おいしいごはんを食べると、自然と心が温まり、幸せな気分になりますよね。今回は、そんな「食べる」ことの楽しさや素晴らしさを実感できる絵本を紹介します。お腹がすいているときは要注意!ぐーっと鳴ってしまうかもしれませんよ。
夕方です。とある家からただよういい匂いに誘われて、1匹の猫がやってきました。
ああ、いい におい。
きょうのごはんは なーに?(『きょうのごはん』より引用)
匂いの正体は、こんがり焼けたさんまです。お父さんにお母さん、お兄ちゃん、弟。家族4人でいただきます。おや、おとなりからもいい匂いがしてきましたよ。
- 著者
- 加藤 休ミ
- 出版日
- 2012-09-13
さんまにオムライス、カレー、コロッケ……登場する夕食は、ごくごく一般的なメニューばかり。それなのにたまらなくおいしそうに見えるのは、きっと家族がみんなで楽しそうに食べているからでしょう。大勢でわいわいち話ながら食卓を囲むことで、笑顔がうまれ、いつものごはんが何倍もおいしく感じられるのです。
クレヨンを用いて描かれる「昭和」を彷彿とさせる日本の原風景に、子どもは新鮮な感動を覚え、大人はなつかしさで胸がいっぱいになるはず。ぜひ体感してみてくださいね。
白いごはんに、お味噌汁、春巻き、かぼちゃの煮物、ほうれん草、ウインナー、プチトマト……食卓には、たくさんの料理が並んでいます。
いただきまーす!
はるまき たべよう
カコッホッカルカルカルカルカル(『おいしいおと』より引用)
ひとつひとつ味わうたびに、おいしい音が聞こえます。
- 著者
- 三宮 麻由子
- 出版日
ほうれん草のおひたしを食べると「ズックズック」、お味噌汁を飲むと「ッススックン」。独特でありながらも精彩を放つオノマトペたちに、衝撃を受ける方も多いのではないでしょうか。
これは、作者の三宮麻由子が全盲だからこそ表現できるもの。磨き抜かれた感性をもつ彼女は、私たちが普段気づかずに通り過ぎている「おいしい音」を拾い上げます。
音に耳を傾けてみると、毎日の食事が、あらためておいしく感じられるはず。実際の音と聞き比べをしてみるのもおすすめです。
たきこみごはん、おむすび、お茶漬け、おすし、真っ赤なケチャップが食欲をそそるオムライスに、ボリューム満点のカツ丼。
おいしそうなごはんたちを、目で味わいましょう。
- 著者
- 平野 恵理子
- 出版日
- 2015-04-10
多種多様でおいしそうな「ごはん」が、ただただずらりと並んでいるだけなのに、とにかく幸せな気分になって、思わず笑顔になってしまう作品です。
この絵本の楽しみ方は無限大。一粒一粒ふっくらと描かれたお米を隅々まで眺めるのはもちろん、料理本としても参考になるはず。
ごはんへの愛が詰まった解説文や、「がいこくごはん」といった言葉のチョイスなど、細部まで際立つセンスにも脱帽です。一家に一冊、いかがでしょうか?
サンドイッチを作りましょう。まずは、ふわふわのパンにバターをたっぷり塗ります。そこにシャキシャキレタスと、スライスした真っ赤なトマトをのせます。みずみずしくてとってもおいしそう。
さあ、次はどうするのでしょうか?
- 著者
- 小西 英子
- 出版日
- 2008-09-10
身近な食べ物や料理をテーマにした絵本を多く生み出している絵本作家、小西英子の作品。パンにバターを塗ったり、具をはさんだり……サンドイッチを作っているだけなのに、胸の高鳴りが止まらなくなる魅力があります。野菜、チーズ、ハム、たまごなど、一品一品フレッシュな具が挟まったサンドイッチは、分厚くて豪華でとてもおいしそう。
半分に切るとあらわれる断面にも注目してください。大人もこどもも思わず歓声をあげてしまうほど色鮮やかで、美しいのです。
親子で読めば、一緒にサンドイッチを作ってみたくなるはず。リズミカルな文章なので、読み聞かせにもおすすめです。
ひき肉、卵、食パン、ナツメグ、塩、こしょう。材料が揃ったらハンバーグを作りましょう。
たまねぎの皮をむいて、半分にきってトントントン。フライパンでジュージュー飴色になるまで炒めたら、次は食パンをちぎります。
- 著者
- 武田 美穂
- 出版日
- 2009-12-01
この絵本の主役は、食卓に並ぶと笑顔があふれるみんな大好きなハンバーグ。できあがりまでを、まるで料理番組のように描きます。
少し太めの線で描かれる、武田美穂ならではの力強いイラストは、ジューシーなハンバーグにぴったり。フライパンでジュージュー焼く場面は、音や温度、匂いまで絵本から立ち昇ってくるかのようです。
文章は「トントントン」「わしわしわし」など、軽快で歯切れのよいフレーズばかり。声に出して読んでみると気持ちがよく、気分もさらに盛り上がりますよ。
お弁当箱を用意しましょう。
ふっくらほかほか炊き立てごはんに、あつあつミートボール。ふんわり卵焼きにじゅうじゅうぷりぷりウインナー。
さあて、何から入れようか?
- 著者
- 小西 英子
- 出版日
- 2012-02-05
お弁当は、おうちで食べるごはんとは違う特別な存在です。もちろんそれは作っている方も同じ。いつもと違う環境下で食べるその人を思って、たくさんの愛情を注ぎながら作ります。
想いがこめられたお弁当は、素朴ながら、白、赤、黄、緑と色鮮やかでとても綺麗。あまりにおいしそうで、今すぐ食べたくなってしまうでしょう。
お弁当がどのように作られているのか知ることで、感謝の気持ちが芽生えるはず。優しい語り口の文章なので、おだやかな気持ちで読んでみてくださいね。