小学生の読書感想文におすすめの本と、書き方のコツを紹介!【高学年向け】

更新:2021.12.7

長期の休みになると、宿題に読書感想文が出されることがあるでしょう。どんな本を選べばよいのか、どのように書けばよいのか悩んでしまう人も多いと思います。この記事では、小学生が読書感想文を書く際の本選びのポイント、書き方のコツ、そして高学年におすすめの本を紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

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小学生が読書感想文の本を選ぶポイントと、書き方のコツを紹介

 

長期休みの宿題でよく出される「読書感想文」。まずどんな本を選べばよいのか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。特に小学生は読書経験が少ないので、つまづきやすいかもしれません。まずは本選びのポイントを解説していきます。

・自分と同年代の登場人物が出てくる本

同年代の子どもが登場する本はそれだけで感情移入がしやすいため、読みやすくておすすめです。もしも自分が同じ立場だったら……と想像を膨らませ、共感意見も異なる意見も浮かびやすいでしょう。

・自分の興味があることに関係する本

たとえばサッカーが好きな子どもであれば、登場人物がサッカーをする物語でもよいですし、サッカー選手の伝記もおすすめ。そこから学んだことを読書感想文に書いてみましょう。

次に読書感想文を書く時のコツです。

まずは本の簡単なあらすじと、その本を選んだ理由を書きます。その後は、本の内容で気になったところや印象に残ったところを書き、その理由や感想を考えます。読み進めながら気になったポイントに付箋などで印をつけておくと、参考になるでしょう。

高学年の読書感想文では、「楽しかった」「感動した」などのシンプルな感想を多用すると、少し幼稚さが出てしまいます。自分がなぜそのような感想を抱いたのか、という部分を掘り下げられると、内容に深みが出るでしょう。

小学生の読書感想文におすすめ!家出の行く先は?『クローディアの秘密』

 

12歳の少女クローディアは、退屈な毎日に嫌気がさし、家出を計画しました。快適だけど今までとは違い、家のように気楽にいられる場所……行先はマンハッタンにあるメトロポリタン美術館。なんと彼女は、美術館でこっそり暮らそうと考えていたのです。

弟のジェイミーを連れて、バイオリンケースとトランペットケースに荷物をつめて、学校へ行くふりをして家を抜け出しました。

著者
E.L.カニグズバーグ
出版日
2000-06-16

 

1967年に刊行されたアメリカの児童文学作家E・L・カニグズバーグの作品です。1968年には、アメリカのもっとも優れた児童文学に与えられる「ニューベリー賞」を受賞しています。

子どもにとって家出は、壮大な冒険です。未知の場所に子どもだけで出掛ける勇気とその行動力に、読んでいるだけでドキドキできるでしょう。家出をする理由についても、高学年であれば共感できるはずです。

メトロポリタン美術館に到着した後は、天使の像にあるミケランジェロのサインが本物なのか、偽物なのかをめぐり物語が展開。本作の語り手でもあるおばあさんが登場し、クローディアが「秘密」をもつことで家出の答えが出るといいます。

どこか知的でオシャレな物語は、最後まで飽きることなく読み進めることができるでしょう。小学生の読者と同年代であるクローディアの心の成長を読んで、感じたことを読書感想文に書いてみてください。

本が苦手な小学生でも読書感想文が書きやすい『二分間の冒険』

 

小学校で開催される映画会に向けて、悟はクラスメイトと準備をしていました。単調な作業に飽きてきた頃、「とげぬき」が落ちているのを見つけ、保健室に届けるために2分間作業をさぼれることを喜びます。

体育館の外に出ると、黒猫から「見えないとげを抜いてほしい」と声を掛けられました。悟がとげを抜くふりをすると、「お礼に願いを叶える」と言われ、いつの間にか異世界の森へと連れ出されてしまうのです。

著者
岡田 淳
出版日

 

1985年に刊行された岡田淳の作品です。

主人公の悟は、どこにでもいる普通の男の子ですが、黒猫と出会い、異世界に迷いこみます。そして竜と戦いながら、「この世界で1番たしかなもの」を探すことになるのです。

当たり前の日常から一気に異世界へと飛ぶワクワク感と、「この世界で1番たしかなもの」を探す過程がとにかくおもしろく、普段本を読まない子どもでも読破できるはず。仲間とともに協力して困難に立ち向かう様子は読書感想文にも書きやすいでしょう。

死と生を考える小学生の読書感想文におすすめの本『夏の庭』

 

小学6年生の「僕」は、クラスメイトの山下から祖母の葬式に参列した話を聞いて以来、「死」について考えるようになりました。河辺という友人から、近所に暮らしているおじいさんが死ぬところを見ようと提案を受け、3人はひと夏の間おじいさんを見張ることにするのです。

