学園青春ライトノベルおすすめランキングベスト26!

更新:2021.11.6

ライトノベルの花形といえばやっぱり青春、学園ものではないでしょうか。こんな学校生活を送ってみたかった、こんな体験してみたかったと思えるそんなライトノベルの学園モノ作品について今回はご紹介します。

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26位:美少女と銃弾とハーレム学園ラノベ

主人公は、平和に生きたい武偵(武装探偵の略)遠山キンジ、ヒロインは最高ランクの武偵神崎・H・アリア。そんな凸凹コンビを取り巻く学園アクション&ラブコメディーです。

武偵とは、日常的に武器を持ち歩き日々犯罪に備えており、世界中の犯罪者と戦い、簡単な頼まれごとも行う集団。この舞台では誰もが知っている存在です。

 

著者
赤松 中学
出版日
2008-08-20


東京武偵高校2年の遠山キンジはある体質がきっかけで、普通の高校に転入したいと考え、すぐにでも武偵をやめようと思っています。しかしキンジはアリアや様々なヒロインと出会い、壮大な事件に巻き込まれていきます……。

この作品に出てくる主人公とヒロイン達は、超常的な力を持っています。特に主人公の遠山キンジは、性的興奮をするとヒステリアモード(HSS)になり、普段の30倍まで能力が向上するというなんともうらやましい能力を持っているのです!

とにかく巻を追うごとに、学園にいる美少女達がみんなヒロインのポジションに食い込んでくるくらい積極的で、魅力があります。犯罪者集団との戦闘シーンは躍動感があり、どのシーンもかなり見どころがあります。

しかしこの作品はアリアを中心としたヒロイン達1人1人の動きも丁寧に書かれているので、学園ラブコメとしてもとても優秀!アリアを含む、ヒロイン達は様々なタイプがいます。ツンデレ系、お色気系、無口系、天然系などよりどりみどり。どのヒロインも魅力的なので、のめり込んで読めること間違いなし!あなた好みの嫁がいるはずです。

学園でありながら非日常の世界に行きたい方、美少女達と学園生活を楽しみたい方、是非『緋弾のアリア』おすすめさせて頂きます!

25位:ゆるくて個性的な部員が織りなす脱力系学園青春ラノベ

名前の由来さえ謎とされている、「GJ部」。生徒総数千人を超えるマンモス高校のGJ部に強制的に入ることとなった主人公の高校一年生、四ノ宮京夜が、個性的な女子部員4人に囲まれて、のんびりした学園生活を送っていく様が描かれます。

部長である天使真央が言うには、部室前を偶然通り過ぎた者を捕まえて部員にするのが伝統だとか。そのはた迷惑な伝統通りに半ば強制的に部員となった主人公は、個性的な女性部員の面々と日々を過ごしていくことになり……。

著者
新木 伸
出版日
2010-03-18

1話4ページのショートストーリーを集めた本作は「4コマ小説」と銘打たれています。

無個性を個性にしているような主人公京夜は、キョロというあだ名を与えられ、見た目は完全小学生の部長天使真央に噛みつかれます。その妹であり穏やかおっとり美人の天使恵の紅茶責めにあいつつもあたたかい日常を実感。天才ゲーマーで冷静沈着な紫音の意外な一面を見て驚くこともあります。なんで高校にいるのかと言いたくなるような野生動物のような振る舞いを見せる綺羅々からお肉をもらって、仲良くなっていく様は見ていてほがらかな気持ちになれます。

難しいことを考えず、可愛らしい女の子たちと主人公が織りなすゆるい日常を楽しみたい方におすすめです。

24位:地味でオタクな女子高生が守り抜いた意地とプライド

主人公は春日坂高校の漫画研究部の部員で、オタク女子高生である吉村里穂子。ある日を境に彼女は今まで関わらなかったような人達と交流を深め、そして人生初の苦境を乗り越えていくことになります。

著者
あずまの 章
出版日
2013-11-30

春日坂高校の2年生である主人公里穂子は、ある日クラスメイトでスポーツイケメンである岩迫総一郎に数学の問題を教えてあげたことから、仲良くなっていきます。里穂子は恋もオシャレも興味のないオタクな女子で、部活も漫画研究部に所属し、目立つことなく彼女なりに楽しく学園生活を満喫していました。ですが、岩迫と仲良くなっていくのを皮切りに、段々と色々なことに巻き込まれていく日々が幕をあけてしまうのでした。

岩迫と、岩迫が所属しているテニス部の後輩であってまた漫画研究部も兼部している後輩の五味が家に勉強しにきたり、派手で隠れシスコンな兄の友人にからかわれたり、時にはピンチを助けてもらったり。

他にも多くのイケメンと知り合って、今まで関わりを持つことがなかった派手な女子グループの子と友人になれたりして、彼女の生活はハプニングに見舞われながらも、彩られていきます。

ですが、平和な日々は突然終わりを告げます。彼女が大切な居場所と思っている漫画研究部が、なくなってしまうかもしれなくなるのです。落ち込みながら、悩みながらも、里穂子は部員たちと協力して奔走することを選びます。

ほんのりした恋愛要素と、鈍すぎる主人公と、そして青春の日々を守ろうと奔走する少女たちの健闘をコミカルに、時に切なく描いています。

譲れないものは人それぞれだということを、思い出させてくれる作品です。

23位:リアリティのある吹奏楽部の青春エンタメラノベ

この物語の語り部となる黄前久美子は小学生の時から吹奏楽部でユーフォニアムを演奏しています。中学最後のコンクールでダメ金を取り、関西大会にはいけませんでした。

高坂麗奈はその結果に悔し涙を流していましたが、そんな彼女に向って久美子は「本気で全国に行けると思ったの?」と冷めた本音を口にしてしまいます。しかし意外なことに、麗奈は毒のある久美子の言葉に密かに好感を抱いていました。

