日々生活を送るなかで、不満や苛立ちや積み重なり、ストレスを抱えている方も多いのではないでしょうか。その解消方法は人それぞれありますが、たまには読書で発散するのもおすすめです。この記事では、読んでいてスカッとする小説をご紹介。すっきり爽快な読後感で、心身ともにリフレッシュできるかもしれません。
常人とはかけ離れた特殊能力をもつ4人組。その正体は、人を傷つけないことがポリシーの、失敗知らずの銀行強盗です。
ところがその日は、逃走中に思わぬ誤算が発生。同じく逃走中だった別の現金輸送車襲撃犯に、盗みとった「売上」を横取りされてしまいます。
なんとか奪還しようとする4人ですが、立て続けにトラブルが起きて……。
- 著者
- 幸太郎, 伊坂
- 出版日
2003年に刊行された伊坂幸太郎の作品です。伊坂はもともとミステリーを数多く手掛けていましたが、本作の犯罪とコメディを掛けあわせた内容が受け、ミステリーファン以外にも名前を知られることとなりました。
個性的な登場人物たちと、起承転結がしっかり組み立てられている構成が魅力でしょう。銀行強盗の4人組は全員陽気な性格をしていて、何事にも明るく前向きに対処をし、悪人のはずなのに憎めないのです。
小さな伏線もきっちり回収してひとつの謎も残さずに終結する物語に、爽快感を覚える人も多いはず。ユニークな言葉のやり取りと、ハイテンポなストーリー展開で、スカッとした読後感を味わえるでしょう。
時は1815年。若き船乗りのエドモン・ダンテスは、船長の遺言で当時エルバ島に追放されていたナポレオン・ボナパルトのもとを訪ね、とある荷物を届けます。その際ナポレオンの側近から、パリのノワルティエという人物に宛てた手紙を託されました。
無事に航海から戻ったダンテスは、船長へ昇進することに。さらに恋人と結婚式の準備も進め、幸せな人生を歩み始めます。
しかしそれを妬んだダングラールという人物が、「ダンテスはナポレオンから秘密文書を預かった」という嘘の密告書を検事に提出。ダンテスは、婚約パーティーの最中に無実の罪で逮捕され、さらに生涯出ることのできない監獄へと入れられてしまうのです……。
- 著者
- アレクサンドル・デュマ
- 出版日
- 2000-06-16
1844年から刊行された、フランスの小説家アレクサンドル・デュマ・ペールの作品です。日本では1901年から『史外史伝巌窟王』というタイトルで新聞に連載され、1905年に単行本が初めて刊行されました。その後も複数の翻訳本が出版され、長年愛される作品になっています。
本書は、無実の罪ですべてを失ったダンテスが、自身をどん底へ陥れた者たちに復讐していく物語です。
昇進や恋人との結婚と、まさに幸せな人生を歩もうとしていたダンテス。牢屋に入れられた後は自殺を考えることもありましたが、投獄先で出会った神父と交流し、知恵をつけ、14年の歳月を経てついに脱獄に成功。神父から教えられた、モンテクリスト島に隠された巨額の財宝も手に入れ、「モンテ・クリスト伯爵」を名乗り、知恵と権力と富を駆使して復讐を始めるのです。
用意周到なおかつ執拗な復讐の様子に、物語は緊迫感をもって進んでいきます。ダンテスの急転直下した人生を見ているからこそ、読者も彼を応援してしまうのです。着々と目的を遂行していく様子は、実に痛快。息つく暇もなく読み進めてしまうでしょう。ダンテスが最後にどんな決断をくだすのかにも、注目です。
ある日、北朝鮮に設置されている中距離弾道ミサイルに、燃料が注入されたという報せが入ります。標的は日本。いつ発射されてもおかしくない状況です。
支持率の低迷や経済問題で打つ手なしとなっていた浅尾総理大臣は、国民に向けて記者会見を開きました。そして、「自分たちの内閣は二軍である」ことを公表。「本当の内閣」に政権を譲るというのです。
かくして、京都の公家出身である二条首相を中心とした二条内閣が明るみに出ました。二条内閣は、やることなすことがすべてド派手で破天荒。言いたいことはズバズバ言い、考えを曲げることはありません。そして、ミサイルへの対抗策として、国民を守るためには反撃すら厭わない「鉄砲玉作戦」に踏み出すのです。
- 著者
- 室積 光
- 出版日
