絵本「ぼくはめいたんてい」シリーズのおすすめ5選!あらすじと魅力を紹介!

更新:2021.11.18

国境を越え、世界中で愛されている子ども向けミステリー絵本「ぼくはめいたんてい」シリーズ。主人公のネートは、パンケーキが大好きな9歳の男の子です。子どもとは思えない冴えわたる推理で、次々と事件を解決していく様子が魅力的。この記事では、シリーズのなかでも特におすすめの5冊をご紹介します。

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「ぼくはめいたんてい」シリーズとは。あらすじと内容、作者などを紹介

 

子ども向けミステリー絵本「ぼくはめいたんてい」シリーズは、アメリカの児童文学作家、マージョリー・ワインマン・シャーマットが文を、画家のマーク・シーモントが絵を担当しています。

1972年に1作目が発表されると、味わいのある挿絵の魅力にも後押しされ、たちまちアメリカの子どもたちの心を掴んで人気作となりました。2019年現在、シリーズのタイトルは25を超え、世界各地で翻訳。日本でも17作が刊行されています。

「ぼくはめいたんてい」シリーズの主人公は、パンケーキが大好きな9歳の男の子、ネートです。探偵帽にトレンチコートという名探偵の恰好をして、個性的な仲間たちによって次々ともたらされる謎を鮮やかに解決していきます。

彼が解決する事件は、どんな子どもたちの日常にもひそんでいるちょっとしたもの。小さな読者たちは、名探偵ネートと自分を重ね合わせて、身近な不思議や謎を推理して解決する快感を味わうことができるのです。

1巻ごとの読み切りなので、どのタイトルから読んでも大丈夫。それぞれに収録されている巻頭と巻末のおまけページもとてもユニークです。約50ページとひと晩で読み切れる長さで、親子で一緒に読むのはもちろん、5歳ぐらいから小学校低学年くらいまでの子どものひとり読みにもおすすめです。

 

「ぼくはめいたんてい」シリーズの記念すべき1作目『きえた犬のえ』

 

『きえた犬のえ』は「ぼくはめいたんてい」シリーズの記念すべき第1弾です。

ネートが朝ごはんのパンケーキをちょうど食べ終わった時、突然電話のベルがなりました。仲良しの女の子アニーからです。

「えがなくなっちゃったの。」
と、アニーはいいました。
「さがしてもらえる?」
「もちろん!」とぼくはいいました。(『きえた犬のえ』より引用)

アニーが大好きな黄色の絵の具で描いた、犬の絵がなくなってしまったそう。直前に絵を見ているのは、犬のファングと、変わり者のロザモンド、そして赤い色が好きな弟のハリーです。

事件が起きるといつもそうするように、ネートは探偵らしいキリっとした格好をして、ママに置手紙を残し、調査を始めました。さて、黄色い犬の絵はどこにいったのでしょうか。

 

著者
マージョリー・ワインマン シャーマット
出版日
2014-04-01

 

さすが名探偵、現場を見直し、よく観察し、目撃者に聞き込みをして、大人顔負けの捜査を続けます。しかし捜査の途中で大好きなパンケーキのにおいがすると、思わず食べてしまうという子どもらしい一面もあるのがかわいいところ。親しみを感じずにはいられません。

またネートは、事件が起こると捜査の前に必ずママに置手紙を残してから出掛けます。今回は一体どんな内容を書くのか、シリーズを読むうえで楽しみのひとつになるでしょう。

児童書だからとあなどるなかれ、物語の途中でちりばめられた伏線が見事に回収されて謎が解けるさまは、大人が読んでもうなるものがあります。初めて推理ものを読む子どもにもおすすめの一冊です。

 

「ぼくはめいたんてい」シリーズの個性豊かな仲間たちが続々登場『まよなかのはんにん』

 

『まよなかのはんにん』は、「ぼくはめいたんてい」シリーズの第2弾。タイトルのとおり、今回の事件は真夜中に起こります。

依頼人は、ネートの隣の家に住んでいるオリバー。いつも後ろをついてきて、追いついたら最後、絶対に離れません。
 

「このきんじょに
ごみをあさりにくるやつがいるんだ。
うちのごみのカンがまいばん、ひっくりかえされているんだ。」
と、オリバーはいいました。
「なんとかしてくれない?」(『まよなかのはんにん』より引用)

 

著者
マージョリー・ワインマン シャーマット
出版日
2014-04-01

 

今回の捜査はとてもスリリング。真夜中にゴミ箱の中で息をひそめて犯人を待つ様子に、読者は手に汗を握ってしまうかもしれません。

電柱に激突したり、スカンクにおならをひっかけられたりしながら、ネートは身体を張った捜査を続け、ついに犯人を突き止めました。家に帰ると、ぐったりと横になるネート。今回はとてもお疲れのようです。

