『しいちゃん、あのね』が予想外の内容すぎww最終5巻ネタバレ紹介

更新:2021.11.25

本作は、元気いっぱいの幼稚園児が、悪意ゼロの無邪気さで大人(主にパパとママの夜の生活)を乱していく、ちょっとエッチな日常ギャグ漫画となっています。 『しいちゃん、あのね』のあらすじと魅力を、ネタバレも含みつつご紹介します!

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『しいちゃん、あのね』が面白い!【あらすじ】

なかた家の1人娘であるしいちゃんは幼稚園に通う、蝶々のような大きなリボンがトレードマークの元気な女の子です。子供らしい無邪気さで、どんなことにも目敏く興味を持ちます。とっても賢いのはよいことなのですが、そこがパパとママにとっては悩みの種でもありました。

甘えたい盛りのしいちゃんは、パパやママにくっついて、大人のやることをよく観察します。普段の素行から、まさかの夫婦が仲良くする夜の生活まで……。

著者
東裏 友希
出版日

ファンシーでキャッチーな絵柄に騙されてはいけません。子供の行動力に驚かされっぱなしのエロチックなギャグ漫画となっています。本作は青年誌「漫画ゴラク」で連載されていただけあって、茶化されてはいるもののギャグの中にも性描写が出てくるのが特徴です。

幼稚園児の彼女の行動は、単純に「可愛い」で終わらず、実際の子供のようにリアルに描かれています。子供とは、大人の常識も社会の論理も通じない、ある種の不気味な存在ということが誇張されて描かれているのが面白い作品です。得体の知れない感覚が、読んでいると病み付きになります。

『しいちゃん、あのね』1巻のおすすめエピソードをネタバレ紹介!子供だからと侮れない

『しいちゃん、あのね』1巻のおすすめエピソードをネタバレ紹介!子供だからと侮れない
出典:『しいちゃん、あのね』1巻

パパとママの計らいで、自分だけの部屋をもらえたしいちゃんは、もちろん大喜びです。しかし同時に、両親と離れて寝るというストレスにもなりました。

それからというものしいちゃんは度々自室を抜け出して、パパとママの夜の生活を悪気なく邪魔していくことになります。

しいちゃんは際どい場面だけを狙っているかのように現れますが、基本的に他意はない……はず。ラブラブなパパとママには申し訳ないですが、完璧なタイミングで介入してくるところについつい笑いがこみ上げてきます。

幼児とは思えない難しい言い回しをしてみたり、パパとママを真似して裸んぼでやって来たり、ホラー映画の怪物のように神出鬼没で驚かせてみたり。一体どこで覚えてくるのでしょうか。

面白いやら怖いやら、大人への毒気満点な本作の魅力が詰まっています。

『しいちゃん、あのね』2巻のおすすめエピソードをネタバレ紹介!ママの「いいのよ」

ある日、しいちゃんの行動にママはお冠となって、おやつ抜きを言い渡します。怒られて拗ねたしいちゃんは、ママの「いちばんたいせつなもの」を隠してしまうと宣言。

ママは慌てて洋服やアクセサリーなどを確認しますが、なくなったものはありませんでした。不思議に思いながら別の部屋にあるドアを開けると、そこにはなんと体育座りのしいちゃんが……。

実は「たいせつなもの」とはしいちゃん自身だったのです。見当違いのものを探されて、ますます拗ねるしいちゃんなのでした……。

著者
東裏 友希
出版日
2018-02-28

大人のすることをやりたがり、そのたびにママにたしなめられるしいちゃん。ゴキブリ退治の真似でセミを叩こうとすると「ゴキブリはいいのよ」、暑くて上半身裸の男子学生を真似して脱ごうとすると「男の子はいいのよ」、おじさんがソバを食べるのを真似てジュースを啜ると「おソバはいいのよ」と、ママに言われます。

ある日、しいちゃんは飢饉のニュースを目にしました。食べられない子供の映像を前にして、しいちゃんは大好物のカレーを躊躇してしまいます。そんな彼女にママは「しいちゃんはいいのよ」と言いました。

同じ「いいのよ」という言葉なのに、そこに込められた意味はまったく違いました。何が良くて悪いのか、単なる子供の疑問からいろいろ考えさせられるエピソードです。親の躾と同時に、世の中の理不尽や異なる価値観などが見え隠れする深い話でした。

