『十五少年漂流記』の魅力とは。あらすじや感想文の書き方、『蠅の王』も紹介

更新:2019.3.1 作成:2019.3.1

「SFの父」と呼ばれているジュール・ガブリエル・ヴェルヌの代表作『十五少年漂流記』。15人の少年たちが乗った船があることをきっかけに漂流してしまい、辿り着いた無人島で、時に対立しながらも生活をしていく物語です。この記事では、概要とあらすじ、登場人物、物語のキーとなるジャックが抱えた秘密、読書感想文の書き方などを簡単に解説。あわせて、悲劇版『十五少年漂流記』とも称される『蠅の王』も紹介します。ぜひご覧ください。

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『十五少年漂流記』の概要やあらすじを簡単に紹介。対象年齢と結末は?

 

少年向けの冒険小説として1888年に発表された『十五少年漂流記』。作者はフランス出身の小説家で、「SFの開祖」「SFの父」と称されるジュール・ガブリエル・ヴェルヌです。
 

日本では1896年に森田思軒の翻訳で、『冒険奇談 十五少年』のタイトルで雑誌「少年世界」に連載されました。同年12月に『十五少年』として単行本が出版されて話題となり、1951年にはタイトルを『十五少年漂流記』に変更し、現在まで定着しています。

「孤島漂流もの」といわれる物語は19世紀以降に流行し、そのなかでも本作は何度もテレビドラマ化やアニメ化がされ、人気の一端を担っています。

『十五少年漂流記』に登場する少年たちの年齢は、8~14歳とさまざま。ちょうど長編の物語を読むのにも慣れてくる時期で、登場人物と同じくらいの年代から読み始めることができるでしょう。

ではあらすじを簡単に紹介していきます。


ニュージーランドのオークランド市にあるチェアマン学校が長期の休みに入る、1860年の2月。親たちの計らいで、14人の子どもたちは2ヶ月の船旅に出ることになっていました。出航は16日の予定でしたが、待ちきれない子どもたちは、15日の夜のうちに船へと乗り込みます。

しかしその時に起きた原因不明の事故により、船は水夫見習いのモーコーを含めた15人を乗せて、漂流を始めてしまうのです。

やがて無人島へと流れつき、少年たちは島の洞窟に住むことにしました。「チェアマン島」と名前を付け、15人の代表として大統領を選出。島を自分たちの植民地として暮らしていく体制を整えていきます。

島にあるものを用いて道具を作ったり、動植物を発見したりして、生活はしだいに潤っていくものの、ブリアンとドニファンという2人の少年の対立をきっかけに、仲間割れが起きてしまうのです。

彼らがチェアマン島で暮らし始めてから1年半が過ぎようとしたころ、浜辺や森の中で人間の大人が倒れているのが見つかります。彼らは商船の乗員で、ワルストンという悪党たちから逃れて島に辿り着いたとのことでした。

その後少年たちは大人と協力してワルストンを退治。ワルストンが使っていたボートに乗って、およそ2年ぶりにオークランドに帰るのです。

『十五少年漂流記』の登場人物15人と1匹を紹介

 

個性豊かな人物が登場する『十五少年漂流記』。なかでも物語のメインとなる、15人の少年と1匹の犬を紹介しましょう。

ブリアン:フランス人、13歳

ジャックの兄。『十五少年漂流記』の中心的人物です。勉強嫌いであるものの頭の回転は速く、下級生を助ける優しい性格をしていて、皆から慕われています。それゆえに、しばしばドニファンからは敵意を向けられてしまいます。

ジャック:フランス人、10歳

ブリアンの弟。元々はいたずら好きで明るい性格をしていましたが、船が漂流してからは別人のようになってしまい、心配されています。

ゴードン:アメリカ人、14歳

少年たちのなかで最年長かつ、唯一のアメリカ人。『十五少年漂流記』の中心的人物です。几帳面で冷静沈着な性格をしていて、漂流した際もそこまで戸惑う様子をみせませんでした。そんな人柄もあって、島の初代大統領に選出されています。また植物に詳しく、島に自生する草木を見分ける際にも活躍しました。

ドニファン:イギリス人、13歳

多数いるイギリス人のリーダー的存在。『十五少年漂流記』の中心的人物です。非常に負けず嫌いの性格をしていて、自分より人気のあるブリアンに対しては口も聞きたくないという態度をとっていました。しかし物語の後半になると、根っからの悪人ではないことがうかがえるようになります。

射撃の名手でもあり、狩猟隊の隊長を任されていました。

クロッス:イギリス人、13歳

ドニファンの従兄で、彼の意見にはいつも賛成するほど慕っています。

ウェッブ:イギリス人、13歳

我の強い性格をしていますが、クロッスと同じくドニファンのことを尊敬していて、彼の意見には逆らいません。

ウィルコックス:イギリス人、13歳

クロッス、ウェッブと同じくドニファンのことを尊敬しています。当初島では銃を使って食料にする獲物を捕まえていましたが、投げ縄などの罠を利用した狩りを提案して重宝されました。

バクスター:イギリス人、13歳

手先が器用なため、島ではさまざまな道具を自作して皆の生活を助けました。書記として島の出来事を日記に書きとめ、15人が帰還した後に彼の書いた日記が本として出版されました。

