25歳の一宮信吾はサラリーマンでした。ある日、目覚めるとそこは異世界の貴族の家で、信吾は5歳の少年に憑依していました。異世界の貴族になったとはいえ、その家は貧乏貴族、そして自分は八男……。 このままでは家を継ぐこともできず、満足に生きていけないと考えた信吾は、自分に魔法の才能があることに気付き、能力を磨きながらその世界で成長していきます。 この記事では2020年にアニメ化もされた本作のあらすじや見所を紹介します。
主人公・一宮信吾は、ある朝目覚めるとヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター(通称:ヴェル・5歳)になっていました。ヴェルは異世界の貧乏貴族の八男ですが、実家は困窮しています。
状況を理解したヴェルは、いち早く行動しなければ「人生が詰む」と考え、自分に備わった魔法の力を独学で磨き上げます。
これまでの知識と自信に備わった魔法の能力を使いながら、ヴェルは成長していきます。
そんなある日、ヴェルは強力な力を持つ魔法使いアルフレッド・レインフォード(通称:アル)と出会い、彼から力を授かります。アルは自分の魔法を伝授できる相手を探していました。アルから魔法の力を譲り受けたヴェルは、さらに魔法の能力を高めていきます。
ヴェルは自分で道を切り開くため、冒険者になることを決意し、12歳で冒険者予備校に入学。時には日本で暮らしていたころの知識を使いながら、同じ学校の仲間とともに力を磨き、さまざまな試練に立ち向かっていきます。
- 著者
- Y.A
- 出版日
- 2014-04-24
2020年4月6月にかけてアニメ版が放送されました。
ヴェル役を「デジモンアドベンチャー」や「刀剣乱舞」で人気キャラクターを演じた榎木淳弥、エリーゼ役を「スター☆トゥインクルプリキュア」のヤンヤン役を演じあげた西明日香という楽しみなキャスト。
原作はweb小説投稿サイト「小説家になろう」でなんと3億5,000万回以上も閲覧された人気作で、AbemaTVやdアニメストアなどの動画配信サイトでも配信予定です。
オープニングテーマは、ALI PROJECTの作詞ボーカルを務める宝野アリカとデーモン閣下の豪華コラボユニットが担当しています。
「小説家になろう」で読める原作やアニメの内容が気になった方は、以下からご覧ください。
一時期、「本作は打ち切りになったのでは?」という噂が流れていました。しかし、決して打ち切りになったわけではありません。
ではなぜそう言われるようになったのでしょう?その原因は、アニメ版の終わり方にあるようです。
アニメ版は、途中から「迷走している」とファンから心配の声が上がり、そのまま駆け足で終了してしまいました。それが打ち切られたように見えたのでしょう。
そもそも、アニメだけでなく原作でも急に主人公の設定が最強になったり、ストーリーも雑になっていたりと、グダグダな印象が拭えません。これも打ち切りの噂が囁かれる原因のひとつといえるでしょう。当初の設定と世界観がしっかり練られていて見ごたえがあっただけに、少し残念ではあります。
とはいえ、「小説家になろう」で連載された原作はすでに完結しているようです。また、その後に発売されている小説版は現在22巻まで刊行されています。
『八男って、それはないでしょう!』は作者Y.Aが小説投稿サイトで連載していた小説です。サイト上で3年以上の連載を続け、2014年には書籍化、2020年にはアニメ化とかなりの人気があることが分かります。
また、本作の完結後には『八男って、それはないでしょう!みそっかす』の連載が開始されました。こちらは外伝的なオマケの話を作者が思いつくまま書いているため、時系列がバラバラだったり、登場人物について詳しい説明がなかったりと、本編を読んだ人だけが楽しめる内容となっています。
- 著者
- Y.A
- 出版日
- 2016-04-25
Y.Aは、『八男って、それはないでしょう!』以外にもオンラインサイトにたくさんの小説を掲載しています。『銭(インチキ)の力で、戦国の世を駆け抜ける。』など何作かは書籍化もされ、注目を集めています。
ここからは本作の登場人物をご紹介します。
もとは日本人のサラリーマンで、本作の主人公。信吾がヴェルに転生することから物語は始まります。魔法の能力をもともと持っていましたが、アルフレッドという強い魔力を持つ師と出会ってから、さらにその力は強大なものとなります。冒険者を目指して学校に入学し、仲間とともに成長していきます。
本作のヒロインです。ヴェルと同い年で、後に彼と結婚します。料理・裁縫が得意な完璧な奥さんであるだけでなく、治癒を中心とした魔法も使えます。スタイルも抜群で、成長するにつれてさらにグラマラスな女性へと育っていきます。
ヴェルと同じ冒険者予備校の特待生で、騎士爵家の5男。剣の腕はピカイチですが、魔法の才能がほぼ皆無で、パーティーの中では最弱と位置付けられてしまいます。ヴェルが爵位を受けた後も同じパーティーのメンバーであり、よき友人として描かれています。
ヴェルのクラスメイトで、槍術の道場を営む家の三女です。初日の狩りでヴェルに助けられてからパーティーを組むことになります。
