恋愛に悩みはつきもの。ひとりでふさぎ込んで辛いときは、人気作家たちが書いた恋愛に関するエッセイを読んでみませんか?思わず笑ってしまったり、勇気をもらえたり……この記事では、おすすめの6冊をご紹介します。
1966年に刊行された三島由紀夫のエッセイです。タイトルどおり、「反貞女」になるための講義が詰め込まれています。
将来的に不倫をしたいという願望のある女性は、結婚相手を選ぶ時からその心構えが必要である、などかなり大胆な内容です。
- 著者
- 三島 由紀夫
- 出版日
「私はこの講義の中で、人間生きていれば絶対の誠実などというものはありえないし、それだからこそ、人間は気楽に人生を生きていけるのだ、という哲学を、いろんな形で展開したつもりでした。」
(『反貞女大学』より引用)
三島自身がこう記しているように、ユーモアを交えて説かれる恋愛論からは、自由に生きる女性を応援する三島の思いが見てとれるでしょう。
社会や人間を鋭く観察しつつも軽妙なタッチの文章は、読みやすく、思わず笑ってしまうことも。女性の心理をここまで分析できる三島の観察眼に感心してしまいます。
三島由紀夫の小説を読んだことがある方は多いかもしれませんが、エッセイからも新たな魅力を感じられるはずです。
岡本太郎のパートナーとして知られている、岡本敏子のエッセイです。結婚という形式にとらわれず、ただ岡本太郎を愛し続けた彼女が書いた、恋愛の本質をエネルギッシュに伝えます。
今を見失い、もがいている女性たちを勇気づけてくれる指南書のように読むことができるでしょう。
- 著者
- ["岡本 敏子", "小泉 すみれ"]
- 出版日
その人の生き方そのものが恋愛に出ると語る敏子らしく、あるがままの相手を受け入れ、一瞬一瞬を愛し抜く姿は、まるで強い光を放っているようです。
岡本太郎が他の女性とデートに行く時は一緒にくっついていったなど、型にとらわれない大胆なエピソードが盛りだくさん。彼女の力強い生き方を読むと、小さなことに縛られていてはもったいないと思わせてくれます。
恋愛はもちろんですが、理想の生き方まで提示してくれる一冊です。
現代短歌を代表する歌人、穂村弘のエッセイです。
実際に穂村が経験したことだけでなく、トキメキが薄れることを防ぐために、恋愛に関するさまざまなシチュエーションでの妄想も爆発しています。
- 著者
- 穂村 弘
- 出版日
- 2017-01-25
穂村弘は、どうやらかなりの恋愛脳なよう。歌人らしい美しい言葉選びと、驚くほどの自虐の間に垣間見える、不器用で繊細でロマンチックな思考が楽しめます。それでいてたまに物事の本質を突くようなことが書かれているので、ハッとしてしまうのです。
タイトルからもうかがえるように、すべてが少しずつ過剰で愛おしく、読んでいると穂村の人間性にいつの間にか惹かれてしまうでしょう。
自分の恋愛の参考にするにはやや問題があるかもしれませんが、思わず笑えて、読むと元気になれるエッセイです。
穂村弘のおすすめエッセイランキング5選!現代短歌の代表の独特の言葉に、ハマる
穂村弘をご存知ですか?現代短歌を率いる歌人でもあり、批評家、エッセイスト、翻訳家でもあります。今回は、短歌という31音の枠から飛び出したエッセイスト穂村のセンスが輝く、珠玉のおすすめエッセイ5作品を紹介していきます。
エッセイストやコラムニスト、コメンテーターとして活躍する能町みね子の作品です。
人間は「モテ系」「モテない系」「圏外」の3つのグループにカテゴライズできるとし、自身が所属する「モテない系」について的確かつコミカルに分析していきます。
- 著者
- 能町 みね子
- 出版日
- 2011-02-10
恋愛にまったく縁がないわけではないけれど、「モテを意識している自分が恥ずかしい」とくすぶっている女子。恋愛指南書などに書いてあるテクニックは知っているけれど、自意識やプライドが邪魔をして実践できない女子……自分のことだと思わずドキッとしたり、確かにそんな人いるよねと思わず納得できる「あるある」がたくさん詰まっています。
本作を書いている作者がいまだに「モテない系」なので、根本的な解決にはならないかもしれませんが、少人数の「モテ系」に所属することができなくても、この本を読んで同じように共感している人がいると思うと安心できるのではないでしょうか。
イラストも多数挿入されていて、気軽に読める一冊です。
容姿に大きなコンプレックスがあり、「女性」として見られることに違和感を抱きながら育った雨宮まみのエッセイです。
自尊心が低く、繊細で敏感な「こじらせ女子」が、暗黒スクールライフを送り、強い自意識に苦しめられながらもなんとか乗り越える姿が描かれています。
- 著者
- 雨宮 まみ
- 出版日
- 2015-04-10
かわいくないけれどモテたい、男性に欲情されることに価値を見出すのは嫌だけれど、女性として満たされたい……「女性」であるがゆえの生きづらさが、彼女の人生を通して語られていきます。
結局、自分の価値は男性からの評価ではなく、自分で決めるもの。特に恋愛をすると相手によく思われたいと自分を見失いがちですが、ありのままでいいと思わせてくれる彼女の正直な文章に勇気づけられる読者も多いでしょう。
生きづらさを感じている人にこそ読んでほしいエッセイです。
フリーランスの編集者でエッセイストの高山真の作品です。
雑誌「oggi」で10年以上続く「不器用な女子」から届く人生相談から、恋愛にまつわるものを抜粋し、まとめたエッセイになっています。
- 著者
- 高山 真
- 出版日
- 2016-01-25
「起きてしまったこと自体は変えられないけれど、それをどう解釈するかは変えることができる。」(『恋愛がらみ。』より引用)
人生のスタンスをこのように掲げている作者の言葉には、恋愛に悩む不器用な女子を救ってくれるヒントがたくさん散りばめられています。
「元カレと別れなければ、今の人と出会えてない。あなた、ラッキーよ」「経済力のあるオトコを狙うなら、自分もそのフィールドにいるべきよ」「不幸を人のせいにするあわてん坊さんに未来はないと思うわ」など、心に刺さるフレーズがたくさん。愛のあるあたたかいダメ出しが、負のスパイラルからきっと連れ出してくれるでしょう。