 

著者
武田 綾乃
出版日
2013-12-05


そして舞台は北宇治高校の吹奏楽部に移ります。演奏レベルはお世辞にも上手いとは言えないもの。そんな微妙なレベルの部活に、新しく来た顧問の滝昇は、全国を目指すか、楽しく演奏するか、という問いを部員たちに投げかけてきて……。

この作品は、女子高生の生活や言動がリアルに描写されており、青春の世界観に入り込める作品となっています。そして、波乱万丈な毎日を過ごす吹奏楽部が作り上げた音楽は、感動を巻き起こし、読んでいるだけなのに緊張と期待が手汗握る状態になること間違いなしです!リアルな描写と彼女たちのひたむきさを読めば、一緒に青春を体験しているような気持ちになるのではないでしょうか?

22位:後ろ向きな幸せ。若者の心理を読み解く作品

何の取り柄もない高校生の少年が、冬の雪道でチェーンソーを振り回す謎の男と、彼と戦う美少女と出会います。突拍子もない出会いから始まる『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』は、チェーンソー男という「悪」を象徴する敵と戦うことで、若者の心理を抽象的に描き出している作品です。

冬のある夜、雪道をゆく平凡な高校生、山本陽介は、チェーンソーを振り回す謎の男にナイフを投げつけている美少女に出くわします。彼女の名前は雪崎絵理。ある日チェーンソー男に出会った時から超人的な力が身についたといいます。それ以来彼女は、不死身のその男と夜な夜な死闘を繰り広げていたのです。

常人離れした絵理とチェーンソー男の戦いに妙な正義感を発揮し、助けに入ろうとした陽介でしたが、平凡な彼にはふたりの戦いに介入する力はなく、ただ立ち尽くすだけでした。しかしこの日を堺に共にチェーンソー男と戦うようになった彼女と陽介は、徐々にではありますが、次第に惹かれ合い寄り添いあうようになっていくのです。

著者
滝本 竜彦
出版日
2004-06-25

若者の心理を描いた作品と言われる本作品では、何かをやりたくても何がしたいのかわからない、出来るかどうかもわからない、そんな高校生くらいの若者たちの内面を上手に描写しています。チェーンソー男という巨悪に立ち向かうことを決意した少女と、最初は何も出来なかったが、彼女を守るため必死に行動するようになった少年。そんな対照的だったふたりが、「悪」という目的に向かって共に足掻く様が、若者の「何かをやり始める」「何かをやりたい」という気持ちや行動を象徴しているのです。

角川学園小説大賞で特別賞を受賞している本作品は読者からの評価も高く、2005年に「このライトノベルがすごい!」で、発売から数年が過ぎていたにもかかわらず54位にランクインしています。著者、滝本竜彦のデビュー作でもあるこの作品は、若者の立場から高校生ならではの心理を描いており、そういった部分が多くの若い読者の共感を得たということなのでしょう。

タイトルにあるネガティブハッピーとは、後ろ向きの幸せという意味です。後ろ向きの幸せと言われてみなさんはどういうものを想像するでしょうか。物語の登場人物の心理描写を辿っていくと、最終的にはその答えに行き着きます。人によっては全く共感できないような内容かもしれませんが、作品を象徴するその答えを、ぜひ自分の目で確かめてみてください。

21位:ゾンビが溢れた外と支配社会の建物内という二重構造が斬新!

「最悪の学校、どうしようもない社会。ゾンビが現れてぶっ壊してくれればいいのに」

安東丈二は現実を呪い、ゾンビ映画を観ることだけが生きがいの暗い高校生。ある日学校の担任で幼馴染の佐武来実に無理やり参加させられた臨海学校で事件が勃発。それは大勢の学生が集まるセミナーハウスで起こりました。

著者
大樹 連司
出版日
2011-06-17

致命傷を負って血まみれ、虚ろな瞳をした人間がほかの人間を襲い食べているのです。その様子はどこから見てもゾンビ!周囲がパニックに陥るなかで丈二はゾンビ映画マニアの知識とハッタリでクラスメイトを救います。

ヒーロー気取りになった丈二ですが、逃げ込んだショッピングモールでとんでもないものを見てしまいます。そこは他の生徒を奴隷化した女王が君臨するコミュニティでした。

普段は最底辺の位置にいる丈二がヒーローになれる瞬間はゾンビが絡んだときだけ。今まで学校がゾンビに襲われたら自分が勇者になれるのに、と夢見ていたことがまさか実現するとは信じられない光景です。ゾンビが現れたという危機感迫る状況のなかでもヒーローになれた、と喜んでしまう丈二にはおいおい、と思いながらも思わず共感してしまう部分もあります。

くだらない普通の日常が一変してゾンビの知識が役に立つ、自分がヒーローだ、と喜んだのも束の間。新たな支配者が現れてしまいます。映画のようにいかないところはどこか現実味を帯びているのではないでしょうか。

外はゾンビであふれかえり、ショッピングモールも女王が君臨するコミュニティ。二重になった構造はどちらもハラハラ・ドキドキさせられる展開でいっぱいに。決して主人公がヒーローになってみんなを助ける、という単純明快になっていないところにも魅力を感じます。

