「週刊少年ジャンプ」を中心として活動している、日本の漫画家。代表作の『BLEACH』は長らくジャンプの看板作品として連載され、多くのTVアニメやアニメ映画、実写映画、ゲームなどが作られました。スタイリッシュな画作りや、洋楽に触発されたらしい独自の台詞回しが高い人気を誇っています。 今回は、そんな久保帯人の知られざるを姿をご紹介しましょう。
久保帯人(くぼ たいと)は1977年6月26日生まれ、広島県出身の漫画家です。初期のペンネームは久保宣章(くぼ のりあき)で、これが本名かと思われていましたが、本人によって違うことが明かされています。
2012年ごろに結婚。プライベートについてあまり公表されていないため、奥さんが一般人か業界の関係者かどうかや、子供の有無についてはわかっていません。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
1995年、高校3年生の時に投稿『FIRE IN THE SKY』が月例新人賞ホップ☆ステップ賞最終選考に残り、翌年「週刊少年ジャンプ増刊」に『ULTRA UNHOLY HEARTED MACHINE』が掲載されて商業デビューしました。
漫画家としての仕事の他に小説の挿絵なども手がけており、2007年の集英社文庫の企画で、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』の表紙を担当したこともあります。また同企画が発端となって、文学作品をアニメ化した「青い文学」シリーズのキャラクター原案もおこないました。
- 著者
- 芥川 龍之介
- 出版日
- 1991-03-20
代表作は『BLEACH』。アニメや実写映画、ミュージカルの題材にもなった世界的大ヒット作品です。
『BLEACH』完結後はしばらく漫画から離れていましたが、2018年に2年ぶりとなる新作読み切りが「週刊少年ジャンプ」に掲載されたことで話題となりました。
その新作『BURN THE WITCH』は、イギリスのロンドンの裏側「リバース・ロンドン」にて、ドラゴンを巡る魔女達の物語。ラスト数ページで驚きの展開を見せるこの短編は、2018年末に発売予定のイラスト画集『JET』に収録される予定です。
僕は ついてゆけるだろうか
君のいない世界のスピードに
(『BLEACH』49巻より引用)
剣を握らなければ おまえを守れない
剣を握ったままでは おまえを抱きしめられない
(『BLEACH』5巻より引用)
BLEACH 49 (ジャンプコミックス)
2011年04月21日
『BLEACH』各巻の巻頭には、その時の表紙に描かれる人物の心境に関連したポエムが掲載されています。引用した文章の前者は主人公・黒崎一護の喪失感を表しており、後者は茶渡泰虎の矛盾した葛藤が表現されているのです。
他にも『BLEACH』では扉絵などのイラストにおいて、主要キャラが季節感のあるファッションで描かれることでも有名。ファッション広告を思わせるおしゃれなものが多く、久保のセンスの高さが窺えます。
また本作は、「チャドの霊圧が消えた」「月島さんのお陰」など、ネット上を騒がせた名言が多いのも特徴。ポエム、ビジュアル、セリフ……いちいちおしゃれな久保作品を、ぜひご堪能ください。
久保帯人の代表作『BLEACH』が2018年に福士蒼汰主演で封切られたことは、まだ記憶に新しいでしょう。
公開に先駆けて視聴した久保は、その出来映えを絶賛しました。TVアニメと違って時間制約があるなか、原作のエピソードをうまく繋ぎ合わせ、実写ならではのスピード感溢れるアクションが見られたとべた褒めしたのです。
……が、この実写映画も、最初から順風満帆だったわけではありません。実写に関しては、以前から何度かオファーがあったと久保は語っています。
しかし、その度に久保が満足できない点をあげ、実現してこなかったそう。そう思うと、彼のこだわりがあったからこその、実写映画の完成度というわけなのです。
主演の福士蒼汰のその他の出演作が知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
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『BLEACH』連載終了後の2017年11月、久保は「サンドウィッチマンの週刊ラジオジャンプ」という番組にゲスト出演しました。
そこで連載時の苦労などの曝露話をしたのですが……なんと、その場で、尾田栄一郎が嫌いと発言したのです。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 1997-12-24
