いつもダルそうで、やる気があるのか、ないのか……。しかし、実はとんでもない策士で、頭脳派の忍び。やがて彼は仲間たちのなかで、その頭角を現していくことになります。 そんなギャップが魅力なのが、本作「ナルト」に登場する、奈良シカマルです。今回は彼についての6つの事実をご紹介しましょう!
いつもやる気がなく、自他ともに認める面倒くさがり屋で、無気力な性格。アカデミー時代も、授業はほとんど寝て過ごすなど問題児として扱われる事が多い人物でした。年齢にそぐわない達観したところもあり、掴み所のないキャラクターといえるかもしれません。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2002-05-01
彼の親は両親ともに忍で、父は上忍、母は中忍。シカマルは父親の事を「親父」と呼び、母親の事は「かーちゃん」と呼んでいます。ちなみに完全なる父親似で、顔付きから、黒髪を頭のてっぺんで1つ結びにした髪型までそっくり。父子ともに母には頭が上がらないようで、尻に引かれるタイプと見て取れます。
忍者登録番号は、012611。血液型はAB型です。好物はサバの味噌煮と酢昆布という渋さで、子供らしさがいささか感じられない印象があるでしょう。趣味も昼寝に将棋と、なんだか年寄りじみています。担当上忍である猿飛アスマからも、「ジジイみたいな楽しみ方をする奴」と言われる始末です。
そんな彼は奈良一族の者であり、影を使った秘伝忍術を使用する忍。影を使って対象者を捕縛したり、絞め殺したりと、派手さはありませんが捕まれば厄介な技でもあります。家紋は、円に縦線が1本入っているもので、たとえるなら左右対称に半月が描かれているような模様といえるでしょう。
常にやる気のない態度が見て取れる彼の口癖は、「めんどくせぇ」。そんな彼はアカデミー時代も仲間から注目される事もなく、成績も下から数えた方が早いくらいで、頭も悪いと思われがちでした。
しかし、なんと彼は、IQ200以上を叩き出す驚異の頭脳の持ち主だったのです。作中でもトップクラスの頭脳派と知った時は、読者の方も大いに驚かれた事でしょう。
その怠惰さが特徴といえる彼ですが、頭がよく、物事を的確に考えて判断出来る冷静さがあるので、実はリーダーに向いているタイプ。
中忍試験の本戦で対戦したテマリに不利な状況を強いられながらも、頭脳戦で相手の油断を誘い、捕縛に成功します。しかし、勝利まであと一歩というところで、チャクラ切れを理由に自らギブアップしました。
中忍試験の本戦中に起きた、砂の忍による木葉崩しの襲撃では、会場にいた多くの忍や一般人が幻術で眠らされるなか、シカマルは幻術返しをして難を逃れます。彼は面倒だからと眠ったフリをしようとしますが、起きている事がバレてしまい、ナルト、サクラとともにサスケの元に向かうのです。
しかし、途中で敵の忍者・音忍の襲撃に遭ってしまいます。その際には2人を先へ進ませ、敵の足止めを買って出るなど男らしさを見せました。絶体絶命で死を覚悟しますが、間一髪のところでアスマに助けられ、事無きを得たのです。
NARUTO -ナルト- 21 (ジャンプコミックス)
2004年03月04日
木葉崩し終結後、物事と状況を冷静に見る判断力と、その頭脳の高さを評価され、彼は同期の誰よりも早く中忍に昇格。その後、サスケ奪還任務時には、ナルト、ネジ、キバ、チョウジを率いて隊長に任命されるのです。その際、彼はみんなに、このように伝えました。
サスケは同じ木の葉隠れの忍びだ
仲間だ!