ゾンビとスクールカーストを盛り込むだけでなくゾンビといえば籠城という王道を突っ走っているようにも。ゾンビの恐ろしさとゾンビ愛が至るところに見られ、ゾンビ映画好きの方にはすんなりと受け入れることができる作品です。それ以外にもいじめや大衆心理などのテーマもありますが、そこまで暗い内容になっていないので読みやすくなっています。

20位:記憶喪失の彼女とボーイミーツガールをもう一度

境田吉孝による、青春ライトノベル『夏の終わりとリセット彼女』。記憶を失ってしまった彼女と主人公がもう一度出会い、関係を築き直していくという物語です。平凡な主人公と、完全無欠のヒロインが、そもそもなぜ付き合っていたか「不確か」なのがポイントとなる作品です。

著者
境田 吉孝
出版日
2014-05-20

ある夏の日、クラスの厳格な風紀委員として怖れられる桜間友里は事故に遭い、記憶喪失になってしまいます。彼女と付き合っていた主人公峰康は、記憶を失った彼女と再び出会い、関係を築き上げていくこととなるのですが、彼はなぜか一歩を踏み入れません。しかも恋人同士のはずなのに、友里には「あなたは、私が一番嫌いなタイプの人間だと思います」と言われ、第一印象は最悪の状態からスタートする始末です。

こうして始まった一風変わった物語は、思春期の少年少女の心理描写を巧みに描き出す文章で溢れ、ちょっと気恥ずかしい気分にさえなってしまうほどの青春物語。2人がデートをする場面で、記憶を失う前とは微妙に距離感が違っていると感じ取る場面があります。彼女が記憶を失うことによって表面化した、こういった気持ちの「ズレ」を表現しているシーンなどは、この作品ならではのテイストだといえるでしょう。

記憶喪失によって関係をリセットされたことで、不確かだったお互いの気持ちを理解し合っていくという話の流れは、文章の巧みさも相まって自然に心に溶け込んでくる物語です。本作は、少年少女の頃の純粋な気持ちを感じてみたいという方には、特におすすめしたいボーイミーツガール作品になっています。

19位:それぞれの想いが起こすドタバタ修羅場学園ラブコメディ

清々しいドタバタ修羅場劇を描いた作品。主人公は過去に中二病を患っていた季堂鋭太。そんな彼にある日学園一とも言われる美少女、夏川真涼が「フェイク」の彼氏彼女になろうと持ちかけてくるところから、彼の修羅場が始まります。

主人公鋭太は「恋愛アンチ」を掲げる男子高校生。中学3年の夏に両親が恋人をつくり息子を置いて蒸発してしまった為、恋愛をよくないものと認識するようになってしまいました。

重ねて、幼なじみの春咲千和が事故で以前より続けていた剣道が出来なくなったことから、彼女の体を治すと約束をし、医者になる為にまじめな学生となり勉強を重ねていました。そんな高校生活に、ある日波乱が訪れるのです。

著者
裕時 悠示
出版日
2011-02-15

メインヒロインでもある美少女お嬢様の夏川真涼が、昔古本屋に図鑑を売った際に一緒に間違えて売ってしまった、鋭太の中二病設定などが書き込まれた「黒歴史ノート」を手に入れ、彼に取引と言って、「フェイク」の彼氏彼女になることを持ちかけてきました。度重なる告白にうんざりした彼女は、自分と同じように恋愛に興味を持ちえない主人公にこの話をもちかけてきたわけですが、ここからがこの作品の特徴である、修羅場の始まってしまいます。

昔から鋭太に想いを寄せていた幼なじみの千和はもちろんのこと、過去の鋭太と同じように中二病をこじらせてしまった秋篠姫香が自分は前世の彼女だと言いだして、幼稚園のころのもう一人の幼なじみ、冬海愛衣は昔鋭太と「結婚しよう」と約束していてそれを思いだしてもらおうと奮闘するなど、彼の周囲は常に軽くパニック状態です。

鋭太と少女4人は真涼が立ち上げた、「自らを演出する乙女の会」(自演乙の会)のメンバーとなり、それぞれの想いと約束とプライドを掲げて、鋭太を取り合う修羅場を繰り広げていきます。

「フェイク」でしかなかった真涼や鋭太の感情の変化、恋愛だけではない家族や周囲の問題に直面していく思春期にしかない青春をアップテンポに描いているので、恋愛も青春も両方読みたい方に是非おすすめ出来る学園青春ライトノベルです。

18位:吸血鬼が演劇?

少年の葛藤を描くことに定評のある作家野村美月による青春ライトノベル『吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる』。あるとき、バスケまっしぐらの主人公が命を取り留める代償として吸血鬼になってしまいます。そしてその後出会った女性に誘われ、演劇部でドラキュラを演じることになり……。

吸血鬼がドラキュラを演じる羽目になってしまうという、一見すると喜劇ともとられそうな内容である本作。物語の中には吸血鬼作品の永遠のテーマともいえる「不老不死による虚無感」が描かれています。これは、吸血鬼という人を超える存在になり絶大な力を得たことで、人として努力する喜びや、生きる喜びを失った絶望感や恐怖を表します。

著者
野村美月
出版日
2014-05-30

超人的な力でどんな試合でも簡単に勝利してしまうことで、普通の人としての楽しみをなくしてしまった主人公「原田詩也」は、転校した先で「春科綾音」と出会い恋をします。彼女に頼まれドラキュラ役を演じたことをきっかけに演劇を始めるのですが、彼女との触れ合いを通して闇に囚われていた心を救われていくのです。

