体によいもの、悪いもの、さまざまな食べ物があふれている日本。健康でいるためには、食事をきちんととることが大切です。しかし小さいお子さんは好き嫌いが多かったり、じっと座ってご飯を食べることが苦手だったりすることもあるでしょう。そこで今回は、「食育」におすすめの絵本をご紹介していきます。正しい知識が身に着けば、いつもの食事がもっと楽しくなるはずです。
カコッ ホッ カル カル カル カル カル(『おいしい音』より引用)
きつね色に揚げられた春巻きを食べると、おいしい音が聞こえます。
ほうれん草のおひたしにかぼちゃの煮物、ほかほかご飯にわかめのお味噌汁……食卓には、できたての料理がいっぱい。いったいどんな音がするのでしょうか?
- 著者
- 三宮 麻由子
- 出版日
本物と見間違えてしまいそうなほどリアルでおいしそうに描かれた料理を、ひとつひとつ味わう絵本。「いただきます」から「ごちそうさまでした」までを丁寧に描きます。
本書の魅力は、その音の豊富さでしょう。ほうれん草を食べると「ズックズックズック」、ご飯なら「ボホッモワーンムッチムッチ」と、とても独特なのです。
これは、作者の三宮麻由子が全盲だからかもしれません。研ぎ澄まされた感覚をもつ彼女だからこそ、私たちが聞き逃してしまっている「本当の音」を掬いあげることができるのでしょう。その豊かな表現に衝撃を受けます。
音に注目してみると、毎日の食事がさらにおいしく感じられ、食育にぴったりです。絵本に出てくる料理と同じものを食べてみて、音を比較してみるのも楽しいでしょう。
チャーリーには、小さくて手のかかる妹のローラがいます。パパとママは「ローラにごはんをたべさせておいてね」なんて言って、出かけてしまいました。
でもそれって本当に大変なことなんです。夕食のテーブルについたローラは、いつものようにこう言います。
「あたし、まめ いやだからね。
にんじんも、じゃがいもも、カリフラワーだってたべないからね。
きのこも、スパゲティもいやだからね。
たまごもソーセージもダメ。
キャベツも、にまめも、バナナも、オレンジも、りんごだって、チーズだって、さかなのフライだってたべないからね。
それから れいのトマト!
ぜーったい、たべない!」(『ぜったいたべないからね』より引用)
そう、妹はとても好き嫌いが激しいのです。
- 著者
- ローレン チャイルド
- 出版日
- 2016-11-01
子どもの好き嫌いに頭を悩ませている親御さんも多いのではないでしょうか。そんな時に読んでほしいのが、イギリスの児童文学作家ローレン・チャイルドが手掛けた本書です。日本を含む世界35ヶ国でテレビアニメが放送された「チャーリーとローラ」シリーズの1作目となっています。
好き嫌いが激しいローラにごはんを食べさせようと、チャーリーはいつものメニューにおもしろい名前をつけるというアイディアを思いつきました。にんじんは「はるばる木星から届いた、えだみかん」、じゃがいもは「世界一高い山のてっぺんでとれる、くもぐちゃらん」。興味を示したローラは、一口、また一口と食べ始めるのです。
頭ごなしに「食べなさい」と押しつけられても、子どもは反発するだけ。チャーリーのように想像力を働かせて、食べ物に興味をもってもらえるよう工夫をすれば、子どもたちは前向きに食事に取り組むようになるでしょう。ユーモアたっぷりでほほえましい2人のかけあいにも注目です。
とっても元気な子どもたち。そのパワーの源は、食べ物です。
本書は「元気を作る食育えほん」シリーズの1作目。食べ物をわかりやすく4つの種類に分類し、バランスのとれた食事を自発的に考えられるように促します。食べ物の国の「げんきッズ」と一緒に、元気の秘密を学びましょう。
- 著者
- 吉田 隆子
- 出版日
- 1997-04-01
バランスよく食事をとり、食材本来の味や、旨味のわかる子どもたちに育ってほしいと思います。心から”食べることって楽しいね”といえる子どもたちが増えることを願ってこの本を作りました。(『たべるのだいすき!』より引用)
管理栄養士でもある作者の吉田隆子の願いが込められた本作。元気で明るいイラストと必要最低限の言葉で、食べ物の大切さや栄養のバランスを、子どもでも理解できるようまとめている食育絵本です。
知識がつくと同時に、食べ物へ興味を抱くきっかけになるのも嬉しいポイント。本書を読みながら「これを食べてみたい!」と好奇心がぐんぐん湧いてくるでしょう。
ごはんが炊けたら、手のひらを水で濡らし、塩をつけます。そこにあつあつのごはんを乗せて、ぎゅっ。真ん中に梅干しを埋めたら、またぎゅっぎゅっ。そしてくるっくるっと回しましょう。
最後にのりを巻いたら、おにぎりのできあがりです。
- 著者
- 平山 英三
- 出版日
- 1992-09-15
おにぎりの作り方がシンプルに、リズミカルに描かれている絵本です。
あつあつのお米から立ち昇る湯気、いかにも酸っぱそうな梅干し、無造作に巻かれたのり。平山和子が描く本物と見間違うほどに写実的なおにぎりは、とにかくおいしそうです。できたてのおにぎりがもつ熱と食感がありありと伝わってきて、今すぐ食べたくなってしまいます。
食いしん坊な子どもはもちろん、赤ちゃんも絵だけで充分楽しめるでしょう。本書をきっかけに、初めてのおにぎり作りに挑戦してみるのもおすすめです。
はたけで そだった だいこん。
やおやさんに ならびました。
ふとった だいこんですよ。(『やさい』より引用)
私たちの日常に当たり前のようにある野菜たち。もともとは、どんなふうに育ったのでしょうか。
- 著者
- 平山 和子
- 出版日
- 1982-09-30
太った大根に柔らかそうなキャベツ、つやつやのトマト……立派でおいしそうな野菜たちが次々と登場する作品です。今にも絵本から飛び出してきそうなほどリアルに、そして美しく描かれています。
本書の見どころは、さまざまな野菜たちの「畑の姿」と「八百屋さんに並んだ姿」を見比べられる点。いつも見ている野菜がみずみずしく畑で育っている姿に、子どもたちは目を輝かせるに違いありません。
ストーリーがあるわけではないので、乳幼児にもおすすめ。野菜が苦手だと思っている子どもにこそ読んでもらいたい食育絵本です。
ごはんやおかし、おさかな、おにく、たまごやき……この世の中には、食べ物がいっぱいあります。
では、そんな食べ物たちは、私たちの体の中に入ったらどうなるのでしょうか。
わすれものはありませんか。
それでは、しゅっぱつ
いってらっしゃい!(『たべもののたび』より引用)
- 著者
- かこ さとし
- 出版日
- 1976-10-01
工学博士でもある絵本作家かこさとしの「からだの本」シリーズ。食べ物が体内のどこをどう通って、どうなるのかを「旅」にたとえて、わかりやすく描いている食育絵本です。
栄養などの大事なものを黄色いカバンに入れて、体の旅に出かける食べ物たち。「ももいろをした口のトンネル」をくぐって、「のどの奥のせまいほそいみち」を通り、「いぶくろこうえん」へ。旅を楽しみながら、体の仕組みを学ぶことができるのです。
栄養という概念や消化の過程が、視覚でわかるのが嬉しいポイント。よく噛んで、好き嫌いをせずに食べることの大切さに気付くことができるでしょう。
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