モンスター娘を相手に診療をする人間の少年医師・グレンを主人公にした物語、『モンスター娘のお医者さん』。2017年に第1巻が刊行され、後に漫画化もされたほど人気の作品です。また、2020年にはテレビアニメ化も決定しています。 この記事では、モンスター娘、通称モン娘達が続々登場する本作のあらすじと見どころをご紹介します。ネタバレを含みますのでご注意ください。
かつて激しい戦争をくり広げていた人間と魔族。長く続いたその戦争は百年戦争と呼ばれていましたが、それもついに終結を迎えました。
戦争が終わってから10年。時間が経っても人間と魔族の間にはまだ禍根が残っていましたが、そんな中、魔族と人間が共存する町がありました。それがリンド・ヴルム。その町で、グレン・リトバイトという人間の少年は、魔族専門の医師として診療所を営んでいました。
まだ17歳と若い彼ですが、その腕は確か。本作は、グレンと彼の助手でラミア族(体の下半分がヘビの一族)の少女サーフェンティット・ネイクス、通称サーフェがメインのストーリー。彼らが日々様々なモン娘達を相手に奮闘する日々を描きます。
2020年にはテレビアニメ化も決まっており、モン娘ことモンスター娘達がどうアニメ化されるのか、注目度がますます高くなっている作品です。詳細はアニメの公式サイト、またはティザーPVをご覧ください。
『モンスター娘のお医者さん』2020年TVアニメ化決定!ティザーPV
本作の作者・折口良乃は、2009年にライトノベル『九罰の悪魔召喚術』でデビューしました。それ以降、『死想図書館のリヴル・ブランシェ』や『シスターサキュバスは懺悔しない』などの作品を精力的に発表されています。
ところで、そもそも今回ご紹介する作品のタイトルにもなっている、モンスター娘、略してモン娘という言葉をご存じでしょうか?モン娘とは、文字どおり人間ではないモンスターの姿をした可愛い女の子のキャラクターのことです。
折口良乃は、自他ともに認めるモン娘好き。作品にもその嗜好が表れているものが多くあります。なんでも、モン娘の人を殺すほどの力を持っていながらも、可愛らしい様子やラブコメ展開を見せてくれるところが特に好きなんだとか。
作者のTwitterでもその愛がしばしば語られ、同じ嗜好の方なら特に楽しいかもしれません。
- 著者
- 折口良乃
- 出版日
- 2012-12-08
本作はまさにそうで、タイトルどおりモンスター娘がたくさん登場します。そしてその愛が溢れた描写は、モン娘好きでなくとも魅力が分かってしまうようなものなのです。
折口良乃の真骨頂ともいえる『モンスター娘のお医者さん』。このあとはそんな本作の魅力を徹底的にご紹介いたします!
モン娘は、モンスターの姿をしているといっても、顔などは人間の可愛い女の子の姿をしているところがポイント。サーフェのように下半身がヘビなど、身体の一部に特徴を持っています。
本作では、そんなモン娘がたくさん登場します。みな魅力的ですが、特にヒロインであるサーフェことサーフェンティット・ネイクスは外せません。
- 著者
- 折口 良乃
- 出版日
- 2016-06-24
彼女はラミア族、下半身がヘビの姿をしているモン娘です。少し嫉妬深いところがあるのですが、そんな性格にもヘビの特徴が表れており、可愛らしくも少し怖い一面があります。また、彼女はアルビノなので、白い鱗に銀色の髪、赤い瞳という美しい見た目も特徴です。
他にも、1話にから登場し、その後もストーリーに関わってくるティサリア・スキュテイアーというキャラもいます。闘技場で闘士として働くケンタウロスの女性で、下半身が馬のモンスターです。
豊満な胸と豪胆な性格の持ち主で、主人公のグレンが目のやり場に困るようなシーンも度々あります。そのため彼女が登場すると、嫉妬深いサーフェが機嫌を悪くすることもしばしば。
彼女たちだけでなく、物語が進んでいくと魔族最強のドラゴンや、人間の死体をつなぎ合わせて生み出されたフレッシュゴーレムというキャラクターなども登場します。種族の違いから生まれる見た目の個性はもちろんのこと、性格もそれぞれ際立っているので、常に新しい刺激を受けることができるはずです。
主人公のグレンは医者なので、様々なモン娘達を診察します。その過程では、なぜか意図せずエロティックでイチャイチャしているようにしか見えない場面になってしまうことが多々あります。
1話の冒頭から、新妻のモン娘の胸を触診してモン娘を喘がせたり、フレッシュゴーレムの治療をする際は際どい部分を合したり……。読んでいてドキドキしてしまうような描写が盛りだくさんです。
