筒井康隆のおすすめ小説ランキングベスト5!『時かけ』を生んだ、SF作家。

更新:2021.12.14

型破りな設定や、ブラックユーモアあふれる作風が魅力の筒井康隆。『時をかける少女』をはじめとして、多くのSF作品やメタフィクションを手がけています。ここでは、そんな筒井康隆のおすすめ作品をご紹介していきます。

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魅力的なイタズラ心を持つ作家、筒井康隆とは?

1934年、大阪に生まれた筒井康隆は、子供の頃から漫画や映画、読書に没頭する日々を送ります。1960年に父と兄弟とともにSF同人誌『NULL』を創刊し、世間から注目を浴びると、それが江戸川乱歩の目に留まり、小説家デビューとなりました。

その後、様々なSF作品を発表し、常識にとらわれないナンセンスな設定と、イタズラ心満載の作風は、たちまち多くの熱狂的ファンを生み出します。数々の文学賞を受賞した筒井でしたが、1993年、出版社をはじめとした社会の言葉狩りに業を煮やし、断筆宣言。その断筆は3年3ヶ月に及びました。

5位: 夢と現実が交差した世界『パプリカ』

夢と現実の世界を行き来し、サイコセラピーをおこなう夢探偵「パプリカ」を主人公とした物語です。2006年にはアニメ映画化もされ、ファンの多い作品です。

著者
筒井 康隆
出版日
2002-10-30


主人公・千葉敦子は、精神医学研究所に勤めるセラピスト。美しく優秀な研究者である敦子は、同僚の時田とともにPT(サイコセラピー)機器の開発に携わり、ノーベル賞候補にもなる治療成果をあげています。

敦子には、もう1つの顔がありました。PT機器を使い、他人の夢の世界に入り込む夢探偵・パプリカです。パプリカは、夢の中で患者本人と行動を共にし、患者の無意識の部分を探ることで、抜群の治療成果をあげているのです。しかし同僚の時田が、PT機器の性能をはるかに越える、DCミニという機器を発明。物語は、様々な陰謀が渦巻く危険なバトルへと展開していくことになります。

夢なのか現実なのか、曖昧になっていく世界で大バトルを繰り広げる様子は、読み応えがあります。夢独特の不条理な世界観や、夢を通しての精神分析なども楽しめる作品になっています。

4位: 筒井康隆が暴く、人間の内面『家族八景』

人の心を読み取る、テレパシー能力を持った少女を主人公に、8つのストーリーを綴った連作短編集。何度もドラマ化されたことのある人気作品で、後に続編として『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』の2作品が発行されています。

著者
筒井 康隆
出版日
1975-03-03


主人公・火田七瀬は18歳。両親が亡くなり天涯孤独の七瀬は、高校卒業後、住み込みのお手伝いとして様々な家を転々としています。テレパスであることを人に知られないために、1つの場所に長く留まることを避けているのです。

七瀬は行く先々の家庭で、家族のどす黒い感情に触れることになります。仲睦まじく見えても、内面では罵り合う家族に呆れることもあれば、自分に対する敵意や嫉妬にショックを受けることもあります。男たちから性的対象として見られてしまうこともあり、それらをすべて感じ取る能力をもつ七瀬はどうするのか。

七瀬の能力を通じて、人間のもつ心の闇をえぐり出していますが、そこは筒井康隆の作品。どことなくコミカルな雰囲気も醸し出しており、恐ろしく切ない物語ですが、読みやすい傑作になっています。

3位: 筒井康隆が、大学と文学を皮肉る『文学部唯野教授』

タイトルの通り、文学部の唯野教授を主人公として、筒井康隆独特のブラックユーモアがたっぷり詰まった衝撃作になっています。

著者
筒井 康隆
出版日
2000-01-14


早治大学・英文学部教授の唯野仁は、大学には内緒で小説の執筆をしていますが、その作品が文学賞の候補に上がってしまいます。物語では様々な大学教授が登場しますが、どの教授も間の抜けた、大人になりきれていない人ばかり。そんな彼らの権力争いに、唯野はいつも振り回されているのです。

赤裸々に語られる大学の裏事情とともに、物語の合間に挟まれる、唯野教授の文学理論についての講義は圧巻。どうしても小難しく感じられる文学理論や文学批評が、わかりやすく、面白おかしく説明されていて、文学の歴史についてまで勉強できてしまう作品です。

作品内にちりばめられた過激なブラックジョークは、どうしても好き嫌いがわかれてしまいますが、筒井康隆という作家に興味のある方には、ぜひおすすめしたい作品です。

2位: 筒井康隆による、不朽の名作『時をかける少女』

50年近く前に発表された作品であるにもかかわらず、今なお多くの人から親しまれている不朽のSF小説です。幾度となく映像化されている本作は、筒井康隆の作品を読んだことのない方でも、聞き覚えのあるタイトルではないでしょうか。

著者
筒井 康隆
出版日
2006-05-25


主人公は、高校1年生の芳山和子。ある日、クラスメイトの深町一夫、浅倉吾朗とともに理科室の掃除をしていた和子は、物音を聞き、実験室のドアを開けます。ガラスが割れる音と同時に人影を見ますが、割れた試験管からこぼれ出た液体から発せられるラベンダーの香りを嗅いでしまい、意識を失います。

その出来事から数日後の朝、和子と吾朗は一緒に学校に向かっていました。ところが、そんな2人に向かって暴走トラックが突っ込んできたのです。その瞬間、死を覚悟した和子は目を閉じましたが、衝撃を感じることはなく、目を開けるとそこは自分の部屋。なんと和子は、タイムリープができる体になっていたのです。

なぜ突然、時と場所を越える能力を持ってしまったのか。その真相は、作品発表当時としては画期的なものだったのではないでしょうか。筒井康隆の作品には珍しく、淡く綺麗な恋心も描かれた、時をかけて愛され続ける青春SF小説です。

1位: 話題が話題を呼び大ヒット中の注目作品!『旅のラゴス』

生涯をかけて旅をする男・ラゴスの一生を描いた連作短編集です。30年以上も前に発売されたロングセラー作品ですが、2015年頃から、出版社も理由がわからないという突然の大ヒットを記録し、2016年現在、最も注目されている筒井作品です。

著者
筒井 康隆
出版日
1994-03-01


舞台となるのは、突然高度な文明を失った「この世界」。SF感も漂う本作の登場人物には、度々超能力を持った人たちが現れ、主人公・ラゴスは一瞬で移動することができる集団移転や、壁を通り抜けることができる壁抜けなどを体験することになります。

1話1話がとても短く、テンポよく旅が進んでいくので読みやすい作品になっています。少年だった頃からラゴスの旅は始まり、旅が進むにつれ、ラゴスも年を取っていきます。ただひたすら旅を続ける物語ですが、旅を通したラゴスの成長やリアルな世界観に、なんとも言えない充足感がわいてくるでしょう。

普段ほとんど本を読まない方にもおすすめできる作品です。魅力的な主人公・ラゴスとともに、あなたも素敵な旅に出てみませんか。

筒井康隆のおすすめ作品をご紹介しました。社会を皮肉る作品から、心が洗われる爽快な作品まで様々ですが、どれも面白い作品ばかりです。気になるものがあれば、ぜひチェックしてみてくださいね。

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