小さな子どもがいると、あっという間に部屋が散らかってしまいます。彼らに片付けを教えるのは、簡単なことではありません。声を荒げて叱るよりも、絵本を楽しく読みながら整理整頓の大切さを知ってもらいましょう。この記事では、「おかたづけ育」に役立つ作品をご紹介していきます。
楽しく遊んでいる野菜たち。積み木に絵本、太鼓、木琴、お人形……。お部屋はおもちゃでいっぱいです。さあ、そろそろ片付けを始めましょう。
かたづけやさーい
「えーっ!」(『かたづけやさーい』より引用)
まだまだ遊んでいたい野菜たちは不満そう。そんななか、きゃべつちゃんが率先して片付けを始めました。
くる~り ひらりん
えほんさん おうちへ かえりましょう♪(『かたづけやさーい』より引用)
歌いながら片付けをするきゃべつちゃん。なんだかちょっと楽しそう。ほかの野菜たちも、片付けがしたくなってきました。
- 著者
- 出版日
- 2015-04-15
作者のわたなべあやは、食べ物を主役にしたかわいらしい絵本を続々と出版している人物。自身も母親であることから、子育てにおける「片付け」で実際に工夫していることや、日頃感じていることを物語に取り入れたそうです。
だからこそ、野菜たちの片付けは、歌を歌ったり、誰が1番早いか競争したりと愉快なものばかり。しかもすぐに実践できそうです。
楽しそうに片付けをする野菜たちを見ていると、普段は苦手な片付けもだんだんステキなものに思えてきます。野菜の名前や色を自然と覚えることができるのもポイントです。
ある街はずれの家に、メトロン星人がひとりで住んでいました。薬の研究や機械を修理する仕事をしています。しかし片付けが苦手で、部屋の中はいつも散らかり放題です。
ある日、友達のウルトラセブンが遊びに来ました。
「やぁ ひどい ちらかりようだね。
すこしは かたづけを したほうが いいんじゃない?」
「ハハハハ かんがえておくよ」(『かたづけしないとどうなるの?』より引用)
注意をされても、メトロン星人はどこ吹く風と聞き流してしまいます。ウルトラセブンが帰った後、さっそく仕事の続きをしようとしますが……。
- 著者
- ひらい たろう
- 出版日
- 2015-01-21
正義の味方ウルトラマンが、絵本になって登場です。文は平井太郎、絵はヒカリンが担当しています。
片付けをさぼっていたメトロン星人は、床に散らばった物に足を滑らせ、すってんころりん。積み上げてあった本の山に激突して、埋まってしまいました。大変な目にあい、やっと部屋の片付けをする気になります。そして部屋がきれいになると、仕事がはかどるうえに、いつもより気持ちよく過ごせることに気付くのです。
子どもに片付けを教えるのは、とても難しいこと。本書であれば、親子で物語を楽しみながら、片付けや整理をすることの大切さを知ることができるでしょう。ウルトラマンを知らない子どもでも十分に楽しめる内容なので、ぜひ読んでみてください。
おもちゃを片付けたらおやつの時間。早くおやつを食べたいななちゃんは、急いでおもちゃをかき集め、おもちゃ箱にぽんぽん放り入れました。
すると、片付けたはずのおもちゃたちが、どんどん飛び出していくではありませんか。びっくりするななちゃんに、おもちゃたちは声をそろえてこう言います。
「ななちゃんのおかたづけは おかたづけになってなーい!」(『ななちゃんのおかたづけ』より引用)
いったいどういうことなのでしょうか?
- 著者
- つがねちかこ
- 出版日
- 2014-02-21
部屋はいつもごちゃごちゃ、どう整理すればよいのかわからない……小さい子どもがいる家庭には、こんな悩みがつきものです。
本書は、片付けのプロである鈴木尚子が監修をした絵本。「子ども版片付けガイド」といってもよいでしょう。かわいいななちゃんと個性豊かなおもちゃたちの物語を読み進めるだけで、自然と整理整頓のやり方や、片付けの仕組みを理解できるようになっています。
巻末には、親御さんへのアドバイスも掲載されています。ぜひ親子で実践してみてください。
大変なことが起こりました。女の子が大事にしていた、指人形のあみちゃんがいなくなってしまったのです。
女の子は、自分の部屋をぐるりと見渡してみます。床に落ちた青いリボン、中がぐちゃぐちゃの洋服ダンス、その前に積まれているセーターやスカート……。部屋にあふれる物たちをあっちこっちに投げながら、あみちゃんを探し始めました。
- 著者
- 石井 睦美
- 出版日
- 2010-04-03
あみちゃんのかぞくは、おんなのこが だいすきでした。
けれど、こどもべやでは しょっちゅう あらしが おきるので、
おひっこしをすることにしたのです。(『おにんぎょうさんのおひっこし』より引用
無くしたと思っていた指人形のあみちゃん。実は、子ども部屋から引越しをしていました。小さな人形にとって、散らかった部屋は嵐同然なのです。
一方で、女の子も闇雲に部屋を散らかしているわけではありません。散乱した洋服は山や川。彼女のなかにはしっかりとストーリーがあります。ただ片付けを教えるのではなく、子どもの気持ちに寄り添った内容だからこそ心に残る教訓になります。物の気持ちを考えられるようになる絵本です。
いつも散らかしっぱなしのノンタン。うさぎさんのところへ遊びに行こうとお外に出ると、かみくずやごみくずがぱっぱらぱららとついてきます。
うさぎさんの家でも、片付けをしないノンタン。怒られてしまうと、今度はくまさんの家に遊びに行きました。すると、ノンタンについてくるかみくずやごみくずの数も増えていきます。ノンタンはどうなってしまうのでしょうか。
- 著者
- キヨノ サチコ
- 出版日
- 1986-08-07
1976年に1作目が刊行されて以来、世代を超えて愛されているロングセラー絵本の「ノンタン」シリーズ。本作では、片付けの大切さを学ぶことができます。
元気いっぱいで、表情豊かなノンタンが魅力的。ゴミまみれになって目をぱちくりさせるなど、小さい子どもが思わず笑ってしまうシーンが盛りだくさんです。
「ぱっぱらぱなしのかみくず、ごみくず」とくり返されるリズムが心地よく、読み聞かせにもぴったりです。言葉を覚え始めたくらいの時期に読んであげると、片付けを意識するようになるでしょう。
靴下を片方なくしてしまったルルちゃん。お昼寝をする前に、脱ぎっぱなしにしてしまったのです。先生に聞いても、友達に聞いても、行方はわかりません。
いくら探しても見つからない靴下。いったいどこへいってしまったのでしょうか。
- 著者
- せな けいこ
- 出版日
- 1972-12-01
子どもがいると、身に着けていたものがなくなるのはよくあること。本作のルルちゃんも例外ではなく、脱ぎ捨てた靴下をなくしてしまいました。
どこにいってしまったのか、ルルちゃんは考えます。うさぎの耳やぞうの鼻、ねこのしっぽにはかれているかもしれません。そのユニークな想像力とかわいらしいイラストに、思わず微笑んでしまうでしょう。
本作のポイントは、結局最後まで靴下が見つからないところです。なくされた靴下が大粒の涙を流すシーンは、子どもたちの感情を揺さぶります。片付けをすることの大切さを考える、よいきっかけになるでしょう。