『しいちゃん、あのね』3巻のおすすめエピソードをネタバレ紹介!内緒の夜

パパとママから赤ちゃんの話を聞いたしいちゃんは、ある夜に不思議な夢を見ました。

ある童話の設定の中で、しいちゃんにどんどん弟や妹ができてしまい、ママを独占出来なくなるという内容。悪夢で目覚めたしいちゃんは、夫婦の寝室に突入し「弟も妹もいらない!」と泣きながら叫ぶのでした……。

著者
東裏友希
出版日
2018-07-19

また別の夜、寝付けなかったしいちゃんが夜中に起き出すと、リビングで仕事を片付けているパパがいました。パパは寂しそうなしいちゃんの様子を察して、あることを思い付きます。それはジュースとビールで乾杯する、父と娘だけの秘密のパーティ。

子供にとって、夜中に起きているのは特別なことだったことを思い出します。しかも、ご飯やおやつの時間でもないのにおつまみとジュースがあって、ママには内緒となると特別感が倍増。子供にしてみればワクワクが止まらないですし、親にとっても子供と秘密を共有する感慨深い出来事です。

他愛のないただの夜のことなのに、いつまでも覚えている思い出。みなさんにもこんな覚えがあるのではないでしょうか?

ちょっとしんみりしてしまうエピソードです。

『しいちゃん、あのね』4巻のおすすめエピソードをネタバレ紹介!幼児の鉄板ネタ

晴ればかりでよい天気が続くのに、なぜか不満げなしいちゃん。祖父母から新品の雨具を買ってもらった彼女は、ちゃんと使ってからお礼を言いたいのでした。

そんな姿を見かねたパパの提案で、ママは水撒きホースで晴天の雨を降らせてあげました。やっと雨具を使えたしいちゃんは大喜び。祖父母にばっちりお礼を伝えることができたのでした。

著者
東裏 友希
出版日
2019-02-28

若干感動的なエピソードが続いたので、子供らしくてしょうもないエピソードもご紹介しましょう。

落語観賞するパパに、しいちゃんは面白い話があると打ち明けます。それは今まさにトイレに籠もるママのお話……平たくいえば下ネタでした。

うんこの単語だけで大爆笑するしいちゃんを見たパパは、人間は成長して経験を積むと、下ネタに具体性やドラマ性が生まれてエグくなるのではと考察します。

下ネタに限らず、成長して複雑化するというのはあり得る話。しいちゃんに釣られて「うんこ」と連呼するパパの姿には、しがらみから解き放たれた清々しさを感じます。讃えようんこ。こうして大人もたまには発散するのもよいかもしれません。ただし、真似する時は周囲に人がいないか注意すべきでしょう。

『しいちゃん、あのね』5巻のおすすめエピソードをネタバレ紹介!しいちゃんへの言葉

夫婦仲のよいパパとママでも喧嘩することはあります。ベッドで密着するパパとママの間に潜り込むことを習慣にしているしいちゃんは、背中合わせで寝る2人を見て一喝。無理矢理くっつけて、いつも通り間に入るしいちゃんでした。これぞ子はかすがい……?

著者
東裏 友希
出版日
2019-07-09

どんなものにも変化は訪れます。それがどんなに些細で小さくても、生きている限り必ず何かが変わっていきます。

しいちゃんは好きな歌、好きな遊びをやめて、急に達観してサンタさんはいないとまで言い出します。しかし幸いにもそれはパパの見た悪夢でした。いつまでも世話の焼ける子供でいてほしい反面、やっぱりいつかはしいちゃんも成長しなければいけません。

最終話にかけて、物語ではなかた家に密着したエピソードが語られます。嬉しいことも、悲しいことも、そして喜びも。人生で経験するであろうエッセンスがギュッと詰まっています。

これからやってくる大きな変化に向けて、パパとママがしいちゃんに語りかける様子は感動的です。ラストシーンは本作最大の見所といえるかも知れません。しいちゃんの輝く笑顔はぜひ実際にご覧ください。


子供の視点から描かれる、摩訶不思議な大人の世界。本作は笑いながら時にしんみり、時にほっこりし出来る希有な作品となっています。

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