけを作る発見をした人物です。

これだけの登場人物がいても、全員が特徴的。そういった点も、本作の魅力の1つといえるでしょう。

『白い巨塔』の主人公・財前、浪速大学にはモデルがあった!?

 

病院内での権力争いや、教授たちの腹の探り合いがあまりにも生々しく濃密で、遠い世界の出来事のように感じる読者も多いことでしょう。こんなことが、自分が通っている病院内で巻き起こっているとしたら……と想像すると、なんだか背筋が寒くなりますよね。

本作は実際の事件がモデルになっているという噂もありますが、財前が起こした誤診による患者の死亡という事件はフィクションです。類似の事件を参考にしていたわけではありません。しかし、実際に起こりうる事件でもあり、近年は医療関係のニュースが後を絶たないというのが現状です。 

事件はフィクションですが、財前たちが在籍する浪速大学にはモデルがあり、なんと財前のモデルとなった人物も存在するのだとか。そのモデルとなったのは、作者・山崎豊子の主治医でもあった、大阪帝国大学の教授で、外科医の神前五郎。

しかし、財前のような権力争いに身を投じていたわけではなく、名前や肩書という骨格を借りただけで、他の設定は作者のオリジナルです。国立浪速大学も、国立大阪大学医学部がモデルとされていますが、複数の大学をモデルにしたと作者自身が明言しているため、特定の大学がモデルとはいえないでしょう。

とはいえ、財前教授のような性格をし、食道癌の権威だった教授が、千葉大に在籍していたことから、モデルは千葉大であるという説もあるのだとか。医学部内での権力争いも激しかったそうです。

浪速大学というわりに、関西弁で話す人物が少ないということもあり、こういったさまざまな憶測を呼んでいます。

 

大学病院の権力争いが凄まじい!その怖さを考察

 

人間は上を目指すものだ、という社会に共通した考えのようなものがありますが、財前も出世欲が極端ともいえるくらいに強い人物です。

しかし、元々エリートを輩出してきた家なのかと思えばそうではなく、父を早くに亡くし、母の内職と父の遺産、篤志家(社会・慈善活動を支援する人)の支援で医学部に入学した、苦学生でした。

猛勉強の末に医師となった彼ですが、元々が傲慢で上昇志向が強い性格からか、学生の頃から出世欲が強かったよう。恩人の知己である大阪医師会の実力者・財前又一に認められ、財前家に婿入りしたことから、出世の道が開けます。

その後も財前は、社会的に地位のある人物や有名人の執刀医を務め、マスコミなどを利用して外部からの知名度を得ました。そして、東が定年を迎えた後に空く教授のポストを巡った、権力争いをくり広げていくのです。

教授選は、一般的にも推薦や立候補によって公募され、投票によって決定されます。知名度や論文、著作の数や業績、学会などの発表など、多角的な評価によって総合的に判断され、もちろん外部の応募者が選考に通ることもあるのだとか。その時に、水面下での工作が絶対におこなわれないとはいえません。

財前は義父のバックアプにより政治工作をおこない、時には行き過ぎだと感じるほどの妨害もおこなってきました。欠員が出て席が空くということ自体が稀であれば、そこに全力を注ぐのは頷けることでしょう。彼は三つ巴の第1回投票を辛くも勝ち抜き、決選投票でも勝ちを収めたのです。

権力争いは、組織をまとめるためには必要な事です。弱肉強食という言葉があるように、力のある者が上に立つというのは理に叶ったことでしょう。しかし本作のように派閥が存在し、勝利するために調略を駆使した場合は、互いが腹を探り合ってまとまりに欠けた組織となり、崩壊することは目に見えています。

実際に、財前は誤診の件がきっかけとなり、医師としての信用を失いました。病気によって医師の仕事からは離れますが、権力を欲しいままにした彼の傍にいたのは、かつての学友である里見だけという寂しい状況となってしまったのです。

現実の病院内でも権力争いがあった、という話も聞かれますが、本作は山崎豊子の想像から生まれたフィクションです。しかし、行き過ぎたところはあるものの、地位を得るために手段を択ばないという面は、ノンフィクションともいえるのではないでしょうか。

財前は目的の地位を手に入れましたが、それ以上に多くのものを失いました。腹を探り合う日々は身体にも大きな負担となり、身体を蝕む原因ともなっていたのです。そんな彼の迎える最期は、権力によって得られるものはひと時のもので、実はとても少ないのだと教えてくれます。

 

教授の座は誰のもの?決戦投票の結果!

