『ONE PIECE』の主人公モンキー・D・ルフィの祖父であり、「海軍の英雄」とまで称えられるモンキー・D・ガープ。本編にて露出が増えてきており、その実力が描写される事は時折あれども、本気の戦闘描写が描かれた事は今までにほぼありません。 今後の物語の鍵を握っていると考えられるガープ中将の強さや秘密を考察してみました。
まずは、ガープの基本的なプロフィールを整理していきます。読み飛ばしても問題ありませんので、考察などを読みたい方は目次から気になるところをご覧ください。
モンキー・D・ガープとは、世界の均衡を司る「三大勢力」の一つである海軍本部に所属している人物です。「ゲンコツのガープ」「海軍の英雄」という通り名でも知られています。
破天荒で権力などはものともしない自由人で、その言動で周りの人を困惑させる事もしばしば。世界貴族として世界の頂点に君臨する天竜人に対しても「嫌いだ」とはっきりと口にしてしまうような、人物です。
容姿の特徴としては短い白髪に白い口髭をたたえており、2mを超す体躯と鍛え上げられた肉体をしています。
初登場は扉絵連載で、後に部下となるコビーとヘルメッポの奮闘記にて指導役として登場。登場当初は犬の被り物をしていました。その際、うっかり居眠りをしたせいで捉えていた罪人であるモーガンの攻撃を受けるという、どこか緊張感のない性格も伺う事ができました。
しかし頼りになる部分もあり、自分が第線で戦うだけでなく、後身の育成にも力を入れています。特に、海軍大将になる夢を追っているコビーと、犯罪者となってしまった元海軍大佐の父を捕えると誓ったヘルメッポを自分の部下として鍛えました。
この記事では、そんなガープ中将の強さや秘密、今後の活躍について考察していこうと思います!
ガープは、物語の主人公であるモンキー・D・ルフィの祖父として知られています。さらには海軍と敵対する組織である「革命軍」のリーダーであるモンキー・D・ドラゴンの父である事も明らかになりました。
その事実が明らかになったのは、偉大なる航路(グランドライン)にある水の都・ウォーターセブンでの事でした。ガープが犬の被り物を脱ぎ、素顔を露わにして登場したのです。
そして直前まで死闘による疲労でぐっすりと寝ていたルフィを、いきなり殴り飛ばして起こします。目を覚ましたルフィはガープの顔を見るなり怯え、彼を「じいちゃん」と呼んだのです。
さらにルフィの父がドラゴンである事をさらっと伝えると、その事実に周りが驚愕の表情を浮かべます。そこで言ってはまずかったと察したのか、その発言をしれっとなかった事にしようしており、ルフィともども、その自由さは血であることを麦わらの一味は察したのでした。
ガープの家系が明かされた衝撃のエピソードは『ONE PIECE』45巻に描かれています!
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
海軍本部のある島「マリンフォード」にて後に「頂上戦争」が起きます。頂上戦争とは、海軍本部総戦力と白ひげ海賊団が、白ひげ海賊団の2番隊隊長ポートガス・D・エースの処刑をめぐり起こった争いです。
そこで世界に知れ渡ったのは、エースが「海賊王ゴール・D・ロジャー」の息子であるという驚愕の事実。そしてガープが、処刑を控えたロジャーからエースを託されたという過去でした。
ガープはエースの処刑を止めたいと思いながらも、海軍という立場から助ける事は出来ず、涙を浮かべる場面もありました。そしてその苦しい展開はさらに続きます。
頂上戦争終盤、エースを救うべく駆け付けたルフィとガープは、海賊と海軍中将としての立場から対決する事になってしまうのです。
実力的に見ればガープの方が圧倒的に有利に思えます。しかし、ルフィとエースを幼い頃から見てきたという事実が、ガープにルフィを殴らせませんでした。逆にルフィの拳を浴びてガープは吹き飛ばされてしまったのです。
そして幾度もの死闘を越え、ルフィはエースの救出に成功します。
しかし、その喜びも束の間、度重なる戦闘で限界を超え動けなくなったルフィに、海軍大将・赤犬が襲い掛かりました。その攻撃からルフィを助けるために身を挺した結果、エースは最終的に命を落とす事になります。
それを見たガープは怒りを抑えられず、彼の異変に気付いたセンゴクに押さえつけられます。その際「抑えつけておいてくれなければ赤犬を殺してしまう」と発言しており、ガープのエースやルフィに対する愛情や、大将に対しても引けを取らない実力が伺えました。
ルフィとガープの対峙は、『ONE PIECE』58巻で描かれています!
