『組長娘と世話係』が面白い!幼女とヤクザのほっこりストーリー

更新:2021.11.28

暴力上等の組員が命じられたお役目は、なんと組長娘の世話係!? 裏の世界に生きるヤクザ達と、小さな女の子が織り成すほっこりするようなハートウォーミング作品『組長娘と世話係』は、疲れた心を癒してくれる和やかな雰囲気に満ちています。組長娘だけではなく、組の構成員達にも萌えてしまうこと必至な本作の、見所や魅力をご紹介しましょう!

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『組長娘と世話係』が面白い!【あらすじ】

暴力で大体の事を解決しようとしてしまう、暴力団「桜樹組」の若頭・霧島透(きりしま とおる)。「桜樹組の悪魔」とおそれられる彼でしたが、ある日、組長である桜樹一彦(さくらぎ かずひこ)の命令により、彼の娘・八重花(やえか)の世話係をする事になってしまい……!?

組長娘と世話係 1 (コミックELMO)

2018年12月24日
つきや
マイクロマガジン社

ただでさえ、子守の経験がない霧島。そのうえ感情表現が乏しい八重花とのコミュニケーションに、暴力ばかりだった彼は四苦八苦しどおしです。

桜樹組の奇妙な日常が始まります。

『組長娘と世話係』の魅力1:キャラクター達が可愛い……組の関係者とは思えない!

『組長娘と世話係』の魅力1:キャラクター達が可愛い……組の関係者とは思えない!
出典:『組長娘と世話係』1巻

あらすじでもご紹介した通り、本作は暴力団「桜樹組」と、その関係者達の物語。さぞや血で血を洗うような凄惨なエピソードがくり広げられる……かと思いきや、実態はヤクザ達も含めて、可愛らしい印象を受けるキャラクターばかりのハートウォーミングコメディなのです。

まずは、そんな魅力的なキャラクター達についてご紹介しましょう。

霧島透(きりしま とおる)

本作の主人公であり、桜樹組の若頭を務める男。常にヘラヘラとした笑顔を浮かべていますが、正体は面倒な事を何でも暴力で解決しようとする、生粋の武闘派ヤクザです。そのため、「桜樹組の悪魔」と呼ばれるほどの悪名高さを誇っています。

そんな冷徹な印象を受ける彼ですが、八重花の世話係として任命されてからは、彼女どう接していいかわからない、あたふたしてしまう様子を見せます。そして徐々にすれていた心に人としての温かみが感じられるように変化していくのです。

彼と八重花のやり取りは思わず悶えそうになってしまう程に和むものとなっているため、心が疲れた時に沁みる内容です。

桜樹八重花(さくらぎ やえか)

桜樹組組長である一彦の娘で、内気で人見知りな女の子。ひょんなことから世話係を命じられた霧島に当初こそ距離を置いていましたが、徐々に親愛の情を寄せるようになっていきます。

父親同様に感情表現が希薄なため、なかなか周囲には気持ちが伝わりにくい事もしばしば。ですが、年相応の子供らしい面もあるため、慣れてくると彼女の気持ちがわかるようになるそうです。

 

出典:『組長娘と世話係』1巻

杉原恵(すぎはら けい)

桜樹組の舎弟頭を務める優男で、作中におけるイジられ役。感情表現が豊かで、よく笑い、よく泣きわめく様子が随所で描かれています。霧島からは雑な扱いをされがちではありますが、可愛がられてはいるようで、飲みに連れて行ってもらう事もあるようです。

本人も、なんだかんだで霧島に敬意を抱いています。

桜樹一彦(さくらぎ かずひこ)

桜樹組の組長であり、八重花の父親。とにかく厳格な印象を受ける人物ですが、娘にはめっぽう甘く、授業で描いた絵をプレゼントされた際には涙ぐんでしまうほどの親バカです。

黒崎香菜美(くろさき かなみ)

八重花の叔母で、常に明るく優しい女性。「くろさき」という食事処を営む女店主で、誰にでも分け隔てなく接することが出来る人格者です。霧島に対しては、八重花の世話をするにあたってのアドバイザーとしての役割を担っています。

誰もが魅力的な部分を持ったキャラクター揃いですので、ぜひお気に入りの人物を見つけてみてはいかがでしょうか。

『組長娘と世話係』の魅力2:思わず顔が綻ぶほっこり感……

『組長娘と世話係』の魅力2:思わず顔が綻ぶほっこり感……
出典:『組長娘と世話係』1巻

 