 

前の項目でも少し解説しましたが、財前は東が定年を迎えた後に空く教授職を狙っています。大学内では、教授職を投票形式で選ぶことになっていました。混迷を極める学内権力闘争になってしまったのは、ひとえにこの投票により、学内の勢力図が変化するからなのでしょう。

財前は義父や妻、財前側についた協力者の存在を後ろ盾に、第1回の選挙に臨みます。候補は財前の他に、東が自身の母校である東都大学教授・船尾に依頼して推薦した対抗馬である、菊川昇。そして野坂の推薦である、徳島大学教授の葛西。

三つ巴の選挙の結果により、財前と菊川による決選投票がおこなわれることになりました。

決選投票を勝ち抜けば、目的だった教授の席を手に入れることができます。財前の派閥と菊川、すなわち東の派閥は、野坂派である葛西に投じられた票を獲得するために、あらゆる手を尽くしました。財前は金や権力、東は名誉を重んじ、有権者に訴えていくのです。

第1回の票は、財前12、菊川11、葛西7という結果。東は事前に投票の辞退を申し出ていたので、合計30票で争われます。決選投票では財前16、菊川14で、財前が勝利しました。しかし、どの教授がどちら側に票を投じたのか、すべての票に明確な描写があるわけではありません。

個人の人間関係や、財前が教授となった後の浪速大学医学部内の権力図を見れば、察するところではあるでしょう。大きな見せ場の1つでもある決選投票は、その後の財前の人生を大きく左右する出来事となりました。

 

財前の何が悪かった?患者の死亡から、理由を考察!

 

望んでいた教授の地位と権力を手に入れた財前は、そのまま思うがままに生きていった……というわけではありません。とある患者の死をきっかけに、彼の転落が始まってしまうのです。患者の名前は、佐々木庸平。胃癌で入院していました。

財前五郎は権力に固執してはいるものの、無能ではありません。食道噴門癌を専門としており、独自の縫合方法を考案するなど、元々医師としての実績を残していました。食道噴門癌とは、現在でいうところの「食道胃接合部癌」のこと。食道と胃の接合部に、悪性腫瘍ができてしまう病気です。

食道と胃では、治療方法も異なります。特に食道は生きるために必須の器官で、リンパ節転移が多く、治療も困難を極めるのだとか。財前が得意としていた食道噴門癌は、その境目にできる癌で、あいまいな点が多かったのが、2010年から胃癌の扱いになりました。

佐々木庸平は胃の調子を悪くし、最初は内科を受診。里見が診察をしましたが、大きな原因を見つけることができず、財前に診察を依頼します。そして財前がX線を使用した透視検査をおこなった結果、噴門にがんが発見されたため、浪速大学病院に入院することになりました。

佐々木は中小企業の社長ではありましたが、財前にとっては、治療をしても自分の名誉にも利点にもならない一般の患者です。手術はおこなったものの、海外での学会があったこともあり、術後の経過を柳原に任せてしまいました。結果、佐々木は容体が急変し、死亡してしまうのです。

なぜ、彼は亡くなってしまったのでしょうか。原因は、手術前からありました。彼には確かに食道噴門癌がありましたが、癌は肺に転移していたのです。胸部X線写真にも影はありましたが、これは若い頃に罹患した結核の後であろうと推察していました。そのため財前は彼の病状を、正確に把握していなかったのです。

癌の診断は難しく、現実でも誤診なのでは、といわれている例も少なくありません。胃癌だと思って胃を摘出したところ、癌はまったく発見されなかったという事例もありました。内視鏡検査をおこなった428症例のうち、55例は誤診という驚きの結果も出ています。

医師も人間であり、間違った判断をすることはあるでしょう。そうならないために必要な検査を重ねていくものですが、財前にはその必要な手順である検査が、大幅に欠けていました。柳原や里見がさらなる検査を進めても、跳ねのけてしまっていたのです。

