原作『ブラック・クランズマン』あらすじ、5の見所ネタバレ!衝撃の実話小説

更新:2019.3.27

本作は、黒人警察官が、アメリカの白人至上主義団体に潜入捜査をする様子が語られているノンフィクション作品。「事実は小説よりも奇なり」という言葉のように本作も創作かと疑ってしまう展開ですが、すべて実話なのです。 本作の映画化作品は大きな話題を呼び、アカデミー賞で6部門にノミネートされました。この記事では、あらすじや見どころを、紹介していきます。

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原作『ブラック・クランズマン』あらすじをネタバレ紹介!祝・映画化【アカデミー賞ノミネート】

本作は、1970年代に実際に行われた潜入捜査をモチーフとしたノンフィクションです。作者であり主人公、語り手でもあるロン・ストールワースはアフリカ系のアメリカ人。彼が生まれたところから始まり、警察官として同僚のチャックと組み潜入捜査をする様子が描かれます。 

幼少期や学生時代を経て、ロンはコロラド州コロラドスプリングに引っ越し、法に興味があったことから、警察官になりました。コロラドスプリング署初の黒人警察官で、主に覆面麻薬捜査員として活躍します。  

彼は毎日新聞を読み、担当以外にも町に悪い影響を与えるような情報がないかチェックするという仕事がありました。そんなある日、ロンは「KKK(クー・クラックス・クラン)」という、白人至上主義団体がメンバーを募集しているのを目にします。 

彼は情報収集になればと思い、自分を白人と偽り、広告に記載された先へ手紙を送りました。うっかり本名で送ってしまい、自身は黒人の警察官でありながら、有色人種を嫌い憎む白人男性として「KKK」に接触していくことになります。

著者
ロン ストールワース
出版日
2019-02-28

2014年に出版されましたが、2015年には映画化権が購入されるなど、早くから注目を集めていた本作。

2018年にカンヌ国際映画祭でプレミア上映が開催され、2018年8月10日に全米公開。アメリカの映画の祭典、アカデミー賞には6部門にノミネートされ、脚色賞を受賞しました。2019年3月22日より、日本での上映も開始されています。
 

アメリカでの出版以降、日本での翻訳版は発売されていませんでしたが、2019年2月28日に日本語訳版がPARCO出版より出版されました。

『ブラック・クランズマン』見所1:まさかの実話!これがアメリカのリアル……?

アメリカは自由の国といわれていますが、今でもまだ人種差別的な考え方が残っています。

1800年代、アフリカ大陸に住む人々は、広大な農地を開拓するための労働力として売られてきました。同じ人間としての扱いはなく、過酷な労働に加え、意味なく虐げられることも少なくありませんでした。 

リンカーン大統領の「奴隷解放宣言」や、キング牧師らによる黒人差別撤廃運動など、人種差別撤廃の動きは起こっていますが、差別的な考えがなくなったわけではありません。2000年代となった現在でも、差別的意識は残っており、テロや紛争、犯罪の原因となることもあります。  

本作は1970年代、実際に起こった出来事です。この時のアメリカは、ベトナム戦争やオイルショックが起こり、どこか不穏な空気が流れていました。1960年代後半は「ブラック・パワー」など黒人の力に注目が集まっていましたが、それもやや沈静化されていた時期でもあります。 

有色人種は街を歩くだけでいわれなき誹謗中傷を受けることや、暴力を振るわれることがあったのです。「KKK」は、暴行事件を起こすなど、過激な行動も目立っていたため、偶然とはいえ捜査の対象となりました。根強い差別意識の残る、リアルなアメリカの姿はきっと衝撃的でしょう。 

『ブラック・クランズマン』見所2:白人至上主義団体KKKのおそろしき実態!

ロンが潜入捜査をすることになる組織・KKKは、1865年に誕生しました。主に北方人種を至上と考える団体で、黒人やアジア人、ヒスパニックなどの他人種、カトリック教徒の市民権に異を唱え、同性愛者の権利、性格差をなくそうという動きにも反対の姿勢を見せています。 

北方人種とは、髪はブロンド系、肌はメラニン色素が少なく、虹彩も薄いといったような外見的特徴を持った人種。彼らは北方系の白人のみがアダムの子孫であり、神に選ばれた存在なので、他の人種よりも優先されるべきだという主張をしています。  

19世紀には、結社を結成するのが流行していたこともあり、1865年に国が推し進める占領統治に反対する組織としても誕生しました。

会員が増えると、反奴隷解放も主張に加わり行動は激化。トレードマークともいえる頭をすっぽりと覆う白い三角巾と、丈の長いローブのようなものをまとった会員たちが、たびたび黒人を脅すという事件が発生しました。その行動は、団体に反対する白人に暴行したり、黒人を殺害するなど、しだいにエスカレートしていきます。 