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-06-01
衰えてもなお、驚異的な実力を発揮しているガープですが、その全盛期はかなりの強さであったとされています。その強さが最も分かるのが、今は地図になく跡形もなく消えてしまったとされる島「ゴッドバレー」で起きた出来事です。
かつて世界最強と呼ばれていた「ロックス海賊団」は、白ひげ、ビッグ・マム、カイドウと、その後四皇と呼ばれるようになる猛者たちがいました。そんな一団を、ガープと後の海賊王であるロジャーが手を組み打ち倒し壊滅させてしまったのです。
この「ゴッドバレー事件」によりガープは海軍の英雄と呼ばれるようになりました。この事件については、『ONE PIECE』95巻で言及されています!
ロックス海賊団やゴッドバレー事件について詳しく知りたい方は、こちらの記事もオススメ!
「ワンピース」ロックス海賊団を考察・解説!正体はDの一族?ゴッドバレー事件とは?
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2019-12-28
上記のゴッドバレー事件の他にも、ガープが残した数々の伝説は物語の所々で登場しています。ここではいくつか過去の栄光を見ていきましょう。
ドレスローザ編にて登場した「チンジャオ」を倒したというのもその一つです。
かつて懸賞金5憶ベリーを超えていた海賊・錐のチンジャオは、全盛期にガープと決闘しました。ガープは戦いに備えて山をサンドバッグ代わりにして8つ程粉砕したのだとか。
そして臨んだチンジャオとの決闘では、チンジャオの尖った硬い頭を拳骨一発で凹ませてしまいました。これによりチンジャオの攻撃力は半減、戦場の第一線を退く事になっています。
また、ゴッドバレー事件で共闘したロジャーとは、幾度も死闘をくり広げてきたようです。戦いの結果は語られていませんが、おそらく決着がつかない程に均衡した実力を持っていたのでしょう。
のちにロジャーは、敵でありながら仲間ほど信用できる存在だとガープを評しています。息子であるエースを預けたことからも、信頼は相当のものであった事が分かりますね。
さらには海軍本部でも様々な重要人物と関係を築いています。大目付の役に就いているセンゴクや海軍本部中将のつると同期であり、海軍大将としてルフィや多くの海賊達を追い詰めた元海軍本部大将・青キジからも尊敬されているほどです。
最初にお伝えした、ガープとチンジャオとの決戦は『ONE PIECE』72巻に描かれています。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2013-11-01
ガープは、鍛え抜かれた体躯から繰り出す拳を使った戦闘を主としています。それゆえ、ある意味げんこつがトレードマークです、
そのうち、必殺技として名前が付けられているのは「拳骨隕石(ゲンコツメテオ)」と「拳骨流星群」です。
「拳骨隕石」は大砲の弾を直接手で掴みそのまま目標に向かって投げ付ける力技。単純ですが破壊力は相当で、普通に大砲で弾を撃つよりも遥かに速く威力の高い砲撃を繰り出します。
そしてその拳骨隕石を次々と連投するのが「拳骨流星群」。
通常の大砲ですら連撃されれば避けるのは困難ですが、通常よりも遥かに速いスピードで高威力の砲撃が流星のように飛んできては避ける術などほぼないでしょう。全盛期ほどの体力がない老いた状態でも1000発は連投できるというのだから、その怪物ぶりは止まる所を知りません。
他にも六式と呼ばれる武術の中で瞬間的に加速し移動する技である「剃」を会得していると推測されており、覇気も会得しているとされています。
戦闘は常に拳骨で戦う描写がされており、悪魔の実の能力者である事は確認できませんでした。おそらくは悪魔の実の能力者ではなく体術と覇気によって伝説級の実力を誇っているものと考えられています。
ここからはそんなガープについて気になるポイントを考察していきましょう。
強すぎるガープですが、なぜ中将という低い地位にいるのでしょうか。数々の伝説や実績からすれば大将になっていてもおかしくはないでしょう。
実の所、元帥時代のセンゴクからは幾度も海軍大将への昇進を勧められていたようです。それまでの実績を考慮すれば当然の事ですが、彼はそれを断っています。
理由としては、常に第一線で戦っていたいという事、そして中将という地位のままでいた方が自由にできるという事を上げています。
彼の指す不自由とは、海軍大将になって天竜人の直属となってしまうことも考挙げられるでしょう。自分の立場を無視してでも嫌いと公言し、クズとまで言う程に敵視しているため、彼らの下につくことでガープが苦労するのは容易に想像できます。
上の立場にいくよりも、中将という立場で居続ける事で、自分の正義を正しく後進に伝えていく事を大切に考えているのではないでしょうか。
ガープが自由を求めて昇級を蹴るエピソードは、0巻もしくはファンブック「BLUE DEEP」に収録の第0話にて垣間見ることができます。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
自由人で破天荒、相手が誰でも決して態度を変えないガープですが、息子や孫までいるのでパートナーがいる事になります。今まで一度も登場していないその女性は、一体どんな人物なのでしょうか。
一筋縄ではいかないガープの相手ともなれば、相当な人物なのだろうという推測ができます。しかしこれまでに僅かでも作中で話題に上がった事がないので、誰かという推測すら難しいです。
しかし、古くからの付き合いがあるセンゴク、つる、そしてダダンあたりはその相手を知っていると思われます。特にダダンは、本来であれば危険人物となる山賊ですが、孫のルフィやエースを預けられるほど信頼されており、ガープの奥さんを知っていてもおかしくありません。
そんなダダンとガープの間柄について、推測として多く語られているのは、2人が親族に当たるのではないかという事。ダダンはルフィとエースの叔母にあたる人物なのではとも言われています。
確かに親族であればガープの頼みを無下に出来ない事はもちろん、ルフィやエースを愛情を持って見守るようになった経緯も頷けます。あなたは今までの彼らのやりとりを見てどう思われるでしょうか?