野村美月が描く作品の例にもれず、主人公詩也の葛藤を見事に描き出した本作品は、派手な演出こそありませんが、丁寧に掘り下げられた登場人物の描写や練られたストーリーなど、じっくり腰を据えて読める作品となっています。また本編5巻の後に発刊された『吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる ~Long Long Engage』では、本編では描ききれなかったエピソードが綴られています。詩也と綾音のその後と、物語の結末を知りたいという方にはおすすめです。

17位:大正時代、野球に奮闘する少女たちがいた

その名の通り、大正時代における女学院生たちが主役となる物語です『大正野球娘。』。

東邦星華高等女学校に通う鈴川小梅は、親友に誘われて野球をすることになります。小梅の親友がなぜ野球を始めようと思ったのか、それは彼女が許嫁に言われた言葉が原因でした。それは「女性に学歴など不要」などといった、当時ではありふれた男尊女卑の言葉で、彼女はそれに反発する形で許嫁が打ち込む野球で彼の鼻を明かしてやろうと考えたわけです。

著者
神楽坂 淳
出版日
2007-04-17

彼女の考えに共感した小梅はその目標に賛同するのですが、女子野球チームなど大正の時代では結成するのさえ一苦労。果たして彼女たちは無事勝利を掴むことができるのか、ひたむきに頑張る少女たちの姿を描いた作品です。

今では日本で一番親しまれているスポーツである野球ですが、作中の時間軸である、大正の末期では、職業としての野球選手すら成立していない時代です。少女たちが集まって野球をするだけならよくある青春小説ですが、この作品は伝来して間もない野球を、女学生のお嬢さんがするという点が面白さに繋がっています。

時代考証がしっかりとなされており、彼女たちの特異な生活の様子に違和感を覚えない作りになっています。野球小説、青春小説、そして大正小説ともいえるシリーズですので、さまざまな方面から楽しめることでしょう。

16位:小学生×ミニバス青春ラノベ

『ロウきゅーぶ!』の主人公はバスケが大好きな高校生・長谷川昴。彼は七芝高校バスケ部に入部します。それからわずか4日で、部長が小学生と恋仲であることが発覚し、部は1年の活動停止を言い渡されてしまいます。

行き場をなくして途方に暮れる昴でしたが、小学校教師である叔母の限りなく無理矢理に近いような誘いから、彼は叔母の教え子である慧心学園女子バスケットボール部の臨時コーチを引き受けることになります。女子小学生が相手ということで、最初は乗り気ではなかった昴ですが、彼女たちがひたむきにバスケに打ち込む姿を見て、彼自身もバスケへの情熱を取り戻していきます。かわいい絵柄とは対照的に、しっかりとした熱血青春作品です。

著者
蒼山 サグ
出版日

「小学生は最高だぜ!」という、ラノベ史に残る名セリフを生み出したバスケ小説。ちなみにこのセリフは、小学生特有の技術吸収力の高さやひたむきな姿に感銘を受けたことを表した言葉であり、それ以上の意味はありません。

セリフが示す通り、本作のヒロインはすべて小学生です。昴と同い年の幼なじみのヒロインも存在はしますが、話のメインとなるのは女子小学生たちとの交流であり、彼女たちがバスケに頑張る姿です。少女とスポ根、そして手に汗握る試合展開は一読の価値ありです。

15位:ラクロスにかける青春!目指せ、全国制覇!

『暴風ガールズファイト』の物語の舞台は、幼稚園から高等部まで一貫教育のミッションスクール・聖ヴェリタス女学院です。

主人公となる麻生広海は、自分に相談もせずほかの進学先へと行ってしまった親友との別れにより、鬱屈した気持ちで高校生活をスタートさせます。そんな広海の前に現れたのは、破天荒な少女・五十嵐千果でした。彼女はラクロスで全国優勝を目指すと宣言、同好会の頭数に入れられてしまった広海を引き連れ、嵐のように駆け回ります。はたして試合ができるほどの部員が集められるのか、全国制覇できるのか、爽やかな青春の物語です。

著者
佐々原 史緒
出版日
2007-09-29

ラクロスというあまり知られていない競技を扱った作品です。そのためルールを知らない方も多いかも知れませんが、知らなくても問題なく楽しめます。ストーリーのテンポが非常によく、文章にも癖がありません。読んでいればラクロスをさらに知りたくなるような、スポーツ小説としては間違いなく成功している作品でしょう。

少女たちはもちろん魅力的で、転校生・五十嵐千果と、委員長で実は腹黒な麻生広海のほかにも、関西弁なオタク女子な嶋あかねや、お嬢様の宮前雪乃など、彼女たちのキャラクター性も一人ひとりじっくり味わえます。

14位:孤独を抱える少年と少女の出会いと別れ

 

「幸せになんてなれるわけない。いい事なんて起こるわけない。友達なんてできるわけがない」

父親の死に対して責任を感じ、周囲との交流を避ける七日。

「自分は無理をしているのだろうか。無理をするのは悪い事なのだろうか」

母と自分を捨てた父親を憎み、優等生を演じることに執着する三月。

父親に対して異なる感情を抱く二人。しかし、似たような感覚も持つ二人がお互い両思いだと気付いたとき、一枚の写真が切欠となりその関係は大きく動き出します。

本作は、不思議と惹かれあい、恋へと発展していく二人が真実を知るまでの物語です。

 

著者
森橋 ビンゴ
出版日

 

それぞれ違った孤独を抱える少女と少年の青春ラブストーリー。出会いと別れについて考えさせられる作品です。

退屈ともいえる日常が続く前半。七日と三月のそれぞれの視点で語られる高校生活は、周囲の人々との交流も描かれ、それぞれが自分に欠けている何かを探しているさまはじれったいです。そんな二人が出会い、恋に落ちていくさまもじれったく、応援したくなります。

