小説「引き抜き屋」をネタバレ!謎に包まれたヘッドハンターの世界がドラマ化

更新:2019.9.24

主人公・鹿子小穂(かのこさほ)は、30歳にして失業・失恋したばかり……。ヘッドハンティングの世界に放り込まれ、新人ヘッドハンターとして奮闘します。本作は、WOWOWでドラマ化が予定されており(2019年11月放映)、主演は女優・松下奈緒(まつしたなお)です。今回は、雫井脩介(しずくいしゅうすけ)の、ビジネス・エンターテインメント小説「引き抜き屋」を、ネタバレありで紹介していきます。

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小説『引き抜き屋 鹿子小穂の冒険』が面白い!ヘッドハンターって何?WOWOWでドラマ化決定!【あらすじ】

『引き抜き屋 鹿子小穂の冒険』は、ミステリー・サスペンス小説家・雫井脩介(しずくいしゅうすけ)のビジネス・エンターテインメント作品。代表作は、『犯人に告ぐ』『検察側の罪人』など。

これまで、あまり語られることのなかった「ヘッドハンティングの世界」に正面から切り込んだ、雫井脩介の新境地ともいえるビジネス小説です。

著者
雫井 脩介
出版日
2018-03-17

新米ヘッドハンター・鹿子小穂(かのこさほ)は、剛腕ヘッドハンターとエリートたちの駆け引きや、意地の張り合いなど、冷徹さと人間味がないまぜになった「大人の世界」に巻き込まれていきます。その展開がなんともスリリングです。

本作は、『連続ドラマW 引き抜き屋 ~ヘッドハンターの流儀~』として、2019年11月にWOWOWでドラマ化されることが決定しています。主演は、ヘッドハンター役に初挑戦する、女優・松下奈緒。

また、渡部篤郎(わたべあつろう)や小手伸也(こてしんや)、内田有紀(うちだゆき)など、豪華なキャスト陣です。監督は、『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』で、2018年の邦画興行収入第1位を獲得した、演出家・西浦正記(にしうらまさき)が務めます。

小説『引き抜き屋 鹿子小穂の冒険』の見所をネタバレ!未経験からの挑戦!成長する小穂の姿

主人公の鹿子小穂は、東証一部上場企業のスポーツ用品メーカー「フォーン」で、30歳前でありながら商品開発本部長として取締役という肩書きをもっていました。

大学の同窓生で1年先輩の彼氏は、フォーンの出世頭といわれながらまだ課長なので、相当なやり手のようですが……。

じつは、フォーンの創業社長は、小穂の父・隆造(りゅうぞう)。もともとアウトドアが好きでもなく、父の会社だから入社したというだけでした。

父の後継者とも目されていましたが、その未来に突然、暗雲が漂い始めます。父が自社のてこ入れのために、ヘッドハンターとして招いた男と対立してしまい、小穂は会社を追い出されてしまうのです。

平社員でもいいから会社に残りたい、と未練たらたらの小穂ですが、父は今後の身の振り方を、居合わせたヘッドハンターの並木剛(なみきつよし)に託します。並木が用意した小穂の再就職先は、なんと自分が経営するヘッドハンティング会社「フォルテフロース」でした。

仕事に真摯に取り組みながらも、どこか甘さのある小穂。エリートたちがしのぎを削り、虎視眈々(こしたんたん)とトップの座をねらう「ビジネスの世界」で、どう揉まれていくのか……。果たして、30歳になりたての小穂に、ヘッドハンターが務まるのでしょうか?

ハードでタフな世界でありながら、小穂の新米らしい奮闘ぶりはユーモラスで、本作にドロドロしすぎない軽快さをもたらしてくれます。彼女を水先案内人として、興味津々のヘッドハンティングの世界が広がるため、一気に読み進めてしまうでしょう。

小説『引き抜き屋 鹿子小穂の冒険』の見所をネタバレ!ヘッドハンティングとは?業界ルールや交渉技術が目から鱗

本作では、ヘッドハンティングの「業界ネタ」が随所に散りばめられています。どれもリアリティーがあって、展開に飽きることはないでしょう。

ヘッドハンティングは、単なる中途採用の斡旋(あっせん)ではありません。ヘッドハンターは、クライアント(依頼者)の会社のガラパゴス化を防ぐため、人材という新しい風を吹き込む役を担っています。

つまり、その新しい人材には、業績を上向きにできるだけの能力が求められるのです。

エグゼクティブサーチとも呼ばれる仕事だけあって、クライアントに紹介するキャンディデイト(候補者)は、実績だけでなく、プライドも高いエリートぞろい。

また、人材を紹介しただけで話がまとまるほど甘い世界ではありません。ヘッドハンターたちにもさまざまな手腕が求められるため、本作のヘッドハンターたちは、ひとクセある人物が多く登場します。