だから懸けで助ける
これが木の葉流だ
(『NARUTO-ナルト-』21巻より引用)
かつて怠惰だった彼は、もういません。木の葉隠れの忍びとして、リーダーとして、強い責任感を持って任務に挑むのです。そして彼は、敵の忍者である音忍・多由也と交戦。苦戦をしいられますが、テマリが増援に来たことで、なんとか相手を倒したのでした。
しかし、この任務は失敗に終わり、彼以外は命の危険に陥るほどの重症を負うこととなります。そこで自責の念に駆られながらも、次こそは成功させると強く誓うのです。
やる気のなかったシカマルが成長した、この一連の話。読者のなかで、彼に対する印象が大きく変わった瞬間なのではないでしょうか。実は頭脳派というギャップや、急成長で見せたイケメンな一面も、彼のかっこいい魅力なのです。
シカマルは、同じ第10班のチョウジと、幼少期からの大親友です。
出会いはアカデミーより前。チョウジはふくよかな体型から仲間外れにされたり、バカにされていました。気の優しい彼は相手に言い返すこともできず、友達もできません。いつも独りぼっちだったのです。
そんななかでシカマルだけは、彼をフォローするような発言をします。しかし、仲間からは聞き入れてもらえません。
NARUTO -ナルト- 21 (ジャンプコミックス)
2004年03月04日
そのまま仲間たちから外れたチョウジの前に、シカマルが現れます。そして彼は、「めんどくせーから抜けてきた」と言ったのでした。それから名前を名乗り合って、2人の関係は始まったのです。
そこから、いつでも行動をともにしてきた2人。チョウジはシカマルのことを、「サスケやネジより、ずっとずっとすごい奴」だと言い、シカマルも彼の強さ、そして、その性格の素晴らしさを誰よりも認めているのでした。
お互いを尊敬し合っている彼らの関係は、見ていて胸がアツくなるでしょう。
最終回で同期や仲間たちの多くが結婚したなか、シカマルが奥さんに選んだ相手は、テマリでした。本編でも何かと関わりの多かったこの2人ですが、読者の印象としては「成すべくしてなった」といったところでしょう。
彼女はシカマルより3歳年上なので、姉さん女房になります。砂の里の出身者で、我愛羅、カンクロウは実の弟です。
ちなみに、我愛羅は風影。後に火影になるナルトと彼は友人関係でありますが、シカマルとテマリの結婚は、木葉の里と砂の里の絆をより強固なものにしたといえるかもしれません。
- 著者
- ["岸本 斉史", "池本 幹雄"]
- 出版日
- 2017-05-02
そんな2人の間には、1人息子が誕生します。名前は、シカダイ。黒髪で1つ結びをしているところなどは、まさにシカマルにそっくりです。しかし、目元はテマリに似ている容姿をしてるのが特徴でしょう。
シカマル譲りの頭脳をしっかりと受け継いでいるようで、任務時には作戦を考えるなど、大いに貢献しています。
ナルトの息子・ボルトが活躍する『BORUTO-ボルト-』で彼の活躍を見ることができ、小説版にも登場。ぜひ、こちらも合わせてチェックしてみてください。
「ナルト」は最終回を迎えましたが、彼らの子供たちが活躍する作品「ボルト」でも、シカマルの姿を見る事が出来ます。彼はシカダイの父親、そして火影となったナルトの側近として、日々忙しくし活動しているのです。
- 著者
- 池本 幹雄
- 出版日
- 2016-08-04
大人になった彼の姿で特徴的なのは、顎髭が生やされている事。それにより、父親・シカクとそっくりな風貌となりました。頭のよさは健在で、ナルトを側で支える参謀役として、木の葉をはじめ各里からの信頼も厚い人物へと成長しています。
また、息子・シカダイは、ナルトの息子・ボルトと同期で幼馴染なため、親としての悩みを相談し合ったりしている場面も見られるのです。物語の最初で子供の姿だった彼らがやがて親になり、子育てに悩んでいるというのが、原作ファンとしては感慨深いものがありますよね。
なんと小説版では、彼が主人公となった物語が存在します。
物語の舞台は、第4次忍界大戦から2年後。大戦後に上忍に昇格したシカマルは、6代目火影となったカカシの補佐として慌ただしい日々を送っています。彼はその忙しさから、本来の自分を見失いつつありました。
そんな状況のなかで、引き受ける事になった任務。その最中に敵の術にはまってしまい……。
彼は本来の力を発揮して、無事に任務を成功させることができるのでしょうか。
- 著者
- ["岸本 斉史", "矢野 隆"]
- 出版日
- 2015-03-04
そんな本作で注目していただきたいのは、シカマルとテマリの関係です。
漫画版では、最終巻で突然結婚している2人ですが、それまでにどのようなやりとりがあったかが取り上げられています。また普段はなかなか描かれない、シカマルの心の葛藤が読めるのも、小説版ならでは。彼らの様子が見たいファンにとっては、まさに必見の一冊です。
また、小説版は本作の他にも『シカマル新伝 NARUTO ナルト 新伝シリーズ』も存在。こちらでは大人になってからの彼が描かれており、各里との諜報戦と心理戦に挑む内容となっています。合わせてチェックしてみてはいかがでしょうか。
次こそは…完璧にこなして見せます…!