ガープとダダンの信頼が垣間見えるエピソードは、『ONE PIECE』60巻で読むことができます。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-11-04
数々の名言を残している「ワンピース」ですが、そのなかでガープも胸にぐっとくる名言をいくつも残しています。ここでいくつか紹介させて頂きましょう。
「愛ある拳は防ぐ術なし!」
(『ONE PIECE』45巻より引用)
ガープの名言として一番に出てくるのはまずこれではないでしょうか。彼が素顔を出し初登場したウォーターセブンにて、ルフィと再会した時の台詞です。
戦闘疲れから寝ていたルフィを殴り飛ばして起こしたガープと、突然の彼の登場に驚愕するルフィ。一見戦闘が始まるのかと危ぶまれましたが、はっきりと愛ある拳と言っている事からガープのルフィに対する愛情が感じられるシーンです。
「ここを通りたくばわしを殺してでも通れ!
“麦わらのルフィ”!」
(『ONE PIECE』58巻より引用)
頂上戦争にて、ルフィと対峙した際の台詞です。
エースとルフィを生まれた時から知っているガープが、ルフィに対して家族ではなく海兵として立ちはだかります。その姿と言葉から、相当な覚悟が伺える場面でした。
しかし、どうしても昔のことが思い出され、彼は思わず目を瞑ってしまいます。それによってルフィの攻撃を喰らってしまいました。海軍と海賊と家族という対立する立場に挟まれた彼の姿に同じように心が痛むシーンです。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-03-04
「エース貴様…!
なぜわしの言う通りに生きなんだ!」
(『ワンピース』57巻より引用)
同じく頂上戦争にて、処刑を待つエースの隣に腰を下ろしたガープが、涙をこらえながら言った一言です。
ルフィとエースを強い海兵にすると昔から言っていたガープ。おそらく2人の出自から海賊になれば海軍や世界政府の攻撃の的になると推測したのでしょう。彼らが少しでも平穏に暮らせるようにという気持ちがあったことが感じられます。
そんな願いとは裏腹に海賊になってしまい、処刑されようとしているエースへの言葉は、海軍と海賊としてではなく、家族同士としての想いがこもっているように感じます。
ガープの名言はまだまだたくさんありますが、総じていえるのはどの台詞にも愛が込められているという事。自由奔放で子供のような人物ですが、周囲に対する優しさがあるからこそ、大勢の人に慕われているのではないでしょうか。
ガープは頂上戦争後に海軍を辞める申し出をしましたが、上層部に引き止められました。その結果、一線は退いたものの、後進の育成にあたるために海軍に在留しています。老いはあるものの、実力的にはまだ十分に一線で戦えると思われますが、なぜそう決断したのでしょうか。
一つの推測としては、頂上戦争で同じ時代を戦い生きてきた白ひげが命を落とし、時代が新たなうねりを始めた事があげられます。
また、エースが処刑にあたり、海軍と育ての親としての立場の間で苦悩した事も理由だと思われます。海賊は悪であっても、エースは家族だった以上、割り切れないものがあるのでしょう。頂上戦争後、エースとルフィを育てたダダンが2人を想って攻撃してきた時に、それを避けずに甘んじて受け入れていたことからも心中は察せられます。
そんな局面を乗り越えたガープですが、今後どんな出番があるのでしょうか。
ガープと同じく一線を退いたセンゴクは、元帥時代には考えられない程に自由気ままに行動をしています。元帥というカセが外れ、動きやすくなった彼が、今後ガープと行動をともにする事も増えるのではないでしょうか。
また、ロジャーと戦ったゴッドバレーは偉大なる航路の最終地点「ラフテル」ではないかという考察が多くされています。そうなればガープはゴッドバレーやラフテルの秘密を知る数少ない人物として今後の物語の進行に大きく関わってくる事が考えられます。
自由気ままに行動するにしても、物語の重要なキーを握る人物として登場するにしても、ルフィの関係性からこのままフェードアウトするということはなさそうです。今後の活躍が楽しみですね!
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