女の子が大好きで遊び人な高校生・片倉結平(かたくらきっぺい)は、実家で預かることになった従姉妹・ゆずゆの面倒を見ることに。ゆずゆとの出会いによって、結平は家族の大切さや、人を大切にすることなどをあらためて実感していきます。様々な家族の形を描いた本作は、連載終了から時間は経っても色あせない名作です。 子供のころに読んでいた方は、大人になった今読み返してみると、新しい発見があるかもしれません。無料のスマホアプリで読むことができるので、気になった方はぜひそちらからも読んでみてくださいね。
学校へ行っても女の子と遊んでばかりの高校生・片倉結平。
自由気ままに暮らしていた彼は、ある日従姉妹のゆずゆ(5歳)の面倒を見ることになりました。最初はただ言われるがまま面倒を見ていた結平ですが、自分を慕ってくれるゆずゆに次第にほだされていくように。
ゆずゆとの出会いで結平は、今までとはまるで違う日々を楽しみます。そのなかで、さまざまな家庭の事情を知っていくことになり……。
- 著者
- 槙 ようこ
- 出版日
- 2010-11-18
ゆずゆが片倉家に預けられた理由は、夫の死をきっかけにゆずゆの母・都が蒸発してしまったことにあります。果たして、ゆずゆはもう一度母親と暮らすことができるのでしょうか。
人との関わりの温かさや大切さを教えてくれる『愛してるぜベイベ★★』の魅力をネタバレを交えて紹介していきます。
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1999年にデビューしてから、集英社の月刊誌「りぼん」などで連載を持つ少女漫画家。一時体調不良で活動を休止していたこともありますが、再び連載を持つなど、根強い人気のある方です。
- 著者
- 槙 ようこ
- 出版日
- 2016-10-25
彼女の作品は、キャラクター自身の成長に重きを置いているのが特徴的。しかも少女漫画で定番化されている「恋愛をとおして成長していく」という流れではなく、ほかの出来事で成長したことが恋愛に変化をもたらすというパターンが多いのです。
キャラクターが恋愛をするのは、自分が変わるきっかけがあってから。そこが従来の少女漫画とは違うところかもしれません。
2019年4月現在は『きらめきのライオンボーイ』を「りぼん」にて連載中です。また、彼女の実妹も漫画家デビューをしており、姉妹揃って第一線で活躍されています。
槙ようこの作品を紹介した<槙ようこのおすすめ漫画5選!大人になった今こそ読みたい少女漫画>の記事もおすすめです。あわせてご覧ください。
女遊び以外はあまり興味のなかった男子高校生と、母親に置いていかれ心に傷を負った無垢な幼稚園児を中心に、「家族」をテーマにした作品です。
最初は親や姉に言われるがまま、ゆずゆと接していた結平ですが、すぐにメロメロになる姿は、さすが女好き。一見何も考えていないように見えますが、お弁当を作ったり、彼女よりゆずゆを優先するなど、しっかり面倒をみている姿はとても魅力的です。
たまに気の利かないこともありますが、それでもゆずゆのために一生懸命動く姿に好感が持てるはず。
また、ゆずゆはとても素直で、純真無垢なかわいい女の子。丸めただけの具のないおにぎりで喜んだり、いろいろ面倒を見てくれる結平に「好き」というなど、まっすぐな可愛さがあります。
結平の彼女である心にヤキモチを妬くものの、彼女のことは好きで、心と結平が一緒に居られるよう提案したり、子ども独特の悟りを見せたりするのも無邪気でかわいいポイントです。
しかし、ときに見せる「母親に会いたい」と泣く姿には、子供だからこそ大人の事情で振り回されている彼女の心情を感じ、胸を締め付けられてしまいます。
ゆずゆの行動に癒されつつも、物語は徐々に失踪したゆずゆの母・都のことになるシリアスな展開に変化していきます。片倉家、ゆずゆ以外にもさまざまな「家族の形」に焦点が当たりますので、ぜひ注目してみてくださいね。
新しい生活にも慣れ始めたころ、ゆずゆは同じ幼稚園に通う翔太と友だちになりました。きっかけは、転んだゆずゆに翔太が絆創膏を渡し、結平を褒めたこと。明るく気さくで、気遣い上手な翔太にゆずゆはどんどん惹かれていきました。