(『NARUTO』26巻より引用)
サスケ奪還任務が失敗に終わり、仲間の治療を待っているシカマルは、自責の念に駆られていました。そんななかで父親であるシカクや綱手から激励の言葉を貰った際に、発せられた言葉です。
彼の悔しさ、そして強い決意がにじみ出たセリフでした。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2006-12-27
…やっぱり…タバコはキライだ…煙が目に…染みやがる…
(『NARUTO』36巻より引用)
第10班の担当上忍であったアスマが、暁の飛段、角都によって殺害されてしまいます。彼の最期を見届けたチョウジ、いのは号泣するのです。そんななかシカマルは、アスマを看取った後に彼がいつも吸っていたタバコに火を着けて、こう言ったです。
そこから、彼ら10班は、アスマの仇を討つために動き出します。シカマルはそれを果たすまで、アスマのタバコを吸い続けるのでした。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2013-04-04
充分だ
オヤジの…背中 見て育ったからよ
(『NARUTO』64巻より引用)
第4次忍界大戦中、敵からの攻撃で父親・シカクは死を覚悟して、シカマルにその後の忍連合の指揮をとるように指示します。その際に父親を安心させるようにシカマルが発したこの台詞は、短いながらも2人の親子関係をわかりやすく表している言葉だといえるでしょう。
一人前の忍びに成長した息子にすべてを託し、シカクはこの世を去ったのでした。
その子が産まれたら
今度はオレが その子を守る師ですから…
カッコイイ大人にならねーと!
(『NARUTO』38巻より引用)
アスマの死後、彼の恋人であった紅に、アスマの墓の前で向けた言葉。紅は、アスマとの子をお腹に宿していました。まだ完全には立ち直れていない彼女にも気遣いながらも、これから産まれてくるその子のことを想って言った名言です。
自分たちがアスマからもらったものを受け継いでいこうとする、忍びとしての、そしてアスマの最後の教え子としての決意が見られます。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2014-03-04
あいつが火影になった時
オレがあのバカヤローの隣に居てやらねェーとな
悪ィーけどオヤジ オレはまだそっちには行けねーよ
ナルトの相談役に オレ以上のやつはいねーからよ!
(『NARUTO』68巻より引用)
神樹によってチャクラを吸い取られてしまったシカマルは、瀕死状態になります。彼自身も死を覚悟するのですが、ナルトやサクラ、綱手のおかげで一命を取り留め、再び戦場に復活する事が出来ました。自分の死の間際から復活する時に、彼がナルトに対する想いを心中で語ったのが、このセリフです。
ナルトが火影になる事を疑わないこの発言に、読んでいて胸が熱くなる方続出だったのではないでしょうか。そして実際に火影になったナルトの補佐として、木の葉を一緒に支える役目を果たしているシカマル。そんな彼らの友情に、感動すること間違いなしです。
シカマルは物語当初はイケてないキャラとして登場しますが、頭脳派だという事がわかってからの活躍は、まさに目を見張るものがあるでしょう。かつて面倒くさがりな彼は、物語が進むにつれ、人間としても忍びとしても大きく成長していきます。
そんな彼の勇姿は、「ナルト」の漫画版でも小説版でも確認できるので、ぜひ作品を読んでチェックしてみてください!