他人の不幸は蜜の味、とはよく言いますが、引きずられてこっちまで暗くなっちゃうこともありますよね。単なる不幸は、マイナスのものでしかないんじゃないかと思います。 大事なのは、その不幸が笑えるかどうか。もっというと不幸から距離を置いて、笑えるものにしているかどうか。それが不幸が蜜の味になるポイントに思いますし、私は今までそんな作品にたくさん助けてもらってきました。 この連載では、ちょっと元気になれる、笑える不幸がある作品を紹介していきます。連載名は、ちょっとおしゃれに英語にしています。英語=おしゃれというのがおしゃれじゃないのは置いといて。 第3回目は、お笑い芸人のあの人の本です。(敬称略)
2018年も終わりですね。まだ先と思っていたオリンピックも、2019年になってしまうと、「来年の予定」になります。この前までクリステルお姉さんが、「お・も・て・な・し」をやっていたような気がするのに、いつのまにこんなに時間が経ったんだろう。
そんな、気づくと過ぎてる、恐ろしいもの、時間。
2018年は、個人的には生まれてから四半世紀の時間が経った年でした。人生を特に大きなトラブルもなく、ドラマチックな幸運もなく、だらだらと生きてきました。
でもやはり年を越すとなると、何かしらの「向上」を目指して、来年1年の目標を考えよう、なんて気持ちも出てきます。
夢も旅も今晩の食事も、何にしても、叶う前の想像している時がいちばん楽しい時間です。自分がどんな人間でありたいかということを考えるのも、とても楽しい。
例えば、そうだなぁ、自分の決断に迷いがなくなって、目標達成が早くなる、酒も食事も自制できて、健康になれる、自分自身を理解して自信を持てるようになって、素敵な出会いがある……。
あぁ、素敵。考えているだけだけど、それを達成したような気持ちになってワンランク上の自分になれた感じがします。
さて、そんな来年の目標を考えていたものの、目標とは、理想までに踏むべき段階、ただのステップ。抽象的すぎると、目標に行き着くまでの段差を踏むことすら、できません。
さっきの目標であれば、自分の決めたことに迷いがなくなるようにするために、どれくらいの時間をかけて、どういう不安を事前につぶしておけば迷いはなくなるのか。
酒も食事も制限するというのは、朝昼夜もしくは間食のどこを絞り、どんな食事内容にして、どれくらいカロリーを絞れば理想となるのか。
自分について把握して自信を持つようにするためには、まず自分のどんなところを知らないのか、それを知った上で、どこが自分から見て足りないと思ってるから自信がないのか。
そんなことを突き詰めなくてはなりません。
もう、これを書いている時点で面倒くさい。実際に行動に落とすことを考えると、面倒くさいを通り越して、脳が強制シャットダウンしようとしています。おやすみなさい……。
そんな私のように、生来からの向上心のなさと、それを周囲が放っておいてくれる才能のなさを持っている凡人の方におすすめなのが、この1冊。
- 著者
- 山里亮太
- 出版日
- 2018-07-06
これを読むと、いくら才能がなくても、努力し続けることの尊さ、必要性を思い知らされます。ここまで有名になっている、南海キャンディーズの山里も、自分の才能のなさという不幸を認め、それまでの悔しさをバネにして笑いをとっているのだから……。
・
・
・
・
・
なんて正論いらねーーーーーーー!!!!!!!!
何事にもエネルギーを使いたくなく、秀でたものがないやつは、そんな正論言われても、除夜の鐘にソフトタッチ、当たらずとも遠からずの、おみくじ。ぜんっぜん、響きません。この本から、そういうことを言いたいんじゃありません。
この本はやべぇ、とにかくやる気出さなきゃ!、と自堕落な奴のケツに火をつけるパワーがあります。才能があるにも関わらず、自分のことを卑下するというポーズで周囲を油断さえ、圧倒的な努力を続け、年を経てもそのパワフルさを維持し続けて、今のポジションについた男の生き様。
それは不思議な暑苦しさ、パワーがあり、何だか疲れてやる気が出ない時に、またちょっと頑張る力をくれます。もとがダメなので行動の変化にまでは繋がらないものの、そんな奴にもやべえ、何かしなきゃ、なエネルギーをくれるのです。
私は時たま人生のすべてが嫌になって、どうしても疲れてやる気が出なくて、何もしたくなくなる時があります。つい最近もそのピークがきた時があって、やだよ〜〜、何もやりたくないよ〜〜〜、と彼氏に駄々をこねたことがあります。「大変だね、気持ち分かるよ。ちょっと休みを挟んだら?」なんで言葉を期待して。
しかし、そんな私に彼氏から送られたのは、こんな言葉でした。
最近大好きな、スキウサギです。©︎キューライス。
そうなんです。才能もやる気も向上心もない凡人は、怠慢をどれだけ甘やかされたって、動力にはできないのです。むしろ、ズルズルと何もしないだけ。
くだんの件では、やべぇ、ただ面倒くさがってるの、バレてる……と焦り、台所のキッチンペーパーの上にこいつを乗せて、自分を戒めるようにしましたとさ。
自分のやりたいことが決まってる人は目標を立てるべきだけど、特に目標も生きがいもなく、さらに秀でた部分もない人は無駄なことを考えがちなので、やっぱり地道に今目の前にあることをやるのがいいのかもしれません。うわ、自分で書いてて辛くなってくるな……。
まぁ、そんな自分の凡人具合も受け入れて、疲れたら、その時々、よいしょっ!と起き上がらなきゃいけませんね。
『天才は、諦めた』は、何もやりたくないよ〜〜なんて、軟弱なことを言いがちな人の甘えた姿勢を正してくれるような1冊。単なる焦りではなく、自分も何か動かなければ、という機動力をくれます。
2019年の目標ですが、立てようとした時点で疲れたので、まぁ決めなくていっか、という感じです。年越しといっても、あくまで「暦の上では」のことで、私自身は新しくなれないし。時々気が向いたら、やる気をくれる本を読んで頑張ります。
みなさんも、適当にやるべきことを見つけて頑張ってください。そして何かよりよい生き方が見つかったら、私にも教えてください。