暑い夏が終わると、涼しくてさわやかな秋がやってきます。葉っぱが美しく色づき、五穀や果物の収穫があるほか、運動会やハロウィンなどイベントごともたくさん。1番好きな季節だという方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな秋にぴったりの絵本をご紹介していきます。ぜひ親子でお楽しみください。
「ぱらぱら とんとん ぱらぱら とん」(『どんぐりとんぽろりん』より引用)
たくさんの木々が、実らせたどんぐりを落としています。 そこへ、りすとくまがやって来て、落ちたばかりのどんぐりを拾いはじめました。
- 著者
- 武鹿 悦子
- 出版日
- 2008-10-01
柿本幸造が描く、表情豊かなりすとくまの愛らしさに思わずときめいてしまう本作。赤や茶、黄色など、秋らしい色あいで彩られた自然も美しく、読んでいるとじんわりと心があたたまります。
りすとくまがたくさんどんぐりを拾うのは、秋が終わるとやってくる厳しい冬に備えるため。お話を楽しみながら、季節の移り変わりを自然と学ぶことができるのも嬉しいポイントですね。
歌を歌うかのように心地よいリズムで綴られる文章は、まだ字が読めない小さな子どもへの読み聞かせにもぴったり。物語からあふれる優しさをそのまま伝えられるよう、丁寧に読んであげましょう。
ハロウィンのお祭りでかぼちゃパイを作ろうと、魔女はかぼちゃの種をまきました。大切に育てたかぼちゃは、すくすくと育ったようです。
いよいよ明日はハロウィン。魔女はかぼちゃを収穫しようと、力いっぱい引っ張りました。
「ぐいっ!ぐぐぐいっ!うぐっ うぐっ ういーっ!」(『おおきなかぼちゃ』より引用)
ところが、あまりにも大きく育ってしまったかぼちゃは、びくともしません。途方にくれる魔女のもとに、おばけたちがやって来ます。
- 著者
- エリカ・シルバーマン
- 出版日
- 2011-08-31
日本でも有名なロシア民話をもとにした絵本『おおきなかぶ』からヒントを得て作られた本作。アメリカの絵本作家エリカ・シルバーマンが手掛けました。
大きくなりすぎたかぼちゃを収穫できずに困っている魔女のもとへ、ハロウィンにパンプキンパイを食べたいおばけたちがやって来て、力をあわせて協力します。
幽霊や吸血鬼、ミイラ男……どのおばけもとってもチャーミングで、怖いはずなのにどこか愛嬌があり、親しみを感じられるでしょう。
不気味なおばけたちがおいしそうにパンプキンパイをほおばる姿にも注目してみてください。ハロウィンが近づく秋の季節に何回も読みたくなる一冊です。
いちについて よーい 「うどん」!(『よーいどん!』より引用)
今日は、ピーマン村保育園の運動会。元気のよい声援が飛びかうなか、赤白帽をかぶった園児たちが勢いよく駆け出していきます。
- 著者
- 中川 ひろたか
- 出版日
- 1998-08-28
保育園の季節にちなんだ行事を描いた絵本「ピーマン村」シリーズの一冊。文を中川ひろたか、絵を村上康成が担当していて、今回は秋の一大イベント「運動会」がテーマです。
平行棒や水泳、三輪車、最後は空も使ってかけっこをしていきます。とってもユニークですが、臨場感はたっぷり。まるで一緒に参加しているかのような気分になれるでしょう。
子どもにもわかりやすいダジャレなどの言葉遊びも随所に挿入されていて、ストーリーとともに文章でも楽しむことができます。運動に苦手意識をもっている子どもが読めば、緊張がほぐれてリラックスできるはず。秋めいてきたら読んであげるとよいでしょう。
今夜は十五夜。野ねずみ一家がお月見の準備をはじめました。
手作りの滑車に乗って、木の上にぐんぐん登ります。枝にたどりついたら、はしごを使ってさらに上へ。上に上に向かっていって、やっとお月様がきれいに見える高さまでたどりつきました。
木の枝を切ってひもで結んで、完成したのはお月見台。野ねずみ一家は、お月様が出てくるのをワクワクしながら待ちます。
- 著者
- いわむら かずお
- 出版日
- 1988-06-25
おとうさん、おかあさん、おじいさん、おばあさん、そして兄弟10ぴきの野ねずみ一家の暮らしを丁寧に描く、いわむらかずおの大人気絵本「14ひき」シリーズ。今回の14ひきは、秋の風物詩「お月見」を堪能します。
緑に色づく木々、夕暮れの燃えるような赤、そして夜空にぽっかりと浮かぶ黄色いお月様……小さいねずみたちの目線で見た自然が、鮮やかな色彩とともにページいっぱい、ダイナミックに広がります。
そのあまりの美しさに、絵本の世界に引き込まれるような感覚を覚えるはず。細かい書き込みも圧巻で、何度見ても新しい発見ができるでしょう。秋の夜長にじっくり読みたい一冊です。
公園でお兄ちゃんと遊んだ帰り道、ケイコは口をとがらせて歩いていました。大好きなかくれんぼで遊びたかったのに、お兄ちゃんはボール投げばかりしていたのです。
「おい、はやく こいよ。うちまで きょうそうしよう。」 (『もりのかくれんぼう』より引用)
そう言うと、前を歩いていたお兄ちゃんはぱっと走り出して生垣をくぐってしまいました。ケイコも慌てて追いかけます。
やっとのことで生垣を通り抜けたケイコの目の前には、見たことも無い大きな森が広がっていました。お兄ちゃんはどこに行ったんだろう?金色に煙った秋の森の中に、足を踏み入れます。
- 著者
- 末吉 暁子
- 出版日
絵本作家の末吉暁子が手掛けた『もりのかくれんぼう』。1978年に出版されて以来、世代をこえて読み継がれている名作です。
ページっぱいに描かれた黄金色に染まる秋の森。その美しさに思わずほれぼれしてしまう方も多いのではないでしょうか。
豊かな自然のなかで、ケイコは森の仲間たちといっしょにかくれんぼをして遊びます。風景に溶け込むように隠れている仲間たちを見つけようと、読者も絵本の世界に夢中になってしまうでしょう。
ケイコが森の仲間たちと遊んだのは夢か現か。少しせつないラストの余韻が読後も胸を満たします。葉っぱが色づく季節になったら、ぜひ手に取ってみてください。
青空幼稚園の子どもたちが楽しみにしていた、芋ほり遠足。でも残念ながら、雨で延期になってしまいました。
延期の期間は1週間。おいもは7つ寝るといっぱい大きくなるといいます。一体どれぐらいの大きさに育つのでしょうか?
いてもたってもいられなくなった子どもたちは、貼り合わせて大きくした紙に、お芋の絵を描きはじめました。
- 著者
- 赤羽 末吉
- 出版日
- 1972-10-01
1972年に出版されてからずっと愛され続けているロングセラー絵本です。
雨で芋ほり遠足が延期になってしまった子どもたちは、画用紙の上で空想の遠足に出発します。驚くべきは、その大きさ。絵本のページをめくればめくるほど、お芋はどんどんどんどん大きくなっていくのです。
白黒で彩られた世界のなか、お芋だけを紫色に着色することによって、その存在感はさらに際立ちます。この大きなお芋をヘリコプターで幼稚園まで運んで、プールに浮かべて船にしたり、恐竜に変身させたり、子どもたちの柔軟で豊かな想像力に限界はありません。
ラストは、お芋ならではのオチに、思わずぷっと吹き出してしまうはず。夢のような秋の芋ほり遠足を楽しみましょう。