お酒が出てくるエッセイおすすめ6選!酒好きな作家は何を愛し、何を語る?

更新:2021.11.19

作家たちのなかには、無類の酒好きとして知られる人物が多数います。この記事では、そんな彼らが記したお酒にまつわるエッセイのなかから特におすすめのものを紹介。一体どんなことを語っているのでしょうか。

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ひとり酒のお供に最適のエッセイ『酒にまじわれば』

 

フォークシンガー、俳優、タレントとして活躍するなぎら健壱。無類の酒好きとして知られています。

酒にまつわる著作も多数発表しており、本書はそのなかでもさまざまな酒場を転々とした体験をおもしろおかしく綴ったエッセイです。

 

著者
なぎら 健壱
出版日
2010-12-03

 

2008年に刊行されたなぎら健壱の作品です。メディアに出演する際はエキセントリックな発言も目立ち、独特なセンスをもっている方として認識している人も多いでしょう。

そんななぎらは文才にもあふれていて、収録されている話はどれも捧腹絶倒もの。「嘘でしょう」と思うような突拍子もない出来事に遭遇するのですが、彼であれば「さもありなん」と納得してしまうのも不思議なところです。

1つの話は2~3ページにまとまっているので、テンポよく読めるのも魅力的。作者の酒に対する愛が感じられる一冊で、ひとり酒のお供にもぴったりです。

 

人生に欠かせない酒について記したエッセイ『酒呑みの自己弁護』

 

作家、エッセイストとして活躍した山口瞳。お酒は彼の人生に欠かせないものになっていました。

「お酒をやめれば健康になるだろう」という意識はあったものの、執筆活動で溜まったストレスを解放できるのはやはりお酒。「もうひとつの健康」を損なわないための秘薬となっていたのです。本書はそんな作者の、お酒を飲むことに対する「自己弁護」が綴られたエッセイになっています。

 

著者
山口 瞳
出版日
2010-10-08

 

1973年に刊行された山口瞳の作品です。國學院大学の文学部を卒業し、いくつかの職を経験した後に現在のサントリーである壽屋に入社。コピーライターとして活躍し、お酒に関する雑誌の編集やPRを担当しました。本書はもともと「夕刊フジ」で連載されていたものです。

お酒にまつわることが記されていますが、そこに家族や友人、仕事などのエピソードが絡められ、山口の人生においてお酒が非常に重要な位置を占めていたことがわかります。

1編ごとに挿入される山藤章二のイラストにも注目してみてください。

 

実践したい!池波正太郎のレシピが載ったエッセイ『そうざい料理帖』

 

時代小説作家として知られる池波正太郎。「鬼平犯科帳」シリーズや「剣客商売」シリーズが有名です。「直木賞」や「吉川英治文学賞」などの文学賞を受賞したほか、「紫綬褒章」も受賞しています。

その一方で大変な美食家としても知られていて、食に関するエッセイも多数刊行。本書はそのなかから、読者でも作れる「そうざい」を厳選してまとめたエッセイです。どれもお酒にあう料理で、お腹も心も満たしてくれるでしょう。

 

著者
池波正太郎
出版日
2011-01-08

 

2011年に刊行された池波正太郎の作品です。紹介されている料理は、どれも簡素ながらおいしそう。イラスト解説付きなのも魅力的で、簡単に真似できる実用書としても役立つでしょう。

池波は食への造詣を深めるために、料理のプロから手ほどきを受けたこともあるのだとか。だからこそ、料理の素人がつまづくポイントも熟知しています。

自宅でひとり、酒の肴を作って飲むようになってからが、本当の酒好きというもの。池波正太郎の、1回の食事を味わいつくそうという気概も感じられるでしょう。

 

読むだけで楽しく酔えるエッセイ『酒肴酒』

 

小説家、また翻訳家として活躍した吉田健一。どこの国のどんな酒でも、必ず飲んで制覇するというほど強いこだわりをもっている作者。酒には地方の特性が現れるという信念のもと、「現地」で飲むことを重視しています。

本書は、酒と肴を求めて日本各地を食べ飲み歩いたエッセイです。

 

著者
吉田 健一
出版日
2006-02-09

 

1974年に刊行された吉田健一の作品です。彼が生まれた当時、父親である吉田茂は外交官で、赴任地が変わるに従ってさまざまな国で育ちました。だからこそ、その土地ならではの魅力というのを知っているのでしょう。「現地」で酒を楽しむ、酒好きとなるのです。

セレブな家庭で育ったからか、文章全体に鷹揚とした雰囲気が漂い、読者を作品世界に惹き込んでいきます。紹介されている店はどれも古いので、グルメ情報を得る実用書とはなりませんが、実際に訪れることはできないというのもまた、ある種の物語性を帯びていて想像のしがいがあるでしょう。

なんとも楽しそうに酒について語るさまに、読者も幸せな気持ちになれる作品です。

 

国木田独歩が酒について書いた『酒中日記』

 

小説家である国木田独歩の短編集です。表題作のほか、14編が収録されています。

「酒中日記」の主人公は、5年前まで東京で小学校の校長をしていた大河という男性。妻と子どもと一緒に、慎しやかに暮らしていました。

しかし戦争をきっかけに、大河の母親の様子が一変。堕落した生活を送るようになり、たびたび息子にお金をせびるようになったのです。そしてある日、大河が校舎の改築のためにとっておいたお金を、盗み出してしまいました。

 

著者
国木田 独歩
出版日
1970-06-02

 

1901年に刊行された国木田独歩の作品。「酒中日記」は、酒乱である主人公の男が、酒を飲みながら悲惨な過去を書き記した日記の体裁をしています。

この5年間、大河はある秘密を抱えていました。それは、酒を飲むことでやっと思い返すことができるくらい、切ないもの。彼はたびたび酒を飲んでは、過去の出来事を反芻していたのです。

酒を飲むことで救われる何かがあること、飲まないと乗り越えられない何かがあることがわかるでしょう。主人公の心の揺れ動く様子がよくわかり、生き方を考えさせられる作品です。

 

酒好きの詩人が綴るエッセイ『自伝からはじまる70章』

 

詩人、随筆家として活躍した田村隆一の作品です。

「大切なことはすべて酒場から学んだ」と晩年の彼に言わせるほど、酒好きだった田村。世界の酒場を転々としつつ、さまざまな人との交流を紡いできたことがわかります。

 

著者
田村 隆一
出版日

 

2004年に刊行された田村隆一のエッセイです。世界中を飛び回りながら酒を飲み、詩を書くという生活をしていた田村。アメリカ、ヨーロッパ、インドと場所を移しながら、いかにして詩人としてのアイデンティティを築いていったのかが記されていて、自伝としても読むことができるでしょう。

「金のないときの酒の味は、形容できないくらい愉しい」と、酒飲みのお手本のようなことを言ってくれる作者の文章は、きっと酒好きの読者を満足させてくれるはずです。

 

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