はじめはこっそりと隠れていたものの、やがておじいさんと親しくなり、家事を手伝うように。そして台風が来た8月のある日、おじいさんから戦争中の話を聞きました。

著者
湯本 香樹実
出版日
1994-03-01

 

1992年に刊行された湯本香樹実の作品です。

3人の少年はそれぞれ家庭の事情を抱えているのですが、おじいさんと交流することで気持ちに変化が現れるところが見どころでしょう。最初は「死ぬ」ところを目撃しようとしていたのが、おじいさんの「生きる」姿を見るようになっていくのです。

おじいさんが戦争中に、お腹に子どもがいる女性を殺してしまったという話も印象的です。日本にいると、夏は特に戦争を意識できる季節。あらためてその悲惨さを考えるきっかけにもなるでしょう。

夏の終わりとともに、おじいさんは本当に亡くなってしまいます。ひと夏をかけて成長した3人は、その時何を思うのでしょうか。

思春期ならではの心理描写が秀逸な本『十二歳』

 

小学6年生の鈴木さえは、ポートボールが大好き。友だちもたくさんいて、楽しい毎日を過ごしていました。しかしある日をきっかけに、突然「何か」がずれ始めた感覚を得ます。

まるで心と体がちぐはぐになったみたい。頭痛もして、しだいに自分が自分でないと感じるようになるのです。

著者
["椰月 美智子", "またよし"]
出版日
2014-04-11

 

2002年に刊行された椰月美智子の作品です。

まだまだ狭い世界で生きている子どもですが、そのなかで自分なりに思い悩み、たくさんのことを考えている様子がわかります。さえは周りの大人から「何にでもなれる」と言われていますが、「12歳の時点で決定されていることは、たぶんいくつもあるはず」と心のどこかで考えています。

友達と自分を比較し、将来に期待をしつつ不安を抱く思春期ならではの描写が秀逸。大きな事件が起こるわけではなく、心理描写が丁寧に描かれている作品なので、さえに共感できたこと、彼女の心の動きをとおして感じたこと、同年代の自分がいま悩んでいることなどを読書感想文に書くとよいでしょう。

長い文章を読むのが苦手な小学生の読書感想文におすすめ『1歳から100歳の夢』

 

明治生まれから平成生まれまで、1歳から100歳、100人の夢を一冊にまとめた作品です。

「あなたの夢は何ですか」という問いがあり、見開きに写真と手書きの夢、そしてその人の1日のスケジュールが載っている構成になっています。

著者
出版日
2006-04-01

 

日本ドリームプロジェクトによって2006年に刊行された作品です。

最初から順番に読んでいくと、幼いころは希望にあふれ、年齢を重ねるごとに徐々に現実味を帯び、100歳に近づくにつれてシンプルな文章になる様子がうかがえます。小学生の読者は、この本でいえばまだまだ序盤。自分の何倍も生きている人生の先輩の言葉を見て、感じたことを素直に読書感想文に書いてみましょう。

また、夢を語る人はどんな年齢であっても輝いていることにも気付くはず。あらためて、自分の夢と向き合うきっかけになるのではないでしょうか。

小学生の読書感想文におすすめ、自分の在り方を考える本『ぼくがぼくであること』

 

秀一は小学6年生。兄と弟は優秀ですが、秀一は勉強が大嫌いです。世間体を気にする母親から小言を言われる日々にうんざりし、夏休みのある日、トラックの荷台に乗り込んで家出をしました。

しかし、このトラックがなんとひき逃げ事件を起こしたことで、事態は急展開。秀一はこっそり逃げ出し、辿り着いた民家でひと夏を過ごすことになるのです。

夏の終わりとともに自分の家に帰るのですが、家は崩壊寸前でした。

著者
山中 恒
出版日
2001-06-18

 

1969年に刊行された山中恒の作品です。

秀一の母親は、子どもを自分の思い通りにコントロールしようとする過干渉ぎみな親として描かれています。そんななかで秀一は、タイトルにもあるとおり自分自身を模索していくのです。

親にとって子どもの自立は、時に反抗に見えるもの。一方で子ども側も、親の愛情をすべて理解できるわけではありません。しかし秀一は家出という経験をとおして物事を客観的に考えることができるようになり、自分と、家族を見つめていきます。読書感想文には、家出の前と後の彼の気持ちの変化を比べて、感じたことを書いてみるとよいでしょう。

「ぼくがぼくであること」がどれだけ難しく、そして大切なことなのか。どんなふうに生きていきたいのか考えるきっかけにもなる一冊です。

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