本作ならではの魅力ともいえるのが、登場キャラクターたちの掛け合いによって生まれる、ほっこりした空気感でしょう。

霧島と八重花の仲睦まじい様子もさることながら、霧島と杉原のユルイ上下関係や、一彦の親バカ全開な甘々っぷりなど個々のキャラクターが活き活きと動き回っています。特に、八重花を中心としたエピソードが生み出す和やかなムードは、素晴らしいの一言です。

 

出典:『組長娘と世話係』1巻

具体的なエピソードについては後程ご紹介しますが、一見無表情で子供らしくないように思える彼女が、心を許した人間にだけ見せる少女らしい面の数々は、読者の心を鷲掴み。

また、霧島が少しずつ八重花への歩み寄り方を学んでいくのも、子育て中の親の苦労を見ているようで、心暖まるもの。心がささくれ立っている時に最適な作品なのです。

『組長娘と世話係』の魅力3:しっとりした面白さ!ちょっとシリアスな展開がよいアクセント!

『組長娘と世話係』の魅力3:しっとりした面白さ!ちょっとシリアスな展開がよいアクセント!
出典:『組長娘と世話係』1巻

ほっこりとした暖かみのあるエピソードが中心の本作ですが、時折、切なさを感じるような話もあります。

たとえば、八重花が学校の授業参観に来てほしいということを家族や組の誰にも言えず、1人で寂しさを抱えたまま……というエピソードがあります。

家族が暴力団であるということもあり、基本的に誰にも弱音を吐くことも、甘えることもしないで、周囲に気を使ってしまうのです。しかし、一方で心の中では年相応の寂しさに耐えながら過ごしている、というなんとも切ない設定。

本作ではこうしたエピソードを前段として描き、その後にそれを解決する結末が丁寧に描かれます。読後感は登場人物の救済から生じる爽やかさが一層増すのです。

本作のほんわかエピソードを強調するためのエッセンスとして、時折やってくるシリアス展開のしっとりさも重要なのです。

『組長娘と世話係』ほっこりエピソードをネタバレ紹介!:授業参観

『組長娘と世話係』ほっこりエピソードをネタバレ紹介!:授業参観
出典:『組長娘と世話係』1巻

それでは最後に、本作のなかでもおすすめのほっこりエピソードを、2つご紹介しましょう。

1つ目のおすすめエピソードは、先ほどご紹介しました「授業参観」にまつわるエピソード。組長である一彦は授業参観には参加できず、叔母の香菜美は飲食店の対応で出向くことが出来ません。そのため、誰にも何も言わないまま、1人で学校に向かった八重花。
 

これに対し世話係の霧島は、授業参観は家族が行くものであり、八重花にとって知らない人である自分には声がかからない、と考えます。

それに対し、香菜美は霧島だからこそ授業参観に行き、八重花の「家族」になるべきだと背中を押すのでした。実際にこのエピソードの後から、彼に対する八重花の態度が明らかに柔らかくなるのです。

2人の関係が目に見えて進展したことがわかる、重要なエピソード。本作を読み進めるうえでは、必読の内容といえるでしょう。

『組長娘と世話係』ほっこりエピソードをネタバレ紹介!:やさしいひと

『組長娘と世話係』ほっこりエピソードをネタバレ紹介!:やさしいひと
出典:『組長娘と世話係』1巻

作品全体を通して、ほっこり度が最上位なのは、このエピソードではないでしょうか。

参観日に来てくれて以降も八重花のために行動してくれる霧島。そんな彼に対して、八重花は「きりしまって なんでそんなにやさしいの?」と尋ねるのです。

もちろん、そんな自覚がない霧島は怪訝な顔をしますが、自分のためにしてくれたことを覚えている八重花は「わたしも きりしまみたいに やさしいひとになりたい」と、真っ直ぐに彼を見つめて言うのでした。

それに対し、柄にもなく思い切り吹き出して笑ってしまう霧島。この事がきっかけで仕事という枠を超えて、本格的に八重花に対しての愛情を抱くようになっていきます。

2人の信頼関係が、相互的に確固たるものになった瞬間のエピソード。霧島でなくとも、この回の八重花の可愛さには心を溶かされること請け合いですので、ぜひチェックしてみてください。

 

著者
つきや
出版日
2018-12-24

 

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