本がテーマの小説おすすめ6選!本好き必見!本屋や図書館、せどりなど

更新:2019.11.15 作成:2019.11.15

本屋や図書館で、お気に入りの一冊を探す時間が好きな人も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな本好きの方にとってはたまらない、「本」をテーマにした小説を紹介していきます。

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図書館を舞台にした連作短編小説『おさがしの本は』

 

主人公の和久山隆彦は、市立図書館でレファレンス業務を担当しています。大学のレポートに使う本、年配の方の思い出の本……利用者から依頼をされ、該当する本を探し出す仕事です。

そんなある日、市長秘書室で働いていたという潟田直次が、図書館の副館長として赴任してくることになりました。潟田は市の財政難を理由に、図書館の廃止を訴える人物です。

果たして和久山は、図書館の存続を守ることができるのでしょうか。

著者
門井 慶喜
出版日
2011-11-10

 

2009年に刊行された直木賞作家、門井慶喜の連作短編小説。市立図書館のレファレンス・カウンターに勤める主人公が、利用者のもってきた情報を頼りに本を探す日常系の物語です。

本好きの人なら気付くであろう知識が散りばめられているのが魅力的。コンピューターにキーワードを入れて検索をすることもできますが、利用者が抱いている絶妙なニュアンスを感じ取り、最適なものを見つけ出す仕事っぷりにプロを感じます。

ただそんな和久山も、市民の利用状況や、行政の扱いの悪さから、鬱屈とした気持ちを抱えていました。しかし、図書館が廃止されることを回避するために奔走するうちに、仕事へのやりがいを見出していくのです。熱い気持ちを思い出させてくれる、本好きにはたまらないお仕事小説です。

本好きにはたまらない本屋が舞台の小説『配達あかずきん』

 

しっかり者のの書店員・杏子と、勘の鋭い大学生のアルバイト・多絵のコンビが成風堂書店を舞台にさまざまな謎や事件を解決していく連作短編ミステリーです。

本に関わる謎を書店員の知識を駆使して次々に解き明かしていく展開で、本好きにはたまりません。

とある客が持ってきた不可解なメモ、漫画を買った後に失踪してしまった母親の行方、配達された雑誌にはさまっていた盗撮写真と悪口の真相とは……。

著者
大崎 梢
出版日
2009-03-20

 

2006年に刊行された大崎梢の作品です。

大崎自身が元書店員ということもあり、本にまつわるミステリーだけでなく、書店の裏側を知ることができるのが魅力的。普段何気なく利用している場所ではこんな仕事がされているのかと、興味が湧いてきます。

「成風堂書店事件メモ」シリーズとして、『晩夏に捧ぐ』『サイン会はいかが?』と続編も刊行されているので、そちらもおすすめです。

物書き5人の女子会でくり広げられるミステリー『木曜組曲』

 

4年前に薬物死を遂げた耽美派小説の巨匠、重松時子。時子と縁の深かった5人の女性は、毎年彼女の命日がある週の木曜日に集まり、故人を偲んでいます。

ライターの絵里子、出版プロダクションを経営している静子、純文学作家のつかさ、サスペンス小説家の尚美、時子の編集者だったえい子……くしくも「物書き」をなりわいとする5人が、今年も時子の住んでいた「うぐいす館」に集まりました。

それぞれが抱える秘密が明かされ、やがて時子の死の真相が明らかになります。

著者
恩田 陸
出版日
2019-02-08

 

1999年に刊行された恩田陸の作品。2002年には映画化もされました。

テンポのよい会話劇で、次々と視点が切り替わり、退屈する暇はありません。おいしい料理とお酒に囲まれる女子会で、告白や告発が相次ぐ心理戦がくり広げられる様子は、底知れぬ恐怖を感じさせてくれるでしょう。物書きならではの鋭い洞察力にも注目です。

また、亡くなっているにも関わらず絶対的な存在感を発揮している時子が、物語の最初から最後までキーパーソンとして絡んでくるのが見どころ。まさに作家だからこそ書くことができた作品の世界観をお楽しみください。

本を用いた緻密な多重構造に魅せられる小説『カードミステリー』

 

4歳の時に突然家を出ていった母親を探すため、12歳になったハンスと父親は、ノルウェー南部の港町からギリシャのアテネへと旅立ちました。

旅の途中でガソリンスタンドに立ち寄った際、ハンスは不思議な小人からルーペをもらいます。当初は気にも留めていませんでしたが、その後に訪れたパン屋で手に入れたパンの中から「豆本」が出てきたため、ルーペを使いながら豆本を読んでみることにしました。

著者
["ヨースタイン ゴルデル", "Jostein Gaarder"]
出版日
1996-03-01

 

1990年に発表されたノルウェーの小説家、ヨースタイン・ゴルデルの作品。日本では1996年に翻訳出版されました。

ハンスが手に入れた豆本には、とある男が漂着した島での物語が描かれていました。父子が旅をする世界と、豆本のなかの世界が少しずつリンクしていくのが見どころになっています。

また本作では、父親がたばこ休憩のたびにハンスに哲学の講義をしてくれたり、豆本の登場人物が次々に哲学的な問いを投げかけてきたりと、随所に哲学のエッセンスが散りばめられているのがポイント。大人が読んでも思わず「なるほど」と感心させられる内容です。

古書に魅せられた男たちの妖しげな世界を描いた小説『せどり男爵数奇譚』

 

古書店をめぐり掘り出し物を安く仕入れて、他の店に高額で転売することを生業とする「せどり」。本書は、「せどり男爵」と呼ばれるほどの名人である笠井菊哉が出会った、古書にまつわる連作短編集です。

後半になるにつれて、古書に狂った人々を語るにふさわしい怪しげな世界観が色濃くなっていきます。

著者
梶山 季之
出版日
2000-06-07

 

1974年に刊行された梶山季之の作品です。

作中で描かれるのは、古書を手に入れるために騙しや盗みも平気でおこなう、かなりディープな世界。せどり男爵が古書にのめり込むきっかけとなったエピソードや、奇想天外な材料を使って本を装丁するエピソードなど、かなりのマニアっぷりがうかがえます。

古書の内容はもちろんですが、生まれた時代背景が本の価値に大きな影響を与えることがわかるでしょう。書狂たちの数奇譚をお楽しみください。

本が禁止された世界を描いた名作小説『華氏451度』

 

物語の舞台は、本を所有することも読むことも禁止された世界。テレビやラジオなど感覚で得られる情報が是とされ、本を読むと社会の秩序が乱れるとされています。本が見つかれば、「ファイアマン」と呼ばれる人によってすぐに焼却され、所有者は逮捕。住民はお互いに干渉しあい、密告が相次いでいました。

主人公のガイ・モンターグは、優秀なファイアマン。しかしとある少女と出会ったことで、自身の仕事に疑問を抱きはじめます。やがて、仕事現場で手に入れた本を読むようになり……。

著者
レイ・ブラッドベリ
出版日
2014-04-24

 

1953年に刊行されたアメリカの小説家、レイ・ブラッドベリの作品。映画化もされています。「華氏451度」とは、紙が発火する温度だそうです。

本を読まなくなった人々は、思考力が衰退し、記憶力も曖昧になっています。物事はすべて簡略化され、情報も統制。「考える」という行為自体ができなくなっていました。

ディストピア小説ではありますが、結末は本がもつ力の大きさを再確認できる救いのあるもの。あらためて本の価値を考えさせてくれる一冊です。