『これは経費で落ちません!』あらすじ、全巻の見所ネタバレ!経理って面白い

更新:2021.11.19

『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~』は、2016年に第1巻が発売されて以降、シリーズ化された人気の小説。コミカライズもされ2019年には多部未華子とジャニーズWESTの重岡大毅によってテレビドラマ化。ぜひチェックしておきたい作品です。 今回は、そんな『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~』のあらすじと各巻の魅力をご紹介します。

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小説『これは経費で落ちません!』が面白い!あらすじ、全巻の見所をネタバレ!【ドラマ化】

青木祐子氏の小説『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~』は、タイトル通り、経理部で働くOL・森若沙名子を主人公に、社内の人々の様々な人間模様を描いた物語です。

27歳の沙名子は、年齢イコール彼氏いない歴の、見た目はちょっと地味目な女性です。しかし、「何事にもイーブンに生きる」をモットーに、仕事はもちろん私生活もきっちり完璧に過ごすしっかり者。面倒ごとには関わり合いたくないと思っているので、一見するとドライなタイプにも見えます。

そんな彼女を中心に、経費として申請されているのがデート代ではないかと疑惑を持たれる営業部のエース・山田太陽や、真面目だけどちょっと頼りない経理部の後輩・佐々木真夕など、個性豊かなキャラクターと、実際にありそうなリアリティのある人間模様がコミカルなタッチで描かれていきます。

著者
青木 祐子
出版日
2016-05-20

2019年7月には、多部未華子を沙名子役に迎えたテレビドラマが、NHKで放送されることが決まりました。小説を原作にした漫画などもあって、幅広くメディア展開されている本作は、これからもますます注目度が高くなっていくこと間違いなしの作品です。

作者・青木祐子とは。『風呂ソムリエ』との繋がりは?

著者
青木 祐子
出版日
2015-04-17

本作の作者・青木祐子氏は、2003年にデビューをした小説家です。デビュー後は、コバルト文庫を中心に数々の作品を発表しています。

19世紀のロンドンを舞台に、貴族が経営する探偵事務所を描いた『八番街の探偵貴族』や四軒の新築の家に越してきた家族達のご近所の話を描く『幸せ戦争』など、バラエティに富んだ作品が多く、気軽に楽しく読むことができるでしょう。

なかでも『風呂ソムリエ』は、天天コーポレーションの入浴剤開発を描いた物語で、今回ご紹介している『これは経費で落ちません!』とは、同じ舞台の物語になります。

物語自体が繋がっているわけではありませんが、『風呂ソムリエ』に登場していたキャラクターが少しだけ登場するなど、『風呂ソムリエ』を知っている方であれば、そんなちょっとした繋がりにも気が付くことができるでしょう。

作品の魅力を解説!

本作の魅力は、経理のお仕事ものなため、比較的身近で共感できる部分が多いということです。

複数の物語が連作で描かれていくのですが、いずれの物語も「こんな人いる」とか「こういう事もあるかも」など、読者の身近にもありそうな印象を受けることができ、いろいろなところに感情移入しながら読むことができるでしょう。

中には、少しモヤモヤとしたものを感じるエピソードもあるのですが、それもまたリアリティがあるからこそです。

また、主人公の沙名子の、真面目で冷静でちょっとドライだけど優秀な経理というキャラクターも魅力的です。面倒くさいことには関わりたくないと思いながらも結局関わってしまうという、人間味のある少し不器用なところもまた、魅力の1つだといえるでしょう。

派手な事件や展開があるわけではないのですが、だからこそ共感できるともいえるので、気軽に読めるお仕事ものや日常ものの小説を探している方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

小説『これは経費で落ちません!』1巻の見所をネタバレ紹介!