またネートの相棒である犬のスラッジや、オリバー、ロザモンド、エスメラルダなど個性的な仲間も登場。今後の「ぼくはめいたんてい」シリーズのさらなる盛り上がりを期待させてくれるでしょう。

真夜中に現れた犯人は、とても意外なものでした。一体何者だったのでしょうか。

 

名探偵ネートの休暇中に起こった事件とは『なくなったかいものメモ』

 

「ぼくはめいたんてい」シリーズの第3弾。パンケーキを食べながら休暇をとっているネートのもとに、仲良しのクロードがやってくるところから始まります。

クロードは、いつも無くしものをしたり道に迷ったりしている男の子。今回も、スーパーへ行く途中で案の定大切なメモをなくしてしまい、探してほしいとお願いしてきました。ネートは休暇は中断、さっそく捜査を始めます。

「しおに、ミルクに、バターに、 
こむぎこに、さとうに、まぐろのかんづめ。」(『なくなったかいものメモ』より引用)

手がかりは、クロードが思い出したメモの内容の一部分だけ。果たして名探偵ネートは、無くなった買い物メモを見つけ出し、再び休暇をとることができるのでしょうか。

 

著者
マージョリー・ワインマン シャーマット
出版日
2014-06-01

 

せっかくの休暇を邪魔されても、名探偵ネートは事件解決のために手を抜くことはありません。クロードが記憶していたほんの少しの手がかりだけで、買い物メモを見つけてしまう推理はお見事のひと言です。

シリーズに毎回登場し、奇想天外な行動でネートや読者を驚かせる変わり者ロザモンドは、今回は全身真っ白、粉だらけの姿で登場します。頭からつま先まで白くなった姿に思わずクスっと笑ってしまいますが、これも真相につながる重要な伏線。見逃してはいけないのです。

物語の最後には「めいたんていのこころえ」がついています。これを読めば、ネートのような名探偵になれるかもしれません。

 

ホラーな雰囲気にゾクゾクする「ぼくはめいたんてい」シリーズ『ハロウィンにきえたねこ』

 

『ハロウィンにきえたねこ』は、「ぼくはめいたんてい」シリーズの第13段。10月31日、ハロウィンの最中に事件が起こります。

魔女やピエロ、ドラキュラなど、みんな思い思いの仮装を楽しむなか、変わり者ロザモンドの飼い猫、小さいヘックスがいなくなってしまいました。

名探偵ネートは小さいヘックスを探すために、相棒の犬スラッジを連れて、おばけが集まりそうな古い屋敷に潜入します。何も見えない暗闇のなか、無事に子猫を見つけることができるのでしょうか。

 

著者
マージョリー・ワインマン シャーマット
出版日
2013-10-01

 

全体的に暗い色彩で、ホラーな雰囲気が漂う本作。牙をひんむいて「赤ずきん」のおばあさんに仮装する犬のファング、真っ暗なお化け屋敷、暗闇を照らす懐中電灯の頼りない光……挿絵も恐さをエスカレートさせています。

子猫はいったいどこに隠れていたのか、あっと驚く結末は大人でも推理することは難しいでしょう。

巻末のおまけページ「ハロウィンのにんきのいしょうトップ20」も必見です。ハロウィンが近づいてきたら、ぜひ読んでみてください。

 

「ぼくはめいたんてい」シリーズはスリル満点な真夜中の捜査も楽しめる『ねむいねむいじけん』

 

「ぼくはめいたんてい」シリーズでは、たびたび真夜中に事件が起こります。第9段の『ねむいねむいじけん』もそうです。

ある日の真夜中、かかってきた電話で叩き起こされたネート。電話の主は変わり者のロザモンドです。飼い猫の枕カバーがなくなってしまい、それがないと猫が眠れないので困っているというのです。ネートはしぶしぶながらも依頼を引き受けることにしました。

真夜中の外は、暗くて、寂しくて、冷たくて、身体が震えます。眠い目をこすりながら、名探偵ネートは消えた枕カバー事件の解決に乗り出しました。

 

著者
["マージョリー・ワインマン シャーマット", "ロザリンド ワインマン"]
出版日
2014-12-01

 

ロザモンドに終始振りされるネートはちょっと気の毒。でも文句も言わずに、依頼を受けたら責任をもって事件を解決するネートはとてもかっこいいです。何を語らずとも、彼の器の大きさと優しさが伝わってくるでしょう。

今回の巻末は「ひみつのあんごうひょう」と「ネートのとっておきのパンケーキ、ラトケスの作り方」。読後も楽しめる仕掛けが充実していて、読者を楽しませてくれます。

子どもたちにとって日頃経験することのない真夜中の散策は、刺激がいっぱい。胸がときめく読書体験ができるでしょう。

 

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