高殿円おすすめ5選!ラノベからお仕事小説まで、幅広い作風が魅力。

更新:2016.12.5 作成:2016.12.5

高殿円の特徴といえば、なんといってもその作品の幅の広さ。ライトノベルから時代小説、男性向けから女性向けまで幅広い読者から支持を受けています。彼女の才能の幅広さをご覧いただくため、今回は数ある作品の中から5つ厳選してご紹介します。

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目次

読者のツボを押さえる作家、高殿円とは?

高殿円は2000年に『マグダミリア 三つの星』で「カテゴリー・エラー」とされながらも角川学園小説大賞の奨励賞を獲得し、小説家としてデビューします。

男性向けと女性向け、両方のライトノベルレーベルで『銃姫』や『プリンセスハーツ』で活躍した後、一般小説に活動の場を移し、各種メディア展開された『トッカン』や『メサイア』などの名作を残しています。また漫画原作者としても活躍し、『魔界王子』はテレビアニメ化も果たしました。

幅広いジャンルで活躍する高殿は、過去のインタビューで「売れ線」の要素を入れ、「本当に心底から自分も楽しんで書く」のがプロの仕事だと述べています。そのプロ意識が広く支持者を獲得し、様々なメディアミックスを成し遂げていく理由の一つなのでしょう。

復刊された高殿円作品!

『カーリー』は、はじめ男性向けライトノベルレーベル・ファミ通文庫から2006年に出版され、その後、講談社から2012年に復刊されました。ファミ通文庫では打ち切りの憂き目にあっていましたが、講談社文庫から復活を遂げ、続編も刊行されていくようです。

著者
高殿 円
出版日
2012-10-16


第二次世界大戦前夜、英国統治下のインド。駐在英国人の子女たちが通うオルガ女学院は閉鎖的な世界でした。ヒロインのシャーロットは、本国イギリスでさえ廃れたような古い習慣を持ち続ける学園の雰囲気に戸惑い、クラスの女王・ヴェロニカに爪弾きにされます。しかし優しくて美しいルームメイトのカーリーや、友達になった少女達の助けで、徐々に学園に慣れていきました。

ある日シャーロットは、カーリーそっくりのインドの王子・アムリーシュにパーティで助けられます。王子は彼女を抱き寄せ、「俺を、覚えている?」と耳元に囁きかけるのでした。

怪盗や王子、寄宿学校、スパイなどのアイテムがちりばめられ、王道かつ萌えツボをきっちりと押さえており、熱狂的ファンが多いというのも納得。歴史考証もしっかりとされており、大人の会話から感じられるきな臭い国際情勢が、物語を盛り上げていきます。

高殿円が「好きで好きで、書きたくて、ただそれだけで情熱のままに書ききった」という物語を、どうぞ味わってみてください。

仕事×恋愛。新米徴収官が奮闘!

お仕事小説としても恋愛小説としても一級の『トッカン』シリーズは、井上真央主演で2012年にテレビドラマ化もされました。

著者
高殿 円
出版日
2012-05-24

 

ぐー子こと鈴宮深樹は、京橋税務署の特別国税徴収官、略して特官付き職員です。税金滞納者を問答無用に取り立てる徴収官は嫌われ者ですが、税金泥棒とののしられても、たくわんを投げつけられても、鬼上司・鏡雅愛と共にぐー子は、今日も仕事をこなします。

エンターテイメントの皮をかぶっていますが、中身には重い人間ドラマや、社会制度への批判も詰め込まれています。しかし、ロールケーキ好きの上司など親近感が湧く個性的なキャラクターと、軽妙なユーモアでさらりと読めてしまいます。

都会暮らしの寂しさを感じながらも仕事に奮闘するぐー子に、共感をおぼえる方は多いはず。また身近であっても、深く知らないであろう税金や税務署の知識についても興味深く読める作品です。


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命がけの諜報活動と、唯一無二の相棒

女性向けのメディアミックスを前提にした、メサイアプロジェクトの原作として書かれた『メサイア』。映画化と舞台化、テレビドラマ化、広くメディア展開されました。国のために身命を賭すスパイ、唯一無二の相棒、国家間の諜報戦といった要素が詰め込まれます。それでいて陳腐な作品にはなっておらず、高殿の技量の高さを感じさせます。

著者
高殿 円
出版日
2016-05-13


海棠鋭利は、家族を殺され死にかけた後、ヤクザの鉄砲玉となり、腹に銃弾を五発くらいます。死にかけた彼に「どうせ死ぬならもう一度死にませんか」と語りかけるのは、諜報活動を行う警備局特別公安五係、通称「サクラ」の男でした。

