小説『夫のちんぽが入らない』7つの魅力をネタバレ!ドラマ化もされた話題作

更新:2021.3.6

「夫のちんぽが入らない」は、夫婦間の性の不一致と、そこから派生していく様々な問題や心情を綴られた私小説です。私小説とは言いつつも、ほとんどが実体験である本作は、SNSなどを通じ、発売後1日で重版がかかったほどの話題作。 Yahoo!検索大賞小説部門を第3回(2017年)・第4回(2018年)の2年連続受賞。さらに、2019年に実写化もされました。 本記事では、この作品の魅力を作者本人の実像や漫画展開も交えて、隅々まで紹介していきます。オーディオブックというアプリで無料で聞くこともできます!

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目次

小説『夫のちんぽが入らない』あらすじをネタバレ紹介!2019年実写化【おとちん】

 

「おとちん」の通称でも知られる本作は、主婦である主人公・こだまが、夫との性生活の悩みを中心に、自身のさまざまな思いと生活をつづった私小説です。

物語の主人公は、北海道から地方都市へ出てきた内気な女性・こだま。彼女は、同じ双葉荘に住む男性と交際を始めます。やがて教員となった彼女は、そのまま結婚。しかし、彼女らには、ある問題がありました。そんな2人の悩みは、インパクトのある書き出しで明かされます。

いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。
交際期間も含めて二十年、この「ちんぽが入らない」問題は、
私たちをじわじわと苦しめてきた。
周囲の人間に話したことはない。
こんなこと軽々しく言えやしない。
(『夫のちんぽが入らない』より引用)

普通でいられない主人公と、それを許さない世の中。その中でこだまは、いったい何を思うのでしょうか。

2014年の同人誌イベントにて短編として発表された本作は話題を呼び、長編小説として2017年に扶桑社から刊行。わずか一か月後に、発行部数13万部を超えるベストセラーになりました。

本作は講談社文庫にて文庫化。こちらでは、文庫版のみ収録されている「ちんぽを出してから」を読むこともできます。

 

著者
こだま
出版日
2017-01-18

 

2018年には「ヤングマガジン」にて同作の漫画化作品が連載スタート。さらに2019年には実写ドラマとして映像化もされた、まさに話題の作品です。

特に注目なのが、このタイトル。漫画版を掲載している「ヤングマガジン」では、単行本を購入したい人が店頭でタイトルを口に出さなくても注文できるよう、公式サイトに申込書を載せるほど。

しかし、このタイトル、決してウケ狙いや話題作りなどではありません。作品の核心そのものを表しているものなのです。そんな本作の内容がどういったものなのか、次のセクションから魅力を中心にご紹介してきましょう。

こちらの作品は、読まずに聞けるオーディオブックで楽しむことができます。今なら30日間無料!

「ながら聞き」ができるので、「最近、本を読む時間が取れない」方や「もっと手軽に楽しみたい」方におすすめです。

 

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『夫のちんぽが入らない』の魅力1:作者の実話という衝撃!こだまのプロフィールを紹介

 

作者の出身地は「最果ての集落」。百姓とヤンキーが人口を占めるような土地だそうです。そんな彼女の人生は、作品である「おとちん」そのもの。ほとんどが実体験によって書かれているといいます。

実は彼女には、40歳になるまでに何か形に残したいという漠然とした夢があったそうです。そこで、ツイッターにて一緒に同人誌を作る人を募集したところ、以前からネット上で交流のあった方々が賛同。文学フリマに初参加し、「おとちん」の元になる作品を発表しました。

また、彼女はブログ「塩で揉む」を執筆中。本作同様に、どこか客観的なユーモアのある文章でつづられる日々の出来事。原作ファンは、ぜひ読んでみてください。

 

『夫のちんぽが入らない』の魅力2:共感できる?できない?主人公の心境

 

本作は、読者によって評価が大きく分かれます。1ヶ月で13万部を突破するほどの力を持ちながら、受け入れられない人にはとことん受け入れられないのです。その違いは、主人公に感情移入できるかどうかにかかっていると言っていいでしょう。
 

本作の主人公・私(こだま)は、自己肯定感の低い女性として書かれています。

自分の意見を口にすることができず、周りよりいつもテンポが遅れてしまうため、多くの悩みをため込んでしまうタイプです。家でも職場でも悩みを打ち明けるどころか、自己表現を忘れたかのように流されるような日々を過ごしています。

そんなこだまに起こった「入らない問題」。付き合った相手を愛しているにも関わらず、性行為ができないという事実は、苦しみとなって彼女を襲います。性行為ができないのは自分にすべての責任があると、悩みを背負い込んでしまうのです。

そして、彼女は自分が不完全なのかを確かめるため、ある行動に移します。しかし、それが彼女をさらに苦しめることになるのです。

何を試しても、夫とだけ入らない。そのため結婚後も子供はできません。その事実に対しこだまの母は、義実家に謝罪するのです。

うちの子の身体が弱いために、
お宅の跡継ぎを産んであげることができず、
本当に申し訳ありません。
うちの子は、とんだ欠陥商品でして。
貧乏くじを引かせてしまい、なんとお詫びをしてよいか。
(『夫のちんぽが入らない』より引用)

