高楼方子のおすすめ本5選!大人も楽しめる絵本や児童書、エッセイなど

更新:2021.11.19

絵本や児童書を数多く生み出している作家、高楼方子。実は長編のファンタジーやエッセイなど、大人が楽しめる作品も多数発表しています。この記事では、彼女が手掛けた作品のなかから特におすすめの本を5冊紹介していきます。

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高楼方子とは

 

1955年生まれ、北海道函館市出身の高楼方子(たかどのほうこ)。東京女子大学文理学部の日本文学科で、文芸の基礎を学びました。

1996年に『いたずらおばあさん』と『へんてこもりにいこうよ』の2作品で「路傍の石幼少年文学賞」を受賞したことを皮切りに、2000年には『十一月の扉』で「産経児童出版文化賞」、2006年には『わたしたちの帽子』で「赤い鳥文学賞」と「小学館児童出版文化賞」、『おともださにナリマ小』で「産経児童出版文化賞」、2007年には同作で「JBBY賞」を獲得。次から次へと受賞を重ね、絵本や児童文学の作家として名を知られていきます。

高楼方子の絵本は、想像力と表現力を駆使して、読者を最大限にワクワクさせてくれるエネルギッシュな作品が多いのが特徴。表紙や挿絵を自身で手がけたものもあり、その世界観に多くの子どもたちが魅了されています。

小学校高学年向けのファンタジーや長編の童話も生み出していて、こちらは成長過程にある子どもたちが心の拠りどころにできる、優しくそっと寄り添う文体が魅力です。

また彼女の作品に支えられているのは、子どもたちだけではありません。かつて読んだ作品を手に取り、昔を懐かしみながら読んだり、まっすぐな言葉に胸を打たれたり……大人でも楽しむことができる、まさに幅広い世代から愛される作家なのです。ではそんな高楼方子の、代表作といえる5冊を紹介していきます。

 

高楼方子の温かく優しいエッセイ

 

高楼方子が旅先で経験したことや日々の暮らし、はたまた本や映画に出てくる「老嬢」をテーマに綴ったエッセイ集です。さまざまな人との出会いがユーモアたっぷりに描かれています。

こんなかわいらしい「老嬢」に会ってみたいと思わせてくれる、登場人物たちに注目してみてください。

 

著者
高楼 方子
出版日
2016-01-20

 

2016年に刊行された作品。本作の魅力はなんといっても、高楼方子自身の人柄や魅力を存分に感じることができる点ではないでしょうか。

ユーモアや好奇心、かわいらしさ、そしておばあさんではなく「老嬢」である人に対する敬意など、彼女らしさがたっぷり詰まっています。

本作を読むと、同じところに出かけてみたくなったり、作中に登場する本や映画を見てみたくなったりとつい影響を受けてしまうはず。淡々と日常を語るエッセイが苦手な方でも、楽しく読み進めることができるでしょう。

 

思春期の少女を描いた高楼方子の長編童話

 

小学校に行けなくなってしまったまゆ子と、彼女が出会った同い年の少女アミとテトの3人がくり広げる冒険の物語です。

茶色い瞳をもった少年や、白髪の老人との出会い、そして身の回りで起きる少し不気味なできごとを通して、思春期を迎えた少女たちが成長していく様子が描かれています。

 

著者
高楼 方子
出版日
2007-07-15

 

2007年に刊行された作品です。小学生の繊細な心の動きを、みずみずしくも優しい筆致で書き表しています。

主人公のまゆ子は、自身の心と折り合いをつけることができず学校を休んでいます。思春期の不登校、とひと言で片付けてしまうこともできますが、大人たちの日常でも心と身体のバランスがとれなくなってしまうことがあるのではないでしょうか。

作中では、古典作品である『小公女』から「自分を過小評価してはいけない」という言葉がたびたび引用されます。そのたびに、はっとさせられてしまうのです。

日々を生きるのに疲れてしまった時は、まゆ子と、彼女の周りの言葉たちがそっと寄り添ってくれるでしょう。

 

少女の心の動きを描いた高楼方子の代表作

 

中学2年生の爽子が、「十一月荘」と名付けられた下宿先で過ごした2ヶ月間の日々を綴った物語です。

家主の閑さんをはじめ、個性豊かな人々が暮らしている十一月荘。爽子は、自ら家族と離れることを選んだ後ろめたさや、母親とのわだかまり、十一月荘での生活を気に入る気持ち、出会った少年への恋心など、何度も浮き沈みをくり返しながら自分を見つめ直していきます。

 

著者
高楼 方子
出版日
2016-10-10

 

2000年に刊行された高楼方子の代表作です。

爽子は日々葛藤をしていますが、考えることからは逃げません。自身の悩みに向き合い続けます。作中で爽子が記す『ドードー森の物語』にも注目。彼女の身の回りで起こる出来事と共鳴しながら展開し、読者を二重に本の世界に浸らせてくれるのです。

爽子がいま経験していることは、きっと何年経っても彼女の力になってくれるはず……大人の読者は、かつての自分を思いながら優しい気持ちになれるでしょう。

また一風変わった解説も、本作をさらに面白くさせています。あわせて楽しんでみてください。

 

髪の毛を伸ばしたら……無邪気な想像が楽しい高楼方子のおすすめ絵本

 

ちょっと強気で活発なまあちゃんは、おかっぱヘアの女の子です。ある日、お友だちのはあちゃんとみいちゃんが「背中まで髪の毛を伸ばす」と言ってきたので、負けず嫌いのまあちゃんはもっともっと伸ばすと強気の宣言をします。

髪の毛を伸ばしたら、あんなことをしてこんなことをして……その妄想は突拍子のないものばかりですが、小さな女の子たちが集まって話に花を咲かせている姿がとってもかわいい作品です。

 

著者
高楼 方子
出版日
1995-08-10

 

1989年に刊行された、高楼方子の絵本の代表作ともいえる作品。

髪を伸ばしたら橋の上からたらして魚釣りをしたり、木の枝に結んで洗濯紐の代わりにしたり……まあちゃんの想像力は留まることを知りません。どれも生き生きとしていて、壮大で、無邪気なのです。

イラストは鮮やかで、大人が見ても細かな書き込みを楽しめるでしょう。彼女たちのように、何にも囚われない発想が日々を豊かにしてくれるのだと思わせてくれます。

高学年向けの長編とはひと味違う、高楼方子の絵本の魅力を堪能してみてください。

 

高楼方子が描く不思議なファンタジー小説

 

12歳の少女フー子が、夏休みに丘の上の町にあるおじいさんの家で過ごした日々を描いた物語です。ある日、彼女が踊り場の窓から不思議な庭を見つけるところから話が展開していきます。

祖母がいなくなってしまった理由を探しはじめたフー子。徐々に真相に近づいていく様子が少しだけ妖しくて怖く、読者を惹きつけます。謎が解けた時、彼女はどのような決断をするのでしょうか。

 

著者
高楼 方子
出版日

 

1992年に刊行された作品。児童文学ですが、大人も存分に楽しめるファンタジー小説になっています。

祖父の家で不思議な扉を発見し、本来はあるはずのない庭に迷い込んだフー子。怖いはずなのに、何度も足を踏み入れます。コチコチと動く懐中時計、不思議な緑の園、煉瓦造りの時計台……と心躍らせるファンタジー要素が盛りだくさんです。

大人が読むと、ぎゅっと胸が締め付けられるような切ない気持ちになれるはず。何歳になってもくり返し戻ってきたくなる作品です。

 

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