サクラは、国家の敵に対して積極的殺人を行うべく、戸籍も消された死兵達。任務を失敗すれば、見捨てられる運命ですが、一つだけ例外があります。養成学校を共に生きて出た「メサイア」と呼ばれる相棒だけは、捕えられた相棒を助けに行くことが暗黙のうちに許されているのです。

組んだ相方が必ず不幸な死を遂げるサクラ・御津見珀と、どんな逆境でも必ず生き残るサクラ・海棠鋭利は、唯一無二の相棒メサイアとして、命がけの諜報活動に身を投じます。

苛烈な任務の中、命を賭けて相棒を救うメサイアの究極の絆をどうぞその目でご確認ください。

高殿円のツイートから、ホームズとワトソンが女性に?

『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』は、高殿が海外テレビドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』にハマリ、同様の現代版ホームズドラマ『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』のワトソンが女性だということを知り、「どうせならホームズも女性化すればいいのに!」とツイッターで叫んだことがきっかけで生まれたそうです。登場人物は、ホームズ達のみならず、レストレード警部や、モリアーティ教授に至るまで女性という徹底ぶりです。

著者
高殿円
出版日
2014-07-24


アフガニスタンで六年間の兵役を終え、ロンドンに帰ってきたジョー・ワトソンは、職なし金なし男なしという現状から脱却すべく、職を探す日々。求職は思うようにすすまず、ロンドンオリンピックが開催される中、ホテルを引き払った彼女は、友人からルームシェアの紹介を受けます。

その相手は理化学研究所の非常勤スタッフで、奇妙な論文ばかり執筆する変人だというシャーリー・ホームズ。ジョーは、とりあえずセキュリティの甘い病院の死体安置所で眠ることに決め、一夜を明かします。チャイコフスキーの曲で目を覚ますと、自分と同じく死体安置所で眠っていた女がいたことに気がつきます。

彼女はジョーを見ただけで、アフガン帰りだと言うこと、軍医であったことなど、怖ろしいくらいに色々なことを言い当ててきます。彼女こそが後にルームメイトとなり、共に難事件に挑むことになるジョー・ワトソンでした。

作者の情熱の赴くままに書かれたとおぼしきシャーリーは、白雪姫のように美しく、人工心臓を持ち、オリンピックの乗馬で金メダルを取るなど、かなり漫画的なキャラクター設定がなされています。さらに家主のミセス・ハドソンは、人工知能でシャーリーの精神と同期できるなど、2012年を舞台にしつつも、SFめいた部分もあります。

2人の住む家の1階のカフェの名前は「赤毛組合」。原作を知っていると楽しくなるような名前や設定を発見してみるのも、おもしろいかもしれません。

高殿円が、漫画原作を担当した作品

『魔界王子』の主人公は、ウイリアム・トワイニング。彼はパブリックスクールで優秀な成績をおさめる名門貴族です。しかし両親を亡くした彼の財産を管理する叔父のバートンが事業に失敗し、トワイニング家は破産します。

著者
雪広 うたこ (著, イラスト), 高殿 円 (著)
出版日
2010-05-25


屋敷だけは残されますが、叔父は行方不明。唯一残った家令のケヴィンと共に、ウイリアムは学費のため、金目のものを探そうとします。無理矢理開けた、開かずの扉の先にあったのは奇妙な魔法陣。偶然発動した魔法陣から現われたのは、魔界の大公爵で帝位継承候補者・ダンタリオンと名乗る男でした。

男はウイリアムを、ソロモン王の子孫で、次期代理王を認定する資格を持つ選定公だと言い、自分を代理王に選べと迫ります。しかし現実主義者の彼は、悪魔の言葉を信じません。こうして、ウィリアムと魔界の帝位継承候補者達の大騒ぎがはじまるのでした。

本作は読者の支持を受け、テレビアニメ化の他、舞台化、ゲーム化など広くメディアミックスがなされました。個性的な悪魔達と、ソロモンの子孫たる主人公ウイリアムの軽妙なやりとりが魅力的です。パブリックスクールを舞台にして、名門貴族、魔界の王、ソロモン72柱(旧約聖書に登場する、古代イスラエルの王・ソロモンの使役する72の悪魔)が絡む設定も、読者の心をとらえるポイントでしょう。

多彩な魅力を持つ高殿円作品。王道でツボを押さえたストーリー展開などによって読者の心を掴む巧みさは、全作品に共通していると思います。どの作品も読みやすいので、これを機会に彼女の作り出すエンターテイメントの世界をのぞいてみてはいかがでしょうか?