どうにもならない事実と家族からの言葉が、こだまを次々と傷つけていきます。

誰にも打ち明けられないため、自身の中でため込まれ続け、やがて蝕んでいく悩み。それでもだれにも言いたくない、傷つけられたくないという思い。自分に起こる悲劇を抱えて、うずくまることしかできない……。

繊細な問題に葛藤するこだまに対して、どれほど深く入り込めるか。そこに面白さの鍵があると思います。

 

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『夫のちんぽが入らない』の魅力3:まさかの感動!泣ける物語

 

性の悩みが主軸である本作ですが、それ以外にもさまざまな事件がこだまの周囲で起こります。親との関係、職場での問題、そして心の病……。

こだまはこれらの問題を、自分の力だけではどうすることもできません。誰にも相談できず、行動にも移せず、問題が解決に向かうことはありませんでした。

多くの問題を突きつけられ、苦しめられるこだま。しかし、その苦しみは、やがて彼女の中で変化していきます。苦しみ続けるのではなく、受け入れ始める心の変化は、感動すること間違いなしです。

その変化は、決して大きいものとは言えないかもしれません。しかし、僅かな変化が彼女に影響をおよぼすさまは、リアリティーある描写で、読んでいて思わず感情移入してしまう人もいるのではないでしょうか。

 

『夫のちんぽが入らない』の魅力4:学級崩壊に精神を削られ……仕事に心を病むこだま

 

セックスができないという私生活の大きな問題の他に、こだまに仕事面でも問題が襲い掛かります。それは、担任を持ったクラスの学級崩壊です。

念願だった担任。しかし、そこで学級崩壊が起こったことで、自己肯定力の低い彼女は、すべての責任を背負ってしまうことになります。反発する生徒、そして彼らの毒親……彼女は精神を病んでいくのです。

そして、そのストレスがたたり、ついには掲示板で出会った男と不倫をするようになってしまいます。夫とセックスできないという悩みを抱えながら、精神のダメージがこのような形で出てしまったことは、非常に皮肉に感じてしまう場面です。

結局、彼女は学校を退職することに。しかし、その後なぜか、学級崩壊を起こした主犯格の女子生徒と個人的な交流を持つことになるのです。実は、この生徒、親が新興宗教に入っている複雑な家庭の子供で……。

 

『夫のちんぽが入らない』の魅力5:最重要ポイントは性行為じゃない!テーマを考察

 

普通の夫婦、と言われると、どんなことが浮かぶでしょうか。夫婦の営みもできて、子供がいて……など、ポジティブなイメージが浮かぶでしょう。

反面、一向に子供ができない、まして性行為さえできない、そんなことがあれば世間的には問題のある夫婦となってしまいます。こだまは、作中において行為ができないことに非常に苦しむものの、最後に向けて徐々に気持ちが変化していくのです。

本作では、問題のある夫婦も、それが夫婦の形のひとつであるということを教えてくれます。性行為は、夫婦にとって必ずしもなければならないものではないのです。

ある意味では、夫婦という関係を根底から覆す考えでもあるでしょう。それでも、そばにいたい、一緒に生きていたいと思える人がいる。その事実を受け入れてもいい、普通の夫婦ではなく、変わった夫婦であることを受け入れるという選択肢もある。

「おとちん」からは、そんなテーマが感じられるのです。

 

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『夫のちんぽが入らない』の魅力6:漫画作品もおすすめ!

 

本作は、2018年には「ヤングマガジン」にて同作の漫画化作品が連載されています。

手がけるのは、『R-中学生』の作者でもあるゴトウユキコ。やさしくも色気のある絵柄は、本作が持つ雰囲気の魅力を引き出し、私(漫画版では「さちこ」)や夫(漫画版では「慎」)など、キャラクターの見た目が魅力的です。

 

著者
ゴトウ ユキコ
出版日
2018-09-06

漫画ならではの見所は、絵になったことでより鮮明になる夫婦の形でしょう。文章が一人称であるために、小説ではこだまの心情に重点が置かれていました。

しかし漫画では、2人の間の空気や動作が描かれることで、作品における「夫婦」をより浮き彫りにしています。

新たに描かれる「おとちん」の世界。文章が苦手な人は、まずはこちらを読んでみるのもおすすめです。

 

『夫のちんぽが入らない』の魅力7:最後まで目が離せない!結末をネタバレ解説

 

本作の主軸は夫婦間の性に関する問題ですが、そればかりではありません。主人公であるこだまには、さまざまな不幸が降りかかります。

 

著者
こだま
出版日
2017-01-18

性生活の悩みだけでなく、勤めている学校で学級崩壊も起こり、自分を責め続けて、しだいに精神を病んでいくのです。一方、うまく教師をやっていたはずの夫も、パニック障害を起こしてしまいます。

やがて、こだまは不倫、夫は風俗通いに没頭し、2人は夫婦としての形を成していない、歪な状態になっていきます。

子供ができないために実の両親から攻められ、母からは「欠陥商品」呼ばわり。そんなこだまは、はたしてどんな結末を迎えるのでしょうか。2人が選んだ、夫婦の形とは?母との関係はどうなるのでしょうか。

「普通」に苦しめられた主人公の呪いが解けていくラストを、どうぞお見逃しなく。

 

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性の悩みと自身の過去を赤裸々に描いた小説『夫のちんぽが入らない』。映像化に合わせて、原作小説で予習しておくのもいいかもしれません。濃密な心情描写を、一度味わってみてはいかがでしょうか。