青年誌「月刊アフタヌーン」を中心に活躍する、日本の漫画家。代表作『ああっ女神さまっ』『逮捕しちゃうぞ』などが大人気です。美麗なタッチの画風で知られており、「サクラ大戦」や「テイルズ オブ」シリーズをはじめとするゲームやアニメのデザインでも有名となっています。 今回は、そんな藤島康介の経歴や、意外な素顔をご紹介しましょう。
藤島康介(ふじしま こうすけ)は千葉県出身の漫画家。1964年7月7日生まれ、血液型はB型です。アニメ、ゲームのデザインも手がけており、それらをまとめたイラスト集も発表されています。
松本零士の影響で子供のころから漫画家を志望していたそうですが、高校を卒業してから1度は漫画情報誌「ぱふ」の編集者となります。この時、南田洋の名義で4コマ漫画『『(ぱ)の洋子ちゃん』を連載していました。
- 著者
- 藤島康介
- 出版日
- 2017-11-22
その後、1986年に「コミックモーニング(現モーニング)」で『MAKING BE FREE!』が掲載されて商業デビューを飾りました。
代表作は『逮捕しちゃうぞ』『ああっ女神さまっ』などです。
『逮捕しちゃうぞ』は交通課美人婦警コンビの活躍を描いた漫画で、警察の日常がコミカルに展開されます。作者こだわりの車、バイク描写には定評がある作品です。
一方『ああっ女神さまっ』は、普通の青年が天界へ直通電話をかけてしまったことから、女神と同居することになる非日常的日常ラブコメとなっています。
藤島の描く女の子の可愛さはよく知られており、国内外を問わず人気が高いです。
先述したように、藤島は漫画家を志すも、雑誌編集に就職します。それがどうして、漫画家に転身することになったのでしょうか。
きっかけは編集の仕事でインタビューした、江川達也でした。彼は『まじかる☆タルるートくん』『東京大学物語』で有名な漫画家です。
- 著者
- 江川達也
- 出版日
- 2017-07-18
当時人手不足だった江川の募集でアシスタントとなり、気付けば業界入りしたそう。
藤島のデビュー作『MAKING BE FREE!』は、江川のデビュー作『BE FREE!』が映画化されるにあたって制作された、宣伝用の漫画でした。
持ち込みも投稿もせずに漫画家になったという、希有な例です。
藤島の仕事で外せないのは、人気ゲーム「サクラ大戦」および「テイルズ オブ」シリーズのキャラデザインでしょう。
- 著者
- 出版日
- 2006-01-26
すっきりして嫌味のない女の子が藤島の特徴ですが、その老若男女を問わず好かれる絵柄によって、幅広いユーザー層から支持を獲得しました。「サクラ大戦」はほぼ全シリーズのキャラクター原案と武器をデザインし、「テイルズ」でも10作以上のキャラクター原案を手がけています。
イラストには流行り廃りがあるものですが、藤島キャラには普遍的なよさがあることが、人気なのでしょう。
藤島はプラモデルや水槽、カメラなどにこだわりのある作家ですが、車やバイクなどのメカが大好き。特にバイクへの愛は、業界でも随一で知られています。
代表作『逮捕しちゃうぞ』や『ああっ女神さまっ』の作中においても、作品の本筋とは関係のないはずのバイクが緻密に描写されていて、その造詣の深さはバイク好きの間でも定評があるのです。
特に後者にはGSX-R750、ハーレーダビッドソン、ドゥカティの有名どころから、YSR50やモトコンポなど、マニア好きのするマシンまで多種多彩。
- 著者
- 藤島 康介
- 出版日
- 2016-11-22
そんな彼が満を持して、バイクをメインに据えた漫画を始めるということで話題となりました。それがロードレース最高峰MotoGPを主人公が目指す『トップウGP』です。
そこでのレースへのこだわりは、尋常ではありません。登場マシンは3Dモデルから描き起こし、サーキットの雰囲気を再現するため現地へ赴いて、景色を自ら撮影取材しているとか。
そうした努力から、迫力のバイクレースが生み出されているのです。
あまり知られていませんが、藤島は離婚歴のあるバツイチの漫画家です。
しかし2016年に、突如としてコスプレイヤーの御伽ねこむとの結婚が報じられました。
御伽ねこむは、旧姓を奥山美都輝(おくやま みつき)といい、芸能事務所ホリプロに所属する有名なコスプレイヤーです。出来婚だったらしく、同年7月26日には子供も生まれました。
彼女は当時20歳で、年の差31歳ということでも話題となりました。
藤島の代表作は『逮捕しちゃうぞ』や『ああっ女神さまっ』ですが、他にも面白い作品が多く存在します。
まずおすすめしたいのが、『ああっ女神さまっ』と入れ替わりで連載が開始された、女子高生のドタバタ日常コメディ『パラダイスレジデンス』です。
- 著者
- 藤島 康介
- 出版日
- 2015-02-23
主人公・小鳥遊初音(たかなし はつね)は食欲旺盛、健康優良児の女子高生。勉強は苦手ですが、持ち前の明るい性格から多くの仲間に好かれています。
女子校である橘花(きっか)学園と、学園付属の学生寮、通称「てっぺんさま」が主な舞台。小学生ながら大人びた寮母さん、ルームメイトの三沢寿々花(みさわ すずか)などの個性的な少女達に囲まれて、初音が巻き起こす他愛もない騒動が描かれていきます。
壮大な設定もなければ、過激な事件も起きません。ただただ美少女の日常(?)が気楽に楽しめます。百合というほどではありませんが、基本的に男キャラが出てこないのもポイントでしょう。
何気ない日常の積み重ね、なんでもない暮らしのワンシーン、という藤島のテイストが存分に出ています。微妙な関係の変化が、妙にリアルです。
本作は一応全3巻となっていますが、正式連載の前に不定期連載されていたころの話と、短編小説を収録した第0巻が存在します。レギュラーキャラの紹介はそちらでおこなわれいてるの、ご覧になる際にはご注意ください。
藤島作品でもう1つおすすめしたいのが、バイク愛でも少し触れた『トップウGP』です。
この漫画ではMotoGPことロードレース世界選手権を目指し、18歳にしてその名誉あるレースで最年少チャンピオンを狙う主人公・宇野突風(うの とっぷう)の半生が描かれます。
- 著者
- 藤島 康介
- 出版日
- 2016-11-22
突風が世界に挑戦する7年前から、物語は始まります。まだ小学生の彼は選手ですらなく、付き添いとして筑波サーキットに入り浸る少年でした。しかし、この時にすでに世界を狙う若きバイク乗りの片鱗はあったのです。
彼は父・鉄平がサポートする女子高生ライダー・真音(まいん)を「お姉ちゃん」と呼んで慕っており、その走りをつぶさに観察して身に付けていました。彼は、その真音の計らいでレースに出場し、バイクにのめり込んでいくこととなります。
前述したように、バイクやレース描写の精密さもさることながら、少年漫画のような熱い展開も魅力的です。真音と同じように走ろうとするも体格差からうまくいかず、その差を工夫で克服したり、同い年のライバル登場で挫折感を味わったりと、見所満載。
真音をはじめとした女性キャラが一様に可愛いのも見逃せません。
まだ駆け出しの少年が、いかにして世界最高峰に挑むのか、先の展開が気になります。
いかがでしたか?藤島康介の作品をご覧になる時は、今回ご紹介したことにもぜひ注目してみてください。