そんなある日、幼稚園の保護者参観で、翔太が母親に叩かれているところを目撃し、ゆずゆは泣いて騒ぎます。騒ぎを聞いた幼稚園側も、翔太の体の痣を確認し「家に帰すことはできない」と母親に伝えたものの、彼自身が立ち去る母親を追っていってしまいました。
翔太はどんなことを言われても、何度叩かれても、母親のことが大好きだったのです。子どもにとって親はどんな人間性であれ大切な存在、または依存しなければ生きていけないものだということがわかります。
その後、結平に諭された翔太の母親は新天地で再出発を決めます。このことは、結平のなかで「子育て」について考えるきっかけになったのではないでしょうか。
親も子も1人の人間同士。だからこそ、きちんと向き合っていかなければいけないと思わされる話です。
すれ違いからスタートした修学旅行。
まだグループを決める前、心に好意を寄せる男子生徒・板垣が、無理やり心にキスをしたことがきっかけでギクシャクが始まります。そのショックから結平を拒絶し、また友人たちに合わせる顔もなく、1人別のグループへと入ることになってしまうのでした。
心に拒否されたこと、一緒に居られないことに打ちひしがれた結平。旅行中に1人でいると、板垣がやってきました。心に告白したことを聞いた桔平は、その日の夜、彼女とゆっくり話し合いをすることになります。
なぜ自分を拒否したのか、心が何に傷ついていたのかを知った結平は、怒りを募らせます。人の悪口は言わず人当たりのいい結平ですが、板垣のことを拒絶するような態度を見せ、諦めるように直接言いにいくのです。それだけ、彼女のことを大切にしているということが伝わります。
心も、結平が板垣を牽制してくれたことで、不安も迷いもすべて無くなった様子。ゆずゆとの話が中心の本作において、恋愛ごとで揉めるエピソードは新鮮で物語をまた違った方向から楽しませてくれます。
いつもゆずゆのことばかりで、あまり心との時間がとれない結平でしたが、修学旅行でゆっくりと話し合い、心とお互いの想いを確かめ合うことができました。
軽口の叩き合いはするものの、なんだかんだと仲良くしていた2人。しかし、結平が同じように幼い子を世話する転校生・あかりに気を取られている間に、心には心配事が。
何度か結平に話そうと試みるものの、無意識のうちにあかりに邪魔されていました。悩んだ末に、心は友人2人に打ち明けました。自分が妊娠したのではないかと不安に思っていたのです。
いつもツンとしてクールな心が、素直に自分の想いを打ち明けるシーンは非常にかわいいので、ぜひ注目したい部分ですね。
結平の提案により心も一緒に住むこととなった片倉家はより一層賑やかになり、ゆずゆの母親への想いも高まっていきました。
そんななか、片倉家に一通の手紙がとどきます。失踪した母・都からの手紙で、「ゆずゆの誕生日に迎えに行く」と書かれていました。
ついに迎えたゆずゆの誕生日。結平が夜な夜な作ったケーキのろうそくを吹き消したところで、インターホンが鳴ります。
- 著者
- 槙 ようこ
- 出版日
- 2011-02-18
突然子供を置いていき、何の連絡もよこさなかった都。それをいきなり、手紙ひとつで迎えにくるというのです。結平の母は、話を聞いたうえで、ゆずゆを引き取り育てるのなら、何度も顔を出して誠意を見せるよう伝えます。
一度子どもを置いていった人間に、簡単に引き渡すことはできません。しかし、行く行かないは周りが決めることではないのです。
翔太が虐待する母に着いていこうとしたように、子どもにとって親は特別で、決して代わりがあるものではないとわかっている結平。ゆずゆがもっとも望む道を与えようとします。
人生の中では、ほんの短い時間かもしれません。しかし一緒に過ごした時間は、2人にとってかけがえのないものだったことは、間違いないでしょう。
結平が考えた先には、何があるのか。2人は離れ離れで終わってしまうのでしょうか。ぜひ、実際に手にとってラストを読んでみてくださいね。2人の未来を、応援せずにはいられなくなるでしょう。
「家族の愛」というものを、血の繋がりではなく、人間同士の繋がりを描いた本作。家族でも、簡単にすれ違ってしまう、家族だからこそ、見えないものはあると教えてくれる作品です。