後半の怒涛の展開まで、少し長いですが、だからこそ読者は最後まで二人の心に寄り添えるのではないでしょうか。丁寧に描かれる心理描写から浮き彫りになる様々な悩みと葛藤。それでも未来に向かって歩こうとする二人に眩しさを感じます。そして、二人のその後が気になること間違いなしです。

 

13位:お嬢様学校に通うふつーの女の子が主人公

『マリア様がみてる』は、今野緒雪によるライトノベルシリーズです。累計発行部数540万部以上の大ベストセラーとなっています。

姉妹(スール)と呼ばれる上級生が姉、下級生が妹となって、学生として恥ずかしくないように生活指導をする制度があるリリアン女学院が舞台。姉(グラン・スール)妹(プティ・スール)つぼみ(ブゥトン)紅薔薇(ロサ・キネンシス)白薔薇(ロサ・ギガンティア)黄薔薇(ロサ・フェティダ)などの専門用語も多く、特に姉妹(スール)の絆を元にしたストーリー展開が非常に多いのが特徴です。また、多くの百合作品や、女子校潜入モノにも数多くの影響を与え、上級生のことを姉、下級生を妹とする作品の元ネタは『マリア様がみてる』の影響を色濃く受けています。

リリアン女学院と呼ばれるお嬢様学校に通う普通の少女、福沢祐巳はとある月曜日、上級生である小笠原祥子に呼び止められます。

「タイが、曲がっていてよ」

そのことをきっかけにして彼女は、縁遠い存在だと思っていた山百合会(リリアン女学院における生徒会の総称)と関わり合いを持つようになり……。

 

著者
今野 緒雪
出版日


この作品で特徴的な単語といえば、後に多くのお嬢様学校モノに影響を与えた、姉妹(スール)でしょう。かつては先輩後輩のことを姉妹と呼んでいたのが、いつの間にか個人同士で強く結ばれる様になったふたりを姉妹というようになり、最終的にはロザリオの授受を行うことにより姉妹となるようになりました。このふたりはただの先輩後輩という垣根を超えて、生活態度や時に学習を指導するようになります(もっとも、学力においては優秀な生徒が多いのでその必要性は殆ど無い)。

姉妹同士の絆や、卒業により姉妹の別れなどを描いており、『マリア様がみてる』=姉妹制度の物語と言っても過言ではありません。特別な姉妹同士の物語をとくと味わってみませんか?

12位:主人公がだんだんと成長するストーリー展開にも注目!

主人公である安芸倫也は、名無しの同人ギャルゲーサークルを主宰しています。メンバーは、キュンキュンするようなメインヒロインにしてやる!と勧誘をした加藤恵のみです。

今まで創作のその字も体験したこともなかった倫也にはシナリオなど思いつきようもありませんし、立ち絵を中心としたイラストなども書きようがありませんでした。そこで思いついたのが、今まで疎遠になっていた同人イラストレーター澤村・スペンサー・英梨々と、ライトノベル作家霞詩子こと霞ヶ丘詩羽の存在です。彼女たちを勧誘し、自分はプロデューサーとして縁の下の力持ちに徹しよう、そう決意した彼は早速英梨々と詩羽の勧誘に力を注ぐことになりますが……。

 

著者
丸戸史明
出版日
2012-07-20


この作品の魅力は、作中で影が薄い加藤恵が段々と可愛らしくなっていく点です。ライトノベルでは珍しく、三巻ではショートポニー、四巻ではポニーテール、五巻では黒髪ロングと髪型がどんどんと変わっていきます。髪型が変化をすると同時に、主人公のあしらい方や、他のメンバーの弱点なども把握し始め、怒らせたら一番怖い人の立場を得るようになります。とは言っても、加藤恵はそんな成長は望んでいなかった節はあるのですが。

作中内で変化していくメインヒロインにメロメロになりたい方におすすめのライトノベルです。

11位:アイドルバカの農業高校生のもとにアイドルがやって来た!

岐阜県立田茂農林高校に通う、畑耕作が主人公のライトノベルです。2年A組栽培専攻に所属する彼は、幼なじみの中沢農や親友の過真鳥継など、個性あふれるクラスメートたちと騒がしい日常を送っていました。ある日、彼の好きなアイドル草壁ゆかのことがニュースになっていたので耳を傾けてみると、なんと彼女は電撃引退!心も腐りかけた彼の元に、草壁ゆかにそっくりな女の子、木下林檎がやって来ます。

林檎がやって来たことによって耕作を取り巻く状況は一変します。幼なじみである農の態度の変化です。性別を感じない付き合いをしていたふたりですが、何やら林檎は耕作にご執心の様子です。このままでは耕作を取られてしまうと感じた農は、彼にアプローチを始め……。

 

著者
白鳥 士郎
出版日
2011-08-12


農林高校に通う主人公を中心とした生徒たちは、将来農業で食べていこうと真剣に生活をしています。朝早くに起きなければなりませんし、授業とは名ばかりの農作物の収穫作業、鶏舎の掃除、田植え、農業を学んでいきます。序盤のラブコメのシーンと、真面目に命を育てる農業というものをフューチャーした姿勢も『のうりん』の魅力です。

10位:友達じゃなくても仲が良い人間関係

ラノベ作家でもある平坂読の代表作『僕は友達が少ない』。キャッチコピーは「残念系青春ラブコメ」であり、冴えないハーフ男子小鷹の周辺で起こったことが、ゆるく描かれていきます。略称は「はがない」。2011年には、最も売れたラノベとなりました。イラストは人気絵師ブリキが担当しており、その絵だけを目当てに買うのもいいかもしれません。

