寒い冬が終わってぽかぽか陽気の春がやってくると、気持ちが弾むもの。色鮮やかな花が咲き、虫たちが動き出して、生命力を感じられる季節でもあるでしょう。この記事では、そんな気持ちのよい春にぴったりの絵本をご紹介していきます。
絵本作家、江頭路子の「おさんぽ」シリーズのひとつ。柔らかい春の風が吹くなか、気持ちよくおさんぽをする女の子のお話です。
はるかぜさんぽ
てくてくてく
あ、さくら(『はるかぜさんぽ』より引用)
春のお外は新しい発見がいっぱい。今日は何が見つかるのかな?お気に入りのワンピースと、新しい靴をはいたら、さあ、おさんぽに出掛けよう。
- 著者
- 江頭 路子
- 出版日
- 2017-03-09
淡い水彩で描かれたイラストは、春の気候に絶妙にマッチしていて、心地よい空気を作り出しています。色とりどりのお花や、気持ちよさそうな女の子の表情に、大人も子どももときめいてしまうでしょう。
「てくてくてく」「そよそよそよ」といった軽快なオノマトペが多用されていて、読み聞かせにもぴったりです。
ちょうちょや満開の桜、ふわふわ舞うシャボン玉……ちょっとした発見にもドキドキワクワクが止まりません。かわいらしい世界で、女の子と一緒に春のおさんぽを楽しめる一冊です。
絵本作家かんのゆうこと、松成真理子の作品。不思議な力をもった猫と少女の出会いを描いた「四季ねこえほん」シリーズのうちのひとつです。表紙に描かれた若草色の猫の美しさに、思わず手にとってしまう方も多いでしょう。
とある春先の日、あやは花も咲かず、ちょうちょも飛ばず、気温もあがらないことを変に思っていました。家の中で折り紙遊びをしていると、困ったように探し物をしている若草色のはるねこを見つけます。猫は、「春の種」が入ったきんちゃくぶくろを落としてしまったというのです。
そこであやは、はるねこと一緒に折り紙で春を作ることにしました。
- 著者
- ["かんの ゆうこ", "松成 真理子"]
- 出版日
- 2011-02-16
折り紙で春を作る、というファンタジックな展開にほのぼのさせられます。
あか、しろ、ピンクのチューリップ。
まあるいたんぽぽ きいろいなのはな むらさきいろのれんげに すみれ。(『はるねこ』より引用)
次々に生み出される色とりどりの花、柔らかい風、緑で包まれていく大地……ページいっぱいに広がる春が、可憐なのに力強く、生命力にあふれてます。
無事に春を呼ぶことができ、はるねこからのお礼にも胸がほっこり。読後は心があたたかくなるお話です。
平山和子の『たんぽぽ』は、まるで図鑑のような絵本です。身近な春の花の代表ともいえるたんぽぽ。綿毛を見つけると、思わずふーっと飛ばしたくなるのではないでしょうか。
しかしよく見かける花なのに、なぜコンクリートや石垣の隙間に咲くのか、根っこがどんな形をしているのか、知っていますか?意外なたんぽぽの生態がわかる一冊です。
- 著者
- 平山 和子
- 出版日
- 1976-04-01
まるで写真みたいな絵で、細部がよくわかる一冊。図鑑のようですが文章はやさしいので、小さいお子さんでも問題ありません。
見開き4ページを使って描かれた根っこのたくましさは圧巻!大人にとっても驚くような内容で、子どもと一緒に楽しむことができるでしょう。
知れば知るほど魅了されていく、自然の豊かさも感じられる一冊です。
まどみちおが文、にしまきかやこが絵を担当している本作。
ちょうちょうがひらひら。どこにとまるかな?うさちゃんがうふふ。しかさんはえへへ。ちょうちょうがとまると、動物たちはにこにこです。
0歳から楽しめる、春のぽかぽか陽気が伝わってくる一冊です。
- 著者
- まど みちお
- 出版日
ピンクや黄色、オレンジとあたたかみのある淡い色使いが特徴。ふんわりとしたかわいらしい世界観で、春にぴったりです。目を細めて笑う動物たちのやわらかい笑顔に、読んでいるだけで心がぽかぽかとしてきます。
ちょうちょうがひらひらと飛んで、とまった動物が笑うというシンプルなストーリーは、赤ちゃんでも理解できるもの。初めての絵本にもおすすめです。
いわむらかずおの大人気絵本「14ひき」シリーズ」のひとつ。おとうさん、おかあさん、おじいさん、おばあさん、そして兄弟10ぴきの野ねずみ一家の暮らしを丁寧に描いています。
長い冬が明けて、14ひきが住む森にも春がやって来ました。お弁当を作ってピクニックに出かけます。
きょうは、なんていいてんき。
みんなで、はるののはらへでかけよう。(『14ひきのぴくにっく』より引用)
- 著者
- いわむら かずお
- 出版日
- 1986-11-15
「14ひき」シリーズは四季を感じられる物語が魅力ですが、なかでも本作は春が来た嬉しさがあふれる名作。色とりどりの花や、目を覚ました虫たちなど、細かい書き込みでページの隅から隅まで楽しめます。何度読んでも新しい発見ができるでしょう。
文章になっているメインのストーリーだけでなく、上の子が下の子の面倒をみたり、やんちゃ盛りの2ひきが喧嘩をしそうになっていたりと、大家族がそれぞれ物語を紡いでいるのも見どころです。
やわらかい風や土の香りも感じられる、おすすめの一冊です。
アメリカの絵本作家、ルース・クラウスとマーク・シーモントの作品。初版は1967年に発表され、長い間読み継がれています。
しんしんと雪が降る森の中。野ねずみも、くまも、かたつむりも、りすも、みんなぐっすりと眠っています。ところが突然目を覚まし、鼻をくんくんさせて何かのにおいをかいでいるようです。
みんな はなをくんくん
みんなかけてく
のねずみがかけてく
くまがかけてく(『はなをくんくん』より引用)
- 著者
- ルース・クラウス
- 出版日
- 1967-03-20
鼻をくんくんさせて動物たちがかけていった先には、雪のなかから顔を出した一輪の花でした。動物たちも森の様子もモノクロで描かれているなか、咲き誇る花は美しい黄色をしていて、春が来ると世界が明るく色づいていくことを表しているようです。
「うわあい!」と喜ぶ動物たちにもきっと共感できるはず。命の誕生を感じられる一冊です。