結果、病状が悪化して患者は死亡。自身の利と権力を優先したが故の結果です。最善を尽くしても間違ってしまうのなら、それは仕方がないことなのかもしれません。なかには、財前がしたことは意図的でないため、本作のような末路をたどるのはかわいそうだという意見もあります。

しかし、必要な情報を得るという行為を怠った彼の行動は、医療ミスというべきものでしょう。

 

遺族からの控訴!終わらぬ裁判

 

里見のすすめもあり、佐々木は病理解剖されました。結果、財前の誤診がきっかけとなって死亡したことが判明します。そして佐々木の家族は、財前を告訴。医療誤診裁判で必要なことは、より多くの証拠や証言を集めることです。

財前は、担当していた柳原に真実を隠すよう念押しをしました。そして、財前側の鑑定人として小山義信という医師を用意。財前は誤診をしたわけではないと発言します。

そして、財前派の鵜飼いが手回ししていた、大阪地方裁判所が依頼した鑑定人である唐木が誤診ではないと証言し、これが決め手となって財前は勝利したのです。

佐々木の妻であるよし江は、担当弁護士の関口とともに控訴に踏み切ります。財前側は金も権力もあるため、人材集めには事欠きません。しかし関口たちは、正義と情に訴えるしかなく、誤診を決定づける証人や、鑑定を担当する医師探しは難航します。

そんななか、財前の一般患者に対する態度を快く思っていなかった元婦長・亀山君子が、証言を承諾するのです。さらには化学療法を専門とする医師・長谷部一三の協力を得られたことで、財前側に圧倒的な有利だった裁判が、徐々に傾いていきます。

財前側は柳原の突然の裏切りや、前任の弁護士である河野が別の汚職事件の弁護を引き受けたことで、国平が弁護を担当することになりました。亀山の出廷を阻止しようと圧力をかけたりしましたが、どこか空回り。財前とも呼吸が合わないまま、裁判は進むこととなります。

 

『白い巨塔』結末をネタバレ解説!裁判の行方、その後とは?

 

自身が望んだ栄華を手に入れた財前でしたが、晩年までその勢いが続いたわけではありません。誤診を疑われて、民事で訴訟を起こされてしまうのです。1度は勝利しましたが、上告をされたことで話が変わってきます。

本来であれば書く予定がなかったという続編は、佐々木の遺族たちが控訴をするところから始まりました。信頼できる証人や鑑定結果が揃ったこともあり、結果は財前の敗訴。判決文に激怒した財前は、上告すると抗議している最中に脳貧血で倒れてしまいます。

診断の結果、なんと自身も胃癌に蝕まれていることが判明。師である東が執刀医を務めましたが、その身体は手術での快方は難しいところまで蝕まれてしまっていたのでした。

 

著者
山崎 豊子
出版日
2002-11-20

 

ただ死を待つのみとなってしまった財前でしたが、自身の病状は知らされていません。里見の懇願により、密かに抗がん剤が投与されていましたが、病状がよくなることもありません。

権力争いにばかり力を注いでいたとはいえ、財前は国家免許を取得した立派な医師です。手術後の経過が芳しくないことは、彼にもわかっていました。

栄光を掴んだと思った矢先に一転、奈落の底へと突き落とされてしまった彼。そんな彼を待ち受ける運命とは……。

彼は金と権力に固執し、自身が望むすべてを手に入れました。だからといって、彼の医師としての腕が最初から劣っていたわけではなく、優秀だったからこそ教授職を務められていたのです。
 

自分が何のために職業を目指したのか、その職業の理念や倫理を損ねていないのか……そうしてことを考えるべきなのかもしれません。優秀な悪役である彼でしたが、物語のラストには、医師らしい気持ちを取り戻していったように思えます。

さまざまなドラマや映画にもなった、名作超大作。その結末が気になる方は、ぜひご自身の目でお確かめください。

 

大長編である『白い巨塔』は、濃すぎる人間関係と、現代にも通じる医療現場に関するさまざまな問題が登場します。派閥争いとは旧時代的では?と感じる読者もいることでしょう。しかし、組織の中で起こる争い自体が無くなることはありません。2019年には新たなるテレビドラマも放送され、より現代のイメージに近い設定や演出が登場するでしょう。

医療は進歩しても、人間の中身がそう変わる事はないのだと、あらためて実感することになりそうです。