ガーネット:イギリス人、12歳

少年たちが乗っていた船の所有者の息子です。アコーディオンが大好きで、島でも演奏を披露しています。サービスと仲が良く、一緒に家畜の飼育を担当しました。

サービス:イギリス人、12歳

陽気な性格をしていて、15人のムードメーカー的な存在です。『ロビンソン・クルーソー』や『スイスのロビンソン』が愛読書。主人公に憧れて、島の動物を飼い慣らそうとすることもありました。ガーネットと一緒に家畜の飼育をするほか、料理も担当しています。

ジェンキンス:イギリス人、9歳

15人が通うチェアマン学校のなかで1番の優等生です。

アイバースン:イギリス人、9歳

ジェンキンスと同じくチェアマン学校の優等生です。

コスター:イギリス人、8歳

15人のなかで最年少の少年。食いしん坊です。

ドール:イギリス人、8歳

コスターよりも半年だけ年上です。甘いものが大好き。

モーコー:黒人、12歳

14人の少年たちとともに漂流に巻き込まれてしまった、15人目の少年です。当時は見習い水夫として船に乗っていました。

料理やボートの操縦などさまざまなことをこなす器用な人物。島での生活をとおして、ブリアンを慕うようになります。黒人のため、島における大統領選挙の投票権がありませんでしたが、これは差別ではなく、少年たちが当時の社会情勢や大人の真似をした悪意のない行動だといわれています。

ファン:犬

ゴードンのペット。島では狩りをはじめさまざまなタイミングで活躍をしました。

『十五少年漂流記』でジャックが抱えていた秘密をネタバレ

 

ブリアンの弟であるジャックは、本来は明るくいたずら好きの性格でした。しかし船が漂流してからはまるで別人のようになってしまい、周囲から心配されています。

その理由は、船が漂流してしまった「原因不明の事故」が、実は「ジャックが起こしたもの」だったからでした。

出航を待ちきれずに、前日の夜に船に乗り込んだ少年たち。その時ジャックは、いたずら心から船の手綱を緩めてしまったのです。そしてそのまま、15人の漂流生活が始まったのでした。

ジャックはとても後悔したことでしょう。作中ではずっと誰にも言えない秘密を抱えた存在として描かれ、実に1年以上もの間隠し続けていたのです。

ちなみに見習い水夫のモーコーだけはこの秘密を知っていましたが、ジャックの気持ちを察し、彼が自ら告白するまで誰にも言うことはありませんでした。

『十五少年漂流記』の魅力とは。感想文の書き方も考える

 

『十五少年漂流記』は、読書感想文の課題本としても定番の作品です。

選ばれる理由としては、15人の少年による「友情」「団結力」「困難に立ち向かう姿」「ドラマチックなストーリー」などが挙げられるでしょう。

無人島に漂流したにも関わらず、少年たちはそれぞれ自分のできることに率先して取り組み、サバイバル生活をしながら新たな知識や経験を積んでいきます。その過程は、純粋に物語として楽しめるのはもちろん、そこからさまざまなことを学べるでしょう。

読書感想文を書く際は、「あらすじ」「印象に残った部分」「結論」という構成で仕上げるとよいといわれています。

まず「あらすじ」で、簡単な概要とともに、なぜその本を読もうと思ったのかを書きます。そして「印象に残った部分」として、物語のなかで気になったことや、興味深かったこととその理由を記述。

最後の「結論」では、「印象に残った部分」と絡めながら、自分自身の経験を書き、それらを踏まえたうえで自分の目標などを書くとよいでしょう。

子ども向けに読みやすくまとめられた『十五少年漂流記』

著者
ジュール・ヴェルヌ
出版日
1951-11-20

 

複数の出版社から刊行されている『十五少年漂流記』。本書はそのなかでも翻訳がわかりやすく、また随所に差し込まれるイラストも物語の世界観にマッチしているとして人気があります。

また、原作の内容を少しだけ簡略化しているので、長編の物語を読む練習としても最適です。読書感想文に合わせて読むのもよいでしょう。初めて『十五少年漂流記』を読む方におすすめ一冊です。

【番外編】『十五少年漂流記』の悲劇版?『蠅の王』のあらすじと魅力を紹介

 

舞台は、とある戦争がおこなわれている未来の世界。疎開先へと向かう飛行機が墜落し、乗り合わせていた少年たちは、南太平洋の無人島へ置き去りにされてしまいます。

ラルフという少年を中心に、彼らは毎日「のろし」を上げて救出されるの待つことにしました。

しかし元々ラルフと仲の悪かったジャックという少年は、無人島での生活がラルフを中心に動いていることが気に入らず、自ら狩猟隊を結成して好き勝手な生活を始めるのです。

ある日、島の沖合を偶然船が通りかかりますが、その日の当番がサボっていたのが原因でのろしを上げることができませんでした。救出される機会をみすみす逃してしまったことをきっかけに、少年たちの対立はさらに加速していきます。

著者
["ウィリアム ゴールディング", "William Golding"]
出版日
2017-04-20

 

1954年に発表された、イギリス出身の小説家、ウィリアム・ジェラルド・ゴールディングによる作品です。『十五少年漂流記』を架空の未来へと移し、少年たちの根源悪が噴出する様子を描いたとして話題になりました。

タイトルの『蠅の王』は、聖書に登場する悪魔のこと。作中では、蠅が群がる豚の生首を表現しています。

自身が集団の頂点に立つためなら、弱い者は攻撃しても構わないと考えるジャック。仲間を奪われ、助かる術もなくひとりで逃げ回るしかないラルフ……。極限の状況に置かれて露出する、人間の本質が垣間見れる一冊です。