原作『いつか、眠りにつく日』ネタバレ解説!未練を描くドラマ化小説が泣ける

更新:2021.11.17

当初はケータイ小説としての発信でしたが瞬く間に恋する女子からの支持を受け、書籍化までされた本作。ケータイ小説と侮るなかれ!最後の結末は、感涙必至です。2019年には、FODでドラマ配信も決定した話題作です。 この記事では、そんな本作のあらすじや魅力はもちろん、作者・いぬじゅんについても紐解いていきます。ネタバレも含む内容となっておりますので、読む際にはご注意ください。

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小説『いつか、眠りにつく日』をネタバレ紹介!2019年ドラマ化の、未練を描いた泣ける原作【あらすじ】

高2の森野蛍は修学旅行でバス事故に遭い、突然命を落とすことになります。そんな彼女の前に現れたのは、案内人を名乗るクロ。彼は、未練を解消しないと蛍は地縛霊となってしまい、成仏出来ないと言います。

残した未練の相手を彼から教えてもらった蛍は、クロとともに相手に会いに行き、未練を解消していくのでした。

 

  • 未練1.祖母との会話
     
  • 未練2.友人・山本栞と仲直り
     
  • 未練3.  片思いの相手・大高蓮に想いを打ち明けること
     

 

この3つが未練だと考えた蛍は、それぞれの相手と向き合っていくのです。そして、これらの未練を解消した時、予想だにしなかった出来事が……。

意外な事実に、涙必至の心温まるストーリーです。

著者
いぬじゅん
出版日
2016-04-28

2019年、フジテレビのインターネットテレビ・FODにてドラマ化も決定した、注目の作品となっています。キャストは以下のとおりです。

 

  • 森野蛍【大友花恋】…映画『君の膵臓をたべたい』、ドラマ『チア☆ダン』などに出演。
     
  • クロ【小関裕太】…連続テレビ小説『半分、青い』、映画『春待つ僕ら』などに出演。
     
  • 大高蓮【甲斐翔真】…ドラマ『花にけだもの』などに出演、2019年3月に公開予定の映画『君は月夜に光り輝く』などに出演予定。
     
  • 山本栞【喜多乃愛】…ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』などに出演。
     

 

作者・いぬじゅんとは?

 

作者は、福祉サービス事業所で管理者として働くという、異色の経歴の持ち主。

いぬじゅん作品には、そのような経歴を生かした温かい人間関係や、後悔のないように今を一生懸命生きていこうとすることの大切さなどが多く描かれています。

 

著者
いぬじゅん
出版日
2017-09-28

 

本作『いつか、眠りにつく日』は2014年に日本ケータイ小説大賞、そして進研ゼミ中学講座賞の2つの賞を受賞しました。その後、加筆・修正をしたものがスターツ出版にて書籍化されることとなったのです。 2019年1月現在で、累計発行部数は13.6万部を突破しています。

他にも『三月の雪は、きみの嘘』、『新卒ですが、介護の相談うけたまわります』 、『今夜、きみの声が聴こえる』 、『奈良まちはじまり朝ごはん』 、『明日、きみのいない朝が来る』と数々の作品を出版。最新作は、2019年2月5日に発売した『この冬、いなくなる君へ』です。

切なくも心温まるストーリーが多いいぬじゅん作品を、ぜひ1度読んでみてはいかがでしょうか。

 

小説『いつか、眠りにつく日』見所ネタバレ1:突然訪れる別れ。未練を抱える登場人物たち

 

では、ここからは登場人物や伏線など、内容を掘り下げていってみましょう。

人の生死は、いつ訪れるかわからないもの。蛍は未練を残したまま亡くなってしまいますが、未練があるのは彼女だけでなく、他の登場人物達も同様なのです。

  • 森野蛍……主人公。修学旅行のバス事故で命を落とした、高校2年生。自分のことよりも、他人のことを優先してしまう性格です。未練を解消しなければ成仏出来ないと、案内人のクロから告げられます。
     
  • 大高蓮……蛍が片思いしている相手。陸上が大好きな男の子です。
     
  • 山本栞……蛍の友達。蛍が蓮に片思いをしていることに気付いていますが、彼女が相談してくれないことに多少不満を抱いています。そんな気持ちから、彼女に「友達じゃない」と言ってしまい、そのことを後悔しています。
     
  • 竹本トシ……蛍の祖母が入院していた病院にいた、おばあさんの地縛霊。蛍から精気を吸い取ろうと近づきますが、クロに倒されてしまいます。
     
  • 大場孝夫……子供が生まれてすぐに死んでしまったため、未練は「子供の成長を見守りたい」。しかし未練解消が49日中には不可能なため、クロが時々様子を見にくることで現世に留まっています。
  • 松村涼太……5歳くらいの幼稚園児。自分が死んだことを理解出来ずにいます。蛍達の助けもあって、無事に未練を解消することが出来、成仏する人物。
  • 仲山麻紀子……涼太の幼稚園の先生。自分が声をかけたがために涼太を死なせてしまったと後悔し、幼稚園を休んでいました。しかし、彼の母親のおかげもあり、しだいに元気を取り戻します。
     
  • 恭子……20年くらい前に自殺した地縛霊。クロが定期的に邪気を吸い取りにくることで、悪霊にならずに済んでいます。
     

人はそれぞれ、後悔や未練を少なからず抱いているもの。

登場人物それぞれの具体的な未練や後悔は、ご自身の目でお確かめください。この作品の感動を、より感じることが出来るはずです。

 

小説『いつか、眠りにつく日』見所ネタバレ2:未練解消4つのルール!なぜ蛍だけ3人?

