雨が降ると憂鬱な気分になる人も多いでしょう。そんな日におすすめなのが、読書です。この記事では、雨にまつわる小説や、気象の仕組みを解説した本、傘にまつわる本などを紹介していきます。雨の日にこそ、ぜひ読んでみてください。
- 著者
- 道尾 秀介
- 出版日
- 2012-01-28
母を亡くし、継父と暮らしている添木田家の兄妹、蓮と楓。母を亡くた後に父も亡くし、継母と暮らしている溝田家の兄弟、辰也と圭介。本書で描かれるのは、とある2組のきょうだいたちの姿です。
添木田家の兄、蓮は、継父を憎み、殺害計画を立てます。その一方で溝田家の弟の圭介は、母を殺したのは継母ではないかという疑念を抱いているのです。
たびたび視点が入れ替わり、よく似た境遇にいながらも、異なる悲しみを背負っている彼らの心情が繊細に記されていて、切なさを抱くでしょう。
大人への疑念や憎しみを消すことができず、彼らに寄り添ってくれる人もいません。作中では台風の影響でずっと雨が降り続いていて、まるでその悲しみを象徴しているかのようです。
そして、ある日とうとう事件が起きてしまいます。まるで龍神の咆哮のような雨がやむ頃、彼らは一体どうなるのでしょう。最後のどんでん返しまで、目が離せない展開が続きます。ぜひ雨の日にじっくりと読んでみてください。
- 著者
- 新海 誠
- 出版日
- 2016-02-25
日本を代表する映画監督の新海誠。美しく、そしてどこか文学的な雰囲気を醸し出す作品は、幅広い世代に支持されています。本書は、そんな新海誠の代表作のひとつ『言の葉の庭』を小説にしたものです。
靴職人を目指している高校生の孝雄は、雨が降った日は1限をさぼり、庭園で靴のデザインを考えることにしていました。とある雨の日の朝、彼は雪野という年上の女性と出会います。その日から、2人の密やかな交流が始まるのです。
やがて、2人の接点と、雪野が抱えている秘密が明らかになります。彼女を想う孝雄のまっすぐな気持ちと行動に、きっと胸を打たれることでしょう。
映画では描かれていない結末や、キャラクターたちの人物像により深く迫ることができるのも魅力です。新海誠の研ぎ澄まされた感覚から紡がれる、言葉の美しさをぜひ体感してみてください。
- 著者
- 荒木 健太郎
- 出版日
- 2014-06-23
毎日目にする天気予報。日々の天気を気にすることは多いと思いますが、一体なぜ雨が降るのか、そんなことに思いをめぐらすことはそう多くないかもしれません。気象の仕組みなどは学校の授業でも勉強してきたことですが、しっかりと理解していない方もいるでしょう。
本書は、雲の仕組みについて非常に平易な言葉で解説している作品です。難しい天気図ではなく、わかりやすいイラストを用いて楽しく学べるよう工夫がされているのが特徴。初めて気象について学ぶ方でも手に取りやすくなっています。
天気が悪い日こそ、なぜ雨が降るのか、雨を降らせる雲はどうなっているのか、学ぶのもいいかもしれません。最新研究も盛りだくさんで、空を見上げるのが少し楽しみになる作品です。
- 著者
- 林 秀信
- 出版日
- 2014-03-20
いまや、コンビニやスーパーなどで500円ほどで買うことができるアイテムとなった傘。折りたたみ傘を携帯する人も多いでしょう。
しかし、かつて傘は高級品で、当たり前のことではありませんでした。そんな傘を身近なものにしたのが、傘メーカー「ウォーターフロント」。傘を愛する社長のもと、約30人の社員が働いています。
本書は、「傘で世界を変えたい」という社長の志と取り組みが書かれた作品。ビジネスのノウハウというよりは、仕事に向かう姿勢を学ぶことができる一冊です。雨の日に欠かせない傘ができるまでには、どんな努力があり、どんな想いが込められているのか、本書を読んで知ってみてください。
- 著者
- 宮部 みゆき
- 出版日
- 1998-10-20
日本を代表する小説家の宮部みゆきが手掛けた、都会の片隅に生きる人々の姿を描いた短編集です。全7編が収録されています。
表題作の「地下街の雨」は、挙式の2週間前に婚約者から別れを告げられた女性が主人公。会社を辞め、ウェイトレスとして働きはじめますが、そこにとある女がやってきます。
裏切りの背後に思いやりが隠れていて、最後に真相がわかった時にはあっと驚くかもしれません。主人公の理描写が緻密に記されているので、読者もつい感情移入をしながら読んでしまいます。
そのほかの作品も、少しぞくっとするようなミステリー調のものや幻想的なもので、雨の日にじっくりと読むのがおすすめです。
- 著者
- 伊坂 幸太郎
- 出版日
- 2008-02-08
本書の主人公は、死神。しかし一般的にイメージされるような鎌は持っていませんし、人間を無理やり死に誘うような存在でもありません。死神の彼は、ただただ対象となる人物を7日間見守っているのです。そして8日目に、死の可否をくだします。
死神が人間界にやってくる時は、決まって雨が降っています。そのため彼は、青空を見たことが無いのです。死をテーマにした物語ですが、重たくはありません。7日間のうちに少しずつ変わっていく対象者の心の動きを眺めるのも楽しく、彼らを眺めている死神とリンクしたような感覚にさせられます。
生きることや死ぬことは、誰にとっても身近なテーマです。答えの出ない問題に、ひとつの新たな考え方を提示してくれる物語だといえるでしょう。