著者
平坂 読
出版日
2009-08-20

聖クロニカ学園高等部に転入してきた羽瀬川小鷹は、転入初日の失敗によってヤンキーと勘違いされ、クラスで孤立していまいます。ある放課後、教室でいつも1人でいた三日月夜空が、エア友達(妄想上の友達)のトモちゃんと話していたところを目撃。そんなことからいろいろあり、小鷹と夜空は友達を作るための部活「隣人部」を立ち上げます。理事長の娘である美少女柏崎星奈や、男の娘楠幸村、天才美少女志熊理科、そして自分の妹羽瀬川小鳩が加わり、顧問には幼いシスター高山マリアが就任するのでした。

夜空に無理やり誘われて、隣人部という、活動目的のよくわからない部活動に巻き込まれてしまった小鷹でしたが、友達がいなかった彼にとってはこれが学生生活の転機だったといえるでしょう。

美少女が闇鍋をして最終的に吐き散らしたり、下品なネタを連発したりなど、作品のキャッチコピーに見合う「残念」な物語である本作。基本的にギャグが主体ではありますが、それぞれの巻末には次の話に繋がる伏線や、大きな出来事がありますので読み応えは抜群です。様々な事柄が判明していく中で、小鷹と彼女達との関係性がどうなっていくのか、目が離せなくなります。

ラノベには、ヒロインがどんなに頑張ってアプローチをしてみても好意に気づかない「鈍感系主人公」という主人公像があります。本作にはそんな主人公像へのアンチテーゼが盛り込まれていたりするんですよね。

知人以上友達未満な物語をぜひ楽しんでみてください。

9位:その言葉は、文章は、物語は、必ず誰かに届くから

主人公はデビューしたものの売れない小説家の男子高校生、千谷一也。物語は一也のいる高校へ、人気小説家である小余綾詩凪が転入してくるところからスタートします。2人は共通の編集である河埜に言われ、共作を始めることとなります。

著者
相沢 沙呼
出版日
2016-06-21

売れない小説家だった父が残した借金や、病気を抱え入院している妹、働いてばかりの母を見てきた主人公の一也は、中学生でデビューした若き新人作家でした。彼は若いということを理由に作品に余計な先入観を持たれたくないと覆面小説家を希望しましたが、結果彼の作品は売れず、どれだけ作品を出してもネットなどで酷評され続け、一也は疲弊していました。

加えて、妹のこともありお金が必要な彼は、売れない小説は意味がない、と自信をなくしていってしまいます。そんな折、転校してきたヒロインの美少女小余綾詩凪が、同年代で人気小説家の不動詩凪だと編集の河埜に紹介され、共作を進められ作業することになり話が進むのです。

共作を進める前に一度高校の文芸部で衝突してしまっていた2人でしたが、仕事だからと話を進めていきます。進めていく中で、何度も一也にどうして小説を書くのか、と問いかける詩凪。お金の為と言いはる彼に、詩凪は小説には力がある、あなたには小説の神様がみえていないのか、と繰り返しました。

妹や文芸部の親友、後輩を巻き込みながら、2人は時に作品を作り上げる楽しさを分かち合い、時に衝突し、そして互いの葛藤を、抱えている苦しみを知っていきます。そうして辿り着く、「どうして小説を書くのか」という問いかけへの答えは、かけがえのないものでした。

小説を書く、という高校生を通した青春の日々は、何かを追い続ける学生時代を思い出させてくれます。同年代の人も、大人も楽しめる、おすすめ青春ストーリーです。

8位:掴め、逃すな、半額弁当

主人公となるのは、寮暮らしをしている貧乏な高校生、佐藤洋です。彼はふらりと立ち寄ったスーパーにある半額シールが貼られた弁当を手に取ろうとし、その直後に気を失ってしまいます。次に洋が目を覚ました場所は精肉コーナー、もちろんすでに弁当はなくほかの総菜たちも買われていくところでした。

スーパーで何が起こったのか、それを確かめるため翌日からスーパーに通い詰めることにした洋。彼はそこで《氷結の魔女》と呼ばれる少女から《半額弁当争奪戦》について説明を受け、自身もその戦いの中へと飛び込むこととなるのです。

 

著者
["アサウラ", "柴乃 櫂人"]
出版日


熱き者たちによる半額弁当争奪戦を描いた作品になります。ただのスーパーの半額弁当のはずなのに、ものすごくおいしそうな描写をしてくれます。1巻を読み終えた後は弁当を買いに行きたくなることでしょう。

さらにこの作品の肝は苛烈なるバトル描写です。舞台が現代日本であるために、この作品のバトルでは魔法的な能力は出てきませんが、そのかわりにガチンコ格闘バトルが繰り広げられるのです。手に汗握るバトル描写は必見でしょう。

半額弁当争奪戦に挑むものを狼、店員に半額シールを貼ることを強要するものを豚と呼ぶなど、設定がいちいち笑わせてくれます。

さらに、主人公である佐藤洋は高校生なのですが、彼が出会う《氷結の魔女》は学校での先輩である美少女です。彼らはともに同じ同好会に入るわけですが、そうして学園生活を送っていく中で切磋琢磨していく姿が描かれています。はたして彼らの関係はどうなるのでしょうか。熱い青春のドラマです。

7位:その者学年有数のバカなり、しかし行動力は人一倍

主人公、吉井明久の通う文月学園は試験の結果によってクラスが分かれます。A~Fクラスに分かれていて、Aに近ければ近いほど頭がよく、Fに近ければ近いほど勉強が出来ないということになります。Aクラスには最新の設備が整っており、Fクラスではボロい机という格差があるのですが、明久が所属するのはFクラス。設備もボロければ教師もやる気がないです。

