自身の子育てをきっかけに絵本作家となったまついのりこ。赤ちゃんに向けたものから数字を扱ったものまで、さまざまな年代の子ども向けに数多くの作品を残してきました。この記事では、そんなまついが手掛けた作品のなかから特におすすめのものを5作厳選してご紹介します。
1934年生まれ、和歌山県出身のまついのりこ。大学を卒業後、東京の小学校で図工の教師となりました。
自身の子育てのなかで、子どものために手作りの絵本を作成したことをきっかけに、絵本に強い関心を抱くようになります。28歳で武蔵野美術大学に入学して絵を学び、以降は絵本作家となって赤ちゃん向けのものや物語を重視したものなど、さまざまな作品を発表しました。
また紙芝居の普及に努めたことでも有名で、観客が参加するスタイルを確立した人物として知られています。「紙芝居文化の会」の代表を務めるほか、ベトナムでの普及にも尽力し、「ベトナム文化功労賞」を受賞しました。
夫の松井幹夫は数学教育者で、共著として数字や算数にまつわる絵本も数多く発表しています。
- 著者
- まつい のりこ
- 出版日
自動車は「ぶーぶーぶー」、犬は「わんわんわん」、水道は「じゃあじゃあじゃあ」……小さな子どもは、物を音で認識しています。本書をパパやママが読むと、ぴたっと泣き止む子どもも多いんだとか。さまざまな音にあふれる世界をく完結に描き、興味を惹きつけます。
見開き1ページに絵と擬音が大きく描かれていて、わかりやすい構成。赤ちゃんがかじっても大丈夫な厚紙で作られているのも嬉しいポイントです。
初版が発売されたのは、1983年。小さい頃に実際に読み聞かせてもらった親御さんも多いかもしれません。子どもが世界を広げていくきっかけになる「音」を一緒に楽しみながら読みたい一冊です。
- 著者
- まつい のりこ
- 出版日
- 2001-08-01
『じゃあじゃあびりびり』で音を通じた世界に親しんだ子どもに、次に読んでもらいたいのが本作です。ゾウさん、ネコさん、アリさん……さまざまなお友達といろんな場所に行き、いろんなことを体験できる内容になっています。
その行動は「起きる」「ごはんを食べる」「散歩をする」「かくれんぼをする」と、小さな子どもにも馴染みのあるもの。最後は「ねんねする」になっているので、寝る前に読むのもおすすめです。
シンプルですが、「みんなでね」から始まるリズム感のある文章で優しい気持ちになれる一冊です。
- 著者
- 松井 紀子
- 出版日
ぴーちゃんは、おばけの子です。ある日、不思議な金色の種を見つけ、地面に埋めて大切に育てていると、芽が出て七色の実ができました。
その実は空に飛んでいき、大きくてきれいな虹になります。ぴーちゃんは虹を渡るのですが、虹は途中で消えてしまい……。
虹というのは子どもにとって不思議なもの。触ってみたい、乗ってみたい、をぴーちゃんが叶えてくれます。空に興味をもつきっかけにもなるでしょう。
ぴーちゃんはおばけなのに空を飛ぶことができません。虹が消えてしまった時、どうなるのでしょうか……?
- 著者
- まつい のりこ
- 出版日
- 2001-08-01
まついのりこの絵本には「字のない絵本」というシリーズがあります。この『おはよう』も、そのなかの一冊。字による説明がない分、パパとママと一緒に想像しながら読む楽しさがあります。
本書で描かれている絵は、日常生活の一場面というシンプルなもの。朝起きて、ごはんを食べて、遊んで、眠るというお子さんの生活と照らし合わせ、「こんな時なんて言うのかな?」「どんなことを話しているんだろう?」と問いかけながら読むのがおすすめです。
- 著者
- まつい のりこ
- 出版日
- 1993-03-15
物語のように読むだけで、時計の見方が理解できるようになる絵本です。まついのりこの代表作ともいえる一冊。
どんぐりぼうやが「いまなんじ?」と問いかけると、長針と短針が協力して時間を教えてくれます。出てくるのは「7時」などの正分か「7時半」など30分の時間だけなので、初めて時計を学ぶ子どもにぴったりです。
イラストがかわいらしく、勉強をしているという空気にならないのもポイント。もう少し細かく時間を刻んだ続編も出ていて、そちらもおすすめです。