いもしない彼氏の話をでっち上げる見栄っ張りな女子高生・篠原エリカ。偶然出会った爽やかなイケメンを彼氏だと偽ったところ、まさかの同じ学校だと判明!それをきっかけに、彼から「嘘をバラされたくなかったら犬になれ」と脅されることに……。 2人はどうなってしまうのでしょうか?そして、エリカの嘘はバレないのか?先がつい気になってしまう作品です。 嘘つき少女と意地悪な少年の、素直になりきれない恋心が見所の『オオカミ少女と黒王子』の魅力をご紹介します!スマホアプリからは無料で読むこともできますよ。
高校生の篠原エリカは、友人たちの話についていくために架空の彼氏を作り上げ、自作自演で彼氏がいるよう装っていました。
そんななか、ついにそれが嘘だとバレそうになった彼女は、街中で見つけたイケメンを隠し撮りして彼氏だと偽ることに。
しかし、そのイケメン・佐田恭也は、なんと同じ学校の有名人!再び嘘がバレそうになるのです。
意を決し、優しく爽やかな彼に協力を申し出たエリカ。彼は承諾してくれます。が、爽やかに見えた彼はただの仮面で、「協力してほしかったら言うことを聞く犬になれ」と言い放つのです。
そんなきっかけで交流を持つようになった2人。当初は反発してばかりでしたが、いつしか互いに惹かれあっていくようになり……。
- 著者
- 八田 鮎子
- 出版日
- 2011-10-25
エリカとドSな恭也の恋の行方にページをめくる手は止まらなくなってしまう『オオカミ少女と黒王子』。この記事では、そんな本作の魅力を紹介していきます。
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2002年に集英社の「別冊マーガレット」からデビュー。その後も、集英社のマーガレット系列の雑誌で漫画を描き続けています。
代表作でもある本作『オオカミ少女と黒王子』は落選したものの講談社漫画賞少女部門にノミネートされるなど、人気と注目を集めた作品となりました。
- 著者
- 八田 鮎子
- 出版日
- 2017-01-25
少女漫画の定番といえばやはり「高校生」ですが、八田の作品もその多くが高校生を主人公にした少年少女のお話になります。『オオカミ少女と黒王子』も高校生たちの恋愛と青春のお話です。
八田作品は主人公である女の子が非常に明るく元気で、正直という特徴もあります。恋愛面に関しては素直になれないけれど、他の自分の感情や考えに関しては正直に伝えて表現できる、少女漫画の主人公らしい主人公というのが印象的です。
タイプは違うものの、どの作品でも元気な女の子が相手を巻き込んでいくというスタイルが多く、八田の定番ともいえるでしょう。しかし、どれも似たり寄ったりになることはなく、それぞれキャラクターが立っており、きちんと違う作品になっています。
主人公のエリカは、見栄のためにポロポロ嘘をついてしまうものの、本心をさらけ出せる相手には、きちんと自分の考えや正直な気持ちを真正面からぶつけられる素直さを持っています。
見ず知らずの恭也を彼氏だと偽ったうえで本人にそれを打ち明けるあたり、すごい精神力の持ち主ですよね。よく知らないイケメンに対して、自分が嘘つきであり、彼氏と偽っていたと伝えるのは、なかなかキツイものがあります。
- 著者
- 八田 鮎子
- 出版日
- 2012-01-25
そして、その後も自分の恋愛観や喜怒哀楽をきちんと表現し、パシリのように扱われながらも、相手が苦しんでいたら寄り添える優しさ持つ、まさにバカ正直な人物。相手が冷たいやつだと理解していながら、傷つく可能性を感じながら「好きだ」と伝える姿勢も、彼女の素直さの表れでしょう。
どんなことがあっても、何を言われても、打算も裏も何もなく、心からの気持ちを言えるのはエリカの長所であり、作品を読むうえで欠かせない魅力になります。ときに傷つきながらも、常に直球勝負で向かっていく彼女の姿は、見ていて自然と応援したくなります。
嘘つき少女の協力要請から始まる偽の恋人、というのは決して王道な設定ではありません。しかしストーリーは、女の子が好きな男の子に振り向いてもらえるよう頑張りながら、困難を経験し、さらに想いを確かなものにしていくという王道の展開。本作を多くの人におすすめできる理由となっています。
- 著者
- 八田 鮎子
- 出版日
- 2012-04-25
しかし、王道だからといって既視感があったり、つまらなかったりするわけではなく、キャラクターの個性が本作の「らしさ」を作り出しています。