著者
青木 祐子
出版日
2016-05-20

天天コーポレーションは、化粧品や入浴剤を扱い中堅企業。27歳の森若沙名子は、そこで入社以来、経理一筋で働く女性です。

ある日、営業部のエースである山田太陽から、たこ焼き代やテーマパークのチケット代などの領収書を渡されます。太陽が仕事をしているのは会社でも力を入れている企画で、どうやらその領収書は、その取引先の1つで「姫」と呼ばれる曽根崎メリーと一緒に行ったもののようでした。

沙名子としては、経費にあたるかどうかは自分の判断するものではないと思っていたのですが、太陽がメリーとのデート代を経費として落としているのではないかという疑惑が持ち上がってくるのです。

1話で重要人物となる太陽は、実はある出来事をきっかけに沙名子のことが気になっています。おしゃべりでお調子者なところもありますが、エースと呼ばれるくらいに仕事はきっちりでき、礼儀も正しい青年です。年齢イコール彼氏いない歴でもある沙名子にとっても、今後重要なキャラクターになってくるので、ぜひ注目してみてください。

小説『これは経費で落ちません!』2巻の見所をネタバレ紹介!

著者
青木 祐子
出版日
2017-04-20

シリーズ第2弾である本巻。全体的な雰囲気は前巻とあまり変わらず、経費を巡る会社内の人間の様々な出来事が描かれていきます。

広報部の皆瀬織子は、会社の顔として自社をアピールするキャリアウーマン。仕事ができるのはもちろん領収書もきっちりと出してくれるので、経理の沙名子にしてみれば文句のない人でした。

しかし、会社をアピールするためにテレビに出たり会食をしたりと、何かと経費が多いのはしかたないにしても、その使い方がやや派手であることが、沙名子は少し気になっていました。

そこで、少し調べてみると、織子には年下で俳優をしている夫がいることがわかり……と、ここまで書くと、何となく先を予想できる方も多いかもしれません。

基本的には、面倒ごとにはあまり関わらないことにしている沙名子ですが、本巻では、気になって調べたことが事件の発端になったり正義感を持って動いたりと、割と自分から関わっているような印象もあります。完璧さゆえにクールにもドライにも見える沙名子のちょっと不器用な部分も感じることができる第2巻になっています。

小説『これは経費で落ちません!』3巻の見所をネタバレ紹介!

著者
青木 祐子
出版日
2017-10-20

シリーズ第3弾である本巻では、前巻から引き続き登場するキャラクターはもちろん、新しいキャラクターも登場します。相変わらず様々な問題を抱えた会社の人達が、一生懸命に生活している姿には好感を抱く読者も多いはずです。

広報課の室田千晶は派遣社員。ショールームで働いている優秀な人材で、契約もすでに何回も更新していました。そのため正社員になる日も近いと言われていたのですが、どうも千晶は、会社の備品として買っているもののお金を、経費として切っていないのではないかと沙名子は疑問を抱きます。

結果としてその疑問は真実だったのですが、私用で経費を切るのではなく、経費になるものを経費にしないという展開に意外性を感じられます。しかしそこに、契約社員ならではの切実さや一生懸命さがあって、感情移入できる方も多いのではないでしょう。

他にも、沙名子と太陽の関係にちょっとした進展があるなど、見どころが満載の3巻になっています。

小説『これは経費で落ちません!』4巻の見所をネタバレ紹介!

著者
青木 祐子
出版日
2018-06-21

シリーズ第4弾である本巻は、前巻の終盤で登場した経理部の新入社員・麻吹美華が目を引く1冊になっています。

美華は、強気な性格で思ったことは何でも言ってしまううえ、自分が正しいと思ったことは頑として譲らないという女性です。沙名子は、そんな彼女の教育係に指名され、美華が巻き起こすゴタゴタに振り回されてしまいます。少しでも曲がったことや間違っていると思ったことは許せないようで、ちょっとした不備でも容赦なく指摘したり追求したりするので、周りとの衝突は絶えません。

一方で、仕事はできる人材なので、欠点はあるものの沙名子は美華のことを悪い人間とは思っていないようです。良く言えば自分を貫くタイプ、悪く言えばわがままともいえる美華ですが、ストーリーが進むにつれ、彼女が抱えるいろいろな過去も明らかになっていくので、その辺りにも注目してみてください。

また、沙名子と太陽の関係も忘れてはならない見どころです。なし崩し的ではありましたがとうとう付き合うことになった2人が、どういうふうに関係を深めていくのかからも目が離せません。

いかがでしたか? 経理というのは、会社勤めの方にとっては身近な存在ではありますが、その世界を舞台にした物語というのはあまり見かけたことはないですよね。身近だからこそちょっと覗いてみたい経理の世界と、そこを中心に巻き起こる会社の人々の人間ドラマをぜひ覗いてみてください。

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