その後、ヴェルが爵位を受けた際には従士兼婚約者としてバウマイスター家に就職。真面目な性格で読書家でもあり、パーティー内では一般常識を語る役回りを担っています。
ヴェルのクラスメイトで、「魔闘流」の特待生。イーナと出ていた狩りの初日にヴェルに助けられてパーティーを組むことになります。
イーナと同様、ヴェルが爵位を受けた際に従士兼婚約者としてバウマイスター家に就職。見た目がショートカットで幼児体型なこともあり、大人になっても子どもに間違えられてしまいます。
- 著者
- Y.A
- 出版日
- 2014-07-24
よくある異世界転生モノでは、主人公が冒険者や平民として生まれる場合が多いのではないでしょうか。そのため、貴族は外部のキャラクターとして描かれることがほとんどです。
しかし、『八男って、それはないでしょう!』では、主人公自身が貴族なのです。この設定を活かし、貴族階級の苦労や実情などが細かく描かれています。貴族になったから楽になるというわけではなく、ヴェルはさまざまな責務を果たすために奔走することに。
優雅な「貴族」のイメージとは少々異なり、貴族に生まれ変わりながらも四苦八苦する様子が面白いのです。
- 著者
- Y.A
- 出版日
- 2014-10-23
突然異世界に転生しているにも関わらず、ヴェルは平然と馴染んでしまいます。
多くの転生モノでは、元の世界で恵まれない環境に身を置く人が主人公になります。そのため、新しい場所でやっと自分の輝ける場所を見つけるという展開が多く見受けられます。
しかし、信吾は商社マンとしてそこそこの会社で働いていた人物です。しかも、既に当時の記憶が薄れているのも面白いポイント。もともとの信吾という人間については気にはなっているものの、「戻りたい」と強く願うこともないのです。
現状を受け入れ、さまざまな陰謀が交差する貴族社会の中にあっても、ただただ平穏無事に生活していくことを願うヴェル。そして、穏やかに暮らしたいと思いながらも、貴族として役目はしっかりと果たし、さまざまな事業を手掛けて突き進んでいく彼の姿こそ、このライトノベルの魅力ではないでしょうか。
- 著者
- 楠本 弘樹
- 出版日
- 2017-07-22
本作の面白さは、RPG(ロールプレイングゲーム)感覚で読める点にもあります。魔法や剣、格闘術などの使い手が登場し、パーティーを組んで冒険するのはRPGさながら。パーティーで冒険する過程で財を築いたり、紛争に巻き込まれたり、新しい船を発掘したりと、新たなイベントが次々と発生し、読者を飽きさせません。
また、新しいキャラクターの登場でバラエティ豊かになる会話劇の面白さや、サクサクと進みながらも自分もその世界で生きているかのような臨場感ある展開が魅力です。
ごくごく普通のサラリーマンである一宮信五は、ある日ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターという騎士爵家の八男に転生してしまいます。
かつての記憶を残してはいるものの、彼は環境に適応し、この世界で生きていくことを決めます。
そして、12歳で冒険者予備校に入学し、さまざまな経験を経て爵位を受けることに。その後も魔物の討伐や領の開拓などを進め、次第に地位を高めながら、次々と嫁を増やしていきます。
- 著者
- ["Y.A", "藤ちょこ"]
- 出版日
成人してからもさまざまな困難があったものの、その都度クリアしてきたヴェルが次に向かったのは南方探索。しかし、探索の途中、戦国時代風の島・アキツシマ島の揉め事に巻き込まれてしまいます。
しかも、王国からは「責任を持ってその島を統治せよ」と命じられます。ヴェルは仕方なくアキツシマ島の領主たちと対峙することに。
そして、魔族や魔王、ヴェルの新たな嫁候補も登場します。
アキツシマ島を平定した功績により、ヴェルはついに辺境伯の爵位を得ます。しかし、ヴェルはどこか浮かない顔です。立場が偉くなってもろくなことがないと知っているからでしょう。
辺境伯になるまでには、さまざまな経験を積まなければなりません。しかし、ヴェルは決して辺境伯になりたかったわけではないのです。彼がなぜ辺境伯になれたのか、どのような経験を経てなれたのか、そんなところに注目して読んでみてください。
- 著者
- ["Y.A", "藤ちょこ"]
- 出版日
辺境伯になった彼のもとには、さっそく「魔道具ギルド会長の葬儀へ参列するように」とのお達しが来ます。ヴェルは会長との接点の無さを訴えますが、辺境伯の立場では参列を拒むわけにもいかず、渋々王都へ出向くことに。
葬儀への参列を終えたヴェルは、町中でアーカート神聖帝国の皇帝であるペーターと再会します。ペーターは皇帝であるにもかかわらず、ヴェルに「どこか遊びに連れて行って」と頼み、お忍び接待が始まりますが……。
原作の展開を考えると、もうすぐ小説版も完結するのではないかと推測できます。小説版は原作と同じ結末を迎えるのでしょうか?
続きが気になる方は、ぜひ「小説家になろう」に掲載された原作や小説版を読んでみてください。