たとえば、渡会花緒里(わたらいかおり)は、フォルテフロースの共同経営者に名を連ねているエリート社員。海外の超一流ビジネススクール出身のMBAホルダーながら、人脈づくりと情報収集のために、銀座の高級クラブ・紗也加のチーママという、もうひとつの顔を持ちます。

並木のライバルのひとり、矢来コンサルタントの矢来富士夫(やぎふじお)は、クライアント(社長)の故郷や出身大学に合わせて経歴を偽り、その懐に飛び込もうという、少しいかがわしい一匹狼のハンターです。

そして、クライアントやキャンディデイトを取り巻く状況は、案件ごとに大きく異なります。複数のヘッドハンティング会社に、同時に依頼するクライアントの場合は、ハンター同士の争いが始まるのです。

足元を見られたくない、と躍起なキャンディデイトもいれば、まったく転職する気のない素振りのキャンディデイトもいます。

入り組んだ思惑や、大人の事情を読み解いて、ハンターたちはどうやって話をまとめるのか……。まるで、謎解きのような展開も本作の大きな見所のひとつです。

小説『引き抜き屋 鹿子小穂の冒険』の見所をネタバレ!クセの強いファームの面々!同僚はライバル

小穂の同僚となる、フォルテフロースの2人のリサーチャー。クライアントに提出するために、候補者のリストづくりに腕をふるうリサーチャーは、ヘッドハンティング会社にとってなくてはならない存在です。

リサーチャーの細川瑞季(ほそかわみずき)は、「まだ若い」という理由で、並木からヘッドハンターにしてもらえず、ハンターとして入職した同年代で、素人同然の小穂へのライバル心を隠しません。

同じくリサーチャーの井納尚人(いのうなおと)。瑞季とは反対に、井納は並木がハンターとして引っ張ってきたものの、人前に出られない性格のため、リサーチャーをやっています。目の前にいながら、やり取りはメール。それでも務まるのですから、能力はあるのです。

ほかにも、不慣れな小穂にかまってくれる、秘書の平岡碧衣(ひらおかあおい)。また、花緒里専属秘書のような所美南(ところみなみ)とは、小穂は思わぬところで出会います。

このように個性豊かな面々のおかげで、フォルテフロースの社内は賑やかになっています。

小説『引き抜き屋 鹿子小穂の冒険』の見所をネタバレ!成長が感じられる結末!

引き抜き屋は、人生を預かる仕事。それなりのビジネス経験に裏打ちされた、ものを見る目や信頼性が必要です。小穂の会社のボスである並木も、いい加減なようでいて、もとは有名なビジネス誌の編集長でした。

ハンターの中心は50代で、40代前半でも若手、20代は皆無です。30歳になったばかりの小穂に務まるのか、それが本作の見所にもなっています。

著者
雫井 脩介
出版日
2018-03-17

敏腕ハンター花緒里に、銀座のクラブに誘われ、ヘッドハンターの情報収集術の手ほどきを受けたり、家族や恋人であっても信用できない、ハンター同士の足の引っ張り合いの話を聞かされたり……。

「リストラ屋」のように、悪いうわさの種にされる男が本当に冷徹なだけなのか?小穂は、さまざまな人との出会いを通して、ヘッドハンティングの世界を知り、ハンターとして成長していきます。
 

本作の最終話で、小穂はスポーツ用品店チェーンの社長探しに取り組みます。ここでも、さまざまな人々の思惑が複雑にからみあうことに。この案件をうまくまとめられたとすれば、その先には小穂の人としての成長が待っているかも……?

続編『引き抜き屋 鹿子小穂の帰還』も面白い!見所をネタバレ紹介!

続編でも、さまざまなヘッドハンティングの案件が描かれます。親子の相克(そうこく)があったり、病になったりと、やはり簡単に話は進みません。

そして、前巻では活躍する場面がなかったフォルテフロース第3のハンターであり、アイドルおたくの左右田弦介(そうだげんすけ)や、リサーチャーの瑞季や井納の存在もより深く描かれています。

著者
雫井 脩介
出版日
2018-03-15

タイトルにある「帰還」の意味するものと……?続編の最終話では、小穂が追い払われた父の会社「フォーン」が舞台となります。

フォーンが巻き込まれるきな臭い話は、企業小説ものとしての面白味もあります。小穂は果たしてどのような「帰還」を果たすのか?そこに、前巻からつながるヘッドハンターとしての「冒険」の日々は役立つのでしょうか?

ヘッドハンティングを正面からとらえた本作は、ヘッドハンティングを考える人、ハントされたい人、そういうビジネスの世界に憧れる人、誰にとっても興味深い作品になっています。ぜひ実際に手に取って、結末を読んでみてください。

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