『三代目薬屋久兵衛』全巻ネタバレ紹介!奇妙で切ない漢方恋愛漫画?【無料】

更新:2021.11.16

ねむようこによる本作は、ちょっと不思議でかわいい、恋のお話。漢方を勉強中の三久と、人見知りで植物好きな叶が織りなす、大人がときめく恋愛ストーリーです。 今回は本作の魅力と全5巻分の見所を、一気にご紹介します。この『三代目薬屋久兵衛』が無料で読めるスマホアプリで、その不思議な世界観を味わってみるのもおすすめです。

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『三代目薬屋久兵衛』が面白い!【あらすじ】

 

鮮やかな表紙が目をひく本作で描かれるのは、レトロな雰囲気漂う、漢方×大人の恋。恋の甘さと苦さ、両方が味わえます。

舞台となるのは、ちょっぴり変わった不思議な町。主人公は、2か月前に町に帰ってきた、25歳の三久(みく)です。彼女は漢方薬局「薬屋久兵衛」の三代目を継ぐため修行中。店主である祖父を手伝う日々を送っています。

 

著者
ねむ ようこ
出版日
2015-03-07

 

そんななか彼女の前に現れたのは、植物好きだけど人見知りな青年・叶(かなえ)。彼のことが気になり始めますが、三久は初恋こそが運命であると信じており……。

おとぎ話と現実のはざまのような不思議な町で、かわいくてピュアな恋物語が始まります。

 

作品の魅力とは?

作品の魅力とは?
出典:『三代目薬屋久兵衛』1巻

 

どこか浮世離れした独特な世界観と、地に足の着いたストーリーを楽しめるのが、本作の大きな魅力でしょう。

世界観を構成するのは、現実に存在するけれど、なんとなく魔法や童話を連想させる絶妙なモチーフたち。三久の祖父が営む漢方薬局、魔女と呼ばれる三久の祖母、叶が世話している薬草園……なんだかワクワクするワードが物語のなかにちりばめられており、読む人の好奇心を刺激するのです。

ねむようこの特徴的なかわいらしい絵柄によって、その世界観はさらに完成度を高めています。かわいい絵が不思議な世界観と合わさって、ノスタルジックなイラストを見ているようにも感じられるでしょう。

ストーリーには関わりませんが、蛙のサーカス、カタツムリの馬車など、不思議な世界にぐっと引き込む町の住人も登場します。かわいらしい彼らの姿にも、要注目です。

 

出典:『三代目薬屋久兵衛』1巻

このように浮世離れ、不思議などというと、世界観にすんなりと入っていけるのかと、不安になるかもしれないでしょう。しかし、この恋物語は、決して空想的なばかりではないのです。

ここには、恋愛における苦味も描かれています。三久は結婚で失敗した過去を持つ、バツイチという設定。ピュアな恋愛もののヒロインとしては、意外な設定といえるでしょう。彼女はその別れを経て、初恋に執心するようになります。

掴みどころがなさそうな空想的な町と、現実味のある恋愛経験は、一見ちぐはぐに思えるでしょう。けれど、そのふんわりした世界とピリッとした現実が、双方を引き立てているのです。

不思議でかわいい世界観と、甘いだけではないストーリーを楽しんでみてください。

 

『三代目薬屋久兵衛』1巻の見所をネタバレ紹介!

 

25歳の三久は、2か月前に地元に帰ってきました。現在は祖父が営む漢方薬局「薬屋久兵衛」の三代目を継ぐため、修行中の身です。祖父とともに、お客さんの心身の悩みを解決するべく、対応する毎日を送っています。

 

著者
ねむ ようこ
出版日
2015-03-07

地元に帰ってきて同級生・らいむと再会し、中学の同窓会に出席した三久ですが、そこに焦がれていた初恋の相手・アキトの姿はありませんでした。そしてその帰り道、彼女は森の魔女が住むといわれている森に立ち寄ります。そこで出会ったのは、魔女ではなくひとりの青年でした。

名前も聞かないまま彼と別れますが、実は祖父の同級生・猶原の教え子であることが判明。後日、再会を果たします。その青年が、叶。

彼は、植物が好きでかなりの人見知り。そして血が大の苦手です。そんな彼から出た「さすが魔女の孫」という言葉で、三久は大混乱することに。彼女が学生時代から会いたかった魔女の正体が、死んだと聞かされていた祖母だと知るのです。

漢方×大人の恋が開幕する本巻では、ワケありな登場人物や世界観が次々紹介されます。初恋が自分の運命だと信じ、それが自分を縛る呪いとなっている三久。彼女の同級生たち。祖父と、魔女と呼ばれる祖母の関係……。

彼女たちはどんな秘密を抱え、どうやって乗り越えていくのか。読めばさらに続きが読みたくなる、そんなエピソードといえるでしょう。

『三代目薬屋久兵衛』2巻の見所をネタバレ紹介!