- 2013-03-06
2010年に刊行された室積光の作品です。室積は執筆活動の他に、俳優や劇作家としても活躍。その経験によって培われたセンスとユーモアで、多数のエンターテイメント作品を生み出しています。
本書では、実在する日本の政治や内閣を風刺。聞き覚えのある名前の登場人物や、見覚えのある状況が多数登場しています。
外交や法律にも切り込み、読者が常日頃感じている不満や鬱憤を晴らしてくれるでしょう。その様子はまさに痛快で、なおかつ少し考えさせられる作品です。
主人公の青山隆は、ブラック企業で働く青年。こき使われる毎日に心身ともに衰弱しきっていました。ある日、無意識のうちにホームから線路へ飛び込もうとしていたところ、「ヤマモト」と名乗る男性に助けられるのです。
同級生を自称するヤマモトは、何かと相談に乗って助けてくれるようになり、青山もしだいに心を開き始めます。しかし、ある日本物の同級生は海外にいることが判明。真相が気になった青山は、ヤマモトの名前をインターネットで検索します。すると、3年前に激務が原因で自殺をした男性のニュースが出てきました。
- 著者
- 北川恵海
- 出版日
- 2015-02-25
2015年に刊行された北川恵海の作品です。「働き方改革」が叫ばれ、労働環境を見直す動きがある昨今、タイムリーな内容でしょう。
激務が原因でうつ病になり、自殺をしてしまったヤマモトは、死んでからようやく、自分が本当にやりたかったこと、残された家族のことを考えられるようになりました。だからこそ同じように自殺を考えた青山を、放っておくことはできなかったのです。
本書は、読者に自分の人生を見つめ直すきっかけを与えてくれます。爽快感を得られるのはもちろんのこと、涙なしでは読めないかもしれません。会社で働く人だけでなく学生や主婦の方であっても、「何のために生きているのかわからない」と感じている人に読んでほしい作品です。
主人公の佐倉涼平は、食品メーカーに入社して早々、短気な性格が災いしてトラブルを起こしてしまいます。その結果、社内ではお荷物部署と呼ばれている「お客様相談室」へ配属されることになりました。
風変わりな同僚たちに囲まれながらも、会社のモットーである「お客様の声は、神様のひと声」を胸に、クレーム処理の日々を送る佐倉。そして、会社がまともな意見を無視していることに気付くのです。
その態度に疑問を抱いた彼は、上司の篠崎とともに、会社と対決することを決意しました。
- 著者
- 荻原 浩
- 出版日
- 2005-03-10
2002年に刊行された荻原浩の作品です。タイトルの『神様からひと言』は、お客様からの意見を代表し、主人公の佐倉が直接会社に物申すことを表しています。
クレームが殺到する「お客様相談室」で苦戦をする佐倉ですが、会社が存続するためには信頼が大切です。そのためには消費者からの意見も重要で、彼はなんとか食らいついていきます。
ガツンと本音を伝えるシーンは、なんとも痛快。スカッとできる作品です。
主人公の半沢直樹は、バブル期に大手銀行に入行。大阪にある中核店舗で、融資課長を務めています。
ある日、5億円の融資をした「西大阪スチール」が倒産。帳簿を調べると、粉飾の痕があることに気付きます。半沢は社長の東田に話を聞きますが、彼は開き直ったすえに失踪。さらには、粉飾を見破れなかったと、あらぬ責任を押し付けられることになってしまいました。
激憤した半沢は、同僚たちと力をあわせ、東田の行方を追います。
- 著者
- 池井戸 潤
- 出版日
- 2007-12-06
2004年に刊行された池井戸潤の作品です。テレビドラマ化もされて話題になった、「半沢直樹」シリーズの第1弾。池井戸は過去に銀行に勤めた経験があり、銀行の内情が事細かに描写されています。
主人公の半沢は、いわゆる中間管理職。責任を押し付けられ八方塞がりとなってしまいますが、知略を巡らせて上司を叩きのめしていきます。心理描写が素晴らしく、人間関係や組織の内情もわかりやすいです。難しい専門用語は登場人物たちがその都度説明してくれるので、特別な知識も必要ありません。
ハラハラとする展開が続きますが、最後はスカッと気分爽快。まさに痛快なエンタメ小説です。