歌を歌ったり楽器を弾いたすると、心がワクワクしますよね。音楽は、大人にとっても子どもにとっても感情を動かす素敵なものです。この記事では、ピアノや音楽会などを描いたおすすめの絵本を紹介していきます。
今日、みーちゃんは初めてオーケストラを聞きに行きます。指揮者をしているパパと、一年生になったらコンサートに招待してもらうことを約束していたのです。
パパを送り出した後、みーちゃんはママと会場に向かいました。パパからオーケストラについていろいろ教えてもらったので、期待と興奮でいっぱい。目の前には、高い天井とまばゆいステージが広がっていて、いよいよ特別な夜が始まります!
- 著者
- ["佐渡 裕", "はた こうしろう"]
- 出版日
- 2016-10-27
世界的指揮者の佐渡裕が、愛娘との経験をもとに原案を作成し、はたこうしろうが絵を担当した作品。2016年に刊行されました。
佐渡裕の代名詞ともいえる「第九」と同調するかのように、みーちゃんの初めてオーケストラに行く緊張と期待、そして演奏に吸い込まれて歓喜に満ちる様子が描かれています。幼いみーちゃんがオーケストラを聞いてどのように感じたのかが素直に表現されているので、小さなお子さんでも同じようにオーケストラを追体験できるはずです。
曲調にあわせてページごとに色彩が変わるのも魅力的。まるで絵本からメロディーが流れてくるかのようで、演奏が終わった後の余韻まで感じることができるでしょう。
クネクネさんはマラカスが大好き。今日は「マラカスのかい」の仲良し2人と、待ちに待った発表会です。
朝から大忙しで準備をし、ランチを終えて、いよいよクネクネさんの番がやってきました。
「チャッウー チャチャウー」と練習を重ねた新しいリズムを披露します。ところが、足が絡まってしまい……⁉
- 著者
- 樋勝 朋巳
- 出版日
- 2013-04-15
銅版画家の樋勝朋巳が手掛けた初めての絵本。2013年に刊行されました。
まるっとした体にハイウェストのタイツを履いたクネクネさん。アンバランスな愛おしさを感じるキャラクターです。見返しに描かれたタイツコレクションもファッショナブルで、楽しめます。
その一方でストーリーは、失敗をしても克服することや友情をテーマにした読みごたえのあるもの。いろんな感情を音に乗せていきます。
親子やお話し会などで「チャッウー チャチャウー」と声を合わせ、一緒に身体を動かしながら読むのもおすすめです。
本作の主人公は、森の木を育てる祖父と楽器職人の父をもつ少年。父の作ったチェロで演奏をするパブロさんと出会い、彼の奏でる音色に惹き込まれます。そして少年は音楽に目覚めるのです。
それから時が経ち、少年は父からチェロをプレゼントしてもらいました。やがて祖父と父は旅立ちますが、少年はチェロを愛し、演奏を続けます。
動植物が共存する自然の森で育った木、そこに新しい使命を吹き込まれた楽器。すべてが連なっていることを感じ、脈々と受け継がれた想いを胸にした少年が選んだ道とは……?
- 著者
- いせ ひでこ
- 出版日
- 2013-03-06
2013年に刊行された、いせひでこの作品。彼女自身も中学校を卒業した後、チェロ奏者の佐藤良雄から指導を受けていた経験があります。
自然、生命、音楽が編み上げられるように展開していくストーリー。幻想的で静謐で、大人が読んでも満足できる絵本です。
子ども用のチェロを作る父の仕事をつぶさに見つめる少年が健気で、親の背中を見て育つ様子が美しく語られていきます。そのチェロは大人になっても大切にされ、未来を感じるような結末に読者は安堵することでしょう。何度も手に取り、深く読み込みたい一冊です。
今日は、ももちゃんにとって初めてのピアノの発表会。緊張の面持ちで出番を待つ彼女に、ねずみが声を掛けてきました。
誘われるままに小さな扉をくぐってみると、そこではねずみの発表会が開かれています。ももちゃんは、サーカスや歌や踊りを楽しみ、とうとうねずみと一緒に舞台に。ふと気がつくと……。
- 著者
- みやこし あきこ
- 出版日
- 2012-04-01
木炭と鉛筆を用いた温もりのある絵を得意とする、みやこしあきこの作品。2012年に刊行されました。
ももちゃんの表情の変化にご注目。ひきつった顔をしてうつむき加減のももちゃんを見ると、緊張で押しつぶされそうな経験を思い出す読者も多いでしょう。対照的に、ねずみの発表会を心底楽しむ姿からはワクワク感があふれ、一緒に歓声のなかにいるような気分になります。
最後は笑顔で発表会に臨むことができ、演奏を終えた時の自信に満ちた顔に。小さなももちゃんの心境をそのまま共有できる作品で、「音楽は弾いても聞いても楽しいもの」だと体感できるでしょう。
野原の真ん中に、「ふしぎや」という変わった楽器を売る店があります。
雨が降り続くある日、男の子が店を訪れました。空を明るくしたいと悩む彼に、くまの店主は黄色いトランペットを手渡します。男の子がトランペットを吹きながら野原を進むと……あら不思議、雨雲がトランペットの音色に誘われるように動き出すのです。
果物作りに悩むおじさんや、寒がりのウサギに、くまの店主はどのような楽器を選んであげるのでしょうか。
- 著者
- 安房 直子
- 出版日
- 2009-08-27
安房直子が文を、こみねゆらが絵を担当している作品。2009年に刊行されました。
お店に来るお客さんの悩みに、くまの店主は丁寧に耳を傾けます。処方をするように選び出した楽器は、時には薬よりも効き、驚きを与え、読者の心も豊かにしてくれるのです。
音楽は時に魔法のような力をもつと教えてくれるよう。文章も洗練されていて、厳選された一語一語にあたたかさと品のよさを感じ、心地よく読める一冊です。
とある満月の日の夜。どこからか聞こえてくる音楽に誘われて、5匹のねずみたちはカエルのコンサートにやって来ます。しかしそこは「カエルでないものおことわり」だそうで、5匹は追い出されてしまいました。
それでも美しい歌声が忘れられないねずみたち。自分たちでも音楽会を開こうと計画します。
楽器を作り、練習を重ねて迎えた当日。ねずみたちは、たくさんの聴衆のなかにカエルがいることに気付きます。カエルの音楽会では締め出されてしまったねずみたちですが、心を奪われたあの曲を彼らと一緒に歌うのです。
- 著者
- たしろ ちさと
- 出版日
たしろちさとが手掛ける「5ひきのすてきなねずみ」シリーズの1作目。2007年に刊行されました。
動物の種を超えた友情に、心があたたかくなる物語。ねずみたちは、カエルたちから追い返されたことにとらわれず、一緒に歌を歌うことを選びます。音楽会が終わったあとに仲良く眠りについている姿を見ると、純粋に音楽を楽しむことの素晴らしさや、音楽があれば争いもなくなることを実感します。
また、細やかな書き込みも魅力的です。カエルたちがねずみに扮装してこっそりと音楽会に紛れ込んでいるところなど、何度も見返したくなってしまうでしょう。
どの作品もストーリーが心に染み入るものばかり。音楽や歌が演出効果を最大に発揮しています。ページからあふれ出す音に耳を傾けながら読んでみてはいかがでしょうか。