薬師として働いていたコレット。しかし、その仕事は超ハード!疲れ果てた彼女は、自ら井戸に飛び込み……なんと冥府へと行ってしまったのです(!)。そこで出会ったのは、めちゃくちゃかっこいい王子様で……!? 本作『コレットは死ぬことにした』は、『銀砂糖師と黒の妖精~シュガー・アップル・フェアリーテイル~』のコミカライズを担当した幸村アルトの作品。2019年2月現在、月刊誌「花とゆめ」にて連載中で、12巻まで刊行されています。 スマホアプリから無料で読める物語のあらすじ、その魅力をご紹介しましょう!
山間の村唯一の薬師・コレット。毎日の激務に疲弊した彼女は、思い余って自宅の井戸に飛び込んでしまいます。そのの先に繋がっていたのは……なんと死者の国・冥府だったのです。
「井戸は別の世界に繋がっている」という伝説を、思いがけず目の当たりにしたコレット。そこで出会ったのは、冥府の王・ハデスでした。
何かの病に侵された彼に出会ったコレットは、生きていながらも、冥府に出向いて彼の治療をおこなう事になり……?
- 著者
- 幸村アルト
- 出版日
- 2014-07-18
『コレットは死ぬことにした』というタイトルですが、本作は物怖じしない薬師・コレットと、仕事に誠実で真面目な冥王・ハデスの出会いから始まる作品。「冥府ロマンス」とも言われています。
ハデスは言葉数の少ない神様ですが、彼の仕事への誠実さや真摯さを見たコレットは、激務で忘れかけていた初心を思い出します。自分がどんな気持ちで薬師となって、どれ程の誇りを抱いて仕事をしてきたかを再認識して立ち上がるのです。
彼女の瑞々しい成長が眩しい、読んでいると元気を貰える作品となっています。
コレットは、ある不幸な生い立ちの影響もあって薬師の仕事に誇りを持つ、天真爛漫な少女です。優秀な薬師で、仕事に対する情熱は強く、知識は確かなもの。ただ、自分1人で背負い込みがちなところが玉にキズです。
図太く、逞しく、強かで、野性的。そして野の花のような大らかさとあたたかみが、人や神を癒すのでした。ハデスも、そんな彼女にしだいに惹かれていきます。
しかし彼女の魅力は、なんといっても、その予想外な言動。その斜め上っぷりに、思わず笑ってしまうでしょう。なぜそうなる!!と思わずツッコんでしまいたくなることばかりです。
たとえば、彼女は「寝ている時に耳を触られると笑う」という謎の癖があり、それが可愛くて面白いとある人物から聞かされたハデス。
折よく眠るコレットに遭遇し、思わずその「かわいい笑顔」を想像して彼女の耳に触れてみるのですが……。
予想外な反応に、思わず固まるハデス!
一体どんな反応だったのでしょうか?ぜひチェックしていただきたい一幕です。斜め上過ぎる展開に、思わず吹き出してしまいます。
本作を語るうえで欠かせないのが、ハデスに仕える家来達の存在です。
骨だけの頭に黒一色の体(?)、謎の生態系である側近ガイコツ達や、とある事情から体の大半を隠したままでいる船渡し・カロン、そして冥府の番犬・ケルベロス……。
彼らはみんな、主人である「ハデス様」が大好き。これでもかと一途にお仕えする家来達の可愛らしさは、たまりません!
ガイコツ達は憤慨したり驚いたりすると頭がとれる仕様で、日々のビックリドッキリに豪快に頭を落っことしては笑わせてくれます。
秘書ガイコツ、風呂ガイコツ、料理ガイコツ、掃除ガイコツ、さらにはお針子ガイコツ(ハリー)……。彼らは一見、見分けがつかないですが、よ〜く見ると少しずつ顔や喋りが違うという、作者の芸の細かさに驚かされます。
カロンは、ハデスに仕える事になった経緯から心底主を敬愛していますが、そのいきさつは彼の宝物。そっと心に大切に仕舞い込んで、職務に励んでいるのです。彼とハデスの出会い、そして心の繋がりはあたたかく、心に染み入ります。
そして、ハデスの愛犬・ケルベロス。彼はハデス様にお散歩してもらったり、遊んでもらったりするのが大好き。
普段は3つ首の巨大な魔犬姿ですが、空腹になると3匹の子犬に分裂。それぞれケル・ベロ・スーと呼ばれるミニサイズの魔犬達のモフモフっぷりも、見逃せません。
死者の国がこんなにほのぼのしているなんて、いいのでしょうか?……いいのです。家来達も主・ハデスも、こんなに幸せなのですから。ほっこりしたい時には、彼らを愛でてみるのもおすすめですよ!
