子どもが2歳前後になったらやってくる、魔の「イヤイヤ期」。自我を育てる大事な時期だということはわかるのですが、何を言っても「イヤ!」のくり返しではお父さんお母さんも参ってしまいますよね。そこで今回は、イヤイヤ期の子どもに読んであげたいおすすめの絵本を紹介します。叱らなくても、自然としつけができるものばかりですよ。
前から読むと、子豚のブブタがいろいろなことに駄々をこねている「イヤイヤ!ブブタ」の物語が、後ろから読むと、褒めてあげたいシーンが満載の「すごいね~!ブブタ」の物語が楽しめる作品です。
どうしたらいいかわからなくて辛くなってしまう「イヤイヤ期」も、本書を使えば笑って乗りこえられるかもしれません。
- 著者
- たかい よしかず
- 出版日
- 2016-04-08
大人気の絵本作家、たかいよしかずの作品です。
大変なことはもちろん、褒めてあげたいことや成長を感じることなど、イヤイヤ期の子どもの「あるある」エピソードが満載。かわいいイラストで子どももとっつきやすく、親子で客観的に「イヤイヤ期」を楽しむことができるでしょう。
イヤイヤ期だとわかっていても、ついイライラしてしまったり悲しくなったりしてしまう親御さんを救ってくれる作品です。
やだやだおばけのやだもんは、やだやだ言う子どもが大好き。今日もきょろきょろ捜索中です。
「やだやだー まだ かえりたくない!
もっと あそぶの! やだやだー」(『おばけのやだもん』より引用)
やだもんは、公園から帰りたくなくて駄々をこねているたろうくんを見つけました。
「キラキラリン!
やだやだたろうくん みーつけた!」(『おばけのやだもん』より引用)
さっそく、たろうくんにぴたりとくっつきます。すると、あれあれ、たろうくんの足が消えちゃった!やだもんは、たろうくんを「やだやだおばけ」に変えてしまったのです。
- 著者
- ひらの ゆきこ
- 出版日
- 2014-06-01
イラストレーターで絵本作家のひらのゆきこの作品。ぎょろりとした目に、赤い舌。いかにも悪そうな表情を浮かべるやだもんの表紙が印象的です。
やだやだと言うたろうくんにとりついて、おばけに変えてしまうやだもん。ポップで明るいイラストなので、小さい子どもでもそこまで怖く感じることはないでしょう。
おばけのやだもんは、イヤイヤ期真っ最中の子どもに悩まされるお父さんお母さんの救世主。脅かしすぎることなく、ユーモアもあって楽しめる作品です。
アイスクリームは、暑いのがきらいです。なぜかというと、すぐに溶けてしまうから。でも、誰も食べたがらないから寒いのもきらいです。
せっけんは、きれいな手がきらいです。なぜかというと、あまり役にたてないから。でも、自分が汚れてしまうから、汚い手もきらいです。
次々と登場するユーモアにあふれた「きらい」たち。否定的なイメージが強い「きらい」を、おもしろおかしく描きます。
- 著者
- 中川 ひろたか
- 出版日
- 2009-06-19
文を中川ひろたか、絵を工藤ノリコが担当した作品です。
「きらい」という負の感情は、使い方しだいでは人を傷つけてしまうこともある強い言葉。しかし本書では「きらい」をまろやかに中和し、笑いへ昇華させています。
ピーマンがきらいな八百屋さん、とんかつがきらいな肉屋さん、暗いのが嫌いなおばけ、寒いのが嫌いな雪男……ゆかいな「きらい」のオンパレード。ほっぺがぷっくりとした丸いフォルムのイラストもかわいらしいです。
「きらい」という感情を抱くのは悲しいことですが、本書のように受け入れて楽しく悩むことで、前向きな気持ちになれるでしょう。イヤイヤ期の子どもへの読み聞かせにおすすめです。
なんでもすぐに「いやだいやだ」という女の子、ルルちゃん。眉毛をつりあげて、怒った顔でを駄々をこねてばかりです。
しかし、ルルちゃんがあんまり「いやだいやだ」と言うものだから、ついにお母さんも「いやだ」というようになりました。大好きな抱っこもしてくれなくなったのです。
- 著者
- せな けいこ
- 出版日
- 1969-11-10
せなけいこが手掛けた、世代をこえて親しまれている絵本です。
「いやだいやだ」とばっかり言っているルルちゃんは、お母さんだけでなくおやつやおひさま、大事なくまちゃんにまでそっぽを向かれて、泣いてしまいました。
イヤイヤ期の子どもに読んであげると効果抜群。相手の気持ちを慮ることを学べるはずです。
主人公のしげるは、4歳の男の子。ちゅーりっぷほいくえんに通っています。ほいくえんに行く前のある朝、しげるはわがままばかり言っていました。顔は洗わない、洋服も着ない、朝ごはんも食べない。しまいには保育園になんか行きたくないと暴れだします。
困ったお母さんに、保育園の先生がよいことを教えてくれました。
「いやいやえんにいらっしゃい。
いやいやえんなら、しげるちゃんもすきになりますよ。」(『いやいやえん』より引用)
そうしてたどり着いた「いやいやえん」。窓から子どもが大勢顔を出して、しげるの方を見ています。一体、しげるはどうなってしまうのでしょうか。
いやいやえん (福音館創作童話シリーズ)
1962年12月25日
「ぐりとぐら」シリーズの作者、中川李枝子と大村百合子姉妹のデビュー作です。1962年に刊行されて以来、多くの人の親しまれています。7編からなる短編童話集で、表題作の「いやいやえん」は最後のお話です。
リアルな世界とファンタジーの世界を行ったり来たりするという不思議な雰囲気が魅力。こぐまやオオカミなど個性的なキャラクターたちも次々に登場します。見どころは、しげるのわんぱくっぷり。まさにイヤイヤ期で、わがままやいたずらが過ぎることもありあますが、そんな無邪気な姿が憎めないのです。
いやいやえんでは、わがままを言っても許されますが、その代わり1度「いや」と言ったものが消えてしまいます。しげるはどんなことを思うのでしょうか。