『バカとテストと召喚獣』では、試験召喚戦争と呼ばれる、召喚獣を用いた生徒同士のバトルシステムが存在します。他のクラスに試験召喚戦争を挑んで勝てば、他のクラスの施設をごっそり頂くことができます。

召喚獣の強さはテストの点数に寄って決められており、点数が高ければ高いほど強い召喚獣を召喚することが出来るのですが、Fクラスの点数ではAクラスはおろかC,Dクラスにも敵いません。この差を覆したければ普段から勉強を頑張りいい点を取れよ、ということになります。Fクラスにいても、腐らず一年の最後まで頑張り続ければAクラスの施設を持っていくことはできるかもしれないという下克上システムです。もちろんそのためにはクラス中の努力が必要になります。
 

著者
["井上 堅二", "ファミ通文庫編集部", "葉賀 ユイ"]
出版日


『バカとテストと召喚獣』は、コメディ小説です。主人公の明久は馬鹿なことを言っては親友の雄二やヒロインのひとりの美波にツッコまれます。特に美波とのやり取りは捧腹絶倒。

「ウ…ウチのことを愛してるって言ってみて?」(美波)

「ウチのことを愛してるッ!!」(明久)

というようなやり取りが連打されます。電車で読むのは控えた方がいいライトノベルと言えるでしょう。

6位:恋と音楽の青春ライトノベル

音楽評論家を父に持つ男子高校生ナオと、音楽界から失踪した若き天才美少女ピアニスト真冬の出会いから始まります。

主人公のナオはオーディオ機器いじりが趣味で、ゴミ山へジャンク品を漁りに行っている時に真冬と出会います。再び会うことはないだろうと思っていたナオですが、新学期に真冬が転校してきたのです。

真冬は、ナオが無断使用していた教室にやってきては、エレキギターの超速弾きばかりをしているのです。ナオは教室奪還のため動き始め……。

 

著者
杉井 光
出版日


基本は音楽を主題とした青春小説で、少年と少女が出会い、紆余曲折のあとに惹かれ合うという定番ストーリーのものになります。そしてこの作品の特徴は主題となっている音楽とストーリーの結びつきでしょう。実在する楽曲や音楽家などがストーリー上でたびたび登場し、これがそれぞれ各エピソードを盛り上げ、イメージにつながっていくのです。

専門用語も数多く出てきますが、それらもさらりと読めるので音楽が好きな人はにやりと、そうでない人でも問題なく作品が楽しめる、そんなライトノベルになっています。

5位:ライトノベルの革命的シリーズ

非日常系学園ストーリーと言われる本作は、女子高生涼宮ハルヒが作ったSOS団というクラブを舞台に展開する、高校生の日常とSF的な展開が融合したライトノベル史に大きく名を残す名作です。

語り手となるのは普通の男子高校生、ツッコミ役で苦労人のキョンです。キョンというのはあだ名であり、本名は明かされていません。特別な能力は持たない彼でしたが、ある日クラスの中で孤立していた美少女、涼宮ハルヒに声をかけたことによりその運命は大きく変わっていきます。

キョンとだけ会話をするようになったハルヒは、ゴールデンウィークも過ぎたあたりに部活を立ち上げようと動き出したのです。ハルヒの思いつきにキョンも巻き込まれ、部室として文芸部部室を占領。当時たった一人の部員であった長門有希を巻き込み、さらにはマスコットとして朝比奈みくるを拉致、転校生小泉一樹の勧誘にも成功しSOS団を立ち上げることになりました。

 

著者
["谷川 流", "いとう のいぢ"]
出版日


さて、物語はこのハルヒが立ち上げたSOS団を舞台にした珍妙な日常コメディ作品……ではなく、実はその背景にはなんととんでもない世界が広がっています。

そもそもハルヒが孤立していたのは、自己紹介で「この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら私のところに来なさい」と言い放ったからです。そして彼女が偶然にも集めたメンバーたちは、キョンを除いてみなその中のなんらかの属性も持った人物たちでした。

非日常を待ち望んでいるハルヒの元に潜む非日常、その原因とは……。

ハルヒに振り回されながらその事実を知ってしまったキョンの運命はどうなるのか、少しSFチックなエピソードが高校生たちの日常の上で繰り広げられる物語です。アニメ化もされ、伝説を数多く残したこの作品、読まないのはもはや損と言えるレベルでしょう。頑張って最高傑作の第4作『涼宮ハルヒの消失』までたどり着いてください!

4位:兄と妹のスローな学園ラノベ

欠陥のある兄・司波達也、欠点のない妹・司波深雪、2人は現代の魔法使い「魔術師」を育成する学校、魔法科高校に入学するところからこの話はスタートしていきます。

2人を取り巻く環境は学園のシステムで大きく区別されています。優等生は花冠(ブルーム)と呼ばれ、劣等生は雑草(ウィード)と蔑まれるのです。相反する2人が入学した魔法科高校は、平和な学び舎が一転。波乱の学園生活の舞台となります。

 

著者
["佐島 勤", "石田 可奈"]
出版日


ウィードとされている司波達也ですが、実は成績優秀、眉目秀麗、社交的でクールな性格で基本的に非の打ち所がない人間。ただ魔術を操る事に関してだけ、ある理由で他の優等生達に比べ劣ってしまいます。