世界大戦時には幹部の不祥事などもあって活動は縮小されていましたが、本作の舞台となる1970年代は徐々に息を吹き返していたころでした。特に、ロンが警察官として勤務しているコロラド州は、州知事がKKKの会員だということもあり、組織にとって活動しやすい環境だったようです。  

「白人が一番」と主張を続け、過去には物理的な方法で排除を試みたこともある彼ら。ロンが情報収集をしようと思い立ったことから、何らかの犯罪を起こす可能性がある組織ととらえられていたのでしょう。彼にとっては天敵ともいえる組織です。  

『ブラック・クランズマン』見所3:KKKに黒人刑事が潜入捜査!? 主人公・ロン

本作の主人公・ロンとは1953年6月18日、シカゴで生まれました。しかし、当時のシカゴは暴動や紛争が絶えず治安が悪かったこともあり、比較的安定していたテキサス州エルパソに移住。

高校生時代には生徒会メンバーも務めるなど、生徒から人気があったのだとか。コロラドスプリングスに移住後は、コロラドスプリングス署初の、アフリカ系アメリカ人の警察官となりました。  

元々は麻薬の捜査を担当していましたが、新聞をチェックしているときに偶然見つけたKKKに手紙を送ったことから、潜入捜査を任されるようになります。のちに白人の同僚、チャックと2人1役を演じることになるのですが、電話での接触はロンが担当していました。

言葉巧みに人の心をつかみ、9か月間の捜査中、幹部の信頼まで勝ち取ってしまう才能の持ち主である、この主人公。ユーモアがありながら、冷静さを失わないところが魅力的な人物です。

『ブラック・クランズマン』見所4:黒人と白人の刑事がタッグを組む!2人で1役!?

彼らとは手紙や電話でやり取りをしていましたが、意気投合すると、面接をしないかと誘いがありました。ロンは白人であると偽っているため、会いに行くことはできません。しかし、ここで面接を拒否してしまえば怪しまれてしまいます。 

そこで、白人の「ロン」を担当する捜査官が、新たに任命されることとなりました。抜擢されたのは、ロンの同僚刑事のチャック。電話での捜査を担当するロン、外に出て実際に会員たちと会う役割をチャックが担うことになりました。

2人はまったくの別人であり、声が似ていたという話もありません。電話での声は誤魔化すことはできますが、細かいクセや話し方はどうなっていたのでしょうか。 

 

潜入にあたり、チャックはロンの声や話し方を徹底的に真似ることはありませんでした。ロンの真似をさせず、本来の自分の性格にできるだけ忠実でいることが、潜入捜査には大切なのだと話しています。

完璧な設定でも、いつかボロが出てしまうもの。ありのままでその場にいれば、少なくとも矛盾が生じたとしても、足元をすくわれることはありません。  

しかし彼らは、電話のロンと目の前にいる白人のロンを同一人物だと信じて疑わなかったのですから、2人の考え方や性格はもともと似ていたのかもしれませんね。

 

 

『ブラック・クランズマン』見所5:ラストまで目が離せない!捜査の行方は?【結末ネタバレ注意】

うまくいかないと思われていた捜査でしたが、ロンとチャックはKKKメンバーたちの信頼をつかみ取り、徐々に組織の中で力をつけていきます。

捜査は9か月間にもおよびましたが、はたしてうまくいくのかどうか。捜査官たちの、綱渡りのような捜査が続けられます。 

著者
ロン ストールワース
出版日
2019-02-28

本作の見どころは、組織の内部に深く切り込んでいくところでしょう。

大物幹部と接触しているシーンは、まさに知力のぶつかり合い。相手は狡猾な人物ですが、ロンも負けてはいません。軽妙な語り口ですが、手に汗握ってしまう展開です。捜査の行方はどうなるのか、ロンたちが最後に掴んだものとは……?

本作のモデルとなった出来事は、誰もが忘れない歴史的な事件という訳ではありませんが、本当のアメリカのことをよく知らなかった、と学ぶところの多い内容です。自由で明るいイメージの国にも、人種差別など根強い闇が潜んでいることを実感します。
 

小説のような緊迫感やハラハラ感が味わえる本作。気になった方はぜひ、手にとって読んでみてくださいね。

原作と映画には様々な相違点があります。チャックとフリップの名前や設定、年代も異なるなど、違いを発見するのも面白いのではないでしょうか。どちらも手軽に楽しめる要素がありながら、作品の問いかけは重いもの。人種の違いとは何なのかを考える、よいきっかけになりそうです。

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