運命的に出会った性欲旺盛な男女が、肉体関係から結婚に踏み切り、やがて本当の愛に目覚めていくコメディタッチのラブストーリー。ロリ顔OLと爽やかイケメンサラリーマンの、とんでもない夫婦生活が描かれます。『オットに恋しちゃダメですか』は月刊ウェブマガジン「Love Silky」で連載されている藤原晶の作品です。 スマホの無料アプリで読めるので、気になった方はぜひどうぞ!
夜の生活に積極的すぎるせいで、連続で振られるのが悩みのOL・鳥居あかね。仲のよい同僚からは冷やかされますが、彼女自身には切実な問題でした。
ある日、失意のあかねが1人でバーで飲んでいると、同じ会社の男性社員・高橋拓也と偶然出会いました。彼は若きエースとして有名で、イケメンでありながら体面が良く、「王子」の異名を持つほど上品な雰囲気を放っていました。あかねとは対極の人間……かと思われました。
アルコールの力で2人は意気投合。別人のように豹変した拓也に迫られたあかねは、お酒のせいもあって体の関係を持ってしまいます。ところが、体の相性はバッチリ。
実は人知れず絶倫に悩んでいた拓也。そんな彼に、あかねはぴったりの女性だったのです。
近々東京へ栄転することが決まっていた拓也は、あかねを運命の人と思い定めて翌日すぐに結婚を申し込みました。こうして一夜限りの関係から、彼らの結婚生活が始まったのです。
肉体関係から始まりましたが、ともに暮らすうちに2人は互いに惹かれて行き、本当の愛を育んでいくのです。
- 著者
- 藤原晶
- 出版日
- 2013-11-20
藤原晶(ふじわらあきら)は11月19日生まれ、大阪府出身の漫画家です。
創造社デザイン専門学校を卒業後、1994年「別冊少女コミック」に『君に映る空の下で』が掲載されデビュー。今回ご紹介する『オットに恋しちゃダメですか?』は紙媒体と電子書籍の合算で100万部を突破しており、名実ともに代表作といえるでしょう。他に『恋がヘタでも生きてます』があり、2017年にTVドラマ化もされました。
- 著者
- 藤原 晶
- 出版日
- 2008-08-08
デビュー作以後は「プチコミック」を中心に活躍し、セクシー表現も見られる大人の女性をメインとしたラブコメディを発表してきました。少女漫画のような可愛らしい画風で明るいエッチを楽しめるのが藤原晶の作風といえるでしょう。
主人公の鳥居あかねは、可愛らしい見た目とはうらはらにナイスバディな美女です。
性に奔放な性格ですが、男なら誰でもよい尻軽であったり、浮気性なわけではありません。一途なものの性生活の不一致で長続きせず、結果的に経験人数が多くなった、という本人には深刻で不幸な境遇の持ち主です。
あかねのパートナーとなるのが高橋拓也。絵に描いたような凄腕サラリーマンで、整ったルックスと柔らかい物腰は気品に溢れており、「王子」の異名も頷ける美青年です。結婚前も後も、あかねにしばしば王子と呼ばれます。
仕事は真面目一徹、趣味は筋トレと、公私ともにストイックな完璧人間ですが、実はとんでもない精力絶倫男でした。物凄いテクニックと逞しい精力がありながら、その絶倫を受け入れられる女性に出会えなかったのです。
夜の営みは、あかねと拓也は5ラウンドくらい当たり前という凄さ。コメディタッチが強いものの、こうした夜の営みが赤裸々に描写されるのが本作の魅力の1つです。
あかねと拓也は、体の相性に限っていえばお似合いという他ありません。しかし結婚というのは、愛し合う2人が生涯添い遂げることを誓うもの。一晩寝ただけの関係で結婚してうまくいくはずがない……かと思いきや、そんなことはありません。
お互い過剰に干渉しないので諍いは起きにくく、役割分担がうまく機能して、一般家庭よりスムーズなのではないかと錯覚するほど。
あかね本人が驚くのですが、拓也は夫として完璧な男性でした。よく働いて優しく接し、夜も満足させてくれる。彼女は自分も拓也にとって、よい妻であろうと努力していきます。その結果、お互いがよい面ばかり見るようになって、どんどん惹かれて行くのです。
普通とは順序が逆転してしまっていますが、2人は結婚してから普通の男女のように恋をして、愛し合っていくのが見所といえるでしょう。
体の相性がいいから結婚した、というちょっとエッチでコミカルな本作。話が進むとシリアスな展開になっていくのも本作の魅力です。
夫婦として自然と、子供のことについても言及されていきます。そこで拓也の意外な素顔が掘り下げられていくのです。
拓也はかつて、母親の育児放棄で施設に預けられた経験がありました。それがトラウマとなって人と深く関わるのを避けるようになり、子供嫌いになっていたのです。
そこへ現れたのがあかねです。拓也はあかねに惹かれつつも、過去のトラウマから人を愛せないのではと悩むようになります。それは離婚を考えるほど深刻になものでした。
簡単には克服できない複雑な背景ですが、彼女は真摯に接して、拓也にかかった呪縛を解いていきます。この経緯はじっくりと描かれ、2人は本当の意味で結ばれた関係になっていきます。
丁寧な描写は、漫画とは思えないほどリアル。あかねの妊娠したときは、思わずグッとくるほど感動的です。
壮絶な生い立ちに続いて、あかねは拓也の友人・門所(もんどころ)や市田友喜(いちだゆうき)と知り合って、拓也の過去と向き合って行きます。また、あかねの仕事先の大泉夫婦と親交を持つ中で、子供に対する意識も変わっていきました。
そしてついに身籠もったあかね。拓也もいろいろな経験から妊娠・出産に前向きになり、まさに幸せの絶頂でめでたしめでたし……とは行きませんでした。拓也の気を引くために重いつわりを装って騙したことが祟ったのか、本物のきついつわりがあかねを襲います。
あかねの妊娠が8週目に突入したの前後して、体調の変化に引き摺られて性格まで激変。2人の間には会話もままならなくなって、またしても夫婦の危機に。
- 著者
- 藤原晶
- 出版日
- 2019-02-05
男性および未婚未出産の女性諸氏には知りようのない事実ですが、妊婦によってつわりの重さや種類というのは千差万別のようです。あかねの場合は空腹時に吐き気を催す「食べづわり」。
こんなつわりもあるのかと驚かされます。しかも異様に過敏になりすぎて、ラブラブだった拓也とのキス(もちろん夜の営みも)すら拒否するシーンも出てきて、読者にとっては二重三重にびっくり。
拓也の方も、妊娠中のあかねはもちろんこと、既婚者として他の女性と性的な接触が出来ないので強制的にお預け状態。思わぬところで男の試練にぶち当たるのが面白いです。
結婚後に恋愛関係となったこの2人は、果たしてこれら先起こる妊娠期の問題も乗り越えることが出来るのでしょうか?
いかがでしたか?本作はラブコメとシリアスが適度にミックスされた読みごたえのある作品です。一風変わった大人の恋愛を楽しみたい方はぜひ読んで見てください。