しかしその理由と隠された実力を見るとやはり充分優等生でかっこいい達也。深雪もそれこそ全てを兼ね備えている優等生ですが、兄の事を好きすぎるというブラコン。また、兄も妹を大切にしたいという想いが強く、相思相愛の兄妹なのです。

司波達也は、戦闘に特化した才能を持って生まれており、幼少期から戦闘員としての英才教育を施されてきました。妹の司波深雪もまた、魔術師としての才能に恵まれています。妹を血生臭い戦いから遠ざけたい兄は、その環境からどう遠ざけるかが、深雪のために考えます。

7~8巻までは物語の助走部分にあたり、少しスローペースな作りです。ライトノベルにしては淡々と話が進んでいき、盛り上がりに欠けると思う方もいるかもしれませんが、むしろそこが読み手の想像力を掻き立てる要素になっています。

そしてそこまで読み進める事によって、その後の展開が一気に膨らみ、読者をその世界に引き込んできます。それほど設定や伏線がしっかりと練られた厚みのある作品。スローペースな世界観が好きな方にはぜひおすすめです。

3位:王道学園青春ラブコメラノベ

目つきの鋭さで誰もが避けていく主人公の高須竜児、彼は見た目だけでヤンキーに見られる事がコンプレックス。内面は普通の高校生です。

高校2年に進級して以前から片想いしていた櫛枝実乃梨、親友の北村祐作と同じクラスになります。見た目ヤンキーの誤解を解かなければと憂鬱な竜児。誤解を解こうとしていた竜児だが、実乃梨の親友「手乗りタイガー」こと逢坂大河と出会った事によって、そんな憂鬱に思うひまも無くなる波乱の学園生活が始まるのです。

 

著者
竹宮 ゆゆこ
出版日
2006-03-25


竜児は実乃梨に片想い、大河は祐作に片想い、始まりはお互いの片想いをひょんな事から知ってしまい、「お互いの恋を応援する共同戦線」を張るところからスタートします。

そんな中偶然にも大河の寝ている所を見た竜児は「作り物の人形みたいで小さくてかわいい」と少しだけ大河を意識しはじめます。この作品は王道の学園ラブコメディーとなっていますが、王道のピュアな恋愛というわけにはいかないのです。

見た目ヤンキーでも内面は普通の竜児、誰振り構わず噛み付く手乗りタイガーこと大河、明るくマイペースな実乃梨、優等生の祐作、2巻以降に出てくるモデルの川嶋亜美。この5人が織りなす複雑な5角関係が絡まり合って物語が進んでいくところに読み応えがあります。

ドロドロさとしながらも青春らしい甘酸っぱさを出していて、奥行きのある世界観を構成しています。絡まり合った関係が最後までどうなるか分からず、次へ次へと巻を読み進めてしまう内容になっています。学園での恋愛を主軸に、女性同士の熾烈な争いなど少しドロドロした所も見所の作品です。

2位:アンチ学園青春ライトノベルの決定版

友達が一人もおらず作ろうとも思わないひねくれた男子高校生比企谷八幡は、教師の勧めで「奉仕部」という部活に無理矢理入れられることになります。

この奉仕部というのはその名の通り、生徒の問題を解決する手助けをするという部活で、彼はそこで校内一の才女雪乃と出会います。才色兼備な超人と名高い雪乃ですが、八幡と同じく人付き合いに対して不器用。共通点がありながらもたびたび衝突する彼らが、生徒たちの依頼をこなしながら少しずつ距離を縮めていく物語です。

 

著者
["渡 航", "ぽんかん8"]
出版日


長い文章タイトルとあらすじで、ライトノベル的な勢いとコメディが強い恋愛もの、と思われるかもしれません。ですが、この作品の本質は痛々しいまでに人間関係を描くタイプの青春ストーリーです。

リアルなスクールカーストの描写や、毒と感じるまでのキャラクターの生々しさがこの作品の大きな魅力でしょう。シリーズ中盤からはストーリー上でのラスボスともいえる人物まで登場し、彼らの動きにますます目が離せなくなります。

特に、アンチ学園祭青春小説の最高傑作と言っても過言ではない第6巻は是非読んで欲しい1冊です。

1位:青春ミステリーライトノベルの最高峰

物語は、一人の女子高生が自殺したことから始まります。夏休みのある日、彼女は校舎の四階から飛び降りるのです。なぜ彼女はそんなことをしたのか、それを探るため二人の男子生徒が動き出します。

視点人物となるのは榎戸川。彼女が飛び降りた瞬間を見た学生で、パートナーとなるのは「変人」の称号を得ている高校生由良です。彼らは二人で死んだ「吉野彼方」のことを調べ始めます。

 

著者
["柴村 仁", "也"]
出版日


幻想的な表紙が目に留まる作品です。「由良シリーズ」の第一作で、シリーズに共通して登場するのは由良のみという構成になっています。

『プシュケの涙』は二部構成になっており、第一部は吉野彼方の死後の話であり、第二部に彼女の生前の話が続きます。死んでしまう前の、吉野と由良の交流はその後を知っているからこその独特の物悲しさが垣間見える、そんな構成といえるでしょう。決してハッピーエンドと言える終わりではありません。とても悲しい気持ちになるかもしれません。

しかし、ライトノベルを普段読まない方にもおすすめできる青春ミステリーとして、本作を全力でおすすめさせていただきます。

いかがでしたでしょうか。どの作品もライトノベルらしいテンポのいい文章で、若い世代の感性に寄り添った、時代を反映させる学校生活が描かれています。青春を思い出しながら、もしくは今の青春を噛みしめながら、読んでみるのもいいのではないでしょうか。

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