最終的に2人は幸せになれるのだろうという安心感を持てる王道の展開をなぞりつつ、なんでも素直に受け取りすぎるエリカが本作を予想外の方向へ持っていくのです。この主人公ならではの驚かされる反応や展開が本作のスパイス的な立ち位置になっており、独特の魅力でもあります。
本作とおしての魅力は、エリカと恭也の力関係が徐々に変わっていく姿ではないでしょうか。恭也はもともとエリカの弱みを握り、彼女を「犬」として使いっ走りのようにコキ使っていました。
そんな彼がエリカと付き合い、どんどん彼女に惹かれていくなかで、今までの彼だったら想像できないような行動を起こすことが増えていきます。エリカの言うことを叶えようと努力するなど、恭也のほうが従うような場面が増えていくのです。
- 著者
- 八田 鮎子
- 出版日
- 2012-08-24
もちろん、素直に愛情を伝える分、エリカの方が恭也に従うことも多いのですが、無意識のうちに彼女の望んだ展開になっていることが多くなっていきます。エリカがいつまでも素直で正直でまっすぐぶつかってくるので、しだいに恭也もそれに影響されてしまったのでしょう。
エリカ自身、彼に従いながらも自分が本当に正しいと思ったことは決して譲らない性格。特に本当の交際が始まって本心でぶつかるようになってからは、エリカ色に染まっていく恭也の姿が見られます。非常に微笑ましく、巻を追うごとに見応えが増す見所です。
嘘の交際から始まった2人の関係は、恭也がエリカを手放せないことを自覚したことで本物に。本当の恋人同士になってからは、エリカは今まで以上に恭也と恋に夢中になっていくのです。それを鬱陶しいと思いつつも、恭也も彼女を無下にすることはできません。
- 著者
- 八田 鮎子
- 出版日
- 2016-04-25
ときに喧嘩し、ライバルが現れて仲違いしても、なんだかんだ仲良く過ごす2人。しかし、エリカが進路を決めたことによって、2人に変化が訪れます。エリカを想い、手放したくないがゆえに、恭也は彼女の自由を奪おうとしてしまったのです。
そんななか、エリカの親友・さんちゃんの叱責(渾身のビンタ!)を受ける恭也。親友の幸せを切に願う言葉で、読者の心にも響いてきます。
それを受けて思い直した恭也は、エリカを送り出すことを決意。そして、彼女が京都の大学に進学し、遠距離恋愛が始まることに。
それまでの間は、一緒にいられる残りわずかな時間を大切にし、互いへの想いを確かめ合うのです。
ここで見られる、素直な恭也の本心は必見。遠距離恋愛でも大丈夫、と思われる絆の強さを感じられるでしょう。
ついに迎えた、卒業式当日。エリカと恭也は学校を回りながら、今までの思い出を振り返ります。嘘から始まった関係。それでも今はお互いを何よりも大切にし、充実した高校生活を送れたと実感するのです。
最終巻となる本巻では、高校卒業後に遠距離恋愛する様子や、同棲中、さらにその後のラブラブな2人を見ることができます。
そんな本巻での見所は、ついに家族となった2人と愛娘・結奈、3人の話ではないでしょうか。
- 著者
- 八田 鮎子
- 出版日
- 2016-05-25
未来のシーンでは、最初の頃のドSさが信じられないほどに優しく、丸く、穏やかな恭也の姿を見ることができます。エリカも変わらず彼のことが好きで仕方ない様子で、非常に微笑ましい気持ちにさせられるでしょう。
本編内で結婚し、子どもがいるところまで描く少女漫画は珍しいですよね。ダイジェストでさらっと描くことはありますが、1話丸ごとガッツリ描き切るのは、なかなかにレアです。
恭也にゾッコンなエリカは娘ができたらヤキモチを妬くのでは……?と想像した人もいるでしょう。しかし、意外とそんなことにはなりません。エリカの子供に対する接し方は、彼女自身がどれだけ両親に大切にされてきたかわかる描写です。
家族との縁が希薄だった恭也も、子どもが生まれたことである変化が訪れます。そちらも要注目です。
お互いに嬉しい思いも、辛い思いも、たくさんしてきた恭也とエリカ。そんな2人が今一緒にいることを幸せで当たり前の日々だと思えていることは、長らく読んできた読者にとっても幸せなこと。
大切な人と一緒にいる幸せを噛み締めようと思える最後の話は、読み終わったあと胸が温かくなるはずです。その幸せな2人の姿は、ぜひ本編で最終巻まで読んでお確かめください。
テレビアニメ化、実写映画化がされるなど非常に人気の高い『オオカミ少女と黒王子』。たくさんすれ違い、たくさん喧嘩をするなかで、友情も恋も謳歌する、まさに青春を詰め込んだような作品です。一途なドS男子が好きな人、飾り気のないヒロインが好きな人には、とてもおすすめの漫画となっていますよ。