「人の目を気にしない生活」を選んだがゆえに「人の目が異様に気になる」。 「ユニークな人になりたい」けど「常識はずれな人にはなりたくない」。 「普通なんてない」といいながら「平均が気になる」。 変わった人だねと言われることに喜びを感じつつも、その裏の裏まで気になってしまう……自意識過剰を順調に育てて来た筆者が送る、「自分との戦い」ならぬ「自分との痴話喧嘩」に悩むあなたにおすすめの新書、ご紹介します。
最近いろんな人に話すことで棚卸しできたことではあるのだけれど、なんかどうも世の中のかわし方を大喜利のように考えているところがある。人からの相談ごとなど、解決策を提案しているうちについ、笑いに走ってしまいがちだ。
その根っこには、自分の持ちネタを増やして「面白い人」と思われたいという承認欲求がある。
コンプレックスだらけだからこそ、それをなんとか転換したいのだ。
なんだかすごく前向きな考え方のように見えて、「見てほしい」どろどろとした欲しがりな自分がそこにいる。
運動ができない、背が低いという生まれつきなものに加えて、高校3年生の春にした文転(理系の学部から文系の学部を目指すよう進路を変更すること)は自分にとって大きなコンプレックスとなった。
中学受験の時は、算数に特化した塾に行っていたこともあり、そしてそれなりに成績がよかったこともあり、なんなら化学部に所属していたこともあり、自分は「理系」だという自負があったのである。
しかしいかんせん、物理と数学Ⅲ・Cできなかった。
それでも数学を勉強していたことを人生の「ネタ」にしてやろうと、数検(実用数学技能検定)2級を取った。
- 著者
- 京極 一樹
- 出版日
- 2012-09-06
今勤めている会社が副業OKなので、中学受験対策の塾で教鞭も取っている。
履歴書の数検2級がうまいこと印象を良くしたのか、担当は「算数」である。
表紙では「中学入試レベルのユニークな問題」とおっしゃるが、中学入試の問題もなめたものではない。
新卒採用の際に使われる試験として悪名高いSPI総合検査にでてくる、「数字」系の問題も中学入試レベルの「算数」がベースになっている問題が多い。
友達からコツを教えてと言われるくらいにはSPIが得意だったので、やはり自分は「算数」は好きではあったのだなとも思わせてくれた。
だいたいこれくらいの答えになるだろうといった「数字の勘」みたいなものが、方程式を使えない「算数」ではかなり大事で、さらに選択式の試験となると、この勘で計算さえできればそこそこのスピードで解けるのである。
とはいえ算数を教えていて非常に悩みどころなのは、この「数字の勘」を生徒に言語化して教えることなのである。
何となく変な数字があれば、素数どうしの組み合わせだとかっていうのは「なんとなく13あたりで割れそうじゃない?」なんて教えても生徒にはピンとこない。
正直この本は頭から読むには数字が多すぎて「数字が嫌いな自分に悩んでいる人」には1から読むのはおすすめできない。
しかし、「数字に関するもやもや」「第六感」が働くことがあったらこの本で逆引きをしてみてほしい。
「そうそう、こういう計算したかったんだけど、根拠があったんだ」という、理系の人からはぷっと笑われそうな、「言語化される」気持ちいい体験ができるはずだ。
困シェルジュ
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