図書館では順番待ちになるほど人気の「おばけずかん」シリーズ。いつの時代でも子どもはおばけが大好きなもの。本シリーズに登場するおばけは、怖いけど怖くない、愛嬌のあるものばかりです。シリーズ内で特におすすめの作品を紹介していきます。
斉藤洋が文、宮本えつよしが絵を担当している「おばけずかん」シリーズ。2013年に1冊目が刊行されました。
斉藤洋は1952年生まれ。代表作ともいえる『ルドルフとイッパイアッテナ』で、1988年に「野間児童文芸新人賞」を受賞しています。宮本えつよしは1954年生まれ、グラフィックデザイナーを経て、イラストレーター、絵本作家となりました。
「おばけずかん」シリーズに出てくるおばけたちは、さまざまな場所で子どもたちにいたずらをします。それぞれのおばけがどう怖いのか、なぜ怖いのかを説明する内容です。少しぎょっとする見た目のものもいますが、カラフルな色使いとかわいいイラストで、愛嬌たっぷり。怖いものみたさの子どもたちが喜ぶこと間違いなしです。
またおばけに遭遇した時の対処法が描かれているのもポイント。「ずかん」という名の対策マニュアルのようになっていて、どの本も10話ほどの短いストーリーで構成されているので、読み聞かせにもぴったりです。全部ひらがなで書かれているので、文字が読めるようになったらひとり読みも楽しめます。
- 著者
- ["斉藤 洋", "宮本 えつよし"]
- 出版日
- 2013-06-26
「おばけずかん」シリーズの初期作品。おじいちゃんやおばあちゃんも一緒に楽しめる、昔ながらのおばけがたくさん登場します。
山道を歩いていると後ろにぴたりとくっついて、転んだとたんに噛みついてくる「おくりいぬ」や、人間の心を読む「さとり」など。
地面すれすれにつむじ風が吹いた時は要注意。「かまいたち」が人間のすねを狙ってひゅんと襲ってきます。その瞬間は血はでませんが、家について傷口に気付いた瞬間に、痛みがやってくるのです。
でも安心してください。「おばけずかん」シリーズにはしっかり対処法が書かれています。「かまいたち」がやって来た時は、つむじ風をぴょんと飛びこえてしまえば大丈夫だそう。子どもでも簡単にできそうなものばかりで、最後には安心して本を閉じられるでしょう。
- 著者
- ["斉藤 洋", "宮本 えつよし"]
- 出版日
- 2013-09-26
学校から家までの道のり、お出かけの帰り道……街中でばったり出会ってしまうおばけを紹介している『まちのおばけずかん』です。
夜道を歩いていると、後ろから「カッタン、カッタン」と下駄の音が聞こえてきます。何だろうと思って振り返ると、そこには古い傘に目と口がついた「からかさおばけ」の姿が……。でも大丈夫。「雨がふってきた、傘を開いて!」と言うと逃げていくんだそう。その理由がとてもかわいらしいので、ぜひ実際に確かめてみてください。
夕暮れになるとひらひらと飛んでくる「いったんもめん」は、真っ白い身体が特徴です。対処法は、絵の具のチューブを持ち歩くこと。襲われそうになったら、汚してしまえばいんだそう。見た目も対処法もユニークなおばけを紹介した一冊になっています。
- 著者
- ["斉藤 洋", "宮本 えつよし"]
- 出版日
- 2015-05-26
子どもたちが大好きな乗り物に関係するおばけが登場する「おばけずかん」シリーズです。全部オリジナルだそうで、見た目はもちろん、面白い名前が特徴。「きゅうけつきゃくしつじょうむいん」や「こうそくどうろのじんめんけん」など、物語を読む前にどんなおばけなのか想像してみるのも楽しいでしょう。
「のっぺらかんらんしゃ」は、これまで空き地だったところに突然大きな観覧車が現れて、無料で遊ばせてくれるというのでついつい乗ってしまうと大変なことに。誰もいなかったはずなのに、向かい側にいつの間にかのっぺらぼうがいるのです。さて、対処法は……?
本作に登場するおばけと、街中で見かける乗り物を見比べてみるのもおすすめです。
- 著者
- ["斉藤 洋", "宮本 えつよし"]
- 出版日
- 2017-11-22
オリンピックの会場にもおばけが登場。4年に1度の祭典に、おばけも一緒に大盛り上がりで、見ているお客さんがびっくりするようなことをしでかしてくれます。
たとえば「セノビール」は、水泳の選手です。身長を一瞬で50メートルに延ばすことができるので、壁にタッチをすれば1秒でゴール。優勝間違いなしでしょう。
また「すろうもう」は、誰よりもゆっくりしているおばけです。彼につられて周りの人たちものんびり行動するようになってしまい、みんなの競争心がなくなってしまうというオチになっています。
本作に登場するおばけたちは、人に悪さをするのではなく、ちょっぴりズルをしたり、目立ちたがりだったりするのが特徴。かわいらしいおばけが多く、ほっこりとした気持ちで楽しく読み進めることができるでしょう。
- 著者
- ["斉藤 洋", "宮本 えつよし"]
- 出版日
- 2018-03-21
2017年に開催された読者参加型のコンテストで入賞した作品に、文章がついて物語になりました。一般公募のおばけたちは、ひと癖もふた癖もあってユニークなものばかりです。
イケメンだけを狙って食べる「みんなのミンナ」や、掃除機に嫉妬する「ちりとりおばけ」など、背景にある物語も奇抜なアイディアがうかがえます。
自動販売機にお金も入れていないし、ボタンも押していないのに、取り出し口に何か見えることがありますよね。そんな時、ラッキーだと思って手を突っ込んだら大変。赤くて平べったい、べとべとした舌のような「あっかんべぇ」が絡みついてくるのです。
対処法は、目の下に指をあてて「あっかんべぇ」と言えば、逃げていくそうですよ。
- 著者
- ["斉藤 洋", "宮本 えつよし"]
- 出版日
- 2019-07-25
飲食店で出会う、少しかわったおばけが登場する「おばけずかん」シリーズです。見慣れているはずのレストランのドリンクバーや、店員さんもおばけになってしまっています。
レストランに行ってバナナパフェを注文する時に、慌ててしまい「バナナバケ」と言ってしまったら大変。見た目は普通のバナナパフェですが、スプーンを入れた瞬間にチョコレートパフェに変わってしまう「バナナバケ」が出てきてしまいました。
その後もスプーンを入れるたびに違うパフェに変身し……7回目にきれいなレインボーになって、そのまま消えてしまうので食べれません。
勝手に「いないいないばあ」で遊ぶ「ドリンクいないいないバー」や、食べているうちに顔が動かなくなってしまう「だんだんめん」など、ちょっぴり怖くておもしろいおばけがたくさん登場。外食をするのが楽しみになりそうです。
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