尾田は『ONE PIECE』を連載する、ジャンプの看板漫画家。そのため、同じジャンプ作家同士で確執があったのかと衝撃が走りました。
ただ、これにはオチがあって、デビュー作のアンケート順位が尾田よりも低かったことから、同年代かつ同時期デビューとしてライバル視していたがための「嫌い」のようでした。プロ意識の高さが生んだ、「悔しい」という気持ちからの「嫌い」だったのですね。
『BLEACH』完結後の2016年、久保帯人は突如としてTwitter公式アカウントを開設し、あるツイートをおこないました。それは、ある人を探したいという内容だったのです。
連載が10年目にさしかかるころ、彼は体調を崩したことがあったのだそう。そういったなかで漫画を続けるか悩んでいた彼のもとへ、1通のファンレターが届きました。
それは闘病中のファンの様子を綴ったハガキで、『BLEACH』に力をもらったと書かれていたのです。そして、この手紙が作者に届くころ、自分はすでにこの世にいないはずだ、とも書かれていました。
その余命1年半を宣告されたファンの言葉に背中を押される形で、久保は連載を続行。事実なら本人はすでに他界しているはずですが、せめて差出人にお礼がしたいという気持ちがあったそうで、その人物を探すことに決めたのです。
その後、約1年経った2017年11月、無事に差出人を発見したという報告がありました。その人物は、手紙を書いた人物と同じ病院に入院していた人物だったとのこと。
この手紙がなければ、『BLEACH』もここまで続いていなかったかもしれないことを思うと、思わず胸が詰まるエピソードです。
使用者を不老不死にし、死者に使えば蘇らせることも出来るという伝説の粉末「ゾンビパウダー」。それは、12個ある「死者の指輪」を集めると完成するといわれています。
主人公・芥火(あくたび)ガンマは、そんな死者の指輪を求める賞金首の青年です。特徴的な右腕の鎧から「黒腕の死神」とも呼ばれる彼が、仲間達と失った者のために、死者の指輪を巡る戦いに挑んできます。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2000-02-02
本作は、1999年から2000年にかけてジャンプで連載された、久保の初連載作品です。和の要素が強い『BLEACH』とは対称的に、西部劇にも似た独特な世界観の話となっています。
初の連載にしてすでに豪快で心地よいアクション、迫力のある画作り、『BLEACH』に繋がる個性的な絵柄と、作者独自の要素が満載です。
主人公のガンマは、優しい一護と違ってかなりチンピラ風の小狡い青年ですが、扱う武器が大剣というところが共通しています。チェーンソー状の剣を用いた火輪斬術は、斬魄刀のアクションと似ているようで違って面白いです。
もちろん、お洒落なデザインセンスに独特の台詞回しも健在で、『BLEACH』の原典であることを伺わせます。謎めいた設定や伏線が多くあり、そのことから現在でも続編を望む声が多いようです。
人より霊感が強いことを除けば普通の高校生だった黒崎一護は、現世へ悪霊退治に来ていた死神・朽木ルキアと、ひょんなことから出会います。ある事情から、ルキアによって悪霊「虚(ホロウ)」と戦う力を分け与えられた彼は、死神代行となってしまうのです。
それ以後、彼は運命的に現世の悪霊事件や死神の世界「尸魂界(ソウル・ソサエティ)」と関わり、数々の世界の危機と戦っていくことになるのでした。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2016-11-04
久保の代表作として絶対に外せないのが、この大ヒット作品である『BLEACH』です。2001年から2016年まで「週刊少年ジャンプ」にて連載されて、原作漫画は全74巻出ています。
15年間もの超長期連載を支えた人気の1つに、まずダイナミックなストーリー展開が挙げられるでしょう。
現世での悪霊退治から始まったこの物語は、しだいに死神という超常存在を巡る陰謀を描いていき、死神と敵対する強敵との死闘へと発展していきます。憎むべき仇敵が味方に回ったり、逆に信頼出来る味方と敵対したりと、予想不能の面白さがあるのです。
そして時に「オサレ」ともいわれる抜群のデザインセンス、中2病心をくすぐる各種台詞、詩的なモノローグ、そして格好いい設定が、読者の心を掴んで離しません。作り込まれたストーリー、デザイン性、センス。さまざまな観点からおすすめの作品となっています。
いかがでしたか?代表作『BLEACH』の格好とさの源泉が、おわかりいただけたのではないでしょうか。いずれ始まる久保帯人の次回作にも期待したいです。