コレットとハデスは惹かれあっていながらも、お互いその気持ちを「恋」だとなかなか認識しません(特にコレット)。このじれったさ、王道の甘酸っぱさが、もどかしくて胸キュンなのです!
とはいえ、この2人の間には「人間」と「神様」という大きな隔たりが横たわっています。
やがて年を取り、寿命を迎えて死者となるコレット。そんな「人間」である彼女に惹かれる気持ちや恋心を、ハデスは自覚しても押さえ込んでしまうのです。
そしてコレットは、薬師の仕事一筋過ぎて、恋愛を経験した事がありません。そのため、ハデスに対する特別な気持ちが恋だという事に、なかなか気づかないのでした。
そんな2人のスローな恋は、時間をかけて着実に育っていきます。甘々で、だけどもどかしい恋路は、ヤキモキしながらも見守りたくなるものです。
この項では、本作の第11巻までの見所をご紹介いたします。
ハデスのもとに、薬師として通う事になったコレット。冥府の王として、死者達の裁判をおこなう彼が抱える疾病は、なんと日光アレルギーでした。何百年もの間、日の差さない冥府での仕事をこなしてきたために、彼の体は日光に耐えられなくなってしまったのです。
そんな状態になりながらも自らの仕事に誇りを持って、自身の職務をこなすハデス。コレットは、自分と同じくオーバーワーク気味の彼との交流を経て、薬師としての自分を見つめ直し、人間としても薬師としても成長していくのでした。
彼女は普通の人間ですが、ハデスという神様と知り合った縁で、多くの神・女神達と出会う事になります。
ハデスの兄弟神・ゼウス、ポセイドン、酒神・ディオニュソスや太陽神・アポロン……。ギリシア神話でお馴染みの神様達が個性豊かに登場し、コレットは冥界だけでなく、天界にまで足を踏み入れる事になるのでした。
さらには彼女の兄弟弟子・イタンが登場したり、亡くなった師匠と天国であるアスポデロスで再開したり、姉弟子に会うために里帰りしたりと、コレットは今日も薬師としての日々を精一杯に過ごしていくのでした。
- 著者
- 幸村アルト
- 出版日
- 2018-09-20
そんな本作の見所は、胸に迫るストーリーと台詞でしょう。いとおしく感じてしまう登場人物達のやり取りに、ほっと心が明るくなって、やさしい気持ちになれるのです。
頑張った人に報われてほしい。そんなあたたかい気持ちを丁寧に描き出しており、泣いて笑って、そして最後にはすっきりした気持ちにさせてくれます。
なんとなくモヤモヤしている時、仕事に疲れてしまった時に、この作品で一息入れてみてはいかがでしょうか。
この項では、最新12巻の見所をご紹介いたします。
姉弟子・マリーのもとへの里帰り終了で、ようやくの帰路についたコレット。旅のお供は酒神・ディオニュソスと、伝令神・ヘルメスです。
しかし、途中で立ち寄った村の薬師・ヨノトが、かつての自分のようなオーバーワークで倒れているところを見て、放っておけずに村への滞在を決意したコレット。ヨノトと隣家の娘・ササラとの交流で、薬師としての「夢」の形を見いだします。
そして、お互いに自身の恋心を自覚したコレットとハデスの関係に、ついに変化が……?
コレットは死ぬことにした 12 (花とゆめCOMICS)
2019年01月18日
本巻の見所は、新展開を迎えるコレットとハデスの恋模様でしょう。自覚した恋心を前に戸惑っていたコレットと、神と人という隔たりに悩んでいたハデス。しかし、小さな心の変化が少しずつ降り積もり、ついに彼らの関係に決定的な変化が訪れるのです。
今まで見守ってきたこのもどかしい2人の恋路が、新たなステップを迎える12巻。思わず顔が綻んでしまうかもしれません。
今後は、一体どんな展開を迎えるのでしょうか。次巻以降も見逃せない『コレットは死ぬことにした』、ぜひご一読頂きたいおすすめの作品です。