ただ、いずれもグレンからしてみると、ただ一生懸命に治療しているだけ。エロティックな目的などもちろんありません。しかしそれが逆にわざとらしくないエロティックさに繋がっており、読者としてはついニヤニヤして読んでしまうのです。
もちろんグレンも年頃の青年なので、場合によっては恥じらったり戸惑ったりはしているよう。そんな時はサーフェの鉄拳が待っています。彼女はラミアなので、ヘビの姿をしている下半身で彼を締め上げるというのが、お約束のツッコミスタイルです。
一見するとクールに見えるサーフェがヤキモチを焼くのも、読者からしてみるとイチャイチャしているようにしか見えない展開です。
作者はこの作品をエロではないとおっしゃっています。確かにグレンのしていることは診療なのでエロではありませんが、その描写はエロティックとしかいえない部分が多いので、読む場所は少し気を付けたほうがいいかもしれませんね。
本作の見どころは、様々なモン娘達がくり広げるエロティックなラブコメ。ただし真面目な部分もあり、医師として一生懸命に診療に取り組むグレンの姿や、彼とサーフェの絆などにも引き込まれます。
とはいえドタバタで笑える描写が多いので、一見すると軽い内容に見えるかもしれません。しかし実はその根底には骨太なテーマもあるのです。
物語が進んでいくと、水路街に毒を撒かれるという事件が発生します。その際、容疑者の1人にあげられたのが、とある人間でした。
魔族と人間はもともと長く戦争を続けていた関係で、戦争が終わったといってもそうすぐに良好な関係になるわけではありません。どちらかというと、魔族と人間が共存しているリンド・ヴルムのほうが珍しかったのです。
清濁入り交じったまま日々が送られていく様子は、どこか現実にも通じるテーマを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
また、魔族というそれぞれ違った個性や特徴を持つモン娘たちは、その種族、固有の死生観を持っています。本作は医療ものでもあるので、大なり小なり、魔族たちの死や生き方も描かれます。そんな「生と死」という普遍的なテーマもがあるのも、本作の魅力なのです。
モン娘のキャラクターの可愛さや、エロティックな展開だけでなく、骨太なテーマが根底にあるからこそ、本作は魅力的なのかもしれません。
真面目な内容も見所ではありますが、やはり最大の魅力は、ヒロインたちとのラブコメ展開!ここでは2019年現在最新巻である7巻の内容にも触れながらその点をご紹介します。
本作はグレンが魔族専門の医者ということで、登場するモン娘の多くは患者という立場で登場します。診療によって命を救われたモン娘も多く、ストーリーが進めば進むほどグレンはどんどんモン娘達からモテモテになっていくのです。
- 著者
- 折口 良乃
- 出版日
- 2019-11-22
そのなかでもメインヒロインであるサーフェがグレンに好意を寄せていることは冒頭から分かります。嫉妬深い彼女がグレンに言い寄るモン娘達をけん制する様子もあり、微笑ましいドタバタ要素を加えています。
一方、グレンもまたサーフェに対しては、助手以上の感情を抱いているよう。2人の関係性が気になるところですが、彼らの暮らすリンド・ヴルムでは重婚が認められています。
そしてなんと6巻でグレンは、サーフェのほかに、先ほど紹介したティサリア、下半身がクモであるアラクネ族のアラーニャと婚約を結ぶことに。7巻では婚約関係を結んだあとの様子が描かれます。
サーフェのヤキモチ焼きも健在なのですが、見所は、3人のモン娘たちの可愛らしさと結束力。新たなキャラも登場するのですが、既存の彼女たちの魅力がたっぷりと描かれます。
8巻ではグレンの里帰りに3人がついていく様子が描かれるそうですが、果たして無事に済むのでしょうか?婚約関係になるヒロインが増える展開も今後予想され、ますます続きが気になります!
いかがでしたか? モンスター娘は、人間ではないからこそ個性が光ったり、不思議な魅力があったりするキャラクターです。彼女たちが縦横無尽に動き回る様子はもちろんのこと、ドタバタな中に隠された骨太なテーマなど、本作は気軽に読めるのに読みごたえもある一作になっています。
これを機会に、ぜひモン娘の魅力に触れてみてはいかがでしょうか?文章を読むのが苦手な方はコミカライズ作品もありますので、そちらもご覧ください。