 

この世にとどまる霊体、つまり地縛霊にならないためには、亡くなってから49日以内に未練の解消をおこなわなければなりません。

そこで案内人は、以下のルールを蛍に伝えるのです。

 

  1. 案内人は、被案内人が未練を持つ相手の名前のみ教えることが可能
     
  2. 未練は、被案内人自らの力で解消しなければならない
     
  3. 被案内人は未練を解消する時のみ、相手の前に姿を現すことが出来る。また、すべての未練が解消された時、相手の記憶から被案内人の記憶は消えてなくなる
     
  4. 未練解消の期間は49日。その期間に解消出来なければ、被案内人は地縛霊となる
     

 

蛍はバス事故にあってから1ヶ月眠っていたため、未練を解消するために残された時間は19日だけだとクロに告げられます。

そして案内人が言う未練とは、死ぬ直前に考えたことだと説明します。すると、蛍は死ぬ直前に3人のことを同時に考えたということになるのです。未練を解消していない他の人々を見てみると、たいてい未練は1人、もしくは1つだけなのに彼女には3人もいるのでした。
 

実はこの1ヶ月眠っていたこと未練を残した人物が3人いることが、最後の結末へと続く伏線となっているのです。本作はミステリーというわけではありませんが、こういった隠された伏線が散りばめられているのも、いぬじゅん作品の魅力の1つとなっています。

 

小説『いつか、眠りにつく日』見所ネタバレ3:誰かのために蛍が奔走!お節介なところも魅力!

 

蛍は限られた時間のなかで、なんとか未練を解消しようとします。彼女の場合は、本来あるはずの49日の期間が、19日しかありません。

しかし、もともと自分のことは後回しにして、人のことにばかり一生懸命になってしまう性格の蛍。つい、他の人のために動いてしまうのです。

彼女が出会った5歳くらいの涼太は、自分が死んだことを理解出来ずにいます。そのため、新人の案内人・カクガリは、彼の未練を解消するのに一苦労。そんななか出会ったのが、蛍なのでした。

事情を知った彼女は、なんとか涼太の未練を解消しようと、彼らと一緒に幼稚園へと向かうのでした。そこで、自分の姿が他の子供達に見えないこと、さらに涼太の母親が仲山先生を訪ねた際の会話で、涼太は自分が死んだことを理解したのです。

そこでやっと、彼が死ぬ直前何を考えていたのかがわかり、涼太は無事未練を解消することが出来たのでした。

残された時間が迫ってきていたにもかかわらず、蓮のことについては前に進めずにいた蛍。しかし涼太が未練を解消するのを見て、自分も前に進む勇気をもらったのでした。

そして彼女は3つ目の未練解消として、蓮と話すことを決めて……。気持ちを打ち明けるこの場面は、ぜひ活字で味わってみてください。実際のセリフと蛍の心の声の部分がなんとも言えない掛け合いになっていて、より感動を引き立たせる表現となっています。

 

小説『いつか、眠りにつく日』見所ネタバレ4:予想外の結末が泣ける!タイトルの意味とは?

 

無事に3つの未練を解消することができた蛍。いよいよ成仏する時がやってきました。多少の寂しさと充実感を覚える彼女ですが、その時、クロから意外な事実を突きつけられるのです。それは、彼女が完全には死んでいないということでした。

クロは彼女にこの事実を話し、生死の選択を迫ります。そして、その選択は変更がきかないと念を押すのです。

そんな彼に、未練解消に奔走するなかで気づいたことがあると、蛍は伝えます。

「私ね、未練解消していくなかで、
自分にこんなにも未練がたくさんあることに気づいたの。
それは、今まで毎日をただなんとなく生きていたからだと思う」
(『いつか、眠りにつく日』より引用)

どのように生きていくべきか、という答えを見出した蛍。 生死の選択を迫られた彼女が出した答えとは……。そして、その先に待つ、予想もしなかった真実とは……。

 

著者
いぬじゅん
出版日
2016-04-28

 

蛍のその言葉を聞いた時、『いつか、眠りにつく日』という本作のタイトルに込められた思いに気付かされた方も多いのではないでしょうか。眠りとは、すなわち死を意味しています。いつか死が訪れるまで、どのように生きていくべきか。そのことを、作者・いぬじゅんは伝えようとしたのかもしれません。

最後の蛍の決断は、そのことに気づけたからこそ出せた答えでしょう。彼女の成長、強さに注目してみてください。そして、予想だにしなかった結末は、まさに必見です。彼女の願いが複数あったことが、最後の伏線となっています。

涙なくしては読めない結末は、ぜひご自身でご一読ください。

 

どんでん返しがある感動の恋愛小説をお求めの方には、ぜひこの作品をおすすめします。また、後悔が少ない人生を送るためのヒントとしてもおすすめの一冊です。

女子高生世代はもちろん、恋する女性、懐かしい恋愛感情をもう1度味わってみたい人、すべての女性に刺さる内容なのではないでしょうか。サクッと読めるので、ぜひ1度手に取ってみてください。

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