大人数への読み聞かせにもおすすめの大型絵本。通常の2倍以上のサイズで迫力満点、物語の世界にいっきに入り込めるのが魅力です。この記事では、そんな大型絵本を読み聞かせする際のコツと、おすすめの作品をご紹介します。
大人数へ読み聞かせするのに適した大型絵本。その魅力は、なんといっても大きさです。なかには1メートルを超えるものもあり、通常サイズの絵本とは迫力が比べ物になりません。子どもたちをあっという間に物語の世界に惹き込んでしまうはずです。
大型絵本を読み聞かせする際は、はっきり、そしてゆっくり読むことを心掛けましょう。早口になったり、ページをめくるスピードが速くなったりしてしまうと、物語の世界感が子どもたちに伝わりきりません。イラストをじっくり見せることを意識しながら読んであげてください。
また、オーバーすぎる表現やアドリブは控えるのがおすすめです。大型絵本の大きさにつられて、読み手は過剰に盛り上げようとしてしまいがちですが、そうすると子どもたちの集中が読み手へ移ってしまい、絵本への想像力が途切れてしまうかもしれません。
さらに大型絵本を読む前は、部屋の照明や、絵本の支え方をチェックしておくことが大切です。絵本の角度が悪いと照明が反射して絵本が見えづらくなることがあります。サイズが大きくなるとページをめくるのも難しくなるので、専用のスタンドを用意してもよいでしょう。
絵本作家の新井洋行が手掛ける「あけて・あけてえほん」シリーズの1作目が、大型絵本になりました。
表紙は、小さな子どもがすっぽり入れそうなほど大きな冷蔵庫。ページをめくるたびに、扉を開ける感覚が得られます。
ぎゅうにゅうさーん
はーい
とっとっとっ(『れいぞうこ』より引用)
次々と呼ばれて食卓に盛り付けられていく冷蔵庫の仲間たち。おいしそうな朝ごはんのできあがりです。
- 著者
- 新井洋行
- 出版日
- 2015-09-02
真似しやすいやりとりや擬音が多いのが特徴。また返事を促す文章になっているので、子どもたちも参加しながら読み聞かせできる構成です。
身近にある食べ物や飲み物がたくさん登場するのもうれしいポイント。シンプルでわかりやすく、みんなで笑顔になれる素敵な絵本です。言葉を覚えはじめたころのお子さんにぜひ読んであげてください。
個性的で斬新な作品を数多く生み出してきた岩井俊雄の作品です。なんといっても縦に長いビジュアルが新鮮で特徴的。1メートル16センチあります。
ぼくは100かいだてのいえの てっぺんにすんでいます。
あそびにきてください。(『100かいだてのいえ』より引用)
誰かから手紙をもらった主人公のトチくん。地図を頼りに向かってみると、大きな家が現れました。でも大きすぎて、てっぺんはよく見えません。さてトチくんを待っているのは一体誰なのでしょうか?
- 著者
- 岩井 俊雄
- 出版日
- 2009-10-30
見開き1ページごとに、10階ずつ進んでいく構成。たとえば1階から10階はねずみさんの家族が住んでいて、洗濯機を回したりテレビを見たりしています。階段やはしごを使ってどんどん上にのぼるトチくん。次は誰が住んでいるのか、読者もはやる気持ちを抑えられません。
文字数は少なくてイラストが中心。 細部まで丁寧に描きこまれているので、読み聞かせだけでなく、子どもがひとりで眺めていても楽しめます。
それぞれの階には「1」「2」と数字がふってあるので、数を覚える練習にもなるでしょう。
自然化学や生物のイラストレーターとして活躍するまつおかたつひでの作品。本書は、0歳の赤ちゃんでも楽しめる「はじめてのぼうけん」シリーズの1作目です。
カエルをはじめ、猫や犬、うさぎなどさまざまな動物たちが、ページをめくるたびにぴょーん!と飛びあがります。
単純で軽快なストーリーと、ジャンプする動物たちのわかりやすいイラストが魅力。赤ちゃんの絵本デビューにもおすすめです。
- 著者
- まつおか たつひで
- 出版日
- 2004-03-01
大型絵本になることで、動物たちのジャンプがよりダイナミックになりました。縦に開くつくりになっているので、より迫力が増しています。「ぴょーん」という言葉のくり返しも楽しく、子どもたちはすぐに夢中になれるはず。一緒にジャンプをする子どもも続出です。
ジャンプした時には動物たちのおなかが見えて、子どもたちには新しい発見にもなるでしょう。
絵本作家の長谷川摂子と降矢ななが手掛けた作品です。
あったとさ あったとさ
ひろい のっぱら どまんなか
きょだいな ピアノが あったとさ(『きょだいなきょだいな』より引用)
「きょだい」化した身近なものたちが「あったとさ」というフレーズとともに次々と登場する不思議な物語。この世界の住人である100人の子どもたちは、巨大な何かで思う存分遊びに興じます。
- 著者
- 長谷川 摂子
- 出版日
- 2001-11-01
幻想的で色鮮やかなピアノやせっけん、トイレットペーパーに扇風機……全部が巨大です。想像以上のスケールで展開される物語は大型絵本にぴったり。「あったとさ あったとさ」とくり返されるフレーズも相まって、まるで夢の中にいるみたいな不思議な気分を味わえるでしょう。
巨大な瓶の中で眠ってみたり、巨大な電話からは幽霊の声が聞こえたり、想像もつかない展開に好奇心が刺激される作品です。大型絵本ならではの臨場感にあふれていて、子どもたちを飽きさせません。
2019年に出版から50周年を迎えた、アメリカの絵本作家エリック・カールの代表作『はらぺこあおむし』。全世界の累計発行部数は3000万部を突破した、超ロングセラー作品です。
うまれたばかりのあおむしは、おなかがぺこぺこ。月曜日にはりんごをひとつ、火曜日にはなしをふたつ……あおむしが食べたあとには、ぽっかりと丸い穴が開いています。
たくさんたくさんたべて、
ふとっちょになったあおむし。
さなぎになって、さいごはうつくしい
ちょうちょにへんしんします。(『はらぺこあおむし』より引用)
- 著者
- エリック カール
- 出版日
- 1994-04-28
言わずと知れた名作が、幅59センチもある大型絵本となりました。カラフルなイラストも美しく、子どもたちも釘付けになるでしょう。数や曜日など、読むだけで自然と学べる仕掛けになっているのもうれしいポイントです。
お腹いっぱい食べて力を蓄えたあおむしは、とてもきれいなちょうになり、最後は大空へとはばたいていきます。美しく成長していくストーリーは、大人が読んでも感動できるもの。世代を超えて読み継がれている絵本なので、ぜひお子さんにも読んであげてください。