 

偶然出会った叶に、ほんのり惹かれ始めている三久。彼は、超人見知りで植物が好きな大学生です。非常にシャイですが、恋愛では意外とストレートな様子。

一方、死んだと聞かされていた三久の祖母が生きていたことが発覚。しかも「森の魔女」と呼ばれている人物こそが、その祖母だったのです。

驚きの連続だった1巻に続き、2巻では何が起きるのでしょう。なんとなく匂わされていた三久の過去が、ついに彼女の口から語られます。

 

著者
ねむ ようこ
出版日
2015-09-08

 

三久は友人・らいむに、バツイチであると告白。「お互いに違うと気づいたから離婚した」と淡々と語りますが、自身が思う以上に、彼女は離婚にとらわれています。

らいむは、彼女が初恋にこだわるのは、能天気だからだとばかり思っていました。しかし実際は、「運命」のせいにして楽になりたいからなのでした。

お互いの連絡先も知らない三久と叶は、いつも「偶然」任せに出会っています。今度も、祖母のおかげでばったり出会うのですが、そこでついに叶が「偶然じゃなく会うにはどうすればいい?」とアプローチ。急な展開に三久は戸惑いますが、ようやくふたりは友達になるのでした。

もどかしいふたりの距離がようやく縮まったと安心したいところですが、ついに三久の初恋の人・アキトが姿を現します。彼女が「唯一の正解」と信じる彼ですが、読者的にはあまり応援できない姿かもしれません……。

本巻では、恋愛要素がぐっと強まります。運命という言葉で自分を縛りつけている三久は、自身を解放できるのでしょうか。そして、らいむ、川合ちゃんの恋も動きだします。人物相関図がはっきりし、ぼんやりしていた物語の筋が見えてくるでしょう。

 

『三代目薬屋久兵衛』3巻の見所をネタバレ紹介!

 

中学生時代に結婚の約束をした、三久の初恋の相手・アキト。彼の登場で、物語が急速に動き始めます。

三久は相変わらず、アキトこそが運命の相手だと信じている様子。それゆえ、シャイ男子・叶からのアプローチをかわし続けているのです。

キュートな友人ふたり組・らいむと川合ちゃん、おちゃめな森の魔女が、そんな彼女を見守ります。離婚を経験し、かたくなに初恋を運命と信じる彼女は、その呪いとの戦いにどう決着をつけるのでしょうか。

 

著者
ねむ ようこ
出版日
2016-03-08

 

「好きだ」と言う叶の気持ちをはぐらかしてきた三久ですが、思わず彼にキスをしてしまいます。しかし、彼は彼女を突き飛ばし拒絶。この一件で彼女は、叶のことが好きなのだと自覚したのでした。

キス事件以来、気まずくなったふたり。お祭りの日、三久は叶と会おうとしますが、そこに現れたのは初恋の人・アキトでした。思い出話のなかで、三久にとっては呪いにもなっている結婚の約束について触れます。彼女はさらりと言ってみますが、アキトの返答とは……。

これまで相手不在で、一方的に初恋に憧れを抱いていた三久。アキトが現れたことで、運命を信じ込もうとする呪いから、ついに解放されます。一方、気まずいままの叶との関係は、らいむ、川合ちゃん、祖母が連携し助け舟を出してくれる展開に。

見ているだけの片思いで満足だという叶と、彼のことが好きだと自覚した三久は、周囲の助けを借りてさらに踏み込んだ関係になれるのでしょうか。

ストーリーが急展開する本巻。三久がとらわれ続けている初恋の決着、そして、胸キュンシーンも見所です。さらに、今後は本心を隠しているらしいアキトがどう関わるのかも、注目ポイントになりそうな予感。ますます目が離せません。

 

『三代目薬屋久兵衛』4巻の見所をネタバレ紹介!

