「きもかわいい」イラストが特徴の「こびとづかん」シリーズ。昆虫でも植物でもない不思議な生き物「こびと」にはまってしまう人は後を絶ちません。今回はシリーズの魅力と、おすすめの絵本のあらすじや内容を紹介していきます。
2006年に1作目の絵本『こびとづかん』が発表されて以降、その衝撃的な作風で一大ムーブメントを巻き起こした「こびとづかん」シリーズ。2019年現在、累計発行部数は270万部を突破し、その勢いは今なおとどまりません。
作者は、石川県出身のなばたとしたか。「こびと研究家」として、積極的に読者と交流しています。
「こびとづかん」シリーズ最大の特徴は、なんといっても「きもかわいい」という言葉がぴったりなイラスト。初めて見た時はびっくりしてしまうかもしれませんが、味があり、だんだんと癖になる魅力があります。
もうひとつは、『こびと大百科』や『こびと観察入門』など、本格的な図鑑でこびとたちの生態を知ることができること。森の中や道路など、実際の風景にこびとたちが紛れ込んでいる写真が多数掲載されていて、見れば見るほど彼らは空想上の生き物ではなく、本当に存在するのだと思わせてくれるのです。
また、塗り絵やぬいぐるみ、文房具など、書籍以外のグッズ展開も多数されています。こびとのトリコになってしまった方はぜひチェックしてみてください。
ある日の朝、パグ犬のガルシアが、草むらの中から変なものを見つけてきました。ヘビの抜け殻のような、小さな全身タイツのような……。
「ねぇ、じぃじ これなぁに?」
「おぉ、なんと 珍しい。これは クサマダラオオコビトの抜け殻じゃよ」(『こびとづかん』より引用)
じぃじの話によると、ほとんどの人は気づいていないけれど、世の中にはさまざまな種類のこびとがたくさん生息しているんだとか。しかも、コツを掴めば僕にも見つけられるとのこと。
僕は、じぃじが貸してくれた「こびとづかん」を持って、まだ見ぬこびとを探しに行くことにしました。
- 著者
- なばたとしたか
- 出版日
- 2014-03-15
2006年に初版が刊行された「こびとづかん」シリーズの記念すべき1作目。物語の舞台は、鮮やかな緑がどこまでも広がる自然豊かな大地です。僕はじぃじから借りた「こびとづかん」を頼りにこびとを探しに出かけます。
大きくなると脱皮するという「クサマダラオオコビト」や 、素手でさわるとかぶれてしまう「モクモドキオオコビト」、大人しいけど頭に毒を持っている「ベニキノコビト」……本書には、まるで昆虫や動物の図鑑のように、こびとたちの生態が事細かに記されています。
昆虫採集をするようなドキドキワクワク感がこみあげてきて、読めば今すぐにこびとたちを探しに外へ飛び出したくなるはず。子どもの無邪気な好奇心を刺激すると同時に命の大切さも学ぶことができる一冊です。ぜひ親子でお楽しみください。
昆虫でも植物でもない、不思議ないきもの「こびと」。コビト博士は、子どもの時にこびとと出会って以来その魅力に取りつかれ、研究を続けてきました。
博士のもとには、連日、全国の子どもたちからこびとの目撃情報や質問のお手紙が届きます。おや?今日もさっそく届いたみたいですよ。
- 著者
- なばたとしたか
- 出版日
- 2014-04-15
「こびとづかん」シリーズの2作目。全作から時は流れ、子どもだった「僕」は大人になり、つるつる頭に丸メガネをかけた「コビト博士」として登場します。
『こびとづかん』はこびとを発見するまでを描いていましたが、本作は、こびとを発見したあとのお話。全国の子どもたちから届いた目撃情報を、コビト博士が紹介していきます。
枝豆に寄生する「ナツノツマミ」や、 魚と一緒に釣りあげられた「カワコビト」、ゴキブリにまたがって自在に操る「イエコビト」など、こびとの生態は読者の想像をはるかに超えるものばかり。パンチのあるイラストの効果も相まって、ページをめくる手が止まらなくなるほど夢中になれるでしょう。
こびとを発見した子どもたちの、驚きと興奮を秘めた表情にも要注目。まだ見ぬ出会いを心ゆくまでお楽しみください。
いーとんはお菓子が大好き。オバァーニーさんのお手伝いをすると貰えるごほうびのお菓子だけでは、満足できません。もっと楽してお菓子をもらえるウマい話はないか……思い悩むいーとんを、ある男が呼び止めました。
「おじさんはね、きみみたいな夢のある子どもを探すために旅をしているのさ。その願い、かなえてあげようか?」(『いーとんの大冒険』より引用)
そう言って男が差し出したのは、願ったものがなる不思議な木の種「カナイダネ」。これさえあれば、もうお手伝いをしなくても好きなだけお菓子を食べることができるのです。
願いが叶うと同時に「いちばん大切なもの」が無くなるらしいけど、そんなことは気になりません。いーとんはさっそく種を植え、お菓子がなる木を手に入れますが……。
- 著者
- なばたとしたか
- 出版日
- 2014-05-24
これまでの2冊とは一味違ったエンターテイメント性にあふれた本作。主人公である子ブタのいーとんが、自分の欲のせいで失ってしまった「いちばん大切なもの」を取り戻すため、大冒険に出発します。
道中は、笑いあり、涙あり。「こびとづかん」シリーズと同様に「きもかわいい」イラストも魅力的で、ひとりぼっちで旅を続けるいーとんの心細さや恐怖感もひしひしと伝わってきます。
小さいころからずっとそばにいてくれた親友のプイドルと、いーとんのために自分のいちばん大切なものを差し出したオバァーニーさん。彼らを失って、初めて自分にとってかけがえのない存在だったことに気づき後悔するいーとんの姿に、読者の心は激しくゆさぶられることでしょう。
読後はまるで1本の映画を観たかのような高揚感に包まれること間違いなし。大冒険の感動的な結末をぜひ見届けてください。
ある朝「僕」は、じぃじに頼まれて、ペットのガルシアを連れて桃園に桃をとりに来ました。1番大きくて甘そうな桃を探そうと夢中で歩き回っていると、1本の木の下でガルシアが激しく吠えだします。
「ワン!ワワン!ワン!」(『こびと桃がたり』より引用)
駆け寄ってみると、そこには「カクレモモジリ」というこびとがぐったりと倒れていました。なんでこんなに元気がないのだろう?早く帰って、物知りのじぃじに見せないと……走り出したその時、何者かが突然「僕」たちめがけて桃を投げつけてきたのです。
目をあけられないほどの激しい攻撃から、必死に逃げ出す2人。一体何が起こっているのでしょうか。
- 著者
- なばた としたか
- 出版日
- 2018-05-09
2018年に、「こびとづかん」シリーズ11年ぶりの新作絵本として、満を持して刊行された本作。物語のキーパーソンは、今まで発見された240種を超えるこびとのなかでも圧倒的な人気を誇る「カクレモモジリ」です。
ピンクでまあるいお顔と、桃みたいにぷりっとしたお尻がかわいくて、思わず触れたくなってしまいます。
久しぶりの新作ですが、「こびとづかん」シリーズらしい癖の強いイラストと、独特のギャグは健在。むかし話の『桃太郎』をベースとした骨太なストーリーなのにツッコミどころも満載で、大人も子どもも大笑いできます。
新種のこびとが次々と登場するのも「こびとづかん」シリーズファンにとっては嬉しいポイント。思いっきり世界観に浸ってみてくださいね。