「ヤングアニマル」で連載されている、佃煮のりおの作品。主に姉が弟ラブの双子姉弟を中心に、軽いイチャイチャから、危険球すれすれのエロネタまでが描かれる、癒やし系ラブコメディとなっています。 本作はスマホの漫画アプリでも無料掲載されているので、気になった方は、そちらもどうぞ。
双葉家の双子の姉・寧子(ねいこ)は容姿端麗で頭脳明晰、生徒会長も務める、学園随一の人気を誇るアイドル的女子高生です。
それに対して弟である乙宏(おとひろ)は、金髪のせいで教師から不良のように思われており、優秀な姉とは何かと比較される男子高校生でした。
- 著者
- 佃煮のりお
- 出版日
- 2017-08-29
社交的な寧子と、ぶっきらぼうな乙宏。人気者の姉と、悪目立ちする弟の印象は、まさに明と暗、水と油のように対称的と思われていますが……実のところ、大の仲良しなのです。正確には、寧子が弟ラブなのでした。
彼女は1度家に帰れば弟の自室に入り浸り、アツアツの恋人同士でもしないほど、ベッタベタにくっついて甘えます。それをされる乙宏の方もまんざらではないようで、2人は人の目のないところでだけ、ひっそりとラブラブするのでした。
『双葉さん家の姉弟』を端的に表すなら、ブラコン姉とシスコン弟による、ギリギリセーフ(?)でちょっとエロいラブコメです。
まず注目していただきたいのは、寧子の可愛さです。眉目秀麗、さらに成績優秀、気配りも完璧で、誰からも慕われる完璧超人。
ところが前述したように、弟と2人だけになれば甘ったれモードに突入します。血の繋がりもなんのその、ゼロ距離スキンシップで年頃(双子なので同い年ですが)を悶々とさせてしまうのです。
視線は熱く潤んで、語尾には常時ハートマークが飛び交い、気配りは放り投げて、ひたすら弟に甘え倒します。それでいてお姉さんぶるのですから、たまりません。
乙宏の方は基本ツンツンですが、本心では姉好き(調教済み?)。毎回毎回、彼女からの強烈なアタックで、最後には陥落してしまうのです。
本作では双葉姉弟以外にも、関係(存在?)のあやしい兄妹が何組か登場します。作者の佃煮のりおは、アニメ化もされた男の娘ラブコメ『ひめゴト』も描いていますが、本作にも男の娘キャラが登場。『ひめゴト』が好きだった方にもおすすめです。
なお佃煮のりおは、最近なにかと話題のバーチャルYouTuberの中の人でもあります。男の娘Vtuber「犬山たまき」の名前で活動しているので、『双葉さん家の姉弟』のこぼれ話を聞くためにフォローしてみるのも、面白いかもしれません。
憧れの生徒会長、頼れるお姉さん的存在として、寧子は時に学園の生徒から「ねーちゃん生徒会長」と呼ばれます。彼女が歩けばそこに人の輪が出来て、常に話題の中心となってしまうのです。
その状況をただ1人、苦々しく思うのが乙宏です。優しくて、しっかり者で、人気の生徒会長の本性を、彼だけが知っているわけですから。
たとえば弟が入浴中、突然浴室に押しかけてきたり……。
- 著者
- 佃煮のりお
- 出版日
- 2017-08-29
本作とちょいエロシーンは切っても切り離せない要素ですが、本巻からかなり飛ばしています。
そのなかでも、姉弟水入らずな入浴シーンがまず挙げられるでしょう。際どい部分こそ描写されませんが、当然のように2人とも生まれたままの姿。これが年端もいかない子供なら微笑ましいで済むのですが、高校生ともなると、ちょっと問題なような……?
乙宏は、そうやって姉に振り回されつつも、学校では「自分だけのお姉ちゃんではない」彼女を見るのが複雑なようです。彼もなかなかのシスコンですね。
本作は、高校生の双子姉弟がイチャイチャするところに魅力がありますが、そんな彼らの幼いころはどうだったのか?という部分が段々と気になってきます。その疑問に正面から答えるエピソードが、本巻では出てきます。
ある日突然、学校から帰宅した乙宏が小さく縮んでいるという事件が起こるのです。
- 著者
- 佃煮のりお
- 出版日
- 2018-01-29
それも、ただ小さくなっただけではなく、体に対して大きなランドセル、元気いっぱいの短パン……それはどう見ても、小学生男子の出で立ちでした。言動も普段はツンケンしているのが、生意気さはあるものの年相応(見た目からすると)の反応を見せてきます。
もちろん、寧子は狂喜乱舞。いつもの彼も大好きですが、その愛する弟が小さくコンパクトになって、小動物的可愛らしさまで備えたとあっては、喜ばないはずがありません。
なぜか、小学4年生となった乙宏への疑問はさておいて、彼女は日常で出来ないお姉さんムーブを、これでもかとくり出していきます。
いわゆる「おねショタ」的な話です。天然・寧子と素直な少年・乙宏の破壊力には、悶絶必至。
本作は基本的に1話完結ですが、掲載エピソードが時系列順のようで、時々前後で繋がりのある話も描かれます。本巻の冒頭は、前巻のラストで寧子が風邪を引いた話の続きとして始まります。
熱に浮かされた彼女に翻弄されぱなしだった乙宏ですが、今度は彼の方が風邪を引いてしまいました。そんな彼を、ブラコン姉の寧子がただで放っておくはずもなく……。
- 著者
- 佃煮のりお
- 出版日
- 2018-06-29
本巻では、季節が夏に突入します。そのおかげもあって、寧子はさまざまな衣装にコスチュームチェンジするところが見所です。水着に浴衣、肌も露わなバスタオル、そして無闇に胸元の開いたナース。
ナースに関しては季節感皆無ですが、寝込んだ乙宏を介護するという優しさか、あるいは悪ノリが暴走した結果登場。普段以上に甘甘なお世話に対して、病気の乙宏は終始圧倒されっぱなしとなります。
そういう場面だからこそ垣間見える本音は、まさに必見です。
最新巻となる本巻も、見所が目白押しとなっています。
双葉姉弟とは別に、何組か出てくる姉弟の弟の方、小林大吉は寧子に憧れているので、何かと乙宏に絡んできます。オタク気質な彼はある時、とあるゲームを乙宏に薦めてきました。
それは「姉プラス」というゲームで、ヒロインが寧子そっくりだったのです。
- 著者
- 佃煮のりお
- 出版日
- 2018-11-29
シスコンの気がある乙宏ですが、読者にはバレバレなものの、寧子に対しては基本的にはつっけんどんに接します。その彼が寧子そっくりのヒロインが登場するゲームに、見事にどハマリするところが面白いです。寝食も忘れて、寧子に声をかけられても気付かない重症っぷり。
しかし、この話はそこで終わりません。寧子は、彼が自分に似たヒロインのゲームに夢中と見るや、すかさずヒロインのコスプレで迫っていくのです。ゲームのやり過ぎで思考回路の飛んだ乙宏は、術中に陥って甘え倒すのが、笑えるやら癒やされるやら。
また別の話では、打って変わって格好よく決めるのも、ギャップがあって魅力的なポイントでしょう。
いかがでしたか?『双葉さん家の姉弟』はとにかく明るくて楽しい、読んでいるだけで癒やされるラブコメとなっています。ぜひ、ニヤニヤしながら読んでみてください。