 

ようやく初恋の呪縛が解けた三久と、じっと見られることが苦手な叶。世話焼き3人組(らいむ・川合ちゃん・祖母)の心配の甲斐あって、ついにふたりの思いが通じました。

叶が「薬屋久兵衛」に顔を出したり、祖父公認の仲になったりと順調です。ゆっくりと距離を縮めてきたふたりは、お互いの仲をさらに深めたいと考えます。しかし、アキトが現れて言ったのは、「三久と結婚するためにこの町に戻ってきた」という言葉で……!?

漢方薬局跡取り娘×薬草園シャイ男子の物語の第4巻。三久と叶がうまくいったとひと息つく間もなく、三角関係に突入です。

 

著者
ねむ ようこ
出版日
2016-09-08

 

三久は、離婚経験があることをまだ叶に話していませんでした。しかし、お互いのことをもっと知りたいと考えた彼女は、過去を打ち明けることにします。

そこでラーメンデートに出かけることになったふたり。なんとそこには偶然にもアキトの姿がありました。三久が結婚していたことがあると明かすと、気にしないという叶と、動揺するアキト。三者三様の面持ちです。

叶が過去に対してドライな反応なので、逆に不安になる三久。両思いになるまですれ違いが多かったふたりですが、思いが通じたら通じたで、心配になることもあるのでした。

一方アキトは、ふたりの邪魔をしたいようです。「さみしい」と三久に電話をかけてきますが、彼女の反応とは……?

人との関わりを避けてきた叶が、三久を好きになってだんだんと変わっていく様子は、実に微笑ましいもの。しかし、ふたりのなかに介入してくるアキトは何か抱えているようで、三久の気持ちが揺らぐかもと、読んでいてハラハラしてしまうでしょう。

中学の初恋か、今好きな人か。波乱の4巻です。

 

『三代目薬屋久兵衛』5巻の見所をネタバレ紹介!

 

三久が心配していた過去も、すんなり受け入れた叶。すこぶる順調です。しかし、夜中にアキトから三久に電話がかかってきたのでした。

電話で泣きつかれた三久は、友達として対応することにします。そして、薬膳で彼の体調面をサポートすると決めたのでした。すると、アキトの彼女未満の女性・けーちゃんから誤解されてしまい……?

マイペースに愛を育んでいる三久と叶の、じれったい漢方恋愛物語。いよいよ最終巻です!

 

著者
ねむようこ
出版日
2017-03-08

 

三久がアキトをサポートしている話を聞き、叶は嫉妬します。一方、三久は、そんな彼の様子を見て喜ぶのでした。そして、アキトと恋人未満のけーちゃんの仲も、なんだか良好なようです。

そんななか三久は、いつ「薬屋久兵衛」の後を継ぐのかと祖父母から急かされるようになります。けれど、薬剤師の免許を持っていない彼女が後を継ぐには、もう少し時間が必要なのです。そんな時、彼女がぽつりとこぼした「叶くんといっしょに久兵衛できたらな」という言葉。

それを聞いた彼は、「結婚する?」とプロポーズするのです。しかし、1度離婚していることもあって、結婚に対して積極的になれない三久なのでした。

そして時は流れ、結婚式。それはワケありだった祖父母のものでした。そこには、三久と叶の姿もあります。彼らのようにずっと一緒にいたいと思うけれど、結婚に踏み切れない彼女。そんな彼女に叶は、「僕と結婚するのは初めてでしょ?」と声をかけるのです。

三久と叶、アキトとけーちゃん、祖父母にらいむちゃん、それぞれの結末に、誰もが納得する最終巻でしょう。三久もアキトも、何かを背負い、悲しいことやつらいことを抱えています。しかし、最初から最後までほんわかした空気が漂う、温かいストーリーに仕上がっているのです。

ぜひ最後まで読んで「薬屋久兵衛」の三代目を、どうか見届けてください。


ちょっぴり不思議で温かい恋のお話。逃げ道を作るために初恋を運命だと信じ込み、自分自身を縛りつけた三久。そんな彼女を見守る人々の優しく強い言葉は、読む人の心をふっと軽くしてくれるでしょう。彼女と同じような境遇ではなくても、この懐の深い町は、きっと私たちを包み込んでくれます。

恋をした時、恋ができないと悩んでいる時、不安なとき……どんな時でも寄り添ってくれる物語です。

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